戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

22 / 82
誤字報告や感想何時もありがとうございます!


泥沼の主

「すげ、マジで戻ってきた」

 

ユニークシナリオの攻略の為、サンラクと別れたユウヒは兎御殿内でミュウラを捕まえセカンディルの裏路地へと戻ってきていた。

 

「行ったことかある街なら何処でも扉を出せますから」

 

本当に最初に会った場所に戻ってきた事に驚きの声を上げたユウヒにミュウラはドヤ顔でそう応えた。

 

「兎御殿で『出会った裏路地に戻れますわ』って言われた時は少し疑ったけど……やるな、ミュウラ」

 

「当たり前ですわ」

 

肩に乗り胸を張るミュウラに微笑みつつユウヒは裏路地から顔を出し辺りにプレイヤーが居ない事を確認してメインストリートへ出た。

 

「何故コソコソするのですか?」

 

ユウヒの行動を不思議に思ったのかミュウラが首を傾げてそう聞いてくる。そんなミュウラにユウヒはうんざりした表情で応えた。

 

「いいか、ミュウラ。この世界にはなマナーのなってないプレイヤー……開拓者が大勢居るんだ。お前のお姉ちゃんのエムルちゃんと一緒にいる俺の兄貴は、そんなマナーのなってない開拓者のせいで追われる身になっちまった。俺がお前と初めて会った時も俺が追いかけられてたのはそう言う開拓者のせいだ。見つかると面倒だからな。ある程度、気をつけて行動しないと行けないんだ。……………まぁ、手を出してきたら死なない程度にボコすけどな」

 

「マナー……確かにそれは大切ですわ。ラビッツにも私達の生活を妨害して写真を取り続ける開拓者様達が来た事があります。ラビッツで大きな問題になりましたわ」

 

「そんなプレイヤーもいんのかよ……そう言えばサンラクも同じようなヤツがいるって言ってたっけか」

 

ミュウラのセリフに「めんどくせぇ」とため息を吐くユウヒ。その足取りは何時もよりも重かった。

 

「そう言えば『人目が多い場所では対策しますわ』って言ってたけどどうするんだ?」

 

歩きながらセカンディルへ戻る前にミュウラが言っていた事を思い出したユウヒはそう尋ねるとミュウラは「裏路地に入ってください」と言ってきた。

 

ユウヒは首を傾げながらも言われた通りに裏路地に入る。すると、ミュウラは肩から飛び降り何処からか太いリングを取り出した。

 

「コレは私達ヴォーパルバニーの秘法。ユウヒさん他言無用ですわ」

 

そして、そう言いながらそのリングを腕に取り付けるとミュウラは「ばふんっ」と音を立てて爆発した。

 

「ミュウラ!?大丈夫か!」

 

突然の爆発にユウヒは声を上げるがすぐに煙の中から「大丈夫ですわ」と声が返ってきた。

 

そして、徐々に煙が晴れていき人影が見えてくる。

 

そして

 

「お待たせしました、コレがヴォーパルバニーの秘法『人化の法』ですわ!」

 

煙を払って大人びた黒いドレスを来た美女が現れた。

 

「マジでか…………」

 

あまりの変貌ぶりにユウヒ言葉を失ってしまった。それもそうだろう。自分の肩に乗っていた小さな兎が言葉遣いに見合った自分と同じ位の背丈の美女になったのだから。

 

薄く紫がかった白髪は腰まで伸び、瞳は大きく鼻筋の通った顔は10人中10人が「美人」と言う顔をしており。更に、胸部はドレスをしっかりと押上げリアルにいたら大女優かトップモデルにでもなっていそうな体型をしている。

 

「おかしい……」

 

しかし、そんなミュウラの人化した姿を見てユウヒは真顔でそう呟いた。

 

「ユウヒさん、どうしましたか??」

 

ミュウラはユウヒの態度に首を傾げてそう言うがミュウラの言葉はユウヒには届いていない。

 

