戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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トントン拍子で進みます。でないと永遠に話しが進まないので…まぁ、文才がないからなんですけどね


蒐集者と至る・其ノ伍

「ファステイア到着っと!」

 

セカンディルからファステイアへと続く道を走り抜けたユウヒは、門をくぐり早速ドロップアイテム『黄金石の墓石』を加工出来る存在を探し始めた。

 

「何処にいるんだろ?鍛冶師のオッサンのセリフ的にかなり特殊なアイテム見たいだし簡単に会える訳はないよな……」

 

所持しているドロップアイテムの一覧を見ながらそう呟きダメ元でファステイアの武器屋の扉を開ける。

 

「いらっしゃい」

 

中に入ったユウヒに口元に傷のある店主が声をかけてくる。

 

「なぁ、オッサン。少し聞きたい事があるんだけど聞いてもいいか?」

 

「おう、なんだ?答えられる内容なら答えるぞ」

 

「ありがと」

 

気前のいいオッサンに感謝しインベントリから『黄金石の墓石』を取り出し加工出来るか尋ねてみる。

 

しかし

 

「ダメだな。コイツはもう"役目を終えちまってる"。俺には加工出来ねぇ」

 

帰ってきたのはセカンディルの武器屋のオッサンと同じ内容。どうやら街が誓っても武器屋のオッサンには無理なようだ。

 

「そっか、やっぱりダメか…。なら、コイツを加工できそうなヤツ知らねぇかな?」

 

予想していた答えに落胆しつつもそう訪ねてみる。シャンフロを初めとするゲーム全般に言える事だが、NPCとの会話はかなりの重要要素だ。武器屋のオッサンのセリフの中にヒントがあったように質問を変えれば何かヒントが貰えるかもしてない。

 

「そうだな…。俺たち鍛冶師は鉱石に眠る『声』を聴いて武器を作る。鉱石にも作る武器によって向き不向きがあるが、それこそが"役目の違い"なのさ。その鉱石の役目にそった形に造り変える。俺達はその腕を磨く…それが鍛冶師ってもんだ」

 

「じゃあ、つまり"役目"を終えたコイツはもう『声』が聞こえねぇってことか?」

 

オッサンのセリフを聞き逃すことなく聴き。オッサンの言い回しを真似して尋ねる。

 

もし、俺の考えてることが正しいなら

 

「あぁ、"俺にはもう声が聞こえねぇ"。だから、無理なのさ」

 

ユウヒの質問に鍛冶師のオッサンはそう答えると店の奥へと入っていってしまった。だが、答えには近づくことがてきた。

 

つまり

 

「鍛冶師のオッサンには聞こえねぇ『声』を聴き取れるヤツを探せばいいってことか」

 

そう呟くとユウヒはカウンターに置いた『黄金石の墓石』を手に取り店を出た。

 

「もし、オッサンの言う通り鉱石に『声』があるならコイツにも『声』がある。だが、その声は"鍛冶師"には聞き取れない。『声』なんてモノがあるならソイツは閉じ込められたままじゃ聞き取れないよな。持って歩いて聴き取れるヤツを探そう!」

 

鍛冶師のオッサンに聞いて正解だった。特大のヒントだ。ユウヒは手に墓石を持ったまま街を歩く。2人の鍛冶師がダメと言ったんだ。なら、探す相手は鍛冶師以外になるだろう。そう考えユウヒはありとあらゆるNPCに声をかけ始めた。

 

しかし

 

「全滅か………」

 

ファステイアの街で聴き込んで2時間。全てのNPCにフラれてしまった。

 

「商人にまで聞いたのにフラれるとは…初めてだよ見せた瞬間にダメ出しをされたのは」

 

墓石を見せた上で加工出来る存在を紹介してもらえるかと思っていたのに見せた瞬間退店を懇願された。あれは一体何だったんだろうか。

 

不可解なNPCの行動と自分の今後に頭を悩ませつつ歩く

 

「……………」

 

しかし、ユウヒはその足を止めると直ぐに裏路地へと入った。その瞬間ドタドタとうるさい足音が響く。

 

