戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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文の書き方を試行錯誤してます。変なところがあるかもしれません。



戦闘狂、理想郷に立つ

「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァッ」

 

学校が終わり俺と楽郎は走っていた。昨日の母さんの一言で10数年間生きてきて初めて兄弟で同じゲームを買う事を決めた俺達はゲームショップ「ロックロール」に向かっていた。

 

「んで、昨日ネット漁って何か良さげなクソゲー見つかったのかっ?」

 

走りながら俺は少し大きな声で楽郎にそう尋ねる。しかし、楽郎から返事は帰ってこない。少しすると信号に引っかかり俺は足を止めた。そして、後ろを振り返り"楽郎が来るのを待つ"。

 

「ちょ、ちょっと、ちょっと待て遊仁……。お、お前、足、早すぎる………。少し、休憩っ」

 

少しすると、息も絶え絶えの楽郎が今にも吐きそうな顔でやって来た。

 

「んだよだらしねぇな。そんなに早く走ってねぇだろうがよ」

 

「ふざ、けんなよっ、運動バカがっ……。コッチは、早く動けんのが、ゲーム内、だけのっ、一般人なんだよ。お、お前と、一緒にすんなっ」

 

俺のセリフに楽郎はそう言い返してくるがいつものキレがない。俺は鞄からペットボトルのお茶を出して楽郎に渡すと信号もちょうど青になり俺達は歩いて横断歩道を渡る。

 

「まったくよ〜、早く行こうぜとか言うから走ったのに、ほんとに双子か?体力なさすぎだろ」

 

「それっ……双子関係ねぇ……」

 

俺のセリフが気に食わなかったのか少しキレ気味にそう言う楽郎はお茶を飲み終えるとペットボトルを近くにあったゴミ箱に捨てるとスマホを俺に見せてきた。

 

「なにこれ?」

 

「昨日探した俺たちがまだプレイした事の無いクソゲー」

 

画面を見てそう言う俺にやっと呼吸が落ち着いた楽郎がそう応えた。

 

「『アークナイト・ソルジャーズ』フェアクソと同じくネットでの評価が最低最悪のゲームだ。まぁ、フェアクソの方がコメ欄が荒れてたから俺はフェアクソを買ったんだが、コレでも良いかと思ってさ。バトルあり、ストーリーありのクソゲーだから俺たちの条件をそれぞれ満たせるだろ?」

 

「確かに、このゲームはやった事ないな。にしても、このゲームも相当酷い事書かれてんな。フェアクソといい勝負してんじゃん」

 

「だろ?俺達にピッタリだよな」

 

『アークナイト・ソルジャーズ』の名前で検索し評価の欄を見た俺は思わず笑った。あのフェアクソに負けず劣らずの評価にコメ欄の荒れ方。紛うことなきクソゲーだ。確かに楽郎の言う通り俺達にピッタリのゲームだ。今から楽しみになってきた。そんなこんなしているうちにロックロールまで辿り着いた俺達は店の自動ドアを通り店内に入った。

 

「あら、いらっしゃい楽郎君。おや珍しい、今日は、遊仁君も一緒なんだね」

 

店に入った俺達をそう言って迎えてくれたのはこの店の店長である岩巻真奈さん。ゲームショップの店長だけあってこの人もゲーマー(偏見)であり俺はプレイしないが恋愛ゲームガチ勢であり時々それが理由で店を臨時休業させる店長である。

 

「お久しぶりです、真奈さん。どうかしました?」

 

久しぶりの来店という事もあり俺がそう言うと真奈さんは店内を何かを探す様に見回していた。

 

「なんでもないよ。しかし、遊仁君本当に久しぶりだね〜。楽郎君と一緒って事は新しいゲームを探しに来たの?」

 

「はい、実はフェアクソをクリアしたんですけどその後に、言い争いになってどっちがプレイヤーとして上か新しいゲームで決めようって話になったんです」

 

「へぇ〜やっぱり男の子だねぇ。……てゆうか2人とも、もうフェアクソをクリアしたの?」

 

俺達がゲームをシェアしていることを知っている真奈さんは俺の話しを聞いて驚いた様子でそう聞いてくる。俺と楽郎はそんな真奈さんに親指を立てて

 

「「当然!やってやりましたよ!」」

 

そう応えた。

 

「凄い!それでどうだった?」

 

「最っ高にクソでした!!」

 

「真のクソゲーでした!!」

 

「へぇ〜そっか、そんなにクソなクソゲーをクリアしたばかりなのにもう次をお求めとは……やっぱり君達双子だね」

 

フェアクソの感想を言って笑う俺と楽郎に真奈さんはそう言う。真奈さんのセリフに俺達はなんとも言えない表情になるが俺はすぐに表情を元に戻すと真奈さんに『アークナイト・ソルジャーズ』の在庫があるかを尋ねた。

 

しかし

 

「あ〜そのゲームはうちでは取り扱ってないねぇ。3ヶ月前に売れた後入荷してないや」

 

真奈さんのこのセリフと共に俺達は崩れ落ちた。

 

「え、そんなにプレイしたかったの?」

 

俺達の反応に真奈さんは若干引いた様子でそう言ってくる。

 

「はい、『アークナイト・ソルジャーズ』は今までプレイしたことが無い上に、あの極みに極まったフェアクソと同格って話だったんで、結構楽しみにしてたんです」

 

「俺と遊仁がやった事のないバトルとストーリー要素がちゃんとしてるクソゲーってアークソしかなくて……これじゃ決着つけられないな……」

 

