戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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馬鹿共集合

これはユウヒがサードレマに到着する前の話し。

 

シャングリラ・フロンティアにてクソゲーフレンズであるアーサー・ペンシルゴンと再会したサンラクは彼女の誘いもあり過去にプレイしたクソゲー「ユナイト・ラウンズ」にログインしていた。

 

「やぁやぁ、よく来たね2人共!」

 

「急に集合かけやがって何の用だよ鉛筆戦士」

 

「メールの内容的に悪巧みの匂いがプンプンするんですけど〜」

 

「ユナイト・ラウンズ」では鉛筆戦士のプレイヤーネームで活動しているアーサー・ペンシルゴンにサンラクと同じくクソゲーフレンズであるカッツォタタキがそう言う。

 

ちなみに、カッツォタタキはサンラクとユウヒが偶にプレイするクソゲー「ベルセルク・オンライン・パッション」訳して「便秘」での友達でありサンラク、ユウヒとは便秘やそれ以外のクソゲーで仲良く殴り合い、殺し合う仲である。

 

「まぁまぁ、メールの内容については後々話すとして…まずはこの3人がまたここに揃った事を喜ばない?最近じゃ珍しいことでしょ」

 

「うわっ、なんか怖い事言い出したぞ」

 

「本当にあの鉛筆戦士なの?真っ当な人みたいじゃん」

 

彼女の本性を知るが故に彼女のセリフにそう言って巫山戯るサンラクとカッツォだがそんな2人に鉛筆戦士は

 

ドンッ

 

「私、なにか珍しい事でも言ったかなぁ?」

 

何処から取り出したのかナイフを机に突き刺し目が全く笑ってない笑顔でそう言った。

 

「「いいえ、言ってません」」

 

怖い笑顔にサンラクとカッツォは声を揃えてそう言う。

 

「ま、私も柄じゃない事言ったから無理もないかな」

 

「良かった何時もの鉛筆戦士だ」

 

「チョロイもんだね」

 

機嫌が直ったらしい彼女にサンラクとカッツォはそう言うが鉛筆戦士は額に青筋を浮かべてまた怖い笑顔を2人に向ける。

 

「はぁ、まぁいいや。さっさと本題に入ろう」

 

しかし、そう言うとすぐに表情を元に戻した。

 

「やっとか」

 

「……俺達を態々別ゲーに招集したんだ。ただ一緒にシャンフロをプレイしようってわけじゃねぇよな?」

 

怖い笑顔から普通の表情に戻り内心安堵しながら鉛筆戦士に声を掛けられた側を代表してサンラクがそう言う。鉛筆戦士は一瞬の沈黙の後、「そうだね」と呟き

 

「ユニークモンスター『墓守のウェザエモン』の討伐を3人でやらない?」

 

爆弾を落とした。

 

「「はぁ!?」」

 

落とした爆弾は爆発しサンラクとカッツォが声を上げる。

 

「ユニークモンスター…って、サンラクが戦ったリュカオーンってのと同じカテゴリーのモンスターだよね!ユニーク、めっちゃ興味あるんですけど!!」

 

カッツォは興奮した様子でそう言うがサンラクの表情は優れない。それはシャンフロで『ユニークモンスター』と交戦した事のあるプレイヤーとしての経験があるからであった。

 

(待て待て、今『3人で』って言ったか?『ユニークモンスター』だぞ?あの強烈な存在感と威圧感を持つ『ユニーク』相手に『3人で』って……)

 

「『3人で』って言ったよな。勝算はあるのか?」

 

胸中に疑念を抱き鉛筆戦士にそう尋ねる。

 

「うーん……人数を揃えれば勝てるって相手でもないんだよね。でも、君達なら可能性が見えてくる」

 

サンラクの問いに応えを濁しながらもはっきりとそう答えた。

 

「へぇ…」

 

「その言い方的に戦うのに人数制限とかレベル制限がある感じか?」

 

「そうだね……答えても良いけどここから先は君達の『答え』を聞いてからかな」

 

