戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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2人のセリフは原作をそのまま流用しました。騏驎の相手してて原作のセリフ以上のモノが考えつかなかったので。


永劫に終止符を打て・其ノ拾肆

天秤に残ったポイントが全て無くなる。次の瞬間、カッツォをオーラが包みそのステータスが上昇した事を教えてくれた。

 

「コレってユウヒとサンラクに起きてた…つまり…」

 

オーラに見覚えがあったカッツォは自身のステータスを確認し口角を釣り上げる。ペンシルゴンが対価の天秤の能力で上昇させたカッツォのステータスは「耐久」と「力」。

 

ゴリゴリの近接戦闘要員の「耐久」と「力」を上げるという事は「騏驎甲冑の完全破壊」をペンシルゴンが決めたと言う事であり、プロの格ゲーマーであるカッツォはその意図を正しく理解した。

 

「OK、ペンシルゴン。このデカブツ、スクラップにしようか!」

 

そして、拳を打ち鳴らし応える。

 

攻撃を躱して移動するペンシルゴンと視線を合わせて頷き合いカッツォは騏驎甲冑の懐へと走り出した。

 

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「流石カッツォ君!」

 

騏驎甲冑へと走り出したカッツォを見たペンシルゴンは彼が自分の意図を正しく理解した事を理解しそう言った。

 

普段の自分なら「騏驎甲冑のヘイトを稼いで時間稼ぎ」の選択をしていた筈なのに、何時もとは全く違う行動をしている。

 

(カッツォ君だけじゃなく私もユウヒ君とサンラク君に"当てられちゃった"かな…)

 

そんな自分に驚きながらもそうさせた原因ではある2人いや、1人に視線を飛ばす。

 

(彼がいなかったら此処までこれなかった)

 

そう思いそしてセツナの思いと彼の行動に応える為に魔槍を構える。

 

「『時間稼ぎ』なんてヘタレた真似、絶対できないんだよねぇ!!」

 

そして、自分に活を入れ騏驎甲冑へと向かっていった。

 

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ミサイルとビームの雨が降り注ぐ。自身に近づかんとする小さき者を排除する為に、しかし、止まらない。打ち出すミサイル、ビームを全て躱し奴らは近ずいて来る。

 

搭載されたAIの思考ではなく騏驎甲冑に独自の思考があったのなら騏驎甲冑は2人を倒す事が出来ただろう。

 

それほどまでに2人の戦いは完璧だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァッ!!」

 

迫る騏驎甲冑の腕を殴る。上昇したステータスはそれだけでわずかにだが騏驎甲冑の腕の動きをずらし攻撃を回避することが出来た。

 

「天秤パワーの効果出てるじゃない!」

 

「ははっ、ユウヒとサンラクがテンション上げるわけだ!最高だよコレ!!」

 

ペンシルゴンのセリフに笑って応えるカッツォは続け様に打撃を放ち騏驎甲冑にダメージを与えた。

 

「何回か殴ったけどウェザエモンと同じく今の状態なら普通にダメージが入るみたいだ!」

 

「それは解ってるけど、どうするの!?」

 

放たれるミサイルやらビームやらを避けながら話しかけてきたカッツォにペンシルゴンはそう返す。

 

相手は人型、格ゲーマーのカッツォが得意な相手である事は解りきっている。それ故のセリフだった。

 

「前にユウヒから教わったんだ!人型…いや、節のある生き物が相手なら関節への攻撃は絶対に有効打になるってね!だから、関節を狙うよ!!」

 

「了解!」

 

そして、カッツォのセリフにペンシルゴンはそう応える。ペンシルゴンは魔槍を構え騏驎甲冑へと近づく。

 

狙うは膝

 

自分たちを圧倒するデカブツを地面に引きずり倒す為だ。

 

「解ってるねぇ!」

 

ペンシルゴンの動きから彼女の狙いを察したカッツォはそう呟くとインベントリから縄を取り出す。

 

