「よぉーし、そんじゃ『ペンシルゴンちゃんと便利なパシリ達』の結成だな」
「そうだね〜『ペンシルゴンちゃんと便利なパシリ達』としてシャンフロの世界を駆け抜けよう」
「だな、『ペンシルゴンちゃんと便利なパシリ達』の結成を祝って乾杯と行こうぜ」
「ちょっと待ってぇ!冗談として流して欲しいなぁ!!」
何の問題もなく決定したクラン名に俺、サンラク、カッツォが乾杯しようとコップを近づけるがペンシルゴンが顔を紅くして待ったをかけた。
「なんだよ、邪魔すんなよクランリーダー」
「そうだよクランリーダー」
「クランリーダーが決めた名前なんだから良いだろクランリーダー」
「君達って本当に容赦ないよねぇ!?」
オフザケに叫ぶペンシルゴンに俺達は「最初から提案するなよ」と心の中で呟きつつも「ペンシルゴンちゃんと便利なパシリ達」に代わるクラン名を考えいく。
「クソゲー連合」
「「お前一人でやってろ」」
「俺達全員ロクでもないわけだし『
「ロクでなしはお前ら3人だけだ」
「PKから足を洗ったプレイヤーが『無法者』なんて名前のクランに入ってたら信用されないよ」
「何、『自分はマトモです』みたいな顔してんだよ」
「ユウヒ、君は自分が色んな意味でマトモじゃないってそろそろ気づいた方が良いよ」
「ユウヒ君の案は?」
各々色々な名前を出すがどれも意見が合わない。3人、と言うかサンラクとカッツォには言いたいことがあるが今は飲み込み名前を考える。
「ウェザエモンを逝かせたから『首取り』は?」
「物騒」
「却下」
「えぇー、俺は好きだぜ『首取り』。それがダメなら『打首』にして後ろに『獄門』も付けよう」
「おぉ、良いな!」
「「良くない(ねぇよ)!」」
俺とサンラクで良さげな名前を作ったがペンシルゴンとカッツォはお気に召さなかったらしい。結局、話しは平行線のままだ。
「ユニークハンター」
「「「ダサい」」」
「ゴールドラッシュ」
「俺金に困ってないんで」
「俺も」
「困ってんのはペンシルゴンだけだ」
「良いじゃん別に…」
カッツォの「ユニークハンター」を却下し、ペンシルゴンの「ゴールドラッシュ」を却下する。ペンシルゴンはぶうたれているが却下は却下だ。
「リュカオーンに因縁あるのが2人いるから『狼』入れようぜ」
色々考えた結果、俺は自分とサンラクの「リュカオーンの呪い」を見てそう言う。
「『
ペンシルゴンは既にトップクランと成っている『黒狼』との被りを気にしているようだが俺は「別に良いんじゃないか?」と返しす。
「いや、ウェザエモン倒してる時点で此方が上だろ?」
サンラクも被りを気にしてはいないらしく、そう言って前のめりな姿勢を見せた。
「それに『呪い』持ちが2人って所もあっちより上って証明だろ」
『呪い』はリュカオーンに認められた証。ミュウラとエムルちゃんの話しからもそれは間違いない。そして、俺が(サンラクも)呪い持ちだと流布されてから『黒狼』の連中が逢いに来た事から察するにあっちには呪い持ちはいないか過去に居ただけなのだろう。
「それに、呪い付けられててもウェザエモンと戦えたしな。プレイヤースキルなら確実に俺達が上だ」
サンラクのセリフに俺は頷きペンシルゴンを見る。
「わかったよ…。じゃあ、名前に『狼』を入れて名前を考えよう。カッツォ君もそれで良い?」
「良いよ、サンラクとユウヒに寄ってる感じは否めないけどカッコ良ければ何でも」
カッツォの了承も得て俺達は再び頭を悩ませる。そして
「「
俺とサンラクは声を揃えてそう呟いた。
「考える事は一緒か」
「双子だからな」
「違うと言いたい…」
ドヤ顔を決めるサンラクにそう返してペンシルゴンとカッツォを見る。すると、2人は頷き俺はNPC店員に酒を頼んだ。
酒はジュースを頼んだ時よりも早く提供されNPC店員は手早く俺たちの前に酒を置いていった(ジュースの時は全員が騒がしくしていた為、店員が空気を読んだだけである)。
「それじゃあクラン『旅狼』の結成を祝ってぇ……乾杯!!」
「「「乾杯!!」」」
そして、俺達はペンシルゴンの音頭でジョッキを打ち鳴らした。中に入っていた酒をイッキ飲みして祝う。
だが
「雑把に甘いな」
「うん…」
「なんか色んな甘さがゴッチャになってるよね…」
「リアルのお酒の方が美味しいよ」
ゲーム内とは言え未成年の俺、サンラク、カッツォの初めての酒は何とも言えない味だった。そして、クランのエンブレム等の作成をペンシルゴンに任せたりしながら俺達は騒いでいた。
しかし
「うわ、この店人少なっ…」
新たな客の入店を知らせるベルと共に放たれるセリフに俺達は固まった。
「君達さぁ、ちょっと聞きたい事あるんだけど。この前アナウンスされたユニークモンスターを倒したっていう4人組を捜しててね」
そして、そんな俺達を気にすること無く新しく入ってきた客は俺達に話しかける。
「名前が『ユウヒ』『サンラク』『アーサー・ペンシルゴン』『オイカッ…ツォ』……」
俺達は話しの内容に顔を背けるが表示されてしまったプレイヤーネームを見られた事で誤魔化す余地さえなくなってしまった。
故に
「「「「知りませんねぇ!そんな奴ら!!」」」」
硬直から一転、俺達は素早く店外へと脱出した。俺が入ってきたプレイヤーに蹴りを入れ退路を開いた事で素早く脱出できた。
「おいおいっリーダー!貸し切りじゃねぇのかよ!?」
「そんな事一言も言ってないよねぇ!極端に客の出入りが少ないだけだよ!」
サードレマの路地を4人で走る。サンラクとペンシルゴンが何やら話しているがそれ所ではない。
「おい!彼奴追ってきてるぞ。どうするっ?」
俺は後ろから追いかけて来ているプレイヤーを見つつ全員に声をかけた。
「丁度いいや、ここらでお開きにしよう。俺は宿に戻ってからほとぼりが冷めた頃に次へと進むよ」
「じゃあ、私もさっさと天秤を返してメイン武器を取り戻してくるかな」
「俺もリアクターを治しに行きたい。4手に分かれようぜ!」
サンラクのセリフに俺達は互いに頷きバラバラに散る。サンラクとカッツォは別々の裏路地へ入りペンシルゴンは建物の屋根伝いに去っていった。
「そこのユウヒってプレイヤー!待ってくれ!話しをさせてくれ!!」
ミュウラを待たせている裏路地まで少々距離があった俺は最後まで追われる事になったが「また今度な」と言い残して撒いてやった。
「ユウヒさんどうかしたんですか?少し騒がしいですね」
合流したミュウラにはこう言われたが追われていると一言伝えただけで早急にゲートを開いてくれたので大助かりだった。
「ユウヒさんって街に出ると何時も追われてますね…」
「言うな…」
兎御殿へ帰ってきた俺にミュウラがそう言ってきたがその通りすぎて反論できなかった。