興味深そうに自身を見るサンラクとカッツォに鉛筆戦士はそう言って試すような視線を向ける。2人の性格を理解しているが故に断られないと確信しているが此処はハッキリさせておきたいところだった。

 

「まぁ、俺の答えは決まってるぜ」

 

「俺のじゃなくて『俺達』な、サンラク」

 

しかし、2人は鉛筆戦士の視線を跳ね除け

 

「「やるに決まってる」」

 

期待通りの答えを返してくれた。

 

「断られるとは思ってなかったけどこうも上手くいくとはね〜。でも、感謝するよ。ありがとう」

 

上手く話しが進み飄々とした態度で鉛筆戦士はそう言う。しかし、そんな鉛筆戦士に2人の目は点になった。

 

「どうしたの今日の此奴…全然鉛筆戦士ぽくないじゃん」

 

「そう言ってやるなよカッツォ。鉛筆戦士も人間なんだ極めて珍しいが0.01%残った『心』が表に出てくることもあんだろうよ」

 

珍しい物を見る今日この頃にそう言うサンラクとカッツォ。当の本人は再び怖い笑顔を向け

 

「話し、進めていい?」

 

極寒の視線を向けてそう言った。

 

「「はい」」

 

流石の2人もコレには大人しく従うしかないと判断したのか素直に頷き話を始める。

 

鉛筆戦士から語られるユニークモンスター『墓守のウェザエモン』の情報。1時間かけて全ての説明が終わりそれを聞いたサンラクとカッツォの第一声、それは

 

「「無理ゲーじゃね」」

 

であった。

 

「そう『墓守のウェザエモン』はHPの全損で倒せる様に出来てない」

 

しかし、鉛筆戦士はそんな2人に頷き話す。

 

「つまり、その『墓守のウェザエモン』は…」

 

「うん、間違いなく『特殊勝利系』のモンスターだよ」

 

『特殊勝利系』イベント戦闘等で見られることの多いHPを0にして相手を倒すのではなく、別の条件を達成する事で勝利となる相手の事。

 

鉛筆戦士の話しを聞いた2人も予想はしていたが鉛筆戦士本人の口からそれが告げられたことにより確定となった。

 

「まぁ、こんだけ理不尽な性能してりゃそうなるわな」

 

鉛筆戦士のセリフにそう言いながらサンラクは自身の前に広げられた本を指さす。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そこには『墓守のウェザエモン』の情報が記されておりこう記されている。

 

『墓守のウェザエモンはNPC遠き日のセツナから受ける事が出来るユニークシナリオEX「此岸より彼岸へ愛を込めて」を受注する事で戦うことが出来る。

 

ウェザエモンのレベルは200。戦闘開始時に此方は全員レベルを50に下げられレベル差150の戦闘を余儀なくされる。

 

ウェザエモンが戦闘中に使用する技は6つ。

 

「断風」

発生1フレーム疑惑のある神速の居合。ガード貫通性能があり、予備動作で見切り回避しなければならない。喰らえば死ぬ。

 

「雷鐘」

大太刀を天に掲げ、広範囲に落雷を落とす。1秒間に即死級の5発の落雷が5秒続きヘイトが分散していればいるほど規模が大きくなる。

喰らえば死ぬ。

 

「入道雲」

大太刀を持っていない手で雲を作り出し前方を薙ぎ払う。手より上と背後が安全地帯。

喰らえば死ぬ。

 

「大時化」

大太刀を装備していない時に使用する掴みからの投げ技。相手の重量によって威力が変化する。喰らえば死ぬ。

 

「火砕龍」

大太刀を地面に突き刺し、地割れから龍型の炎を繰り出す。ヘイトが3人以上向いている際に使用され、一人が狙われる。

喰らえば死ぬ

 

「灰吹雪」

火砕龍とワンセットで繰り出される技。火砕龍によって作られた黒雲が、火柱が発生した地点を中心に半径5mの範囲をとぐろを巻く蛇の如く包囲する。

喰らえば死ぬ。

 