そして

 

「此処!!」

 

騏驎甲冑がペンシルゴンを倒そうと()()()()()()()()()()()()にその右足に縄を巻き付けた。

 

そして、()に引く

 

騏驎甲冑の足が地面に完全に接触した状態からではバフが掛かった今のカッツォの力でも騏驎甲冑を動かす事は出来なかっただろう。だか、騏驎甲冑自身が足を浮かせてくれている。

 

予想外の方向への力に騏驎甲冑は簡単に倒れた。

 

「動きを阻害するんじゃなく助ける。そうすると簡単に体勢が崩れる!人型が相手だとそれが顕著になる!……まぁ全部ユウヒの受け売りだけど」

 

蛇口を捻り水が大量に出てくると人は反射的にその蛇口を締める。それは、出てくる水の量をコントロール出来ていない事に驚くからだ。そして、それは生物、非生物の動きであっても同様だ。

 

手を動かす、足を動かす、頭、肩、腰、全ての動きを生物は無意識に制御している。具体例を出すのなら『筋力』がそうだろう。

 

人間の筋力は自身が壊れないように基本的に30%程の力しか出せないようになっている。そして、その制御された力を超えると身体は悲鳴をあげてしまう。

 

非生物の場合は搭載されたプログラムが動きを制御している。つまり、今の騏驎甲冑も制御された力で動こうとしていたのだ。しかし、カッツォの手によって更に力が加わった結果、騏驎甲冑は動きが制御出来ずに体勢を崩した。

 

「格ゲーで彼奴を投げようとした時、彼奴は自分からそれを助ける事で投げを回避する事がある。…あのキモイ感覚は言葉じゃ言い表せないけど予想外の力が加わるとどんな相手も行動が鈍る!」

 

縄を握り締め引きながらしたり顔でそう言うカッツォにペンシルゴンは「やるねぇ」と呟くと縄によって伸ばされた膝に突きを放つ。

 

日差しの穂先(スピア・オブ・サンレイズ)!!」

 

槍先は膝の中心を穿ちスキルのエフェクトが輝く。しかし、騏驎甲冑の硬さはダメージは入ってもその装甲が破壊されるのを防いだ。

 

バフを積んだ状態の攻撃で破損すらしない騏驎甲冑にペンシルゴンの顔が歪む。

 

しかし

 

「離れろ、ペンシルゴン!!」

 

彼女を覆うように影が舞う。

 

「カッツォ君!?」

 

頭上から降ってくるカッツォにペンシルゴンは驚くが引かれた拳を目にしてその場から離脱した。

 

「スキル『インファイト』からの……『デュアルインパクト』!!」

 

格闘ダメージに補正を入れるインファイトに続く攻撃スキル。打ち込まれた左拳は騏驎甲冑の右膝に十字の刻印を刻み、その十字目掛けてカッツォ渾身の右ストレートが打ち込まれた。

 

ペンシルゴンが穿ったポイントに完璧に重ねられた打撃はクリティカルを発生させ度重なるダメージとなって騏驎甲冑の右膝にヒビを入れる。

 

「効くだろ?ユウヒに言われて格闘技習ってるんだ!」

 

クリティカルが発生した打撃にカッツォは笑う。シャングリラ・フロンティアにおいて『クリティカル』はランダム発生ではなく『理想的な攻撃が当たった時に発生する』現象。ユウヒが戦いの中、頻繁にクリティカルを発生させる事が出来るのは『正しい攻撃の仕方』を知っているからであり、初めて便秘で40連敗をしてからアドバイスを元に格闘技を始めたカッツォの右ストレートは『完璧』に騏驎甲冑の膝を撃ち抜いていた。

 

「まだまだぁ!!」

 

そして、ヒビが入った騏驎甲冑の膝に連撃を叩き込む。

 

「スキル『連段連打』!!」

 

