戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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文才欲しい……。


蒐集者と至る・其ノ肆

「はぁ、はぁ、はぁ、全く…誤算だった。まさかっ、夜になると武器屋が閉店するとは…」

 

鉄鉱石の回収を終え深夜の2時過ぎに寝て9時過ぎに起きた遊仁は日課である朝のランニングをしていた。

 

思い出されるのは、素材を持ってセカンディルに戻り見た武器屋の扉に掛かる「CLOSED」の看板。起きてから調べてみたがシャンフロでは、夜でも開店している店と夜になると閉店する店があるらしい。武器屋は後者のようで2時に訪れた時は閉まっていた。

 

「まぁ、瑠美の筋トレ動画の事もあって寝たかったからちょうど良くはあったけど…お預け食らっちまったな」

 

新しい何かはおそらく性別関係なく人をワクワクさせてくれる。遊仁も例外なくワクワクしながらセカンディルへと戻ってきたため「CLOSED」の文字を見た時はガッカリした。

 

「早く新しい武器欲しいし、瑠美の動画も撮りたい。残り2km……スパートかけますか!」

 

8kmの道のりを走り未だ余裕がある遊仁はそう言うと全力で走り始める。

 

自分と同じく朝走っている人達をどんどん物凄い速度で抜かして行き抜かした人達にギョッとした視線を向けられながらも遊仁は家に辿り着いた。

 

「ハァ━━━━━━━━━━━━━━ッ、気持ちいい!!」

 

走り抜けた達成感でそう叫び家に入る。父は既に仕事に行き母は趣味部屋に篭っている。瑠美はバイトで楽郎はシャンフロに入り浸ったている事だろう。相変わらずの我が家だ。

 

「よし、早速筋トレして瑠美用の動画も撮るか」

 

自室の隣にあるトレーニングルームで器具を前にそう言い自分のメニューをこなして行く。

 

1時間かけて終わらせて次は瑠美の為のメニューを動画に収めながらこなす。それが終われば、朝食を食べてシャワーを浴びシャンフロにログインする。明日は1日道場なので出来ることは今日中にやらなければならないのだ。

 

「うしっ、筋トレ終わり。瑠美にはシャワーの後で送っとこ」

 

筋トレを終わらせ撮影を止めた遊仁はそう言ってトレーニングルームを出ていった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「オッサン居るかい?」

 

リアルで食事とシャワー、瑠美への動画の送信を終わらせた遊仁はシャンフロ世界にダイブしユウヒとして再び武器屋に訪れていた。

 

「お、昨日来たあんちゃんだな。心配したぞ、素材を取りに行くって言って戻ってこなかったからな」

 

武器屋に入るとオッサンがそう言って出迎えてくれた。

 

(プレイヤー一人一人を覚えているのか?どんなAI積んでんだ?)

 

「いや、これが困ったことにどんだけツルハシ振っても鉄鉱石が出なくてさ。えらい時間かかっちゃったよ」

 

何気ない会話に驚きを感じつつもそう言うとオッサンは「まぁ、そういう事もあるわな」と返事をくれた。

 

「まぁ、それでも素材は集めたぜ。コレで何か作れないかな?」

 

オッサンにそう言いつつカウンターに昨日集めた素材を全て出す。ゴロゴロと音を立てて鉄鉱石6個と沼棺の化石、黄金石の墓石が姿を表す。

 

「どれどれ…鉄鉱石6個においおい、沼棺の化石があるじゃねぇか。よく手に入れられたなあんちゃん。コレがあるならコイツが作れるぞ」

 

オッサンは鉱石達を確認すると「沼棺の化石」を手にそう言うと制作可能な武器の一覧を出してある武器を指さした。

 

「へぇ、良いね。この鉱石1個でこの武器いくつ作れる?」

 

オッサンが示した武器を確認しそう訪ねるとオッサンは「2つだな」と答えた。

 

「OK、じゃこの武器を2つ頼む」

 

ユウヒはオッサンにそう言うとオッサンは「任せな!」と言って腕を組んだ。しかし、カウンターの上で輝く「黄金石の墓石」を手に取るとユウヒに差し出し

 

「すまねぇ、あんちゃん。コイツは俺には加工出来ねぇ」

 

そう言ってきた。

 

「えっ?」

 

ユウヒの口から間の抜けた声が出た。

 

「加工出来ねぇってどう言う事だよ……オッサン?」

 

唖然とした様子でそう言うとオッサンは答えてくれた。

 

