戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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何時も土曜更新を前提にしてますが、遅れてしまいました。申し訳ありません。

誤字脱字報告何時も助かってます。「キチンと読んで下さっている方が多いんだなぁ」と実感し同時に自分の間違いの多さも実感しています。多分今回も………また、よろしくお願いします。


黒狗、大志、熱・其ノ拾弐

サンラク達がリュカオーンの隙を作り出しサイガ-0が攻撃を決める僅かに前。

ーーーーー

「妙だ…」

 

サンラク達へ伝言を伝えに行ったペンシルゴンを追うようにリュカオーンへ走っていた俺はサンラクとカッツォ達の戦いを見てそう呟いた。

 

「何がですか?」

 

ミュウラは俺の言葉の意味が分からないのか肩の上からそう尋ねてくる。

 

「サンラクの行動だ。魔法で支援が出来るはずのエムルちゃんがいるのに魔法を使わせてない。……指示を出してねぇのか?」

 

「確かに…変ですね」

 

俺の答えにミュウラも納得したのか訝しげな視線をサンラク達に向けている。

 

(もしかして、俺達が気づいたことに気づいてる…………いや、もしそうならとっくに行動に組み込んでるはずだ。なら…)

 

俺はサンラクの行動の意味を考えながらある事に気がついた。

 

「ミュウラ、エムルちゃんは相手の隙を作る魔法を使えたりするか?例えば一瞬動きを止める的な奴だ」

 

考えを確信に変える為にミュウラにそう尋ねる。すると、ミュウラは「勿論です」と返して来た。

 

「一番使いやすいのは『マジックチェーン』です。相手を縛る事が出来ます」

 

そして、言葉を続けてそう言ってきた。

 

「……あの野郎!」

 

そのセリフを聞いた俺はそう呟くとリュカオーン本体へ向かっていた足をサイガ-0を攻撃している分身体の方へと向けた。

 

「へ?そっちは分身ですよ??」

 

「コレで良いんだよ!」

 

突然の方向転換にミュウラがそう言ってくるが、コレで良い。ずっと一緒に育ってきた。その上、ゲームでも敵として戦って時には共闘してきたんだ考えてる事は自ずと良くわかる。

 

(サイガ-0をフリーにしろって事だろ?)

 

サンラクがエムルちゃんに何(・)も(・)さ(・)せ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)事からそう考えついた俺はリュカオーン分身体へと走り、そして辿り着いた。

 

(ペンシルゴンは口を挟む最適なタイミングを狙ってる。ベストはペンシルゴンの口から情報が伝えられる前にサイガ-0をフリーにする事!)

 

「ミュウラ、耐えろよ」

「はいっ」

 

着いた瞬間にミュウラにそう呟き応えを聞くと同時に纏雷を発動させた。身体に雷光が弾けAGIとSTRが強化される。

 

「刃隠心得(はがくしこころえ)っ『空蝉(うつせみ)』!!」

 

「ありがとうございますっ」

 

「いいえ!サンラクさんの頼みですから!」

 

「来るでござるよっ茜殿!」

 

視線の先では知らないプレイヤーがリュカオーンの攻撃をサイガ-0と兎共々回避していた。

 

「ってか、今更だけど誰だっ?」

 

「あれは以前話した秋津茜さんとシークルゥ兄様です!」

 

「新しくラビッツに来たってプレイヤーか!なんで此処にいんだ?」

 

「それは私にも分かりませんっ」

 

知らないプレイヤーを見て呟いた俺にミュウラが答えをくれた事である程度の事が分かった。なぜここに居るのかははっきりしないがサイガ-0を守っている以上味方以外の何物でもないだろう。

 

「行くぜ!」

 

「はいっ」

 

俺は攻撃を回避し距離を取ったサイガ-0達に再び攻撃をしようとしている分身体の攻撃先に侵入すると兎月で攻撃を弾いた。

 

「ユウヒさん!」

 

「待たせた」

 

耳に届いたサイガ-0の声にそう応えつつ突如現れた俺に驚く事もなく振り下ろされたリュカオーンの左前脚を最小の動きで躱すと地面を砕いた左前脚を横から兎月で殴り攻撃した。

