戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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先週投稿するのを忘れて爆睡ちゃんをかましてしまいました。

すみません。

誤字報告や感想ありがとうございます。大変嬉しいです。


永劫に終止符を打て・其ノ拾壱

俺達を無視して間を走っていったウェザエモン。行動の意味が解らず空ぶった攻撃を急いで停めて振り向く。

 

そして、その意図を理解した。

 

「ペンシルゴン!!」

 

ヤツの狙いはペンシルゴンだった。既に彼女の前に立ち太刀を振り上げているウェザエモンを見て、その光景を見たサンラクも叫んだ。

 

そして、サンラクが走り出す。だが、間に合うはずがない。それが解っていた俺はインベントリからマギ・ポーションを取り出し魔力を全快にすると

 

「『棘尽雷(きょくじんらい)』」

 

静かにそう呟いた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

パリッ

 

耳に微かに届いた音。それに気がついた瞬間に鳴り響いた雷鳴と目を覆った雷光。

 

恐らく俺が1番聞き、見たであろう音と光はウェザエモンを貫きその行動を一瞬だけ止めていた。

 

「ペンシルゴン!今すぐ其処を離れろ!!」

 

僅かに出来た隙にそう叫んでペンシルゴンを離脱させる。そして、動きの止まったウェザエモンに湖沼の短剣を振るった。

 

身体に返ってくるのは何時もと変わらない硬い感覚だったが動きを止められたのは僥倖だった。

 

「何、今の…?」

 

ウェザエモンから距離を取りペンシルゴンの並ぶと彼女は困惑した顔でそう問いかけてきた。

 

「ユウの魔法だよ」

 

その問に俺はウェザエモンの後方にいるユウを見てそう応える。

そう、さっきの雷はユウの魔法だ。「棘尽雷(きょくじんらい)」ユウが纏雷を使い続けた末に発現させた未知の魔法。「兎の国からの招待」での戦いやウェザエモン戦前の最終調整で見せてもらった彼奴の切り札。

 

纏雷を重ねた回数とMPの残量で威力が変動する。視線で目標を定めることが出来、純鉄と言う金属を使わない限り回避する事が出来ない。

 

最大回数まで重ねられた纏雷と最大値まで溜められたMPで放つ棘尽雷は雷と言う性質も合わさり小細工を弄するまでもなく必中の

 

大気を裂く稲妻だ

 

「まかさ、ウェザエモンの動きを止められる程のバケモノ威力とはな」

 

「ユウヒ君には本当に驚かされるね…」

 

俺達に向かって太刀を振るうウェザエモンを躱しながら棘尽雷の発動でゼロになったMPを回復しているユウ見る。

 

その顔は俺達の呆れたような驚いたような感情とは違う本当に嬉しそうな顔で目を見開いて笑っていた。

 

(ったく…あんなの見せられたら此方までテンション上がって来るっつーの!!)

 

そして、俺は更に上がり始めたテンションに浮かれてウェザエモンに連撃を叩き込んだ。少しすればユウも到着し二人でウェザエモンと戦える。そう思った。

 

だか

 

「何だ?」

 

「やっとここまで来た…!」

 

唐突にウェザエモンの動きが止まりその場に膝まづいた。

 

「何がどうしたのウェザエモン」

 

訝しむ俺と違いペンシルゴンは笑っているが俺と同じような感想を持った奴が近くにいたらしい。ウェザエモンが強すぎて気にしている暇がなかったが、俺は声のした方に視線を向け

 

「ぷっ」

 

そして、吹き出した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

時間はサンラクがウェザエモンの雷鐘を阻害する事に成功するより少し前に遡る。

 

「後で、揄われそうだからやりたくなかったけど…やるしかっ、ないか!」

 

暴れ回る騏驎に乗るカッツォはそう決意してインベントリからある物を取り出した。

 

「この戦いの前に稼いだ金を全て使ってっ、買ったスクロール…一気に、使ってやるよ!!」

 

そして、その手に握られていた3つの巻き物を開いていく。

 

「相手とのステータスの差を参照して自身の耐久値を上げる『キャニオンボディ』、そして筋力を上昇させる『パワー・クラフト』、そんでもってスタミナを上昇させる『ハイ・ブースト』…。ペンシルゴン程じゃないけど俺だって持ってた金、全て使ってこの戦いに望んでるんだっ。絶対にウェザエモンには近づけさせないよ!!」

 

開かれたスクロールはカッツォのセリフと共に消えて行きその身体に一時的なバフをもたらした。

 

「どうか…皆に見られませんようにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

 

そして、上昇した筋力を使い手持ちの中で1番長い縄を思いっきり振ると、その先端を騏驎の鼻先に巻き付けターザンよろしくその背中から飛び降りた。

 

「めっちゃ、揺れるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅつ!!」

 

縄を掛けられ暴れる騏驎の振動に手を離してしまいそうになるが何とか縄を伝い鼻先に到着したカッツォはインベントリから更に縄を取り出した。

 

「ペンシルゴンの言ってた事を噛み砕くと、要はっ、離れなければいいんだよねぇ!」

 

そして、そのセリフと共に幾つも縄を投げると"自分諸共騏驎を縛り上げた"。

 

緊縛状態である。

 

「こりゃ良いや!!これなら絶対に外れないしぃ!!スクロールでスタミナ上げてるから直ぐには死なない!!第3フェーズが来るまで付き合ってもらうよ!!」

 

自身の身体を縛り上げ騏驎に暴れられながらも他3人がウェザエモンに必死になっているおかげでこの状態を見られて居ない事に気を良くしたカッツォは笑いながらそう叫ぶ。

 

しかし

 

「へ?」

 

彼は忘れていた。

 

"騏驎のビームは自身の顔スレスレにも飛んでくる"という事を

 

バシュッと言う音が鳴り煙が上がる。ギリギリで当たらず自分には害がなかったので気が付かなかったが今、自分は"騏驎と一緒に縄で縛られている"。

 

つまり、この煙は

 

「ヤバい、ヤバい、ヤバい!!縄が焼き切れる!?」

 

縄が焼かれて出ているものなのである。

 

「腕もっ、一緒に、縛っちゃったんだよ!!」

 

笑いから一転。悲痛な叫びを上げるが意味は無い。そう、他の面子はウェザエモンに必死になっているのだ。

 

誰も、気づかない。

 

(こうなったら、やってやるよ!!意地でも此奴を足止めしてやる!!絶対離れないからな!!)

 

心の中でそう叫びカッツォは縄から抜いた両手でウィンドウを操作し縄を取り出した。

 

「時間が先に来るか…俺の縄とバフが尽きるか…勝負だ!騏驎!!」

 

そして、宣言する。だか、彼は知らない。この時の写真が半年程ネタにされる事を

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