「何あれ……どうなってるの?」
「わからん。単純に考えるなら最初から分身は2体まで出来たって事なんじゃねぇかな。最初、本体が影移動が出来ないって俺達に思わせていたみたいにな」
「そんな…他のモンスターに比べて規格外なのは分かってるけどウェザエモン含めてホントに巫山戯けてるよ…!」
リュカオーンの分身体を倒した俺達は視線の先でサンラク達と戦っているリュカオーン2体を見ながらそう言い合っていた。
(まぁ、確かにペンシルゴンの言いたい事も分かる。
「なぁ、リュカオーンの分身って
「どういう事?」
俺のセリフの要領が掴めなかったのかペンシルゴンは首を傾げてそう聞き返して来る。
「リュカオーンは影移動をする。本体も分身もだ。でも、分身は最初から居た訳じゃない。戦いの中で何処からか……恐らく影から現れたモノだ。ならその分身は、リュカオーンとは
「……………………………………もしかして!!」
俺の答えで意図を汲み取ったペンシルゴンはハッとした様子でそう呟くとサンラク達と戦うリュカオーンと分身体を見つめた。
ずっと感じていた疑問。
だが、違った。リュカオーンは分身も本体も影移動が可能だ。そして、影から影への移動はどう行っているのかを考えた時俺はある事を思い出した。
それは最初にリュカオーンが現れた時の様子だ。あの時、俺は瓦礫に黒い靄のようなエネルギーが落ちて来た様子を「夜が落ちてきた」と
つまり、
分身は影に実態を
そう考えると納得が行く事がある。リュカオーンにダメージを与えるにはただ武器を振るうだけじゃ意味が無い。スキルや魔法のバフを載せて攻撃をしなければ有効なダメージが与えられない。
そして、サイガ-0の攻撃である「アポカリプス」と「カタストロフィ」。明らかにダメージが入っているであろう攻撃にもかかわらず
「シャンフロはダメージによる出血を赤のポリゴンで表現してる。でも、さっき俺が分身の身体を半壊させた時血は出ていなかった」
「つまりリュカオーンには肉体が無い。単純な物理攻撃とは違って
俺とペンシルゴンは互いにそう言い合うと頷く。その瞬間にペンシルゴンはサンラク達の元へと走り出し俺はミュウラへと振り向いた。
「ミュウラ!」
「はい!私の使える魔法の中に専用の魔法があります!!」
振り向いた俺にミュウラは頷きそう言った。俺が全て言うまでもなくそう応えたミュウに「流石だ」と言うとミュウラを肩に乗せて走り出した。
「ペンシルゴンが情報をサンラク達に伝えるはずだ。俺はお前を守りながらサンラク達のサポートに入る。ミュウラは全員が作った隙を狙って魔法をぶちかませ!」
「わかりました!」
リュカオーンを目指して走りながらそう言う俺にミュウラは手首にリングをはめてそう応えた。
「今度は
俺は視線の先にいるリュカオーンにそう言って更に走るスピードを上げた。
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「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
エムル、秋津茜、シークルゥが合流し戦力が強化されたパーティ。そんな中、俺は
「カッツォ!そっち行ったぞ!!」
「わかってるよ!」
重量級の武器による10回の打撃はリュカオーンには響かず奴は俺の攻撃が終わるや否やレイ氏へと進行し始めた。
レイ氏を守る秋津茜とシークルゥ、進行するリュカオーン。その間にカッツォが割って入る。
「彼には万全を期して貰わないと行けないんだ。行かせないよ!!」
拳に黒色の拳気を纏い振り下ろされたリュカオーンの左前脚を最小のステップで躱すと素早く左拳を叩き込んだ。
「ジャブか!ユウヒがよくやるやつ!」
「彼奴のアドバイスでボクシングやってるんだ。この動きは十二分にしみついてる、さ!」
走ってリュカオーンとカッツォに追いついた俺が言ったセリフに右ストレートを叩き込んでカッツォはそう応える。
その動きは様になっておりユウヒが取る動きとはキレやスピードに差はあるが的確に相手を倒す事が出来る拳だった。