「やっぱりつけられてたか…」

 

墓石を持って歩き回ったからだろう。それなりに他のプレイヤーの目を引いている自覚はあった。

 

壁から壁に飛び移りつつ上へと登っていく。5回のステップで屋根へと辿り着いたユウヒは下を覗いてみた。

 

「おい、どこに行った!?」

 

「なんでバレたんだ!?」

 

「お前なんか音立てたりしたんじゃないのか!?」

 

「はぁ!?誰がするかよ!!」

 

すると、直ぐに4人の男性プレイヤーが自分の後を追って裏路地に入ってきた。各々のプレイヤーネームが頭の上に表示されているが目を引くのはプレイヤーネームの横にある髑髏のマーク。

 

それは彼がある行為をした証だった。

 

「よりにもよってPKの連中か…めんどいのに目ぇ付けられたな」

 

PKそれは「PlayerKiller」の略称。ゲーム内において殺人を行った者たちの呼び名。ゲームの仕様として禁止されていない限り大抵どのゲームにも現れる人種でありそいつらは総じて面倒臭い性格をしている。

 

大抵のゲームにはPK行為に対するペナルティが設定されておりそれをやるだけでデメリットになるがそれを嬉々としてやる者たちは後を絶たない。

 

「幕末みたいにそれが様式美になってるゲームならいざ知らず『シャンフロ』でそれをやるのはリスキーだと思うんだがな……」

 

ある混沌とした世界を思い出しつつ「ユラと何時か決着つけなきゃな…」と呟き『黄金石の墓石』をインベントリにしまってから下へと降り裏路地から少しだけ顔を出して連中が居ないことを確認したユウヒは満を持してメインストリートを歩きはじめた。

 

しかし

 

ドンッ!

 

「イッてぇな!前見て歩け馬鹿野郎!!」

 

歩き初めて10秒も経たないウチに子供のNPCとぶつかってしまった。

 

ゴンッ

 

ぶつかった事を謝る前に暴言を吐いた子供に拳骨をカマし

 

「よく見てなかった俺も悪いがお前も気をつけろガキ。特に口の利き方にな」

 

呆れた声でそう言った。

 

余談だがユウヒがシャンフロをプレイする前に攻略した「フェアクソ」には『アーク』なるクソガキが居た。「精霊の愛し子」と言う立場を利用し何度も妨害をしてくるクソガキで、ありとあらゆる手を使われ苦しめられた。無自覚にフェアリアと言うカスを作り出した運営が、プレイヤーを不愉快にさせると言う目的で作ったキャラである為そのストレスたるや半端なものでわなかった。

 

まぁ、そのクソガキも見つけ出して叩きのめして二度と悪辣な事が出来ないようにしてやったがそのお陰でユウヒはゲーム内で生意気なガキに手を出す時のストッパーが無くなっておりクソガキのハードルを下げながらも手を出す時は手を出すプレイヤーへと進化を果たした。

 

(ちなみに、アークを"躾ける"事で邪神との戦いの前に特別なルートに入ることが出来たりする。サンラクはこのルートの存在を知らない)

 

「イッテー、子供に手を挙げるなんて最低だぞ!」

 

「黙れ。何処で覚えた言葉遣いが知らないが子供がそんな言葉を遣うんじゃねぇ。友達出来ねぇぞ。だが、よく見てなくて済まなかったな。怪我はないか?」

 

頭を抑えて悪態をつく子供にそう言って謝り手を差し出す。子供は謝られた事にバツの悪そうな顔をしながらもユウヒの手を取った。

 

「怪我はなさそうだな」

 

「あ、ありがとう…」

 

立ち上がった子供に怪我がないか観察しつつ服に着いた土を払いそう言うと子供は気恥ずかしそうにそう言う。

 

そんな子供に口元を緩めたユウヒは頭にポンっと手を置くと「じゃあな」と言ってその場を立ち去ろうとした。

 

しかし

 

「ま、待って!!」

 

ユウヒはその子供に手を捕まれてしまった。

 

「どうした?」

 

