あと、アンケートやってます。是非答えてください。話のネタになりますので
朝5時、俺は道場から家までの道のりを走っていた。
サードレマに入る前に起きた
ちゃんと裏路地で消えたので誰も分からないはずだが俺はそのままログアウトし日常生活に戻った。
何故、朝帰りになっているかと言うと道場での修行に熱が入りすぎた結果いつの間にかぶっ倒れて寝ており師匠の家に泊まったからだ。
「鍵持って出るの忘れたんだよなぁ。開いてるかな玄関……」
今回みたいな事はよくある話(よくあるではない)なので朱璃さんから母さんに電話は入れてくれているらしいが最悪な事に家の鍵がない。父さんが早くから釣りに行ったりしていれば開いているが最悪の場合は壁を登って楽の部屋の窓から入るしかない。
「スマホはあるから連絡して窓開けてもらうか」
走っているうちに遠目に我が家が見えてきた。最後のダッシュを開始して玄関に突っ込む。取手を掴んで引くが扉は閉まっており、全力ダッシュからのクライミングが確定してしまった。
「やるかぁ〜」
裏庭に回って手首を解し小窓の突起に指をかけて身体を上に引く。1階から2階へ3分程かけて登った俺はスマホで楽に連絡を入れた。
「何やってんだよ、遊」
少しすると窓が開けられ楽の小言が聞こえた。
「うるせぇ、察しろ」
「お前が泥棒予備軍って事をか」
「馬鹿、自分の家に泥棒する奴がどこにいる」
「世界の何処か」
「馬鹿」
いつもの調子で小言を言い合いながら家に入れてもらった俺は風呂に入る為に部屋から出ようとしたが楽が待ったをかけた
「そうだ遊、シャンフロに2週間後、大型アプデが入るのは知ってるか?」
「そうなのか?知らんかった」
話を振ってきた楽にドアの取手から手を離してそう応える。
「そんでだ、前に言った『墓守のウェザエモン』の討伐をそのアプデの日にする事になった。それに先駆けて一回討伐に参加する面子に顔合わせをしたい。鉛筆………いや、シャンフロではペンシルゴンか、その仲間から都合がいい日に連絡が来る予定だからシャンフロにはなるべくログインしててくれ」
「了解。まぁ、言われなくともユニーク進めるためにログインしてるから大丈夫だよ」
「貴様…それはユニークを一つしか発見できてない俺に対する嫌味か?部屋から叩き出すぞ」
「ナニイッテルンダ、ソンナワケナイダロウ」
「カタコトじゃねぇか!つか早っ!もう居ねぇし!!」
俺のカタコト返事に対する楽の叫びを背後に部屋から逃げた俺は風呂場に直行した。
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「おしっ、今日もシャンフロ始めますか!」
「やる気が漲ってますわね、ユウヒさん」
「おう、ミュウラ。実は楽しみなイベントが近づいてきててな。少しテンションが高いんだ」
「イベント?」
「あぁ、強敵との戦いさ」
「まぁ、それは素晴らしいですね!」
シャワーと朝飯を済ませた俺はシャンフロにログインした俺はミュウラを肩に乗せて話す。俺が墓守のウェザエモンと戦えるかはまだ分からないが俺自身は戦う気満々なので相手の名前は伏せつつそう言う。
「それで?今日はどうされますか?」
「そうだな…このアイテムを集めたいと思ってる」
ミュウラの質問に答えつつウィンドウを表示してユニークシナリオ「志し持つは蒐集者」にて黄金石の墓石の加工に必要な6つのアイテムを確認する。
「名前の感じからして上2つの『閃光結晶の花弁』と『往年の輝苔』は植物が生い茂ると言う千紫万紅の樹海窟にありそうなんだがそれ以外がなぁ…」
上2つがサードレマから進むことが出来る3つのエリアの一つと繋がりが有りそうなので何となく他の4つも千紫万紅の樹海窟以外の2つ『神代の鐡遺跡』と『栄古斉衰の死火口湖』に有りそうな気がするのだがエリアの何処にあるのかが分からない。
悩みながら首を捻っていると
「そう言えばお父様から宝石の花と輝く苔のお話を聞いたことがあります」
ミュウラがそう言ってきた。
「マジか」
「マジです」
驚きで素のトーンしか出なかったが内心はめちゃくちゃ驚いている。まさか、こんな所にヒントがあるとは
「それで、師匠の話ってどういう感じだった?」
「はい、私が聞いたのは正確には昔話で内容は……」
ミュウラは俺の質問に記憶を手繰り寄せるようにして話し始めた。
