七つの遺志を求めて・其ノ伍
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【遺志の焔】が反応しました。
鍵の所有者への接触
現時点。『古故解放の金装錠』の所有者への落雷に注意喚起。
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「は?」
リュカオーンから新しく『リュカオーンの宿刻』と言う呪いを刻まれた俺は新しく現れたウィンドウを見て声を漏らした。
「ユウヒさんっ」
そして、俺の肩に再び載ったミュウラもウィンドウを見たのか声を上げた。
「あのなんだか此処だけ曇ってませんか?」
そして、それと同時に秋津茜が空を見上げてそう言った。
「確かに」
「こんな事ってあるの?」
「シャンフロじゃ有り得ないね」
「私も聞いた事がありません」
秋津茜につられてサンラク達も空を見上げてそう言う。そんな中、俺はウィンドウの内容を見てミュウラ掴んで投げるとその場から走り出した。
「ユウヒ!?」
「ユウヒくん!?」
「どうしたのいきなり!?」
突然の俺の行動にサンラク、ペンシルゴン、カッツォがそう叫ぶが俺はただ走り続けた。そして
俺は雷に撃たれた。
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ユニークシナリオEX【世界に刻まれるは七つの遺志】進行。
【雷獣の遺志】を開始します。
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「事後報告かよ……クソ……」
視界が真っ白になる中、何故か見ることが出来たウィンドウに俺はそう呟き目を閉じた。
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「どういう事!?」
「俺も知らん!!」
「ユウヒさんが……!!」
「消えた……?」
突然走り出したユウヒくんとその直後に
確かにユウヒくんは突然走り出し雷に撃たれた。それは確かだ、でも今私が見ている先に彼は居ない。それどころか雷が落ちた痕すらない。
(
サンラクくんとカッツォくん、秋津茜ちゃんが騒いでいるが今までシャンフロをプレイして来て経験したことの無い事態に私はただ立ち尽くした。
「ペンシルゴン!!」
そんな私の様子に気がついたのかサンラクくんが肩を揺らして私を呼んだ。
「何、サンラクくん」
「何じゃねぇ!放心してんじゃねぇよ、らしくねぇぞ!」
彼のその言葉に私はハッとした。何時もの私なら起きた事態にいち早く対応しているはずだ。なのに今回はそれが出来なかった。
(こんなんじゃ笑われちゃうよっ)
心の中でそう行って喝を入れてサンラクくんたちを見る。
既に予定からズレている以上、これ以上ズラす事は出来ないだろう。なら、私達がとる行動は一つだけだ。
「全員聞いて今から指示を出すよ」
私は手を叩いて全員にそう呼びかけた。サンラクくんとカッツォくんは私の声にいち早く反応して視線を向け秋津茜ちゃんやレイちゃん、それに兎ちゃん達もワンテンポ遅れて私を見た。
「事情は分からないけどユウヒくんが何故か消えた。でも、彼だけ突然に動いた以上
「まぁ、それ以外ないよね」
話し出した私にカッツォが相槌を打ち私は頷くと話を進める
「こんな事は今までシャンフロをプレイして来て一度も観測されてない。ハッキリ言って異常事態だ。でも、起きたのが
「もしかして…」
「うん、サンラクくん達は相手が待ってるから今からフィフティシアを目指して進行してもらう。そして、私とミュウラちゃんはここに残る。もしかしたらユウヒくんが此処にまた現れるかもしれないしね。それとお願いなんだけど、出来ればエリアボスを倒しておいて欲しい。君達を追う事になったらエリアボスと戦っている暇が無いかもしれないからね」
私の「二手に別れる」と言うセリフに呟きを漏らしたサンラクに私は頷いてそう言った。此処でユウヒくんが消えたからと言ってまた此処に現れると言い切ることは出来ない。
だからこそミュウラちゃんを残す。ユウヒくんとサンラクくんはシャンフロでは有名人だ。ウェザエモンの討伐者である事はそうだが、不用意にチャットで写真が拡散された事で色々なプレイヤーに狙われている。
だが、彼らは一向に足を掴ませていない。そして、それは彼らが引き当てたユニークに関係していると私は睨んでいた。そして、彼の相棒のミュウラちゃんはユニーク関連のNPCだ。
手元に置いておいて損は無い。
「ユウヒくんが消えたポイントにまた現れるかは分からないし君たちに追いつけるかどうかは分からないけど兎に角、先に行って。もし、約束の時間になっても私達が来なかったら置いていっていい」
「予定と現状を擦り合わせた時に出せる案としてはまぁ、妥当だね」
「だな。わかった先に行ってる」
私のセリフにカッツォくんとサンラクくんはそう言うと秋津茜ちゃん達に声をかけて歩き出した。
