戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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栄と死・其ノ壱

「さてと…どうするかな」

 

対ウェザエモン戦の作戦会議を蛇の林檎で行った後、メールバードで連絡をとったミュウラにゲートを作ってもらいラビッツへ帰ってきていた。

 

「何をお悩みなのですか?」

 

マップを表示し首を傾げる俺に肩口からミュウラがそう問いかけてくる。

 

「あの親子と約束したアイテムの入手。残り4つのどれを攻めるべきか悩んでてな…勘だけど残りは『栄古斉衰の死火口湖』と『神代の鐡遺跡』にあると思うんだ。だが、どこから行くべきか……」

 

サードレマからは何方も行けるので結局行くことにはなるがウェザエモン戦やヴァッシュ師匠との約束もある。全部集めるとまでは行かなくとも半分は集めておきたい。

 

「何かヒントでもあればいいんだがな…」

 

集めるアイテムの名前はわかっても何処にあるか、どうすればゲット出来るかがハッキリしないので動けない。

 

「そう言えば今日は兎御殿にお父様がいらっしゃいますわ」

 

マップを前に唸っているとそんな俺を見かねてかミュウラがそれを教えてくれた。

 

「本当か!?」

 

「はい、ユウヒさんの探しているアイテムが何に使われるかは分かりませんが、前回の植物の時はお父様の昔話が当たっていましたから残りのアイテムのヒントもお父様が持っていらっしゃるかもしれません」

 

ミュウラの言葉に俺は沸き立った。確かにヴァッシュ師匠なら何か知っているかもしれない。早速、俺はミュウラに師匠の居場所を聞き出し師匠の元まで走っていった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「師匠、ユウヒです。失礼してもよろしいでしょうか?」

 

兎御殿を走りその最上階に辿り着いた俺は襖の向こうにいるであろう師匠にそう声をかけた。部屋の中から「おう、入れ」と返事が返ってきたのを聞いて襖を開け中に入る。

 

「おめぇさんが俺等を直々に訪ねるなんて珍しいな。何の用だい?」

 

中に入れば初めて会った時のような威圧感を放つ師匠が煙管を吹かしており俺は師匠に頭を下げ要件を話し始めた。

 

「師匠、お願いがあります」

 

「願い…?」

 

「はい、どうか師匠の知恵をお借りしたいのです」

 

「俺等の知恵だと?」

 

頭を下げているので判別出来ないが空気が変わったのを感じる。俺の隣にいるミュウラもそれを感じたのか少し震えている。俺が師匠を尋ねた以上、変な事を言う事は出来ない。今必要なのは俺の気持ちを真っ直ぐ乗せて願いを聞き入れてもらうこと

 

「はい、実はあるアイテムを探してまして。全部で6つあるソレの内2つはゲット出来たのですが、残り4つが何処にあるのか、どうゲットするのか分からない状況です。そこで師匠のお知恵をお借りしたく尋ねさせていただきました」

 

「ほう…なんで俺等がおめぇさんが求めるブツの事を知っていると思ったんだい?」

 

「俺が手に入れた2つのアイテム。その在処は昔に師匠がミュウラに話した昔話の中にヒントがありました。なので、師匠ならば、と…」

 

師匠のセリフに応えながらも変わることの無い雰囲気を肌で感じる。師匠の俺に対する好印象はユニークシナリオ「兎の国からの招待」をクリアする上で必須になると俺は考えている。今回のことが影響して好感度が下落すればクリアできるか分からなくなる。

 

(気を緩めるな!!)

 

「おめぇさんは俺等との約束があるはずだ。それと関係のねぇ事柄をやるって事は俺等との約束を反故にするって事かい?」

 

「いいえ、反故にする気は一切ありません。ですが、このアイテムを集める事を俺はある親子と約束しました。その親子を助ける事も……。それを反故にして後悔したくない。俺の我儘に師匠を巻き込む事は申し訳なく思います。ですが、自分を恥じる様な事はしたくありません」

 

師匠にそう応えて俺は数秒間の沈黙が過ぎるのを待った。本心を語ったがコレがダメだった場合俺はどうなるのだろうか。そう思っていた

 

「後悔と自分を恥じる……か。確かに我儘な野郎だ。だが、悪くねぇ答えだ」

 

しかし、師匠はそう言ってくれた。

 

「顔を上げなユウヒ。おめぇさんの捜し物、俺等が知恵を貸してやろうじゃねぇか」

 

「ありがとうございます!」

 

師匠の言葉にそう言い俺は顔を上げた。そして、残りのアイテムが表示されているウィンドウを出して師匠に見せる。

 

「此奴等は……」

 

師匠はウィンドウを確認した瞬間にそう呟いたが少し悩んだ様な仕草をすると俺にある物を送ってきた。

 

「これは?」

 

「俺等が子供達に読み聞かせた昔話だ。それをよく読んでブツを探しに行きな。今のおめぇさんなら必ずゲット出来るはずだ。おめぇさんの言う親子との約束、ちゃんと果たしてこい」

 

ウィンドウに表示されている「重ね旧書(かさねふるきのしょ)」を前に首を傾げてるいると師匠は煙管を吹かしてそう言った。

 

「ありがとうございます!」

 

俺は再度、師匠に頭を下げると部屋を出た。襖を閉めて最上階を後にする。そして、兎御殿の自分の部屋に戻った俺とミュウラは

 

