「どうなってんだよ!!」
「ユウヒさんの攻撃で破壊出来なかったんでしょうかっ?」
俺達の鼓膜をぶん殴った轟音と伝わった衝撃、さっきまで分身体の半壊と言う有り得ない光景を目撃した筈なのに、今は分身体を含めた2体のリュカオーンと言う有り得ない光景を見ている。
「嫌違う…!分身は最初から2体まで出来たんだ!」
リュカオーンの攻撃を躱しながら混乱しているカッツォとレイ氏のセリフに俺はそう応えた。
「はぁっ!?」
「そんなっ」
俺のセリフにカッツォはキレ気味にレイ氏は驚きをそのままにそう言う。俺も心情としてはカッツォの様にキレたい所だった。
ユウヒが倒したリュカオーンの分身体、雰囲気的に見ても破壊規模的に見ても確実に『倒した』と言い切れる。だが、今俺達の目の前にはリュカオーンが2体いる。
どういう事か複雑に考えるまでもない。リュカオーンが本体も影移動出来ることを俺達に隠していたように奴は2体まで分身出来たんだ。
(正直今となっては2体までって事すら
「作った奴は相当性格悪いなっ」
本体と分身の攻撃を躱しながらそう呟く。この戦いを製作者や運営チームがコーラでも飲みながらニヤケ面で見ているかと思うとシバきたくなるがこの感情はダメだ。アバターの動きに影響が出る。
「2人とも!ユウヒが一人で分身を破壊したんだっ俺たちもやるぞ!!」
「当然!!」
「はいっ!!」
俺はカッツォとレイ氏にそう叫びリュカオーン本体の左前脚に接近し連撃を叩き込む。そんな俺に分身が迎撃を加えようとする
「させない、よ!」
しかし、カッツォはそんな分身の前脚を迎え撃ち黒いオーラを纏った拳で弾き飛ばした。本体は脚を殴り続ける俺に口を開けて噛み付こうとしてくるが俺はそれを上に飛んで躱すとそのまま上顎を殴りつけた。
「レイ氏!」
「はい!」
そして、口を強制的に閉ざされたリュカオーンの隙を着くようにレイ氏に攻撃を加えてもらう。
「『アポカリプス』!」
鎧を変色させたレイ氏の斬撃がリュカオーンに入りクリティカルが発生する。すると、リュカオーンは分身共々俺たちから距離を取り瓦礫が密集している所へと走り出した。
「待てや!」
「逃がさないよ!」
俺達はリュカオーンを追っていくがリュカオーンは瓦礫の周りをジグザグに動き俺達の動きを阻害してくる。
「頭良すぎでしょ!何このモンスター!」
「最強種の一体!」
「納得!!」
ゲームのモンスターにしては高すぎる知能にカッツォと俺はそう言い合う。移動を続けるリュカオーンは一際大きな瓦礫が密集する場所に行くと自分達が重なる用に瓦礫に隠れた。
「見えてるって!」
瓦礫に収まらない巨体にカッツォがそう叫ぶ。しかし、俺達は見えてるリュカオーンの身体が完全に重なった瞬間の違和感を見逃さなかった。
「カッツォ、レイ氏!」
「わかってる!来るよ!!」
「私達も密集しましょう!」
違和感を感じた瞬間に声を掛け合い3人それぞれ背中を預けて全方位を警戒する。俺たちが見た違和感。それは重なった本体と分身の身体が
今いる位置が瓦礫の密集している場所である事を考えても確実に影移動が来ると予想できる。
(((何処からでも来い(来なさい)!!!!)))
三者それぞれそう思いながら警戒する。
そして
(((来た!!!!)))
俺達は何度も聞いた地面を擦る様な音を聞いた。
「はぁ!?」
「マジか!!」
「なんて事!!」
しかし、背中を預けて警戒していた俺達は次の瞬間にはそう叫んでいた。何故ならリュカオーンは周囲にある瓦礫からではなく
俺たちが密集して造られた影。その中から飛び出してきたのだ。分身体リュカオーンに押し出される様に俺達は弾き飛ばされる。
そして、その瞬間に瓦礫を破壊してリュカオーンの本体が現れた。レイ氏に向かって大きく口を開けている。
(不味い、アレじゃ口を攻撃しても閉じられたら終わりだ!!)