振り返れば何やら必死な顔をしている子供にそう言うと子供は「お礼するからこっち来て!」と言ってユウヒの手を引いて走り出した。

 

「お、おい!」

 

流石に子供の手を雑に振り払う事は出来ずされるがままに子供の後を走る。少しすると子供の家なのだろう。裏路地にある小さな家に辿り着いた。

 

「ただいまー」

 

「お邪魔します」

 

扉を開けて中に入った子供に続きユウヒも中に入る。中はこじんまりとしており子供は様子を伺うユウヒを置いて何処かへと行ってしまった。

 

「連れてきて1人にするなよ…」

 

何処かへ行った子供にそう呟き一応開けっぱになっていた扉を閉める。すると

 

「あの……」

 

背後から声をかけられた。

 

声につられ振り向くとそこには黒髪を束ねた女性のNPCがさっきの子供を連れて立っていた。

 

「す、すみません。勝手に中に入って、その子に連れられて…」

 

「はい、この子から話は聞いています。乱暴な事を言ったのに優しくして下さったようで…」

 

少し慌ててそう言うユウヒに女性はそう言うと子供の頭を優しく撫でた。

 

(親子のNPCなのか)

 

態度とセリフからそう思いあった事を話した上で拳骨を落とした事を謝罪した。しかし、母親NPCはむしろ怒ってくれた事を喜び感謝していた。

 

そのまま「お礼をしたい」と言う母親NPCの言葉を受け取りお茶とお菓子をいただきながら話を聞くとどうやらこの親子は父親を亡くしているらしく2人だけの家族のようだった。

 

「主人は錬成師でしたが実験中の事故で亡くなってしまい、今は主人が使っていた工房だけが残っていますの…幸い私もこの子もその工房で物作りが出来るのでこうして生活が出来ているのですが…」

 

「この街の商人に俺達の作品を認めて貰えないと工房が取られちゃうんだ」

 

どうやらそう言う事らしい。生活の為には工房が必要だがその工房を取られてしまう危機に直面しているらしい

 

「それ、何とかする事は出来ないのか?」

 

2人が心配になりユウヒがそう尋ねると

 

「称号がないのです……」

 

母親NPCが静かにそう応えた。

 

「『称号』?」

 

「はい、工房の主としての『称号』を私もこの子も持っていないのです。私もこの子も練成魔法が使えますが練成師を名乗る資格を持っていないのです……。何か『称号』を獲得し練成師を名乗れるようなモノを造る事が出来れば良いのですが…何分、そう言った素材に出会うことがなくて……」

 

ユウヒのセリフに母親はそう応えた。その様子は寂しそうで見ていて少し痛みが伴う様子だった。

 

「そう言えばさっき『練成師』って言ってましたけど『鍛冶師』とは違うんですか?」

 

そんな中、ユウヒは少し申し訳なさを感じながらも母親NPCにそう訪ねる。すると

 

「はい、『鍛冶師』は役目を持ったモノをその役目を果たせる形に鍛造する者の事で『練成師』は、役目を終えたモノやそれを果たせなかったモノを別の形に創り変える者の事なのです」

 

「!!!!」

 

母親NPCは無視する事の出来ない事を話してくれた。

 

ユウヒは目を見開きインベントリから『黄金石の墓石』を取り出し親子を見せる。

 

「コレ、アンタ達なら加工出来るか?」

 

「コレは…この輝き、そしてこの『声』は…!!」

 

ユウヒの言葉に母親は興奮した様子でそう呟き『黄金石の墓石』を手に取る。

 

「鍛冶師のオッサンや商人達に聞いてもダメだった…。でも、アンタ達なら出来るんじゃないのか?」

 

興奮した様子で墓石を見つめる母親にユウヒは再度そう訪ねる。すると

 

「出来る。出来るよお兄ちゃん!僕にも聴こえるんだ!この石の『声』が!」

 

「はい!私達なら出来ます!この石を次の形へと生まれ変わらせる事が!!」

 

2人は笑顔でそう応えた。そして

 

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2人の答えを聞きガッツポーズを決めたユウヒの前にそのウィンドウが現れた。

 

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