「俺たち鍛冶師は鍛造魔法の使い手。だから、武器が作れるんだが…それと同時に鉱石なんかの状態を把握するスキルを持ってる。あんちゃんが持ってきたこの『黄金石の墓石』は『鉱石』じゃねぇ。『墓石』だ。既に"役目を終えちまってる"のさ。だから、俺にはもうコイツを加工する事は出来ねぇんだ」

 

オッサンはユウヒのそう言い「すまねぇな」と言うと沼棺の化石を持ってる裏に入っていってしまった。

 

一人取り残されたユウヒは唖然としたまま黄金石の墓石を手に取る。

 

「マジかよ……」

 

そして、ポツリとそう呟いた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「マジかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」

 

ユウヒは深いため息と共にセカンディルに設置された噴水に座りそう叫んだ。まさか、採取した鉱石の中で1番レア度が高そうな「黄金石の墓石」が加工出来ないとは思ってもみなかったのだ。

 

「宝の持ち腐れ……売っぱらうか……?でもなぁ………………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

武器が出来るまで時間を潰してくれと言われ武器屋を出てから数十分ずっとこんな感じだ。

 

セカンディルを歩くプレイヤー達はデカイためいきを吐き続けるユウヒに引いた様子を見せる。しかし、そんな事を気にしている余裕はユウヒにはなかった。

 

「『俺には加工出来ない』って言われてもよぉ………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ん?待てよ『俺には』?つまり鍛冶師のオッサン以外なら加工出来るって事か?」

 

頭に雷が落ちた様な感覚になった。

 

「そうだよ!!!!素材回収の場で採取したレアドロップが加工出来ない??そんな事があるか!?いいや、ないね!!あの、会話の中にヒントはあったんじゃないか!!コイツを加工出来るやつがきっと何処かにいる。武器を貰ったら早速探すか!!あぁ、でもその前に金だな!武器屋のオッサンに払う金を作らねぇと」

 

テンションが上がりやる気が湧き出たユウヒはそう言うと道具屋まで走り出した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「まさか『大蛇の眼球』が3万マーニで売れるとはな…」

 

道具屋でドロップアイテムを換金したユウヒはウィンドウを開き自身の所持金を確認していた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

PN『ユウヒ』

レベル18

職業『傭兵(杖)』

 

体力 30 魔力 10

スタミナ 20

筋力 10 敏捷 10

器用 15 技量 15

耐久力 8 幸運 30

 

STポイント205

 

38000マーニ

 

スキル

 

一点打ちLv1

振るい薙ぎ

スクーピアス

ディフェンシブフットLv1

アクセルLv1

三連撃Lv1

タップステップ

見切りLv1

インパクトステップLv1

乾坤一擲

 

装備

武器:傭兵の闘杖(両手対応)

頭:白金狐のマスク(アクセサリー)

胴:白地の道着

腰:白地の帯

脚:白地の靴

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

貪食の大蛇のドロップアイテムを換金して素寒貧だった財布に潤いが出た。武器屋への支払いは余裕で出来そうだ。

 

「それなりに時間潰したけどそろそろかな?」

 

落ち込みまくっていた時間も含めるとそれなりに時間が経っている。ユウヒは確認の為に武器屋に向かってみることにした。

 

「オッサン居るかい?」

 

道具屋から少し歩き武器屋に到着したユウヒは先程と同じ挨拶で中に入った。

 

「おぉ、あんちゃん!出来てるぜ!!」

 

武器屋のオッサンは店に入ったユウヒにいい笑顔でそう言うとカウンターに出来たての武器を置いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『湖沼の翠杖(こしょうのすいじょう)』

クリティカル成功時に耐久値が上昇する。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「最高の武器じゃねぇか!!ありがとなオッサン!!」

 

湖沼の翠杖を手に取りそう言うとオッサンは「あったりめぇよ」とドヤ顔で応えた。ユウヒはオッサンに早速金を払い湖沼の翠杖をインベントリに入れると再度礼を言って武器屋を出た。

 

次は『黄金石の墓石』を加工出来る存在を探さなければならない。

 

「武器も金も揃えた。加工出来る腕のヤツがどこにるか分からないからな…。全ての街で確認するしかない。まずはファステイアに戻って探してみるか」

 

そう言うとユウヒはセカンディルからファステイアへと続く道を進み出した。

 




誤字脱字報告してくださった方ありがとうごさいます!!
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