ユウヒも持っている「三連撃」と「三段蹴り」の合体スキル。効果は『格闘戦時の10発までの拳又は武器を使用した打撃のダメージ増加』。ヒビが入った箇所への連撃、破損により質が変化した膝はクリティカルを連続で発生させそのヒビを更に広げた。

 

「コレでもう立てないだろ!!」

 

関節部全体に広がったヒビを見てそう言うカッツォだった自分の左横側に添えられた騏驎甲冑の右手を見逃さなかった。

 

「あぶねっ!!」

 

掌に溜められたエネルギーが連撃を終了したカッツォを襲う所だった。空を切ったビームは適当な地面を破壊し煙を上げる。

 

「ペンシルゴン、次左!!」

 

「もうやってるよ!!」

 

右膝に続き左膝を破壊し二度と立ち上がらせないようにする。

 

カッツォのセリフより先に既に左膝を攻撃していたペンシルゴンは気迫あふれる表情をしている。

 

「さっすが!抜けてないねぇ!!」

 

カッツォは左膝へと移動を初めつつ両方の掌を重ねるようにする。

 

「赤、黒、足して緋色!"混合拳気"【火緋彩(ヒヒイロ)】』

 

そして、拳に緋色のオーラを纏うとペンシルゴンがダメージを入れた膝を殴りつけた。

 

「クソ、スキル使ってない分ダメージは入らないか」

 

しかし、スキルによる攻撃力の加算がなかった為、ヒビを入れる事は出来なかった。

 

だが

 

「でも、スキルさえ揃えば確実に膝を壊せるって事がハッキリした」

 

カッツォは判明した事実に拳を打ち鳴らす。このままスキルの回復を待って膝を砕く。

 

しかし

 

騏驎甲冑はウェザエモンの相棒、そうは行かない。

 

「マジすか…」

 

「その膝で立てるの!?」

 

騏驎甲冑は馬の形態だった時の尻尾部分を地面に突き刺すと壊れた膝を推して立ち上がった。

 

そして、足の全てと腕の全ての装甲を外すとビームとミサイルを撒き散らし始めた。

 

「何アレ、暴走!?」

 

「多分ね!!ウェザエモンと言い騏驎と言いホントいい加減にしてよね!?」

 

全く知らない騏驎の状態にペンシルゴンが悪態をつくがその叫びはビームのミサイルの破壊音でかき消されてしまった。

 

「どうする距離取る?」

 

攻撃の雨の中、カッツォがそう言うが

 

「いや、このまま攻めるよ」

 

ペンシルゴンはそう応えた。

 

「この雨を潜り抜けて?」

 

「うん」

 

「マジかよ…」

 

「でも、やらないとこの攻撃がユウヒ君達に向かってしまう。そうなったらユウヒ君は分からないけどサンラク君には確定で半年は揶揄われるよ」

 

ペンシルゴンのセリフに苦笑いをしていたカッツォだったがその言葉と共にハッと表情を変えた。

 

『え?何何ぃ??俺とユウヒはユニークモンスターを相手出来るのに二人がかりで()()()()()を抑えられない人達がいるんですかぁ?ビームとミサイルが飛んで来なきゃもっとも〜と楽にウェザエモンを相手にできたのになぁ。そんな不甲斐ない人達についてぇちょっと詳しく聞かせてもらってもいいですかぁ??』

 

脳裏にチラつくのはウザイ面でそう言ってくるサンラクであり想像しただけでカッツォの額には青筋が浮かび上がった。

 

「間違いない俺でもそうするもん」

 

「私も」

 

想像のサンラクに蹴りを入れつつそう呟き2人は構えた。

 

「それじゃあさっさとデカブツには退場してもらおうか」

 

「そうだね」

 

狙うは立ち上がった伽藍堂

 

「「ジャイアントキリングと行こうか!!」」

 

頭で策を整えて2人は騏驎甲冑を睨みつけた。

 

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