「「緊張した(しました)!」」

 

そう言って息を吐いた。

 

「あの雰囲気はやばかった。何かしくれば一瞬で消されてた…」

 

「私もあんなお父様は初めて見ました」

 

お互いに深呼吸をしてそう言いベッドに横たわる。なんだか凄く疲れた。

 

(こんなに疲れたのはリアルで師匠と本気の殴り合いをした時以来だ……)

 

そんな事を思い出しながら俺はヴァッシュ師匠から貰った「重ね旧書」を表示してタップする。内容が展開された昔話は長く幾つかの物語があるようだった。

 

「この2つ……これは!」

 

「どうしましたか?」

 

スクロールしながら流し見していると気になる物語を見つけ俺は残りのアイテムが記されたウィンドウを表示した。

 

「やっぱり、見ろミュウラ!」

 

そして、俺の態度に首を傾げているミュウラにそう言って2つのウィンドウを見せる。

 

「これは!」

 

そして、ウィンドウを確認したミュウラは俺と同じ顔をしてそう呟いた。

 

俺達が見た物語にはこう記されている。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

かつて10年と言う短い期間だげ栄華を極めた小国があった。その国では人が賑わい、動物が安らぎ、些細な諍いもなく数多の幸福が人々に訪れた。

 

しかし、その幸福と栄華は唐突に終わりを迎えてしまった。

 

その小国を我がものにせんとする大国の王が現れたのだ。大国の王は、自国の更なる発展と栄華の為にその小国を手に入れようとしていた。

 

小国の王は戦う力のない自国とそこに住まう民と動物達の幸福を守ろうと争いを避けて大国の属国となる事を受け入れた。

 

しかし、大国の王はその小国の王とその一族を皆殺しにしてしまった。

 

『皆の者聞け!!この国の王とその一族は我が国の属国になる事を了承しながら我々を殺す計画を立てていた。よって私への反逆罪としこの者達を処刑した!!』

 

広場に集められた民を前に大国の王は声高らかにそう告げた。大国の王は小国の王が気に食わなかったのだ。自国の栄華を望み小国を吸収したは良いものの自国は全く栄ない。その事が気に食わなかったのだ。

 

しかし、小国の王を処刑した事を後に大国の王は深く後悔する。

 

小国の民によって自国が滅んだのだ。小国の民達と動物達は知っていたのだ。私達の王がそんな事をする王ではないと。そして、自国の王を慕い、集い、団結した民と動物達の力は凄まじかった。あっという間に大国は潰され王は討たれた。

 

そして、死の間際に悟ったのだ。

 

『王が国を栄えさせるのではない。王と民が国を栄えさせるのだ。私にはそれがわからなかった。出来ていなかった。それに気づかなかった事が私の間違いなのだ』

 

そして、大国を滅ぼした小国の民達は自分達を愛し、自分達が愛した小国の栄華を一枚の板に記し、自分達を愛した王とその一族の非業の死を宝玉に封じて眠りについた。二度と同じ悲劇を繰り返さないように

 

そして、かつて栄華を極めた小国の場所ではその後、数多の出来事が起こり今は水の底に沈んでいるのだとか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

昔昔の更に昔、全ての存在が大いなる力を持った時代、大きな争いがあった。

 

その中で数多の人々が倒れ数多の記録が破壊された。その時代の力ある者達は集まりこの先の時代について議論を重ねた。

 

そして、幾人かの策と願いを叶える為に2人の人間があるものを作り上げた。

 

一つは、古き記憶を呼び覚まし新たな旅立ちの背を押す神秘の液体。

 

持つ一つは、記憶を思い出し旅立ちの準備が整ったモノをそれに相応しいカタチへと整える物質。

 

これら2つは作り上げた者と願った者の意志を護る為に神代の力が残り場所に隠された。数多の護り手と共に

 

その後、幾人もその2つを求めてその場所を訪れるがその2つは決して見つかる事はなかった。

 

まるで、そのモノ自体が意志を持ったかのように動き回っているのだ。故にそれを見つける為に求める者には幸運が必要なのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「当たりだ!」

 

確認を終えた俺はそう呟いた。他にも幾つか物語があるがこの2つが俺の求めているアイテムを記した物語だろう。

 

「ですが、この物語ではどういうものかは分かっても何処にあるのかが分かりません」

 

テンションが上がりまくっている俺に反してミュウラは首を傾げているが俺はその答えを物語から得ていた。

 

「場所もちゃんと記されてる。『水の底』と『全ての存在が大いなる力を持った時代』この2つがヒントだ。やっぱり、残りの2つは『栄古斉衰の死火口湖』と『神代の鐡遺跡』にあるんだ!」

 

「そうです!『栄古斉衰の死火口湖』は大きな湖があり『神代の鐡遺跡』は神代の力が残る場所です!物語の内容と一致しています!!」

 

俺のセリフでミュウラも察したようで俺と同じくテンションを上げている。

 

「行くぞ、ミュウラ。まずは『栄古斉衰の死火口湖』だ。サードレマに潜水用の装備があったからな。そこから攻めるぞ!!」

 

「はい!!」

 

声高らかにそう宣言し俺とミュウラは部屋を後にしたのだった。

 




ヴァッシュから貰った書。他には何が書かれているのか…。
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