木々で作られた洞窟を進み一際明るい場所に出た。そこには宝石の様に輝く8枚の花弁を持った巨大な美しい花が咲いており、壁にも色とりどりに光る苔が自生している。
とても美しい空間。ゲームでここまで美しい光景を見たのは初めて、そう言いきっても良い程にこの場所は美しいかった。
黄金の翅と3本の巨大な針で武装した大雀蜂のようなモンスターがいなければ本当に完璧な空間だった。
俺の横を黄金に輝く
「はははっ……」
避けるのが精一杯の速さに思わず乾いた笑い声が出てしまった。それ程までにこのモンスターは強いのだ。
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レアエネミー
ゴールデン・エンパイア・ビーキング
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それがこの空間とあの輝く花を支配しているモンスターだ。ミュウラは入ってきた入口に隠れて貰っている。
今までどのモンスターと戦っていてもミュウラには見てもらっているだけだった。俺にヘイトを完全に向けることでミュウラを守っていたしそれが出来ていた。
だが、此奴は違う。何時でもミュウラを狙える。守って戦うなんてしていたら殺られる。最初の一撃を躱した時にそう思った。
そして、現状俺はスキルを使っても此奴の突撃を躱すことで精一杯になっていた。
(クソっ、既に回避系のスキルは使い切っちまった。リキャストが終わるまでチンタラやってる暇もねぇってのに)
心の中で舌打ちをして魔法を使う。
「STポイントを割り振って強化したんだ。この力でお前を倒す!」
「『纏い、轟け』『纏い、轟け』」
スキル「圧縮詠唱」と「短縮詠唱」を使い合計で6回の詠唱を2回で終わらせる。
AGIとSTRが向上する。ビーキングは再び俺に最速で真っ直ぐ突撃してくるが纏雷の重ねがけで上がったAGIで躱し、STRの向上で軽く取り回しが出来るようになった致命の闘杖でビーキングにギリギリでカウンターを入れることが出来た。
(今のステイタスに纏雷6回でもこれか)
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レベル37
体力 30 魔力 120
スタミナ 110
筋力 50 敏捷 92
器用 60 技量 15
耐久力 26(+18) 幸運 30
STポイント0
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これが今のユウヒのステイタスである。耐久力の上昇を捨て魔力、敏捷、筋力、器用を上げ技量は扱う武器を限定する事で後回しにしている。
ユウヒが扱えるただ1つの魔法「纏雷」は魔力が120になった事により最大回数の使用が可能になった。上がった敏捷に更に纏雷を使ってもギリギリになった事に驚きつつも行動を止めない。
(このモンスターは敏捷と耐久力に特化したモンスターだ。攻撃手段は最速の突撃に3つの針での突き刺し。行動の速さでこの2つの攻撃手段を最大限活かし俺と戦っている)
進む速さと距離をとる速さ、突き刺す速さ。攻撃手段は少ないが自力の高さでそれを補っている。
(つーか、こんな序盤で出てきていいモンスターじゃないだろ!!速すぎる!!)
ビーキングにまたカウンターを入れながら受けに徹している状況に舌打ちする。
(こんだけ受けに回っても毒を使ってこない…使えないのか、使わないのか、ハッキリしないな)
受けに回っていても仕方がないユウヒは決心して魔法の詠唱を始めた。
「『纏い、轟け』『纏い、轟け』『纏い、轟け』『纏い、轟け』」
合計10回の重ねがけユウヒの敏捷がビーキングに追いつき始める。
そして
「行くぞ!」
敏捷で追いつき始めた事でユウヒはちゃんとした反撃が可能となった。そして、戦闘開始から約1分が経ち最初に使い切った回避系のスキルのリキャストタイムが全て終了する。
(追いつき始めた速度、終わったリキャスト、攻撃を始めても大丈夫だな)
「『纏い、轟け』『纏い、轟け』『纏い、轟け』『纏い、轟け』『纏い、轟け』」
合計15回の重ねがけユウヒの敏捷がビーキングの敏捷を僅かに上回った。
「待てよ!!」
壁面を足場に壁から壁へ、空中にいるビーキングに接近し致命の闘杖で殴る。
ビーキングは黄金で作られた翅でユウヒの攻撃から身を守るがその分、行動と速さが落ちる。ユウヒも攻撃により止まったことで落下が始まるが纏雷で上がった敏捷とスキル「三連撃」で僅かな間にもダメージを入れる。
ビーキングはレベルがMAXまで上がった三連撃のダメージに苦しみユウヒは足が地面に着いた瞬間に走り出すことで落下ダメージを少なくしまた加速しだした。
壁へと走り壁面を使い接近する。スキル「ジャンピングストライド」で瞬間の敏捷を上げ先程よりも少し速く接近して攻撃に繋げる。
しかし
ビーキングは猛スピードでその場から引くとユウヒから距離を取りユウヒが壁に足を着く瞬間を狙って突撃してきた。
「『見切り』!!」
ユウヒはビーキングの突撃を土壇場の回避スキルで躱し壁に跳ぶ。
(あっぶねぇ!!間に合わなかったら死んでた!!)