真奈さんにそう答えつつ立ち上がった俺達は昨日と同じく首を傾げて考え込む。正直、ここにはあると思い込んでいたのもあってそれなりにショックだ。それは、楽郎も同じなようで表情を見れば考えている事がわかる。

 

「んー、それじゃあさコレはどうかな?」

 

すると、真奈さんは俺と楽郎にあるゲームを渡してきた。そして、パッケージを見た俺達は呟く。

 

「コレって…」

 

「神ゲーの名を欲しいままにしてる…」

 

「そっ、良いものを良いと思えるのは、悪いものを知っているから。逆もまた然り。登録者数3千万人のフルダイプ型VRゲーム『シャングリラ・フロンティア』……たまには大衆向けに触れるのも一興かもよ?」

 

そして、俺達の呟きを聞いた真奈さんはカウンターの壁に貼られているポスターを指さししてそう言った。

 

「クソゲーの対極…」

 

「誰もが認める神ゲー、か…」

 

真奈さんのセリフに俺達はそう呟くと顔を見合わせる。言葉を交わさずとも表情を見れば何を言いたいかわかる。俺達は頷くとシャングリラ・フロンティアを購入した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

ロックロールでシャングリラ・フロンティアを購入した俺達は家に帰ると早速プレイを始めた。

VRヘッドギアを付けてベッドに横になる。視界が現実世界からSFチックな空間に切り替わると「新規キャラクター作成」の文字が空間に現れた。

 

新しいゲームを始める時のお決まりの流れだが、自らの分身を作り上げる工程なだけあってこの時間はいつもドキドキする。

 

「よし、まずは職業から決めていくか。……おいおい、どんだけ数あんだよ多すぎるだろ…。フェアクソは選ぶ余地なんて皆無だったぞ」

 

職業設定の欄に並ぶ数に圧倒されながらスクロールして行く。それにしても、本当に数が多い。全て見るには数分はかかりそうだ。

どうやらシャンフロは同じ職業でも使う武器によって更に細分化されているようだ。

 

「俺と相性がいいのは戦士か闘士、修行僧辺りだが…普段あんまり使わない剣を使うのもありだな、となると剣士か……あ〜多すぎて迷うなぁ」

 

ネットの情報を見るにかなり自由度の高いゲームであるシャンフロは職業選択の自由がちゃんと保証されているようだ。前衛職から中衛、後衛職まで幅広く選択の自由があり色んな職業をやってみたいが俺は前衛職から職業を探している。理由は勿論、近接戦闘が好きだからだ。しかし、前衛から探すのを決めたは良いが問題が1つ出てきた。

 

「ほぼほぼ、教わった事のある武器だからな…善し悪しがわかっている分選びにくい……」

 

そう、前衛職で登録されている職業のほとんどが師匠の元で扱った事のある武器なのだ。武道を修める者としての性かゲームなのに現実的な事を考えてしまう。

 

「いかんいかんっ、これはゲームだ。『やられたら殺られる』の現実じゃない。興味があるものから選んでいけばいいんだ」

 

余分な思考を追い出すために頭を振り自分にそう言い聞かせる。そして、興味が湧く職業がないか探していると

 

「あっ……」

 

傭兵の項目にソレを見つけた。

 

「傭兵(杖)…魔法職ではない前衛戦闘職としての『杖』。つまりは『棒術』か。そう言えば、棒術は習っただけであんまり使った事はなかったな……。よっしゃ、これにするか!」

 

目に留まり興味が湧いた。棒術を扱いシャンフロ世界を駆ける自分を想像してワクワクした。理由はそれだけ。でも、十分だ。

 

「よしっ職業が決まったし次は出身だな。見た目は後にしてまずはコッチだ。……うわ、出身も多いな。どれどれ」

 

職業が決まれば次は出身を選ぶ時間だ。だが、これも数が多く時間がかかりそうだ。しかし、俺はすぐに自分にあった出身に見つける事が出来た。

 

「『彷徨う者』。防御は上がりづらいが幸運に補正が入る。師匠も『運』は鍛えられないから大事にしろって言ってたしな…。コレに決まり!」

 

『運』の力は馬鹿にできない。鍛えることの出来ないソレに負ける事も有れば救われて勝利を掴む事が出来ることもある。師匠に散々言われた事だがシャンフロは運を上げたりアイテムで補正をかけたりが出来る。俺の心情としては「運」は実力で掴むモノなので「運が悪くて負けた」等は嫌いなのだが、とにかく補正が入り少しでも運が良くなるならそれが良い。

 

「次はキャラメイクだな。つってもここは悩む要素がねぇんだよな。結局、自分の身体が一番使いやすいんだから身長と体型はまんまでOK。次は、顔と髪か…。容姿は少しだけ弄って髪は水色のハーフアップにしよう。水色なんて学生だからできねぇしな。顔はアクセサリーで隠せばいいだろ」

 

体型、容姿を始めその他諸々も決め初期装備たる服も決める。蛮族的な服やチャイナ服、魔法使いのような服、色々あるが俺は中華風のシンプルな白い道着を選んだ最後に名前を「ユウヒ」にして準備完了。

 

「よし…、じゃあ満を持して行きますか」

 

キャラクターを設定しシャンフロにログインする。『Welcome to SHANGRI-LAFRONTIER』の音声と共に視界か光に包まれた。あまりの眩しさに目を閉じてしまう。

 

そして

 

「お、おぉー!!」

 

再び目を開けるとそこには広い広い大自然が広がっていた。

 




誤字脱字があったらお願いします。

人物紹介の武器説明の部分を変更してます。
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