戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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三連休が終わる。明日から仕事か…。


蒐集者と至る・其ノ陸

「ユニークシナリオ……!」

 

目の前に現れたウィンドウに俺は声を震わせた。この前クリアした『致命兎の試験』は特殊クエストだったが、コレはユニークシナリオ。全くの別物だろう。

 

(『黄金石の墓石』を持ってこの2人に接触するのがフラグになったのか?……少し違う気もするが、当然……)

 

ユニークシナリオの発生条件にいまいちピンとこなかったが俺は迷わず「YES」を選択した。

 

すると

 

「この石…凄く特別な石の様です。私達『練成師』なら『声』を聴き新しい姿に出来ますが、まだ、何か足りないモノがあるようですね」

 

墓石をじっと見つめながら母親がそうは言ってきた。

 

「足りないモノ?」

 

「はい、この石が求めるモノ……素材を集めていただければ私達の手で生まれ変わらせるとお約束します」

 

首を傾げるユウヒに母親がそう応えるとユウヒの目の前にウィンドウが現れた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『閃光結晶の花弁』

『往年の輝苔』

『栄華の石板』

『死相の珠』

『神泉の水』

『浮動の岩盤』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「素材のリストか?」

 

そこには、彼女が、いや『黄金石の墓石』が求める素材がリストアップされておりそのどれもが聞いた事のない素材だった。

 

「全部で6個の素材…。これを全て集めれば『黄金石の墓石』を加工…いや生まれ変わらせる事が出来るのか!」

 

「はい…ですがどれもが入手するのが難しい素材ばかり…やはりお辞めになられた方が……」

 

「お兄ちゃん……」

 

ウィンドウを見て拳を握るユウヒに母親はそう言い子供は服の裾を引っ張って心配そうな顔をしている。ユウヒは子供の頭に手を置いて笑うと「心配するな」と言って話し出した。

 

「俺は開拓者だ。道を切り開く者だ。ここに載ってる素材達は俺にとっての『未知』だ。だから、ここで引く訳には行かねぇ、それに俺は自分の力をよく知ってる。大丈夫、必ずこの素材を集めてあんたらに渡しに戻ってくる」

 

ユウヒのセリフに子供の表情が明るくなる。どうやら不安を脱ぐう事が出来たようだ。ユウヒはその事に再び笑うと真剣な表情になり母親に尋ねた。

 

「もし、俺が持ってきた素材とその『黄金石の墓石』でモノを作れたらアンタとこの子は『称号』を獲得できるか?」

 

「!」

 

ユウヒのセリフに母親が目を見開いた。ユウヒが自分達親子を救うつもりでいる。それを理解したからだ。

 

「……はい。この素材を集めていただきそれを使って造り上げたモノなら確実に」

 

故に母親は嘘をつくことなくユウヒに応えた。

 

「わかった!その石はアンタに預ける。必ず素材を持って戻る。期限は何時までだ?」

 

母親のセリフにユウヒは頷きそう応えタイムリミットの有無を尋ねる母親は少し考えた後「ひと月程ですね」と応えた。

 

ユウヒはそのセリフに頷きウィンドウを消すと「じゃあまた」と言って家から出て行った。視界の端にはタイマーが現れており期限はちょうどひと月後にセットされている。それを確認し新しい出来事に心を振るわけせてユウヒはファステイアの街から出て行った。

 

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ユニークシナリオ『志し持つは蒐集者』を受注したユウヒはファステイアからセカンディルへ行きマナポーションやポーション、薬草などを調達していた。

 

「ハイポーションとかも買えそうだけど使っても今のステイタスじゃ意味無いからな……金は節約したいしやめておくか」

 

『大蛇の眼球』を売ったお陰で余裕はあるがハイポーションを買う程のステイタスでは無い。手に持っていたハイポーションを棚に戻すとNPCの店員にポーション等を渡し会計を済ませた。

 