「おかしい……俺はシャングリラ・フロンティアをプレイしていたはずだ。誰もが認めた『世界を拓き世界を楽しめ』がキャッチコピーの神ゲーを……。決して肌に合わないギャルゲーをプレイしていたわけでは……!!」

 

ミュウラを見てそう呟くユウヒにミュウラは更に首を傾げるがユウヒは大きく息を吐くと目を瞑り

 

「……よし、切り替えた」

 

10秒の沈黙の後でそう言った。

 

「すまんミュウラ。あまりの変貌ぶりに驚いた。でも、もう大丈夫だ」

 

「良かったです。突然ブツブツ何か言い始めたので何処かおかしい所でもあるのかと……」

 

ユウヒのセリフにミュウラはそう言って胸を撫で下ろした。「その見た目で『おかしな所』なんてある訳ないだろ」と思ったがそれは口にしないでおく。

 

「にしても、凄いな完璧に人だ。それってヴォーパルバニーみんな使えるのか?」

 

「いいえ、使えるのはごく一部ですわ。エムルお姉様は使えますが私程長くは持ちません」

 

ユウヒのセリフに応えたミュウラは胸を張る。兎姿の時もやっていたが人の姿でやると目を毒だ。

 

(後でよく言っておこう)

 

心の中でそう決めたユウヒは相槌を打ちながらも話しをする。話しを聞いた所、ミュウラは30分は人化を保っていられるそうだがエムルは5分が限界だそうだ。

 

「サンラクは色々大変そうだな」

 

ミュウラの話から今頃色々苦労しているであろうサンラクを思いそう呟く。

 

「ユウヒさん、早く行きましょう」

 

ミュウラはそんなユウヒに声をかけユウヒも頷きセカンディルの街を歩く。道すがら色々なプレイヤーがミュウラをチラ見してはユウヒに舌打ちしていたが2人は無視してセカンディルからでたのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

セカンディルから出発したユウヒとミュウラは第3の街サードレマへと走っていた。

 

「やっとサードレマに行けるのか…長かったような短かったような…」

 

「どういう事ですか?」

 

街から街へ続く荒野を走りながらそういったユウヒに人化を解き肩に乗るミュウラがそう尋ねてくる。

 

「前はサードレマに行こうとしてレベリングを兼ねて戦ってる途中でリュカオーンに襲われたからな…その後はセカンディルで鬼ごっこしてミュウラや師匠に会ったりしてたから、やっとって感じなんだよ」

 

「成る程……」

 

ユウヒの答えにミュウラはそう言って頷き辺りを見回す。そして、何かに気がついた様に耳をピクピクと動かし始めた。

 

「どうした?」

 

ミュウラの様子に気がついたユウヒがそう聞くとミュウラは辺りを見ながら

 

「モンスターがそこらじゅうに居るのにみんなユウヒさんを避けてますわ。奇妙ですわ」

 

と言った。ミュウラのセリフに覚えがあるユウヒは「あ〜」と言うと応える。

 

「それは、リュカオーンの呪いのせいだ。俺よりレベルの低いモンスターは襲ってこなくなるらしい。まぁ、俺もなるべく強いヤツと戦いたいから有難いがな」

 

「そうなんですね。『夜の帝王の獲物に手を出すな』とういう所でしょうか…。それにしてもこの状況を『有難い』と言うなんて……やはり、ユウヒさんはヴォーパル魂の申し子ですわ」

 

ユウヒの応えにミュウラは頷きながらそう言う。その顔は「納得!」と言った表情をしておりユウヒは未だに謎な「ヴォーパル魂」と言う言葉の意味も含めて「納得する要素何処だよ」と首を傾げた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「これはまた一面見事に泥沼だな……」

 

道を進みサードレマの手前までたどり着いたユウヒは目の前に広がる泥沼を見てそう呟いた。

 

「ここにエリアボス『泥掘り』が出るんだよな」

 

エリアを観察しながら肩に乗るミュウラにそう尋ねる。

 

「はい、ここに『泥掘り』が出現します。ユウヒさん、本当に泥掘りをお一人で倒すのですか?」

 

