戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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カムナリの姿は双星の陰陽師の白虎をイメージしてます。是非、検索して調べて見てください。


七つの遺志を集めて・其ノ陸

『順を追って説明してやる』

 

顔を上げて自身を睨む俺にカムナリはそう言うと黄金色の体毛を蒼白く変化させた。その変化はとても綺麗でそれと同時に俺はある事に気が付いた。

 

『ハハハッ解るか?これが我(ワタシ)の本来の姿だ。雷(・)を(・)纏(・)っ(・)た(・)虎(・)この姿故に我は「雷獣」と呼ばれている』

 

そうだ。カムナリの身体はただ変化したのではない。身体の、黒縞以外の部分が雷に変化したのだ。俺が使っている纏雷の様な雷に

 

『貴様も雷の力の一端を使うのだろう?まぁ、我の方が強いがな。貴様は他の開拓者達よりも雷を使いこなしている故、誇れよ』

 

カムナリの言う通り圧倒的に強い雷を纏い雷光を弾けさせる。俺が使っている纏雷やそれから派生した棘尽雷(きょくじんらい)、殴雷撃(おうらいげき)はカムナリの前じゃ矮小に思える。

 

余りの力強さに息を飲んだ俺だがカムナリは笑うと風(・)景(・)を(・)変(・)え(・)た(・)。

 

「はぁ?どうなってんだ??」

 

突然変化した風景、嵐が病んだ荒野に立った俺はそう言葉を漏らし辺りを見回した。

 

『此処は我の心の中と言っただろう?故にこういう事もできるのだ。見たところ貴様も………いや、これは無粋だな』

 

カムナリは辺りを見回している俺にそう言うと「来るぞ」と告げた。俺はその言葉に反応して辺りを見るのを止めるとカムナリが見ている方向と同じ方向に視線を向けた。

 

すると、音が響だし近づいてきた。

 

「アレは……リュカオーン!!」

 

そして、視線の先にはリュカオーンとその首に噛み付くカムナリが現れた。

 

『そうだ』

 

俺の呟きにカムナリは頷きそう応える。視線の先ではリュカオーンが押し倒されカムナリが大きな右前脚を振り上げている。しかし、カムナリの影からリュカオーンの分身が飛び出しその右脚に噛み付いた。

 

俺達が戦いの中で何度もやられた分身と影からの強襲だ。だが、カムナリは脚から雷を勢いよく迸らせると強烈な雷光とダメージで分身の口を離させた。

 

すると、分身の頭上に雲が発生し分身を雷撃が貫いた。分身は一瞬で身体を溶かして消えてゆきカムナリは再び右前脚を振り上げた。

 

地響きと共にリュカオーンの顔に脚が振り下ろされリュカオーンが声を上げる。だが、リュカオーンは力づくで噛み付きを振りほどくと分身を2体出現させて3対1での戦闘を開始した。

 

(リュカオーンが追い詰められてる)

 

戦いの一部始終、俺を見ただけに過ぎないが明らかにリュカオーンが押されている。その光景に驚いた俺はカムナリを見上げた。

 

すると、俺の視線に気が付いたのかカムナリは俺と視線を合わせるとフッと笑った。

 

『少し見ただけで解るか。そうだ、我はこの時リュカオーンに勝っていた。我とリュカオーンは相性が良かったのでな。………………だが、この後俺は負けた』

 

俺はカムナリの言葉に耳を疑った。カムナリの言う通りリュカオーンとカムナリの相性は良い。俺がリュカオーンの戦いで感じた雷の性質。

 

暗闇そのものであるリュカオーンにとって光源となり得る雷は有効そのものだ。いくらリュカオーンが暗闇に紛れようとカムナリくらいの大きさの物が光源になるのなら無意味もいい所だ。

 

(それなのに負けたのか?)