「『昔も昔、大きな1本の樹木から作られた大地に一際輝く苔と一輪の花があったそうだ。その輝きは辺りを照らし、他の木や花、生き物たちの生きる源となった。だが、生きる源を自分のモノにしようと1匹の虫が現れやがった。その虫は輝く花が咲く場所に己の巣を造りその場所を占領しちまった。これは不味いと他の生き物達はその虫を倒そうとしたが、その虫の強いのなんの。大空を飛び回り、相手を突き刺し自分に挑んだ全ての敵を倒しちまった。だが戦いの中、辛うじて光る苔の一部を持ち帰った勇敢なヤツがいやがった。ソイツはその苔を一番デカイ樹のてっぺんに埋めてその光を隠した。その後、その樹は更に大きくなり、1匹の虫に独り占めされた花は最強の独裁者に支配されながら、その輝きと芳醇な蜜を溜めてその場に残ったそうだ。めでたしめでたし』………と言うのがお父様が話してくれた昔話ですわ。他にも色々ありましたが何分昔の事なので今思い出せるのはこれだけですわ」
「なるほど……サンキュー、ミュウラ。お前のおかげで答えがわかったぜ」
「ほ、本当ですか!?」
「あぁ、本当さ。その昔話が実際に会った出来事なら見つけられそうだ」
ヴァッシュ師匠の昔話を聞いてそう言った俺は驚くミュウラにサードレマへのゲートを開けてもらい千紫万紅の樹海窟を目指して進む事にした。
「あの親子が言うには難易度は高めみたいだからな、マナ・ポーションとポーション、後は虫がいるなら毒消しも買っておこう」
アイテムゲットの為に必要になりそうなものをリストアップして道具屋へと歩く。ログイン前にサンラクが言っていた内容を考えるに2週間後までに終わらせられる事は終わらせた方が良いだろう。もう1つのユニークシナリオ「兎の国からの招待」の攻略もある。サクサクと進まなければ時間が無くなってしまう。
「よし、急ぐか!」
自分に気合いを入れるためにそう口にして俺は走り出した。
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「おぉ…!!此処が『千紫万紅の樹海窟』か!」
サードレマを出た俺は街道を進み辿り着いた千紫万紅の樹海窟で目の前に広が光景にそう声を上げた。
名前の通り目の前には千の紫色の花と万の紅色の花が咲き乱れている。それ以外にも宙を舞う蝶のモンスター「ストレージパピヨン」や蜂のモンスター「エンパイアビー・ワーカー」、背中に花を咲かせた蟷螂「ミミクリー・マンティス」、カブトクワガタみたいな甲虫のモンスター「クアッドビートル」等が視界に入っている。
「モンスターの名前とか遠目でもちゃんと表示されるんだな。流石はシャンフロだ」
光景とシステムに感心してそう呟くと俺の斜め上をストレージパピヨンがヒラヒラと腹に蜜のような液体を溜めて飛んできた。
「そんな無防備に腹を晒しやがって…そんなに俺に蜜を献上したいのか?」
「ユウヒさん!?」
インベントリから湖沼の翠杖を取り出してそう言い俺は飛び上がった。
急に飛んだ俺にミュウラは驚いた様だが一先ずはそれを無視して俺はストレージパピヨンの羽根を狙って湖沼の翠杖を振るった。
翠杖はストレージパピヨンの羽根に当たりストレージパピヨンをポリゴン塊に変える。消滅の際に腹溜まっていた蜜を袋ごと落として行ったが、俺は近くにあった枝を足場に飛んで落ちる蜜袋をキャッチした。
「流石です、ユウヒさん!」
「おう、楽勝だったぜ」
嬉しそうに笑って手を叩くミュウラにそう応えて蜜袋をインベントリに入れ歩く。ミュウラの話してくれた昔話から察するにこのエリアの一番高い場所に『往年の輝苔』があり、花を独占したモンスター、話しの内容的に蜂型のモンスターの巣がある場所に『閃光結晶の花弁』があるはずだそれを探さなければならない。
考えはある。まぁ、言ったら馬鹿にされそうな思考だけど。
「ミュウラ、此処のエリアボスってどんなヤツだ?」
考えを実行に移すためにミュウラにそう訪ねた。実はネットで調べてはきたが確証を得るならミュウラにも聞いた方がいいだろう。
「此処のエリアボスは『クラウン・スパイダー』ですわね」
「そうか…やっぱり蜘蛛のモンスターか」
ミュウラのセリフで確証を得た俺はそう呟きミュウラに話しかけた。
「よし、ミュウラ!作戦実行の為にエリアボスを倒しに行くぞ!」
「はい!」
俺のセリフにミュウラは元気にそう応え俺はミュウラを肩に乗せてエリアボスがいる場所へと走っていった。
ちなみに、ユウヒは花弁と輝苔の情報をミュウラから簡単に入手してましたが一般プレイヤーが入手しようとした場合、サードレマにある花屋に通いつめてレアNPCである花屋先代店主であるご夫人を出現させないといけません。