「あぁ、心配してくれるのはありがたいがエリアボスは俺一人で殺る。俺より高レベルのミュウラは見ててくれ」

 

「危なくなったらお助けいたします」

 

俺のセリフに心配そうな表情でそう言うミュウラに「応っ」と応えて俺は前出る。ミュウラは俺の肩から飛び降りじっと俺を見つめている。

 

ミュウラを何故戦闘に参加させないのか。それを説明するにはこの泥沼エリアに来る直前まで時間を戻さなければならない。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「そう言えばこの先にいるエリアボスってどんなヤツなんだ?ミュウラは何か知ってるか?」

 

「はい、この先にある泥沼には『泥掘り』と言うモンスターがいます。泥に潜り中から飛び出してくるモンスターです」

 

地図でこの先のエリアを確認しながらそう聞いた俺にミュウラはそう応えた。

 

「地面から飛び出してくる?」

 

「はい、四肢で泥を掻き分け潜り相手を攻撃する。だから『泥掘り』なのです」

 

眉を顰める俺にそう説明するミュウラ。それを聞いた俺は地図を見て

 

「ヤバいな」

 

そう呟いた。

 

この先は泥沼。シャンフロでの泥沼の仕様は片方の足が底に着くまで地面から足が離れない「歩み状態」の強制。つまり、俺と相性が悪いのである。

 

「泥沼以外には何かないのか?」

 

もっと他の情報も欲しい。そう思いミュウラに尋ねてみる。ミュウラは少し考え周りが岩壁に囲まれている事を教えてくれた。

 

「岩壁か……」

 

ミュウラの情報で少し戦い方が見えてきた。ミュウラはそう呟いた俺をじっと見つめると

 

「ユウヒさん、もし良ければ私も一緒に戦いますわ」

 

そう言ってパーティ申請を送ってきた。

 

「パーティ申請!?」

 

NPCとパーティが組めるとは思っていなかった俺は驚いて声を上げる。

 

「泥掘りはお一人で倒すには難しい敵ですわ。二人の方が良いですわ」

 

ミュウラはそう言いながら心配そうな表情を向けてくる。俺はミュウラの頭を撫でながら「ありがとな」と言って申請を通しパーティを組んだ。

 

しかし

 

「レベル99!?」

 

ミュウラのレベルはカンストしていた。しかもステイタスを見るに魔力に極振りした後方支援型。このステイタスで魔法を放たれればエリアボスが一撃で倒される。

 

「ミュウラ……悪いがエリアボスとは俺一人で戦う。お前は手を出さないでくれ」

 

ミュウラには悪いが俺はぬるゲーをやりたい訳ではない。俺のセリフにミュウラは「ガーン」と音が聞こえてきそうな表情をしているがこればっかりは仕方がない。

 

ミュウラの善意に申し訳ないと思いつつも俺は泥沼エリアへと足を進めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ミュウラには悪いが手を出されたら一撃で終わるからな、アイツが手を出そうと考える前に倒すぜ!」

 

ミュウラから距離を取りそう言ってインベントリから取り出した致命の闘杖を構える。

 

すると、地面が揺れ隆起し中から鮫の頭に髭を生やしたモンスターが現れた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

エリアボス

泥掘り

推奨攻略人数 4人

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

現れたウィンドウには名前とこのモンスターがエリアボスであると言う情報が載っている。

 

「さて、『1人じゃ難しい』エリアボス…ぶちのめさせてもらうぜ!!」

 

ユウヒは泥掘りの情報に口を歪めてそう叫び泥掘りを迎え撃った。

 




人化したミュウラの見た目は髪色のしょうさいは違いますがダンまちのアルフィアをイメージしてます(調べてみてね)。

それと、この先ミュウラが人化する前にSF Zooや黒狼のメンバーに絡まれるのであまり人化したミュウラは出てきません。

都合お構い無しに絡まれるのでユウヒはSF Zooと黒狼の強硬派が嫌いになります(と言うか作者がこう言う奴ら好きじゃない)。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。