「レイ氏!!!!」
脚での攻撃と違いパリィしても意味の無い攻撃に思わずそう叫んだ。そして、無情にもリュカオーンの口は閉じられレイ氏がリュカオーンの口の中でポリゴン塊に変わっていく。
「くっそォォォォォォォォォォ!!」
「クソがァァァァァァァァァァァァァ!!」
フィニッシャーの死にカッツォと俺は叫ぶ。しかし
「「はぁ!?」」
リュカオーンの口に収まっていたレイ氏は突然丸太に姿を変えた。
俺とカッツォは口を揃えて言葉を漏らしリュカオーンは突然丸太に変わったレイ氏を吐き捨てた。
「
そして、何が起きたか分からない俺達の耳に誰だか分からない声が聞こえた。
「やっぱり変わり身の術と言えば丸太、ですよね!」
声が聞こえた方に視線を向けると忍者の格好をした女のプレイヤーがおり元気な声で俺達にそう言ってきた。彼女のそばにはレイ氏が居て困惑した様子を見せている。
「間一髪!間に合いました!」
「あ、ありがとうございます…」
彼女はレイ氏にそう言いレイ氏はおずおずと礼を言う。
「つかぬ事をお聞きしますが…アナタは『サンラクさん』では無いですよね?」
すると、彼女はレイ氏にそう尋ねた。突然そう言われたレイ氏は困惑して自分の名前を答えている。俺も突然自分の名前が出てきた事に困惑している。
いや、レイ氏が喰われたと思ったら丸太になって助かっていた時点でもう既に困惑の極みだ。
しかし、そんな心境は知らない彼女はレイ氏から俺に視線を移すと「やはりそうでしたか!!」と元気一杯にそう言ってきた。
「聞いていた印象と違って
そして、そう言うと嬉しそうに笑顔を浮かべた。
「な、何なんだ??」
俺はそう言葉を漏らす。すると
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
鳴き声と共にエムルが俺に突っ込んできた。
「エムル!?」
「やっと会えましたわ!サンラクさん!!」
俺の胸に飛び込んできたエムルは泣いている。何故居るのか聞きたいがそんな俺に影が掛かる。
「うおっ!?」
それに反応して躱せば俺が立っていた場所は砕かれリュカオーンが喉を鳴らしていた。そして、レイ氏と謎のプレイヤーの近くにもリュカオーンの分身が現れ攻撃を加える。
「凄い大きなワンちゃん?でしょうかっ??」
リュカオーン分身の攻撃を躱した彼女たち、リュカオーンを見るのが初めてであろう謎のプレイヤーやそう言っている。
「アレ誰!?」
「知らねぇよ!!」
本体のリュカオーンに攻撃を加える為に走ってきたカッツォは分身の攻撃を躱すレイ氏と謎のプレイヤーを見てそう言ってくるが俺も分からない。
「あれはシークルゥお兄ちゃんが連れてきた『秋津茜』さんですわ!」
すると、俺の肩に移動したエムルがそう言ってきた。
「はぁ!?秋津茜!!??」
その名前に聞き覚えのあった俺は声を上げる。エムルの言葉が正しいのなら彼女は俺とユウヒの他に新しくラビッツにやって来たプレイヤーだ。
七つの最強種の一体、『
「ちょっとどういう事!?」
「あぁ、クソっ
何が何だかわかっていないカッツォと違い色々と知っている俺はそう呟く。
「後で話す!」
「さっきからそればっかだよサンラク!!」
「うるせぇ!!」
カッツォの文句に俺は思わずそう叫んでしまった。だが、本当に許してくれ。俺もかなり混乱してるんだ。
リュカオーンの攻撃を弾きながら秋津茜の方を見る。レイ氏と共に分身リュカオーンの攻撃を躱して助けたりしてくれている。
(エムルに足止めお願いしてたけど仕方ねえ!!)
「秋津茜!!そのままレイ氏のサポートを頼めるか!?」
言いたいことは大量にあるが今は最善を選ぶしかない相手が目の前にいるのだ。
「はいっ!了解です!!」
俺の叫びに秋津茜は笑顔と共に敬礼をして応えた。
「全く、エムルに聞いてた通りの御仁でござるな」
「今度は誰!?」
秋津茜の応えを聞いた俺に今度は男の声が聞こえた。既に渋滞気味の追加メンバーに俺はそう言って声がした方を見る。
すると、鎧兜を身につけた白兎が居た。
「シークルゥお兄ちゃんですわ!」
肩の上からそう言うエムルに「そういえば居たな…」と乾いた言葉と笑みを漏らした。もう既に限界だ。さっさと復活させてリュカオーンの集中させてくれ。
俺はそう思いつつシークルゥの方を見る。刀を装備した如何にもな侍。
「シークルゥ!聞きたい事とか言いたい事とかいっぱいあるけど今はレイ氏と秋津茜のサポートに入ってくれ!」
「あい、わかった!!」
格好を見てそして、エムルの兄と言うことを考えて
「リュカオーンと戦っているなんてサンラクさんは予測不能ですわ!!」
シークルゥを見送った俺はリュカオーンに反撃する為に
「悪いなエムル。そう言うのは後にしてくれ!今はリュカオーンを倒すことに集中だ!!」
「わ、わかりましたわ!!」
肩口から文句を言ってくるエムルにそう言いリュカオーンの左前脚を弾く。エムルも状況からそう応えて魔導書を構えた。
(予想外が重なりまくったが味方が増えたのはラッキー…そして、レイ氏の最大火力技まで必要な条件は詠唱を除けば後1回だ)
「カッツォ!色々あったが此処がチャンスだ!わかってるよなぁ!!」
「言われるまでもないねぇ!!」
俺とカッツォはそう言い合って意識を切り替えるとリュカオーン本体へと向かっていった。
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R-18開拓