『アルマゲドン』
ユニーク装備である
サイガ-0の独白の通り条件が厳しすぎる影響で実践で使うには不向きなモノであった。しかし、今宵放たれた相手は、シャングリラ・フロンティアで頂点に立つ七つの最強種の一体『夜襲のリュカオーン』。
トップクラン
それは、スキルの発動前に全滅していたからであるがこの場に揃ったプレイヤー達の全力の協力で、サイガ-0はリュカオーンに『アルマゲドン』を被弾させた。
「やばすぎだろ………」
俺はサイガ-0が大剣を振るったと同時に発生した轟音、爆発、砂埃から自分を守ることなくその瞬間を見届けた。そして、漏らしたのがこの言葉だ。
明らかに他とは別格の破壊力。俺の殴雷撃、棘尽雷も他の魔法等とは掛け離れた威力があると思ってはいるが
「コレがシャングリラ・フロンティアの最大火力かッ!!!」
目の前で放たれた
「やりましたよサイガ-0さん!!流石にアレをまともに受けたら……!!!!」
破顔して楽しそうにそう言う。秋津茜のそばにいるシークルゥも笑顔を浮かべている。
「クソがっ……!!」
しかし、俺はそんな秋津茜やシークルゥとは真逆に歪めた口からそう声を発した。
「くっ………!」
そして、それと同時にサイガ-0の苦しそうな声とガシャっと言う音が聞こえる。最前で
「……………え?」
「………冗談だろ!?」
「マッジか…!!」
「笑えないね!」
そして、砂埃が薄れ顔を覆っていた手を退けた事で俺とサイガ-0が発した言葉の意味をサンラクたちも理解した。
シャングリラ・フロンティア内での最大火力、比肩する事は叶わないがそれでも他とは一線を画す火力と行ってもいい俺とサンラクの
それらを受けて尚、リュカオーンは立っていた。
「ハハハッ…!阿呆ほどタフだな。ウェザエモンの比じゃねぇぞ!!」
サイガ-0のアルマゲドンで身体を半壊させているがそれでも立っているリュカオーンにそう呟きながら俺は駆け出した。
(アルマゲドンの反動だろうな。鎧が錆び付いた感じになってやがるし
リュカオーンの前で膝を着いたまま立ち上がることが出来ていないサイガ-0を守る為に前へ出る。そして、俺に一瞬遅れてサンラクとカッツォ、秋津茜、シークルゥも走り出した。
しかし
「リュカオーンの身体が!?」
「崩れていく?」
リュカオーンはその身体を崩し霧散し始めた。俺とサンラクはその光景に思わず声を漏らすがそれも束の間、ミュウラとエムルちゃんの声が響いた。
「「アレ見て下さい(見てですわ)!!」」
それぞれが指を指して全員にリュカオーンが身体を散らす空間をよく見るように促してくる。俺達は示された先を凝視した。
「リュカオーンの顔?」
そこには散った残滓によって作られたリュカオーンの顔があり夜闇のせいで分かりにくいが俺達を見て笑っているようにも見えた。しかし、残滓で作られた顔はすぐに霧散し消えてしまい俺達はなんとも言えない気持ちでその場に立ち尽くした。
「なんだったのでしょう今の?」
「分からねぇ…。でも、リュカオーンが消えて俺達は生きてる」
俺とミュウラは互いにそう言いながら振り返ってサンラク達を見る。今俺が言ったようにこの場の誰1人欠ことなくリュカオーンを退けた。
そして、そんな俺の言葉を証明するように俺達は全員の耳にSEが聞こえた。
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『称号【
