戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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今回、短めです。


永劫に終止符を打て・其ノ玖

対価(たいか)天秤(てんびん)

 

NPCが運営する商会、「黄金の天秤商会」が所有する希少度の最も高い部類である「ユニークアイテム」。左の『捧げの皿』にアイテムを投入する事で、その対価に応じて『右の皿』から様々な恩恵を得ることが出来る。

 

今回のウェザエモン戦にあたって私がメイン武器を担保にして商会を説得し持ち出したアイテム。それを使ってユウヒ君とサンラク君のステイタスを向上させた。

 

この後、カッツォ君や自分自身に使う事を考慮しての50ポイント。ユウヒ君の敏捷とサンラク君のスタミナと幸運を上げてウェザエモンとの立ち会いを有利に進めてもらう。

 

(あの2人ならやってくれる…。頼んだよ)

 

2人の戦いを見つめて私は心の中でそう呟いた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「はははっ!」

 

ペンシルゴンが第2フェーズ開始から弄っていた天秤の力で敏捷が上がった俺は纏雷と合わせてその効果を発揮していた。

 

「雷鐘」

 

避けるのに全力を注いでいた雷鐘も回避と攻撃を行いながらウェザエモンと戦えている。そして、サンラクもスタミナの上昇のお陰か大きいアクションでウェザエモンを翻弄していた。

 

「雷鐘、断風!」

 

しかし、最強種。

 

そんな、俺達を嘲笑うかのようにスキルの同時出しをやっくる。しかも、俺とサンラクが落雷を躱す為に並んだ瞬間を狙った斬撃。

 

雷鐘を躱すために視線がウェザエモンから外れていた俺達は身体を両断されて地面に倒れた。

 

「ユウヒ君!サンラク君!」

 

両断された瞬間にペンシルゴンの声が聞こえて俺達は即座に蘇生した。そして、復帰した俺とサンラクは頷くとウェザエモンから距離を取りつつ再誕の涙珠を自分達の手元に2つだけ残して残りの所有権をペンシルゴンに移した。

 

「俺達が殺られたら時はペンシルゴンが復帰させてくれ!」

 

「俺達には余裕が無いからペンシルゴンに託す!」

 

そして「どういう事?」と視線で問いかけて来たペンシルゴンにそう言った。二人で同時に殺られる可能性が高い状況だ。後方支援のペンシルゴンに持っていてもらった方が良いだろう。

 

そして、俺はMPを回復する為にインベントリを操作しつつ先にウェザエモンに向かって行くサンラクを見送る。

 

「これを含めて残り2つか……」

 

アイテム一覧に載っているポーションの残りに目を細めつつMPを回復する。実際はまだあるが1回で全快まで持っていけるポーションはあと1つになってしまった。

 

「俺達が高機動アタッカーだからなのか同時出しの時は必ず雷鐘を使ってくるな…それに、第2フェーズ終了まで残り5分…あんまり死にたくはねぇな」

 

このまま死に続けると蘇生もMPの回復も儘ならなくなってしまう。

 

「はははっ」

 

しかし、俺はらしくない考えに笑うと纏雷を発動してウェザエモンに向かっていった。

 

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ユウヒが再びウェザエモンに向かうのと時を同じくカッツォは騏驎のコントロールに手を焼き始めていた。

 

「此奴、ちょっとは大人しくしろって!!」

 

頭の上に器用に乗りながらも騏驎をコントロールしていたカッツォだが、時間が経過した事で騏驎の行動が変化したのである。

 

「くそっ、上に跳ねたりするだけだったくせに、横の動きまでっ、入れて来やがって!!」

 

縦に横に激しく動く騏驎の頭に乗るのは既に難しくカッツォは鼻にあたる部分に縄を巻き付けてコントロールをしていた。

 

しかし

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!暴れながらっ、何で、俺を狙ったビームをしっかりっ、出せるんだよ!?」

 

動きだけではない攻撃に四苦八苦しながら騏驎の相手をしているのだ。

 

「カッツォ君、何がなんでも騏驎の上に居て!モーションを発動させ続ければ騏驎は脅威にはならないから!」

 

「わっ、わかってるけど!結構ヤバい!此奴暴れすぎて縄なしじゃヤバい!!」

 

ペンシルゴンのセリフにそう応えるが乱数の女神は悪い笑みを浮かべていた。

 

ブチッ

 

「嘘!?」

 

今まであたらなかった縄に騏驎のビームがついに当たってしまったのである。聞きたくない音が耳に届きカッツォは目に映った現実に声を上げる。

 

しかし、カッツォは頭から背中に跳ぶと今度は背中の上でロデオを始めた。

 

「頭がダメなら背中だけどっ、頭より湾曲してるからっ、足場が悪すぎ!」

 

だが、予想以上の足場の悪さに悪態を着いてしまう。

 

「カッツォ君、天秤使う!?」

 

そんな、カッツォにペンシルゴンが声をかけてくるがカッツォは「いやいい!!」と言って提案を断った。

 

「ソイツを使うのはっ、最後までとっておくよ!!この暴れ馬に止めを刺す時にね!」

 

「了解…じゃあ、それまで死なないでよ!!」

 

「わかってるよ!!」

 

そして、ペンシルゴンにそう応えてカッツォは意を決した。

 

「後で、揄われそうだからやりたくなかったけど…やるしかっ、ないか!」

 

そして、再び騏驎の顔目掛けて縄を伸ばした。

 

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カッツォが騏驎に再び仕掛けたのと同じ頃、ユウヒとサンラクはウェザエモンのスキル同時出しに攻略法を見出していた。

 

そのきっかけとなったのは

 

「ハンド・オブ・フォーチュン!!」

 

サンラクの行動だった。

 

サンラクはウェザエモンが雷鐘を発動しようと太刀を天に上げた瞬間にウェザエモンの腕をスキルを使って殴りその発動を阻害した。

 

結果、前回のスキル発動から1分以上たった今でも同時出しは使わていない。つまり、さっきの雷鐘の発動阻害でスキル同時出しを完全に破ることが出来たのだ。

 

「ユウ!!」

 

「解ってる!!」

 

攻略の鍵は時間と雷鐘の発動阻害。それを掴んだ2人は攻撃を躱し、加えながらその時を待ち続けた。

 

第2フェーズ終了まで残り4分。同時出しを放てるのは残り4回か3回。その全てを破り第2フェーズを終了する。2人はその目標に集中して動き始めた。

 

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