「うーん…これでセカンディルから更に先に進む準備は出来た。第3の街サードレマに進むならここら辺でステイタスの方向性を決めて置いた方がいいか…」

 

店から出てセカンディルを歩きながらステイタスウィンドウを確認しそう呟くと画面を操作する。現在ユウヒが所持しているSTポイントは205。今までSTポイントを割り振っていなかったのと特殊クエスト『致命兎の試験』のクリア報酬としていただいた恩恵により凄まじい事になっている。

 

「自分の理想、スタイルを考えて割り振って…」

 

自身のやりたい事とスタイルを考えポイントを割り振っていく。

 

そして

 

「これでよし…」

 

ユウヒは画面を見て最終確認を済ませると作業を終わらせた。

 

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体力 30 魔力 70

スタミナ 60

筋力 35 敏捷 65

器用 40 技量 15

耐久力 8 幸運 30

 

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魔法行使の為に魔力に多く割り振り続いて継戦能力の上昇とアバターの基本速度を上げる為にスタミナと敏捷にそして、武器の取り扱いを細かくし武器の取り扱いを軽くする為に筋力と器用に割り振った。

 

「耐久力は自前の反応速度でカバー出来るから敏捷を上げておけば今は問題ない。幸運も後で良い。今は基本の性能を上昇させる。」

 

基本の戦闘スキルが高いユウヒは基礎を上げれば上げるほど強くなる。実際は耐久力をもっと上げたいが自前の反応速度でリカバリーが効くとわかった今それ程重要な項目では無かった。

 

「武器も揃えた。ステイタスも一新した。コレでもっと戦える。………そう言えばもう午後だよな。あーまだ、昼食ってないな。抜いてもいいけど身体に良くねぇんだよな。ずっと寝たまんまってのも良くねぇし……しょうがねぇここで一旦ログアウトするか。ユニークシナリオ進めたいけどこればっかりはなぁ……」

 

準備万端で先へ、と思っていたが武道を修めるものとしての性か自身の身体の事を考え出したら気になりだしてしまった。

 

正直に言って疲れは全く無いのでこのままずっとプレイは出来るが、ユウヒは断腸の思いで一旦ログアウトした。

 

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「だいぶ遅くなったな」

 

一旦ログアウトしてから数時間、ユウヒは日が落ち夜になったシャンフロの世界へと戻ってきた。

 

最初は柔軟と昼食を取るだけのはずだったのだが鉢合わせた母、永華が使う機材の運び入れと設置の手伝いを頼まれた結果夜遅くになってしまった。

 

「結局、母さんはあの機材を何に使う気なんだろう?」

 

機材の内容を聞いた限り温度と湿度に関わる機材のようだという事はわかったのだが、既に南米の気候に改造された母の趣味部屋に改造の余地があるとは思えない。

 

「…………部屋で養蜂やるとか画策してたりしないよな」

 

それは絶対に無理なのだが永華から教えられた昆虫の知識しかないユウヒは有り得なくもないなと考えてしまう。

 

前に、永華が酔った勢いで庭に養蜂施設を作ろうとした時は強制的に意識を落として(首トン)それを回避した。

 

「まぁ、もしそうなったらまた止めればいいか」

 

最悪の状況になった時を想像してそう呟いたユウヒはセカンディルを出た。目的はユニークシナリオクリアの為のレベリングでありログイン前に少し調べた所、夜に出るモンスターは昼間とは強さが違うらしい。現在のレベルは18。もう少しセカンディル周辺でレベルを上げてからエリアボスに挑みたい。

 

それに、ユニークシナリオ『志し持つは蒐集者』をクリアする上で必要になる素材達もNPCの母親から聞く限り今のレベルでは苦戦する可能性がある。

 

「それはそれで最高だが、ユニークシナリオ攻略の期限が決まっている以上少しでもレベルを上げるに越したことはない」

 

目的とやる事が決まりユウヒは「行くか!」と気合いを入れセカンディルを出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ユウヒはこの世界の真の姿に触れる事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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