『特殊状態【導きの灯火】を入手しました』
『ユニークシナリオEX【夜闇を祓うは勇気の灯火】を開始しますか?YES/NO』
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そして、目の前にウィンドウが現れ消えたリュカオーンに正真正銘勝った事が確定した。
「やった!やっぱり勝てたんですよ!!」
「は、はいっ!」
現れたウィンドウに秋津茜とサイガ-0は喜んでいるが俺やサンラク、ペンシルゴン、カッツォはウィンドウを見て黙り込んだ。
「皆さん、どうかしたんですか?」
俺たちの様子に秋津茜は首を傾げてそう尋ねてくる。まぁ、本来なら
「コレって、つまりは
「あぁ、リュカオーンが消えてEXシナリオが始まったって事だからな」
「本当に…理不尽な存在だねぇ」
「良いんじゃねぇか?今度こそ確実にぶちのめせる様になったって事なんだからな」
「あの皆さん……??」
「どうしたのでござるか?」
ウィンドウを前に俺達は悔しそうに笑いながらそう言い合った。しかし、俺達の言っている内容が理解出来ない秋津茜とシークルゥはおずおずとそう尋ねてくる。
「アレだけやって消したリュカオーンだがどうやら偽物らしいぜ」
なので俺はウィンドウの『称号【影狼を穿つ】を獲得しました』の一文を指さしながらそう返した。
「「「あっ!!」」」
「そんなですわ!?」
「まさか……」
その一文を読んで俺たちがあまり喜んでいない理由を理解したサイガ-0達は声を上げ俺とサンラクの肩に乗るミュウラとエムルちゃんも驚いた様子で声を漏らした。
そう、俺たち4人があまり喜んでいない理由。それは
「本体は高みの見物か現状俺達の手が届かない場所でのんびりしてるって事だろうぜ」
「流石に分身……影狼が倒された事くらいは理解してるんじゃない?」
「だとしたら厄介だねぇ」
サンラク、ペンシルゴン、カッツォは各々そう言いながら笑っている。だが、俺はウィンドウの中の『導きの灯火』の詳細を見ながら掌に拳を打ち付け話を続けた。
「だが、今回は報酬で特殊状態が付与されてる。次はパスポートありで殴り込めるぜ。ワクワクしてきたなぁ……!!」
「灯火の付与で火がついたって感じだな」
「誰も上手いこと言えなんて言ないよ」
「ユウヒくんは強敵と戦えるなら何時もあんな感じじゃない?」
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特殊状態『導きの灯火』
昏く黒い夜闇の中において夜の帝王への道を示す小さな炎をその身に宿した状態。ユニークモンスター【夜襲のリュカオーン】が一定範囲内に存在する場合その方向を指し示す。
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何処にいるかもどこから来るかも分からないリュカオーンに対して手にしたレーダーの役割を果たす灯火。口角をあげてそう言った俺にサンラクやカッツォ、ペンシルゴンが何か言っているが気にもならない。
「あ、あの…皆さん……」
しかし、サイガ-0が手を挙げて遠慮したように俺達に声をかけていきた事で俺は視線を移し彼女を見た。
「この『ユニークシナリオEX』と言うのはもしかして……」
「「「「あ」」」」
そして、彼女のセリフに俺達は声を揃えてそう返した。途端にペンシルゴンは顔色が少し悪くなりカッツォは「やっちゃったよ」と小声で呟いた。だが、俺とサンラクはお互いに顔を見合わせると頷き。