 

驚きながらもカムナリを見る俺にカムナリは言葉を続けた。

 

『我はリュカオーンと相性が良い。だが、身体を纏っている雷は我が生み出した雷ではない。大部分は自然の雷を蓄積したモノだ。でなければこんな質量にはならん』

 

「つまり、有限の使い捨てって事か」

 

『そうだ。我自身も雷は作れるが全身分となると話が別だ。オマケに我は技を使う時にも雷を消費する』

 

なるほどそう言う話なら負けた理由にも納得がいく。どれだけ相性が良くともそれを発揮できないのなら意味は無い。

 

『我は天候を操り雷雲を作れるがそれにも条件がある。だが、リュカオーンは我にとって最悪な条件下でしか全力が出せん』

 

「待て待て、サラッとすげぇこと言ってるぞ。何普通に話し進めてやがる」

 

突然出てきた衝撃の内容に俺は思わずそう言ってしまった。しかし、カムナリは「別に負けたのだしどうでも良いわ」と言って話を続けた。

 

『我の天候操作は快晴でなければ使うことが出来ん。だが、奴は曇天である方が有利だ。無論、戦闘の前に山程雷は蓄積した。それでも負けた』

 

「もしかして曇の日に戦ったのか?」

 

カムナリのセリフに既に止められた光景で空を確認し「そう言えば曇ってる」と思いながらそう尋ねた。すると、カムナリは「そうだ」と答えた。

 

「なんで態々(わざわざ)……………いや、そうだよな」

 

カムナリの答えにそう言った俺だが顎に手を添えて俯いた。相手が有利な条件だろうが準備を整えて全(・)力(・)の(・)相(・)手(・)を(・)倒(・)し(・)た(・)い(・)。俺ならそう思う。そして、恐らくカムナリも

 

『その通りだ』

 

すると、俺の考えを見透かした様にカムナリはそう言ってきた。その応えにやっぱりと思いながら視線を話の続きを促す、カムナリはそれを感じたのか再び話し出した。

 

『準備は整えた調子も良かった。だが、戦いの中で発生したア(・)ヤ(・)を突かれて我は破れた。………納得している。生涯唯一の充足した時間だった』

 

その言葉に嘘はない。俺は直感でそう思った。だが、だからこそこ(・)う(・)な(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)理由も解った。

 

【雷獣の遺志】

 

ウィンドウには確かにそう記されていた。つまり何か思い残す事があるという事だ。そして、カムナリの言葉から俺が解るのはカムナリと俺は良(・)く(・)似(・)て(・)い(・)る(・)と言う事。

 

リュカオーンに負けても次を望んで倒す事を誓った。それを目標に強くなってきた。カムナリが思い残した事が俺には良くわかる。

 

「カムナリ…お前が言いたい事良くわかる」

 

だからこそ自然と言葉が口から出ていた。

 

『そうであろうな……』

 

そして、カムナリは俺の言葉にキレる事も戸惑う事もなく当たり前のようにそう返した。

 

『奴が刻んだその刻印は何も力だけを見ての話では無い。お前の性格や闘争心に我の影を見たのだろう。………女々しい奴よ』

 

カムナリは穏やかにそして少し呆れたように最後にそう言った。そして、四足で立ち上がり俺と向き合うと吠(・)え(・)た(・)。

 

『我の遺志!それは再戦である!!敗北には納得している。だがしかし!!あの時の"熱"が忘れられぬ!!あの時感じた熱を!もう一度!!感じたいのだ!!リュカオーンが認めた強者(つわもの)よ我の遺志を叶えて欲しい!!………我は既に死した遺物(モノ)。残滓としてこの世に残っているに過ぎない。我の力を宿し我はその力を通して遺志が成就する瞬間を得たい。貴様は鍵を持っている。資格も!故に雷はお前を撃ったのだ!頼む!我の遺志を叶えてくれ!!』

 

何処までも響くような俺の身体を痺れさせるような声だった。さっき見せられた映像がどれほど前のものなのかは分からない。だが、声には渇望と目にはそれに比例した熱があった。

 

(俺の再戦には強さがいる。そして、カムナリは再戦と熱を求めてる。利害は一致してる。そして、そんな事関係なく俺と此奴は同類だ)

 

俺が自身の力を宿そうとも再び敗北する可能性はある(そんな気は更々ないが)。それでも戦いの熱を求めて鍵を持つ者(俺)を待っていた。

 

戦いが好きという共通点

 

(受けない理由は無い)

 

「あぁ、わかった。受け継ぐよお前の遺志。俺が、お前の力をも使ってリュカオーンを倒す。ただ、楽しみにしてろ」

 

俺はそう言ってカムナリの願いに応えた。すると、俺の応えに満足したようにカムナリは笑い。

 