「ってか、その黒色のオーラは何なんだ!?」
俺はカッツォが殴った左前脚に反対側から打撃を加えつつ気になっていた事を聞いてみた。神代の鐡遺跡で赤や緋色のオーラは見たが黒は初めて見る。
色的にも殴った時の音的にもそれらよりも強いのは解る。
「拳気を3色混合させたオーラだよ!騏驎にも使ってたけどサンラク、は!知らないよね!!」
リュカオーンの攻撃を躱しながら攻撃を加えつつ俺の問にそう応える。確かにあの時は分業していた上に相手が相手だったので他を見ている余裕があまり無かった。俺が知らないのは無理もない。
「あの時は一撃でスタミナが尽きる攻撃しかできなかったんだけど、さ!!レベルアップのお陰で、一撃の威力は及ばないまでも、長く使えるように、なったん、だよね!!!」
カッツォはリュカオーンの右前脚を弾く強烈なカウンターを決めながらもそう言った。カウンターの威力は赤いオーラ等を使っていた時とは比べられないほど強く、逆にこれで威力が及ばないってどういう事だと思いながらも俺は「俺やユウヒに及ばすイイモン持ってんじゃん!」と返した。
「皮肉にもなってねぇから!!」
俺の耳にはカッツォのそんな声が聞こえたが俺は無視してリュカオーンの攻撃を躱す。
「何を呑気にお話していんのですわ!?相手がわかってるんですわ!?」
すると、肩の上からエムルの震えた声が聞こえた。
「悪い悪い!接近戦続けてパターンが完璧にわかってきたから少し話し込んでた!!」
「それは流石ですが相手をよく見てくださいですわ!!」
俺の謝罪にエムルはリュカオーンを指差して叫ぶ。確かに余裕ぶっこきすぎて居るのかもしれない。だが、これは作戦だ。
今、リュカオーン本体は自分に最もダメージを与えているレイ氏を狙っている。その前には俺たちが立ち塞がり迎撃している訳だが、俺の肩の上にいるエムルがここまで何もしていない事でエムルを意識の外に外しているはずだ。
それを示す様にリュカオーンは俺達への攻撃の最中、エムルが魔法を放つチャンスを伺って魔導書を構えても特に反応を示す事もなく攻撃を仕掛けてくる。
(何処かでデカい隙を作るには…)
俺はリュカオーンがどう考えているのかを予想しながら
だが
「エムル、マジックチェーンだ!!」
俺とカッツォはリュカオーンの右前脚での横薙ぎをジャンプして躱した瞬間にエムルにそう指示を出した。
「は、はいな!!『マジックチェーン』!!」
俺たちの足元を抉ったリュカオーンの右前脚。その上部にエムルの魔法が
バチィンッ
「一瞬で切られちゃいましたわぁ!!」
リュカオーンの右前脚に絡み付いたマジックチェーンはリュカオーンが振りほどく為に前脚を振るっただけで切られてしまった。
自身の魔法が一瞬で破られた事にエムルが声を上げるが
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
俺とカッツォは着地した瞬間にリュカオーンへと接近し振りほどきモーションで出来た隙に連撃を叩き込んだ。
「『カタストロフィ』!!」
そして、俺達より僅かに遅れてレイ氏がリュカオーンに斬撃を叩き込んだ。
「よしっ!」
「来た来た来たぁ!!」
レイ氏の斬撃がクリティカルを発生させると同時に俺とカッツォは叫ぶ。それはリュカオーン撃破の為の第一段階をクリアしたからだった。
「サンラクさん、詠唱に入ります!!」
そして、最後にして最難関の
「はい、守りは任せて下さい!!」
俺はレイ氏に煌蠍の籠手を構えてそう言い、俺
とカッツォをいや、レイ氏を睨むリュカオーンと視線を合わせた。
(サンキュ、我が弟よ!やっぱり最高だ!!)
そして、不確定要素の排してくれたユウヒに心の中でそう呟き
「勝負だリュカオーン!見せてやるよ…切り札を持ってるのがレイ氏やユウヒだけじゃないってな!!」
煌蠍の籠手先端を突きつけてリュカオーンにそう言った。
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