それを見送った私とミュウラちゃんはユウヒくんが消えた場所に移動する。
「今日は2人になることが多いね」
「そうですね」
私の隣を歩くミュウラちゃんは少し棘のある声色でそう応えた。
「彼が現れても締め上げたりしないから大丈夫だよ」
「……私はユウヒさんの指示に従います」
棘を丸く出来ればと笑顔でそう言うがミュウラちゃんの声色は変わらない。そんな現状にため息を吐き私は周囲を見回した。
(そういえば曇がなくなってる…)
そして、空を見上げて不自然に一部分を覆っていた曇が無くなっていることに心の中でそう呟いて彼が再び此処に現れるのを願った。
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「なんだ……此処」
突然現れたウィンドウとそこに記された文言。それを見て周りへの影響を考えて離脱した俺は警戒を促す文の通り雷に撃たれた。
真っ白になった視界と瞼を閉じる事で別れを告げた俺だったが瞼を開けると暗闇の中に立っていた。
(いや、立っているって感覚があるからそう思ってるだけだ…何も見えねぇし、何も感じねぇ…気持ち悪いな)
視界に映るのは闇のみ腕を動かしその腕を見るように顔を動かすが
外部からの情報が全く無いことに強烈な不快感がある。それを認識しながら俺は顔を左右に降ってみた。
(やっぱり何も見えない、感じない)
「どうなってやがる……?」
『此処は
状況が掴めない事に歯噛みしてそう言った俺に第三者の声が聞こえた。
「誰だ?」
腰を落とし構えを取って声だけがした空間にそう尋ねる。
『ハハハッ!不足の事態に不可視の第三者、警戒心を一気に引き上げ構えるか……そして、声には一切の焦りを見せないと来ている………素晴らしい!!』
俺のセリフにナニカはそう答えると暗闇は光だし
「なんだコレ……!」
『ハハハッ!突然こんなモノを見せられてはそう言う反応になるか……必然よな』
暗闇から一変、雷鳴が轟く曇天の空と焼けた荒野に立たされた俺はそう叫び後ろから聴こえた声に反応して振り返った。
そして
『はじめまして
俺は口角を釣り上げて笑う巨大な虎をその視界に収めた。
「………」
俺は言葉を無くしてしまっていた。突然現れた巨大な虎は二又に別れた尾を揺らしながら俺を見ている。身体の大きさから強いのが解るが何故か
『おい、我が名乗ったのだ。貴様も名を名乗れ』
すると、自分を前に無言になっている俺が気に食わななかったのか虎はそう言ってきた。
「はじめまして…ユウヒと言う」
俺はカムナリの言う通りにそう応えると視線は切らさないまま会釈をした。明らかにモンスターだが何故か此奴にはそうした方がいい気がしたのだ。
『会釈をしつつも視線は切らぬ…
俺の行動にカムナリはそう言うと視線を下げて俺を凝視してきた。
(いや、違う。リュカオーンの宿刻を見てるのか)
だが俺は視線を強く感じるのが俺全体ではなくリュカオーンの宿刻である事に気づき構えを解いて全体が見えるように姿勢を正した。
『…………………ふむ』
カムナリは俺に刻まれた宿刻をしばらくじっと見つめるとそう声を漏らして上体を上げた。再び視線が高くなり俺は見上げる形になる。
『貴様、中々にリュカオーンに気にいられた様だな』
すると、カムナリは唐突に俺にそう言ってきた。
「どういう事だ?」
『その刻印だ。奴は貴様に
俺の疑問にそう答えたカムナリは上から俺を見下ろしてくる。俺はカムナリが言った事が理解できなかったが、宿刻について書かれていたことを思い出した俺は拳を握った。
「俺を俺として見てねぇってのか……!俺を通してお前を見てるってのかッ!!」
敵として認識されながらも認識されていない。カムナリの言葉からそれがわかってしまった俺は声を荒らげた。
俺は宿刻についてのウィンドウを見た時、リュカオーンの敵になることが出来たのだと思った。俺を強くする為のこの刻印はリュカオーン自身を倒せる猛者を得る為だと
だが、違った。この刻印はカムナリの言葉を信じるなら過去を愛でる為の刻印。俺を
だからこその怒りだった。
『ハッハハハッ!!それでいいぞユウヒよ!!』
しかし、俺の言葉を聞いたカムナリが発した言葉は喜びだった。
俺は以外に思い顔を上げカムナリを見た。すると、カムナリは口を大きく歪めて笑うと勢いよく俺に顔を近づけて来た。
『その怒り発散する方法がある』
顔を近づけてきたカムナリの勢いで風が舞い髪が揺れた。だが、俺は気にすることなすカムナリを睨んだ。そんな俺にカムナリは喉を鳴らすと
『貴様、我の力を使え』
唐突にそう言ってきた。
「は?」
俺の思いとは真逆すぎる提案に低い声が出た。しかし、カムナリは笑うと顔を上げ
『そう怒るでないわ。順を追って説明してやる』
そう言ってきた。
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