「ミュウラの魔法…いやいや、ミュウラが魔法使ったら戦いにならねぇだろ。却下だ」
俺は、ミュウラからの提案に上を飛ぶエンパイア・ビーキング・フェイカー達を警戒しながらそう応えた。
「攻撃系の魔法を使えばそうでしょうけど…今から使う魔法は敵にもユウヒさんにも無害な魔法です」
「バフってことか?」
「うーん…広い意味ではそうかもしれませんね」
「玉虫色の返事だな…」
俺の質問に答えたミュウラだったがあまり要領を得ない答えに俺はそう呟く。
依然として上ではフェイカー達が羽音を立てており、何時でも俺達を狙って攻撃を仕掛けて来るだろう。
「………」
「どうしますか?」
悩む俺にミュウラがそう問いかけてくる。
「…………わかった。俺の我儘で今まで見る専に徹してもらってたしな…。頼んで良いか?」
攻撃魔法はダメだ。と言っているので我儘は継続中ではあるが俺はミュウラを信じてそう言った。
「はいっ!」
俺の応えにミュウラは笑顔でそう言うと「戦いはお任せします」と呟き両手を前に出した。
そして
パンっ
音が鳴った。
「は?」
俺の間の抜けた声が何故かよく響いた気がした。
「今です!」
ミュウラの掛け声に反射して"周りを飛んでいるフェイカー達"を4体、下へ向けて殴り飛ばした。
「何が…?」
下へ落ちていくフェイカー達を見ながら俺も落下している事に遅れて気が付いた。
(落ちている…。跳んだ?いや、違う。上を飛んでいたフェイカー達の1匹と俺の位置が『入れ替わっている』!?)
「ミュウラ…この魔法はもしかして…」
理解した魔法の効果に驚きながら俺はミュウラに視線を向ける。肩に乗るミュウラはそんな俺に得意気に胸を張った。
「これが私の一番得意な魔法です。名前を『
「マジかお前…」
ミュウラのセリフに間の抜けた声が出てしまった。魔法の効果が破格過ぎる。回数制限や他にも制限はあるのだろうが手を叩くだけで位置を変えられる利点は大きい。
今、俺自身が体感した様に位置の入れ替えは一瞬。たった1回発動するだけでも戦況に『混乱』を作り出す事が出来る。
「制限は!?」
落下しながら胸を張るミュウラにそう尋ねる。すると、ミュウラは「幾つかあります」と言い続けた。
「まず魔力を持っていないと入れ替える事が出来ません。そして、効果範囲もそこまで広くないんです。入れ替えの対象は、私自身と相手か相手同士の入れ替え、そして、私と一緒に入れ替われるのはパーティを組んでいる開拓者さん1人だけになります」
「それだけでも効果としては最高だな!」
落下する中、俺達を狙って残ったフェイカー達が迫ってくる。
「ミュウラ!!」
「はいっ」
パンっ
仕掛けてきたフェイカー達の中で最後尾に居たフェイカーと入れ替わる。すると、突然の入れ替わりに混乱したのか、俺と入れ替わったフェイカーを残りが倒してしまった。
「ははっ、棚ぼたぁ!」
降って湧いた幸運にそう叫びスキル「一辺薙ぎ」で下方向全体を薙ぐ。警戒していなかった後ろからの攻撃にフェイカー達は無抵抗で落ちていった。
そして、追加分が落ちた方には先んじて落ちていたフェイカー達がいる。俺は戦甲角杖を構えると重なった3匹目掛けて杖を突き立てた。
「「「クシャぁぁぁぁぁぁぁあっ!」」」
胸を貫かれたフェイカーが叫び声を上げる。それに反応したフェイカー達は再び飛んで俺を攻撃しようとするが俺は詠唱破棄で纏雷を纏うと
パンっ
不義遊戯でフェイカーの1匹と入れ替わり13匹を殴り倒した。
「ゴールデン・エンパイア・ビーキングでも最大バフ状態じゃ麻痺を起こしたんだ。お前らは確実だろ」
纏雷を使った俺との接触で麻痺して動けなくなったフェイカー達に俺はそう言うと戦甲角杖を構える。
「終わりだ」
そして、一言言い放ち殴雷撃の一撃で残りを片付けた。
「お、レベルアップ」
倒した瞬間にSEが鳴りレベルが1つ上がった事を教えてくれた。致命兎の緑陽輪を付けていても20匹も倒せばレベルは上がるようだ。
「いい目安になるな」
レベルの上昇に伴って習得したスキルやレベルアップしたスキルのウィンドウを見ながらそう呟く。
そして
「ミュウラ、お前最高だ!」
肩に乗るミュウラにそう言って頭を撫でた。
しかし
「ユ、ユウヒさん…言い忘れました…。不義遊戯を使うと私の、魔法抵抗力は、著しくダウン…するんです…。なので、ユウヒさんの、纏雷で…痺れて…しまいます」
ミュウラはビリビリと身体を震わせて俺の肩から落ちない様にしがみついていた。
「それを早く言え!!」
考えて見れば打撃と言う接触で敵が麻痺するなら肩に乗るミュウラも麻痺するのは当然だ。今までレベル99と言う事もあり何ともなかったので考えていなかった。
俺は急いで肩から下ろし麻痺治しをインベントリから取り出しミュウラに飲ませた。
「ぷはー、助かりましたぁ」
「思わぬ…いや、効果を考えれば突然だが…かなり手痛いデバフだな…」
麻痺が解けたミュウラを見ながらそう呟き俺は頭を掻く。効果は凄いが俺が一緒ではあまり使えない魔法だ。
「アイテムをピーツから買って魔法抵抗は補填しますから大丈夫です」
頭でそう考えていたが俺の考えを読んだのかミュウラはそう言って俺の肩に戻った。
「お前がそう言うならそれで良いが…アイテムを買うまでは不義遊戯はあまり使わない方向で行こう。んで、俺がミュウラのレベルに追いついたら攻撃魔法を解禁しよう」
肩にいるミュウラと視線を合わせてそう言い俺はこの場から離れる為に歩き出した。ミュウラは肩の上から「早く同じレベルで戦いたいです」と言ってくるが「その内な」と答えておく。
致命兎の緑陽輪があるのでどのくらい時間がかかるのか解らない。それでも俺はミュウラの使う魔法を楽しみに思いながらその場を後にした。
しようとした。
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【遺志の焔】が反応しました。
現時点より北東。【剣】を回収し『奥古来魂の渓谷』へと迎え
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広場を抜けて木々が作り出した洞窟へと差し掛かった俺の目の前にそのウィンドウは現れた。
「『遺志の焔』の反応…!北東か!」
待っていた事象に声を上げる。
「これって!」
「あぁ、ミュウラ!待ちに待った瞬間だ!」
俺はミュウラにそう言って走り出したマップで方角を確認しながら進む。前に出てくるモンスターを気にせず走った。
そして、北東へと進み続けて俺達は木が重なり合って作られた壁を見つけた。
やっぱ呪術廻戦と言ったら使いたいですよね。まぁ、本編みたいにノーリスクだと破格過ぎるので制限つけましたが……。