「あぁ、それがユニークモンスターと決着をつけるために必要なシナリオだ」
「ウェザエモンの時がそうだった。それを受ければリュカオーンとの
誤魔化すことなくそう答えた。
「ちょっと!」
「おいおい…」
俺達のセリフにペンシルゴンは慌てた様子でカッツォは呆れた顔でそう言ってきた。だが
「もう独占なんて言ってる場合じゃねぇだろ?そもそもレイ氏と一緒にリュカオーンと戦って
「それに俺達に
俺とサンラクがそう言うと2人は口をつぐんだ。まぁ、気持ちとしては何も明かしたくはなかっだろうが状況が状況だ。仕方がないだろう。
「と言うか、サイガ-0さんには少し申し訳ないな。
俺は苦い顔しているペンシルゴンから視線を移してウィンドウを見ながら「コレが…」と呟いていたサイガ-0にそう言った。するとサイガ-0は身体を震えさせて
「どうしましょう」
本気で悩んでいるとわかるトーンでそう呟いた。
(ホントに大変なんだな……)
彼女のトーンに色々なしがらみが見え隠れしているのを感じ取った俺は心の中でそう呟きつつ秋津茜とシークルゥに声をかけた。
「秋津茜とシークルゥも今回はありがとな。そのウィンドウの内容は受けた方がいいと思うぞ。
「そうなんですね!ありがとうございます!!」
「受けるか……流石でござるな茜殿」
俺のセリフに元気よくそう言ってユニークシナリオEXを受諾した秋津茜にシークルゥは頷きながらそう呟いた。
そんな様子を見ながら俺もEXシナリオを受諾しサンラクも頭の装備を変更してシナリオを受諾した。
「2人も受けるだろ。戦う為のチケットだぞ?」
そして、視線を移してペンシルゴンとカッツォを見てそう尋ねる。
「当たり前じゃん。『ユニーク』だからね」
「はぁ…私は好き好んで死地に赴きたいわけじゃないんだよ」
カッツォは不敵な笑みを浮かべて俺の問にノータイムでそう言って受諾を選択した。ペンシルゴンはため息を吐いてそう言うが俺と視線を合わせると
「近くで見とかないと何するか
何故か笑ってシナリオを受諾した。激戦を終えても尚、次の激戦が待っている。高揚する気持ちを抑えて俺はウィンドウを消して拳を握った。
すると
ジッ…
「「ん?」」
俺とサンラクの身体に刻まれたリュカオーンの
「2人ともどうしたの?」
「今度は何っ?」
ペンシルゴンとカッツォは少し慌てた様子で声を出しサイガ-0や秋津茜も突然の事態に驚いた様子だ。
「サンラクさんとユウヒさんに着いた
「薄くなって言ってます!」
俺達の肩に乗るミュウラとエムルちゃんは呪いから出る靄と呪いを見ながらそう呟く。俺達は何が起こるか分からない為、万が一に備えて二兎を肩から下ろした。そんな中、呪いから出た靄は空中で塊だしそのサイズを大きくし始めた。
「これって…」
「もしかして…」
その光景に俺とサンラクはそう言うとお互に視線を合わせた。
「俺達にこの呪いを付けたのはあのリュカオーンだ」
「影狼とは言えそれを倒したんだ。この呪いも…」
「「解ける!!」」
俺達は声を揃えてそう言うと大きな塊になった靄を見上げた。
「ふはははっ!!これでやっと装備が出来るぜ!!さぁ来い!この忌々しい呪いを解呪したまえ!!」
「うっせぇよバカ!」
まさかの事態にテンションが上がりまくっているサンラクのセリフに俺はそう言ったが内心では
(これで多少ダメージを食らっても殴りあえる!!)
