戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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2週間近く投稿しなくてすみませんでした。リアルが忙しすぎて出来ませんでした。


レベリングに行こう

ユウヒが「栄古斉衰の死火口湖」でダイビングをしている頃、サンラクとオイカッツォはペンシルゴンの紹介で訪れた「神代の鐡遺跡」にある「涙光の地底湖」でレベリングをしていた。

 

「そー言えばさ、ユウヒが出ていった後に俺達に言った『ユウヒがヤバい事になってるかも』ってどういう意味?」

 

涙光の地底湖に出現するモンスター「ライブスタイド・レイクサーペント」を倒し上がったレベルとスキル等を確認していたカッツォは隣にいるサンラクにそう尋ねた。

 

「君達兄弟が発生させたユニーク関連だからあんまり話せないとか言ってたけど、ソレってペンシルゴンを警戒してだろ?今はアイツ居ないし俺にだけ教えてよ」

 

サンラクにとってペンシルゴンはクソゲーフレンズであり悪友。今回の様に「ユナイト・ラウンズ」以外のゲームでも出逢えば悪巧みをする様な仲だ。

 

サンラクは彼女を嫌っているわけではない。むしろ、ゲーマーとして好きな部類だろう。しかし、彼女は「油断が出来ない」部類の人間でもあるのだ。

 

下手に話すとあの手この手で此方の情報を搾り取ろうとしてくる。

 

(あんまり話したくはないが……カッツォなら大丈夫か?)

 

カッツォの言う様に此処にはペンシルゴンは居ない。彼女は今、サンラクが齎した情報からある物を入手する為に出かけている。そして、カッツォこと魚臣慧はプロゲーマーだ。ある程度のモラルは持ち合わせている。

 

「わかった、教えるよ。でも、ペンシルゴンには言うなよ。……カッツォならわかると思うがユウヒはキレると手がつけられないからな」

 

「わかってるわかってる。マジギレしたアイツのサンドバックにはなりたくないからね。情報を手に入れたからって彼奴のゲームライフを犯す事はしないよ」

 

自分の忠告にそう答えるカッツォに頷き。サンラクは蛇の林檎での言葉の意味を話した。

 

自分達が発生させたユニークシナリオは「修行クエスト」の毛色が強い事。

 

そのシナリオの中で成長を強化するアイテムを使える事。

 

そして、ユウヒがまだそれを使い続けている事。

 

ヴァイスアッシュやエムル、ミュウラ、ビィラック、ピーツ、エルク、鍛治職、その他諸々の情報は伏せつつもカッツォに話す。

 

サンラクの話しを聞く中でカッツォの表情は暗くなっていき。

 

「成長の強化って具体的には?」

 

「同じレベルでも基礎スペに差が出る」

 

このサンラクの答えと同時にカッツォは発狂した。

 

「ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニーク、ユニィィィィィィィィィィィィィィィィィィイクッ!!!」

 

「ヤベェ、カッツォが壊れた」

 

「怖いですわ……」

 

「クッソォォォォォォォォォォォォっ!なんで俺だけユニーク発生できないんだ!!マジで羨ましい!!」

 

ライブスタイド・レイクサーペントを釣り上げる為の釣竿を地面に投げつけ頭を掻きむしりながら叫ぶカッツォ。サンラクとエムルはそんなカッツォを見ながら口にチャックをかける。

 

(ユニークを発生させた俺が何言っても火に油だな)

 

サンラクがそう思ってしまう程、今のカッツォは荒れていた。

 

「ちくしょう!!こうなったらサンラクやユウヒ達よりもレアモンスターを引きまくってレアアイテム集めまくってやる!!」

 

一通り荒れたカッツォはそう叫び投げた釣竿を掴むとモンスターフイッシングを再開した。

 

「こーいう時はなにかに没頭するのが1番だからな。カッツォの気がこれで落ち着けばいいが…」

 

「オイカッツォさんのお目目、とても凄いことになってるですわ…」

 

地底湖を鬼の形相で睨みつけるカッツォにサンラクとエムルはそう呟き自身もモンスターフイッシングを再開したのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「おぉ…レベル40と38。君達この短時間で随分レベル上げたね。50まであと一息って感じだ」

 

その日の夜、地底湖を訪れたペンシルゴンはテントの中で休む2人のレベルを確認してそう言った。

 

あの後、一心不乱にフイッシングをし続けた2人はライブスタイド・レイクサーペントを倒しまくりここまでレベルを上げていた。

 

ペンシルゴン的には少し生き急ぎすぎな気もするがウェザエモン戦に向けて早くレベルが上がるに越したことはない。

 

「それにしても数時間で10以上レベルを上げるなんて…何かあったの?」

 

しかし、あまりの上昇率にそう聞かずにはいられなかった。

 

「いやー、カッツォが自分だけユニークを発生させられない事に発狂してなイライラを解消する為に鰻を殺しまくったんだよ」

 