また、この技以外にも「麒麟」と呼ばれる馬の形をしたゴーレムが存在し戦闘開始から10分が経過すると出現する。この麒麟とウェザエモンが合体してしまうと手が付けられない。その時点で終わり。

 

麒麟は上に乗り『振り落としモーション』を発生させてしまえば合体を回避出来る。』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「全く、理不尽極まりないねぇ」

 

サンラク同様に本に目を通していたカッツォもそう言い肩をすくめた。

 

「君達でも無理?」

 

そんな2人に鉛筆戦士はニヤリと笑ってそう言う。あからさまな挑発だがサンラクとカッツォは笑い

 

「まさか」

 

「むしろヤル気になったね」

 

そう答えた。

 

「君達ならそう言うと思ったよ」

 

2人の答えに鉛筆戦士も笑うがそんな中、サンラクが手を挙げた。

 

「なぁ、この戦いなんだけよ。俺から一人、参加させたいヤツがいるんだけど…参加させていいか?」

 

「『参加させたい』って…サンラク君、それどう言う事かわかってるの?」

 

サンラクのセリフに鉛筆戦士は目を細めてそう言う。ユニークモンスターの情報は『シャングリラ・フロンティア』に置いて莫大な価値がある。戦いに参加を求めると言う事は情報をそのプレイヤーに開示しなければならないと言うこと

 

『情報は何もあげないけど強敵との戦いに参加してください』

 

と言って参加してくれるプレイヤーなんて存在しない。だからこそ鉛筆戦士は此処「ユナイト・ラウンズ」で話し合いをしているのだ。

 

だが

 

「大丈夫だ。ソイツは『強敵』と戦えるならどんな条件でも頷くヤツだ。それに彼奴は強敵を前に心が折れる様なヤワな奴じゃない。それに腕ならあるぞ。俺とカッツォがまだ一回も勝ったことがないプレイヤーだ」

 

サンラクは例外を知っている。

 

自身がよく知る彼奴は『戦い』に飢えている。そして、何より頼りになるヤツだという事を。

 

「!!」

 

「もしかして……」

 

サンラクのセリフに鉛筆戦士は目を見開きカッツォは苦虫を噛み潰したような表情でそう呟く。

 

「そんなプレイヤーがいるの?いたら相当な有名人のはずでしょ?」

 

鉛筆戦士は「ありえない」と顔に出しながらそう言う。それもそのはずカッツォの中身は、日本で最強のプロゲーマーである「魚臣慧」だ。そんなプロゲーマーをして『一回も勝てない』なんて冗談にも程がある。

 

「いるんだよ、ムカつくけどね。まだ、高校生の癖に馬鹿みたいに強いヤツが」

 

だが、そんな鉛筆戦士の疑念はカッツォ本人のセリフでかき消された。

 

「高校生?」

 

「そう、サンラクの双子の実弟。プロゲーマーになったらまず間違いなくその年には『世界最強の格ゲーマー』になるゲーマーだよ」

 

困惑顔をする鉛筆戦士にカッツォは嫌そうな顔でそう言う。日本最強のプロゲーマーがそこまで言う存在。

 

(参加させたい、でも……)

 

「……………………………………わかった。サンラク君、その双子の弟君に話しを持ちかけてみて、それと実際にその子の強さを見たいから今何処にいるのかも教えて」

 

悩んだ末に鉛筆戦士は頷きサンラクにそう言った。鉛筆戦士のセリフにサンラクは「あいよ」と応える。

 

「まぁ、彼奴もリュカオーンにやられて呪いを刻まれたみたいだからまだセカンディルにいると思うぞ」

 

そして何気なく爆弾を落とすと鉛筆戦士やカッツォの反応を待たずして「ユナイト・ラウンズ」からログアウトした。

 

「彼奴今、なんて言ってた?」

 

「聞き流せない事言ってたねぇ……」

 

そして、取り残された2人は目の色を変えてそう呟いたのだった。

 

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