内心冷や汗ダラダラだったが一瞬で気持ちを切り替えて攻撃する。翅の付け根と胴回り、関節部にも攻撃が当たりクリティカルが発生する。致命の闘杖の効果でクリティカル攻撃にダメージ補正が入りビーキングを苦しめる。更に纏雷の麻痺効果がビーキングのデバフ耐性を貫通しその身体を痺れさせる。
そして、スキル「圧縮詠唱」と「短縮詠唱」のリキャストタイムが終了した。
(最大回数で仕留める!!)
「『纏い、轟け』『纏い、轟け』」
合計で20回の重ねがけユウヒの身体に雷光が弾け動きが一気に速くなる。
「み、見えません」
隠れて見ていたミュウラがそう呟くがユウヒの耳には入らない。痺れて動きが鈍ったビーキングはユウヒの行動を捉えきれず殴られ続ける。
纏雷の麻痺効果が重ねられ更に動きが鈍る。
この上ないチャンスがユウヒに訪れている。だが
(耐久力が高すぎねぇか!?)
自身の最速での突撃、壁に身体を強打してもノーダメージを実現していた耐久力が撃破を阻む。
「クソがっ!!」
上から打撃を加え地上に落とし自身も壁を使い地上に降りる。スキル「インパクトステップ」と「ジャンピングストライド」で更に速く接近、「三段蹴り」「浸透打ち」「表壊打ち」「掴み討ち」打撃の威力に補正がかかるスキルを総動員し更に致命の闘杖の効果もフルに発揮し殴り続ける。
(行ける!)
打撃の雨を降らせ勝利を確信した。
その時だった。
バキッ
ゴールデン・エンパイア・ビーキングの身体を構成していた黄金が
そして、更に音を立てて黄金が剥がれその中から何かが飛び出した。
「は?」
捨て置かれた黄金の外殻を見つめるユウヒの口から間の抜けた声が漏れる。
「嘘だろ……」
そして、上を見あげホバリングしているビーキングを見てそう呟いた。
それはビーキングの
ユウヒは外殻を外したビーキングの姿から耐久力が著しく低下したのを理解していた。最大回数まで重ねた纏雷。上がりきった敏捷でなら回避出来る。
(そのまま地面に激突させる)
迫る相手を引き付けギリギリで躱し狙い通り地面に撃破させる。ハズだった。
ビーキングは地面に激突する直前に急停止すると上に飛んだ。100から0、0から100その切り替えの滑らかさ。正しく「最強の独裁者」その名を冠するに相応しい力だった。
「いいんじゃない?」
その力にユウヒの口が歪む。
ユウヒは致命の闘杖を構える。
(最速で突っ込んできた所をクリティカルのカウンターで殺る)
上がりきった集中力でビーキングを待ち数秒が経つ。
ビーキングは自身を脅かす敵を殺す為装備した針先を向けて突っ込んだ。
一瞬
ビーキングが一瞬でユウヒの間合いに入ってくる。しかし、ユウヒはその瞬間にビーキングの胸に針先が自身に届くより先に致命の闘杖を打ち込んだ。
レベルMAXまで上がったスキル「一点打ち」で心臓部を打つ。クリティカルが発生しスキルと 致命の闘杖の効果で補正された攻撃力がビーキングを貫く。
断末魔を上げることなくビーキングはポリゴン塊になりユウヒの耳に撃破とレベルアップのSEが届いた。
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「し、心配しました…すごく心配しました……」
「悪かった。だが、こうして生き残ったんだ。それを喜ぶべきだよ」
ビーキングとの戦闘を終えスタミナとMPを回復している俺はもう何度目かも分からないミュウラのセリフにそう返した。
「私、ビーキングが脱皮した時、もうダメだと思いました」
「あ〜、アレは俺も驚いた。まさか、あんな姿になるとはな」
ミュウラはまだ泣き続けているが俺はそう言うとスタミナとMPが全快したのを確認し奴が独占していた花の方へと歩き出した。
ミュウラも俺の肩に飛び乗り花の方へと近づいて行く。
戦闘開始から終わりまで輝き続けた花はその美しさに影を出すことは無かった。
「1枚、貰っていきます」
戦いを見守った花にそう言い花弁を1枚採取する。すると、無くなった花弁が一瞬で再生しSEが響いた。
『称号【輝きを取り戻す者】を獲得しました』
『称号【支配者を倒す者】を獲得しました』
『称号【植物を労る者】を獲得しました』
『神味の花蜜を獲得しました』
『ユニークシナリオ【志し持つは蒐集者】が進行しました』
目の前に幾つものウィンドウが現れ称号の獲得とシナリオの進行を教えてくれる。
「やったな」
「やりました!」
俺とミュウラはハイタッチを交わして笑ったのだった。
ちなドロップアイテムはゲットしてます。
『ゴールデン・エンパイア・ビーキングの毒針』
『ゴールデン・エンパイア・ビーキングの外殻』
『ゴールデン・エンパイア・ビーキングの紫毒』
『ゴールデン・エンパイア・ビーキングの心筋』
『ゴールデン・エンパイア・ビーキングの貴蜜』
の5つです。