『感謝する。ユウヒ』

 

そう言って雷撃を浴びせた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【雷獣の遺志】への共感。進行条件達成。

 

【雷獣】の継承、既存の魔法への連結と派生を確認しました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…………戻ってきた」

 

雷撃によるホワイトアウト、それが終わると同時に俺の目の前にはウィンドウが現れ俺は目に入ってきたウィンドウ以外の景色を見てそう呟いた。

 

「『戻ってきた』じゃないでしょ!」

 

「信じてました!ユウヒさん!!」

 

次の瞬間、俺は後ろから頭へ拳を振り下ろしてきたペンシルゴンを躱し飛び込んできたミュウラをキャッチした。

 

「なんで此処にいんだ?」

 

そして、まだ此処に留まっている2人にそう問いかける。

 

「いきなり目の前で仲間が消えたら心配になるでしょ!それとも私達は君を置いて先に行くと思ったんだ?」

「あぁ」

 

ペンシルゴンは俺のセリフに若干キレながらそう言い返して来たが俺はノータイムでそう応えた。

 

「ミュウラは兎も角として、性格的に絶対置いてくと思った」

 

そして、思った通りにそう言っておく。

 

「へぇ」

 

すると、ペンシルゴンは声を低くしてそう呟いた。その声と薄く開かれた目に「ヤバい」と思ったがもう遅かった。

 

「心配してあげた私が馬鹿みたいだねぇ!!君の言う通り置いていけば良かったかなぁ!?」

 

ペンシルゴンは一瞬でインベントリから魔槍を取り出すと連続の突きを放ってきた。しかも、スキルまで使った本気の攻撃だ。

 

「あっぶねぇよ!ミュウラの事考えろ!!つーか、俺の事知ってるなら尚更待たねぇだろ!俺なら何としてでも追い付くっつーの!!」

 

最初の三激がミュウラにカスりそうだったので危なかったがそれ以外は危なげなく躱せた。全部の攻撃を躱し距離を取りつつそう言うがペンシルゴンは魔槍を構えたままだ。

 

「クターニット(強敵)を目前にして俺が諦める訳ねぇだろ。ペンシルゴンなら理解してると思ってた」

 

そんなペンシルゴンに俺はミュウラを肩に乗せつつそう言う。すると、ペンシルゴンは魔槍をインベントリにしまうとどデカい溜息を吐いた。

 

「全く……私はま(・)だ(・)サンラクくんみたいに君とツーカーで会話もできないし完璧に理解してる訳じゃないの。…………だからそういう事は最初に言って」

 

俺のセリフに溜息混じりの文句。最後の方は小声で聞こえなかったが何となく雰囲気は丸くなった。

 

その事に首を傾げながらも俺は近づき現状を尋ねた。ペンシルゴンとミュウラの応えからこの場に居ないのでわかっていたがサンラク達は先に進んだらしい。

 

「んじゃ、追いつくか。もう朝日が出てきてる早くしねぇと寝る時間が無くなるからな」

 

「そうだね。これも全部ユウヒくんのせいだけど急ごっか」

 

フィフティシアの方角を向き走る前の準備運動を何時ものルーティーンでやりながらそう言った俺にペンシルゴンの棘のある応えが帰ってきた。

 

視線を向けてみれば目が笑っていない綺麗な笑顔を浮かべているペンシルゴンがいる。

 

「さっきは悪かった。ごめんなさい」

 

雰囲気は丸くなったが絶対さっきのが尾を引いている。それを感じ取った俺は素直に謝った。しかし、ペンシルゴンは更に笑みを深くすると

 

「後で時間ちょーだい」

 

頷きたくない事を言ってきた。

 

(まぁ、頷くしか選択肢ねぇんだけども…)

 

後がかなり怖いが俺はペンシルゴンのセリフに頷いて応えると「行くか」と声をかけた。ペンシルゴンはそれに頷き俺と一緒に走り出した。

 

「さっさと追いついて合流といこう」

 

「うん」

 

「はい!」

 

先にいるサンラク達に追いつく為に俺達は更にスピードを上げたのだった。

 

100話記念の番外何が良い?

  • 未来の陽務家の話し(弟)
  • 過去の陽務家の話し(家族旅行)
  • 過去の陽務家の話し(兄弟喧嘩)
  • R-18開拓
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