「大変でしたわ〜」

 

「うるさいぞ鳥頭…思い出したらまたイラつくだろうが…ッ」

 

ペンシルゴンのセリフに色々と隠したい事があるサンラクはそう言いため息を吐く。カッツォは依然として凄い形相をしているが2人は気にする様子は見せない。

 

「そう言えばユウヒ君は此方に来たの?一応、彼にも会いたかったんだけど」

 

「いや、此処には彼奴来てないぞ。ユニークを進めるとか言ってたからな…。今日は来ないんじゃないか?」

 

「そっか…」

 

「何か用でもあったのか?」

 

此処にいないユウヒに少し声のトーンが落ちたペンシルゴンにサンラクがそう尋ねる。すると、ペンシルゴンは頷いて

 

「明日、此処に絶対に来るように言っておいて欲しいな」

 

と言ってきた。

 

「絶対に?」

 

「そう、絶対に」

 

ペンシルゴンのセリフに首を傾げるサンラクだがペンシルゴンはそんなサンラクにわかるように理由は話し出した。

 

「私、夏の大型アップデートが決まった次の日くらいに君達に連絡をとったでしょ?シャンフロの月の周期はリアルと同期してるから明日、会いに行かなきゃ行けないんだ」

 

「誰に?」

 

「満月の夜にしか会えないユニークNPC『遠き日のセツナ』だよ。彼女に会わないとウェザエモンとは戦えない」

 

ペンシルゴンにそう言われてサンラクは彼女に見せられた情報を思い出した。

 

「そのNPCに会わないとウェザエモン討伐のシナリオを受注できないんだっけか?」

 

「うん、だからユウヒ君にも来てもらいたいんだ」

 

「わかった、俺から伝えておく。代わりにそこの鬼に話すのはペンシルゴンに任せた」

 

意味を理解し了承したサンラクはユニークモンスター顔負けの形相を見せるカッツォをペンシルゴンに任せてエムルと共にログアウトした。

 

ペンシルゴンが「待って」と言おうとしていたような気がするが気にしては行けない。こういう時は逃げるが勝ちなのだ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ふぅ、鰹の処理は任せたぜペンシルゴン」

 

シャングリラ・フロンティアからリアルへの帰還果たした楽郎はヘッドギアを外して天井をみながらそう呟いた。

 

スマホのメールにはペンシルゴン事、天音永遠から色々とメールが届いているが楽郎は気づかないフリをして部屋を出た。

 

隣の部屋は弟の遊仁の部屋であり楽郎は扉に張り紙が無いことを確認すると扉越しに声をかけて扉を開けた(家族、兄弟間のルールとして絶対に邪魔されたくない時は扉に張り紙をするルールがある。また、楽郎と遊仁が各々ゲームをしている時も同様に張り紙をしなくてはならない)。

 

「よっ、遊」

 

「よっ」

 

部屋に入り軽く挨拶をして楽郎はベットに腰を下ろした。各々が部屋を訪れる時は何か用がある時なので遊仁も兎や角言うことはない。ただ、視線で会話を促すだけだ。

 

「ペンシルゴンから伝言。明日夜までに『涙光の地底湖』に来いってさ。来ないとウェザエモンに挑めないから時間厳守な」

 

「了解。明日は野球部の助っ人頼まれてるから終わったらログインしとく」

 

「よろしく。それで遊よ、ユニークシナリオは何処まで進んだんだよ」

 

伝達事項を伝えて会話終了とはならない。ニヤニヤしてそう言う楽郎に遊仁は「必要なアイテムの半分は集めた」と答えた。

 

「ほほぅ…してレベルは?」

 

しかし、サンラクは笑みを辞めずにそう尋ねる。ムカつく顔に遊仁はイラッとしたが此処で突っかかると言い合いになるので余計な事は言わない。

 

「41だ。今回はレベル上がらなかったからな」

 

「そうか、俺は今40になった直ぐに追い越すぞ」

 

しかし、ムカつく顔でそう言われた遊仁は

 

「基礎スペが違いすぎる。結局は俺が上だな」

 

何時もの様に言い返してしまった。

 

夜遅くにゴングが鳴る。

 

「うるせぇ!ステイタスに差があろうが本人の腕とスキル次第だろうが!」

 

「腕に差があるって言ってんだよ!そもそも未だに俺に勝ったことの無いくせに何言ってんだよ!」

 

「上等だ!ウェザエモン戦の前にヴォーパル・コロッセオで勝負だ!!白黒ハッキリさせてやる!!」

 

「良いぜ、かかってこいや!!ボコボコにしてやんよ!!」

 

売り言葉に買い言葉。あっという間に決闘の話が決まり楽郎は部屋を出ていった。

 

しかし、コレが良い方向に転がることとなるのは少し先の話し。

 

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