今まで出来なかった戦い方が出来るようになる事を期待して俺はどんどん大きくなっていく靄を見つめた。
しかし
ポンッ
「「へ?」」
軽快な音と共に現れたのは頭だけのリュカオーンだった。想定してなかった事態に俺とサンラクは揃って間の抜けた声を上げる。そして、そんな俺達を揶揄うようにリュカオーンは笑うと
「ちょ!2人とも!?」
「サンラクさんが食べられちゃいましたわー!?」
「ユウヒさん!!??」
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫なわけないでござる!茜殿!!」
「なんでこうなるのかなぁ!?」
「サンラクさん!?」
暗闇の中でモゴモゴされてゴロゴロしながら外から聞こえるペンシルゴン達の叫びに耳を傾ける。
「飴玉体験会ィィィィィィィッ!?」
隣ではサンラクが訳の分からないことを叫んでいるが数秒すると俺達はぺっと、外に吐き出された。
「「「「「「「大丈夫(ですか)(か)!?」」」」」」
外に吐き出された俺達を覗き込むように全員が駆け寄ってきた。
「「路上に吐き捨てられたガムの気分だ……」」
俺達は顔を覗き込む全員にそう答えると状態を起こした。やり方はアレだがこれで俺達は呪いから解放されたのだ。
「は?」
「ん?」
しかし、確認の為に身体を見た俺とサンラクは揃って声を漏らした。何故なら
俺達に刻まれたリュカオーンの呪いが
「「どういう事だ!?」」
揃ってそう叫び急いで現状を確認する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
『リュカオーンの
夜の帝王の分け身を打ち破り悠久の過去に刻まれた記憶を揺さぶりし者をリュカオーンは餌として認識しない。生涯でただ一度だけ本能の赴くままに興じた闘争の記憶。【宿敵】の影を纏う者を更なる強者にするべく刻む刻印である。
魂に刻まれた呪いは黒狼の血を沸かせ、肉を踊らせる闘いを演じる以外に解くことは出来ない。
「リュカオーンの宿刻を持つキャラ以上のレベルのモンスターが積極的に戦闘を選択します」
「リュカオーンの宿刻を持つキャラ以下のレベルのモンスターが積極的に逃走を選択します」
「リュカオーンの宿刻を持つキャラはあらゆる『呪い』を無効化します」
「リュカオーンの宿刻を持つキャラはNPCとの会話で補正がかかります」
「リュカオーンの宿刻を持つキャラは
「リュカオーンの宿刻が付与された部位への装備が出来ません。しかし、魔法による干渉が確認された際、魔法の効果を上昇させます」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「どういう事だ…コレ?」
リュカオーンに新しく刻まれた刻印を確認した俺はそう呟いた。隣ではサンラクが「脱衣機能」と騒いでいるが、俺はある一文に釘付けになっていた。
『【宿敵】の影を纏う者』
これはどう言う意味なのだろうか、そして、装備不可の変わりに付けられた「魔法効果の上昇」。装備よりも自力と魔法の力で戦っている俺には有難い効果ではある。だが、何故「
(それに解呪の条件も意味不明だ…単純に楽しい闘いをすればいいって事なのか?)
リュカオーンの本能を揺さぶる闘いを俺がする事、安直に考えるならそうなのだがこのゲームでそんな事があるのだろうか、と考えてしまう。
「おい!ユウヒ!!」
すると、考え込んでいた俺の意識を引っ張りあげるようにサンラクから声が掛けられた。
「ん?」
下に下げていた目線を上げてサンラクと合わせる。何故かサンラクは不機嫌な顔をしていたが俺が気にしても仕方がないないような気がする。
(あぁ、なんか言いたいことがある時の目だな)
だが、俺を見る目がそう言っているのを感じた俺はただ頷いてそれに応えた。
「ガウッ」
すると、俺達を呼ぶようにリュカオーンが声を上げた。俺達は互いに合わせていた視線をリュカオーンに向けサンラクは不機嫌そうに、俺はここから何かされても対応できるようにじっと睨みつけた。
「ワウッ!」
だが、そんな俺達にリュカオーンは笑い声に似た声を出すと口角を釣り上げて今度こそ消えていった。その「してやったり」と言いたげな面に俺とサンラクは青筋を浮かべると
「「満足そうな顔してんじゃねぇぞ!!」」
夜の闇に向かってそう叫んだ。
そして、リュカオーンが消えた空に叫び終えた俺は拳を握り前に突き出し
「待ってろよリュカオーン。俺はこの戦い満足出来てねぇんだッ!!次はきっちりパスポート持って
目を見開いてそう呟いた。
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【遺志の焔】が反応しました。
鍵の所有者への接触
現時点。『古故解放の金装錠』の所有者への落雷に注意喚起。
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「は?」
そして、新しい出会いが訪れる
100話記念の番外何が良い?
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未来の陽務家の話し(弟)
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