 

「あれが『ユウヒさん』!エムルさんが話していたもう1人の…!サンラクさんの弟さんですね!!」

 

リュカオーンに攻撃する中、秋津茜とか言うプレイヤーの声が聞こえるが今はどうでも良い。俺は素早くサイガ-0の横にバックステップで近づくと話を始めた。

 

「サイガ-0さん、此処は俺とミュウラ、そして秋津茜さんとシークルゥで受け持つ。貴方は離脱してサンラク達の方へ。多分、俺が此方に間に合う前提で貴方に攻撃させる為の隙を作ろうとしてる。隙が出来たら迷わずリュカオーン本体に攻撃を!」

 

「な、なぜそんな事が分かるんですか!?」

 

早口で話した俺にサイガ-0が困惑した様子でそう聞いてくる。そりゃそうだ。なんの打ち合わせもしていないのにこんな確信した様な事を行ったら困惑するし混乱する。

 

「俺が分身体を倒した事は全員が見ていた。なら、次は本体を狙う。予想外にも分身がもう一体出てきたが本体にとどめを刺すのは貴方だ。あんたが本体に近づけないなら必ず近付けるようにする。それをやるのは俺。彼奴(あの馬鹿)はそう勝手に思ってる。何故なら逆の立場なら俺もそうするから…………。だから、解るんです」

 

俺はそんなサイガ-0にそう言った。サイガ-0は少しの間無言の状態だったが頷くと「わかりました」と言って立ち上がった。

 

「此処はお任せします!」

 

そして、そう言い残し去っていった。

 

(勝手に期待して任せてきたんだ…絶対に隙を作って条件達成させろよ!サンラク!!)

 

サイガ-0を見送った俺は心の中でサンラクにそう言って兎月を構えた。分身体は去っていくサイガ-0を見ていたがすぐに俺に視線を向けてきた。

 

「グルルッ…」

 

そして、低く喉を鳴らし口角を釣り上げた。

 

まるで、サンラクと同様に俺が此方側に来る事を分かっていたような反応。そんなリュカオーンに俺もまた口角を釣り上げる。

 

「何笑ってんだよ…?そんなに俺が来て嬉しいかぁ?………俺もだよ!!」

 

そして、そのセリフを言い終わると同時に火蓋が切られた。分身体は上に跳ぶとそのまま俺を推し潰そうと身体を落として来た。

 

「馬鹿が!」

 

俺はその場から後ろへ下がり攻撃を躱す。するとリュカオーンは着地と同時に今度は少し斜めに跳び俺へ追撃を仕掛けてきた。

 

しかし、その攻撃も躱し全くのノーダメージ。何がしたいのかわからなかったが次の瞬間には周囲の状況が目に入った事で何がしたいのか理解できた。

 

「そういう事か!」

 

俺が攻撃を躱す為に後ろに跳ぶと丁度そこには瓦礫がある。物体があれば当然影が出来る。俺は攻撃を避ける為に影の中から出ていたがそれはつまり入(・)口(・)に(・)障(・)害(・)が(・)無(・)い(・)と(・)言(・)う(・)事(・)でもあった。

 

想像通りにリュカオーンの分身は俺の目の前で影の中へと潜り込み姿を消した。誘導されたと悔やみながらも俺はすぐに最初に居た位置へと戻る。

 

「ミュウラから聞いた秋津茜とシークルゥだな。ユウヒと言う。よろしく頼む」

 

「は、はい!よろしくお願いします!!」

 

「うむ、よろしくでござる」

 

初めましてなので簡単に秋津茜とシークルゥに挨拶をして話を続ける。

 

「色々聞きたいことがお互いにあるだろうが今は恐らく俺が狙われている。理由は俺が分身体を一体倒したからだ。そして、なるべくならこの状況を維持したい。共闘、頼めるか?」

 

「………はいっ!お任せ下さい!!」

 

「わかったでござる!!」

 

俺のセリフに秋津茜は何故か目を輝かせると元気よくそう応えた。シークルゥも刀を構えて力強くそう言ってくれた。

 

「ありがとな!」

 

俺は2人にそう返して兎月を構えた。今まで散々利用してきた瓦礫が周囲にあるお陰でリュカオーンは何処からでも出てこれる状態にある。

 

「ミュウラ…」

 

「はいっ、わかってます」

 

ミュウラに声をかけつつ魔法を準備させて迎撃出来るようにする。

 

そして

 

「来る!」

 

耳に届いた地面を削るような音に反射して振り向くとリュカオーンが飛び出してきた。 左前脚を振り上げて飛び出してきたリュカオーンに俺は斜め後ろに在る瓦礫へと跳ぶと瓦礫を足場に上に飛び攻撃を躱した。

 

リュカオーンの攻撃のお陰で瓦礫は木っ端微塵にされたが上(・)を(・)取(・)っ(・)た(・)俺はそのまま頭に兎月を振り下ろした。

 

頭(弱点)への攻撃が入りクリティカルが発生する。そして、俺は素早く頭から飛び降りるとミュウラに視線を合わせて頷いた。

 

「『マジックファトス』!!」

 

ミュウラは俺に応える様にリュカオーンに向けて魔法陣を出すと魔法を放った。光の矢の様なモノがクリティカル攻撃が当たったばかりのリュカオーンの右前脚に被弾する。

 

「ん!?」

 

しかし、リュカオーンには何も起きず俺は変な声を上げてしまった。

 

「おいおいミュウラちゃん??」

 

「大丈夫ですよ!」

 

俺は肩の上のミュウラに声をかけるがミュウラからは自信満々の返事が返ってくる。しかし、何処からそんな自信が出てくるのか分からないくらいにピンピンしたリュカオーンはすぐに俺に飛びかかろうとしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボフっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それは実現しなかった。何故ならリュカオーンの右脚が間の抜けた音を立てて破裂したからだ。

 

「は!?」

 

俺に飛びつくのに失敗したリュカオーンが音を立てて顔から地面に倒れ込んだ。その顔に兎月を打ち込みながらも俺は声を上げてしまう。

 

「何したんだ??」

 

そして、肩の上にいるミュウラに尋ねるとミュウラは胸を張って

 

「マナを破裂させたのです!」

 

そう応えた。

 

「わかんねぇけど…魔力を爆発させて被弾を防ぐ魔法って事で合ってるか?」

 

俺は首を傾げながらもミュウラにそう尋ねる。ミュウラは「その通りです」と応えると話を続けた。

 

「『マジックファトス』は実態のないモンスターや相手の遠距離魔法の被弾を防ぐ魔法なのです。魔法やゴーストの様な相手にはピッタリの魔法なのですよ」

 

「なるほどミュウラ(怖がり)にぴったりな魔法だ」

 

「はい、覚えて良かったです!…ですが、この魔法は使うマナの量が多いので不義遊戯を使うことを考えると使えるのは後2回が限度ですね。それにさっき見てもらった通り効果が出るまで時間がかかります」

 

「十分だ」

 

俺のセリフに申し訳なさそうにそう言ったミュウラだがリュカオーンに膝を付かせただけでも十分すぎるほどだ。そして、何より。

 

「あっちの準備が整ったらしいぜ」

 

サイガ-0がサンラク達が作り出した隙に攻撃を決めていた。それはつまり最大火力(アタックホルダー)の称号を得るに至った攻撃の発動までもうすぐだという事。

 

「秋津茜、シークルゥ!!分身を倒す!!最大火力の技を頼む!!」

 

恐らくリュカオーンはサイガ-0を狙って攻撃を今より苛烈に仕掛けてくるだろう。俺達はそれを防ぎサイガ-0に繋げなくてはならない。その為に俺は離れた所にいる秋津茜とシークルゥにそう叫んだ。

 

「は、はい!!わかりましたぁ!!」

 

「心得た!」

 

俺のセリフに秋津茜とシークルゥはそう応え俺は頷くとミュウラを見る。

 

「ミュウラ、もう1回さっきの魔法打て。やりたい事が出来た」

 

そして、口角を上げてそう言った。

 

100話記念の番外何が良い?

  • 未来の陽務家の話し(弟)
  • 過去の陽務家の話し(家族旅行)
  • 過去の陽務家の話し(兄弟喧嘩)
  • R-18開拓
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