「うっひょー!!!!どーなっとるんじゃ!?こんな量の水晶群蠍の素材は見た事ないけぇ!!」
「ユウヒさんが沢山水晶群蠍を倒してゲットしたんです」
「楽しい鬼ごっこだった」
兎御殿内にある自室から鍛冶場へ向かいビィラックと合流した俺、ミュウラ、サンラク、エムルちゃんはインベントリアから俺が獲得した水晶群蠍の素材の"半分"をビィラックに見せていた。
「ここれだけの水晶群蠍の素材をゲットして来るとは…さすがは永劫の墓守を倒した開拓者だ!」
部屋を埋める勢いで放出された素材に発狂するビィラックに俺は「テンション高ぇな」と呟きつつ水晶群蠍の針を手に持ち何やら呟いている黒猫に視線を向けた。
「喋る変態鳥の次は喋る兎、そして次は喋る黒猫か。一体いつから日本が世界に誇る神ゲー『シャングリラ・フロンティア』はどう〇つの森になったんだ?アメリカ行ってる間に何があった?」
「おい待てッ俺は変態じゃねぇ!それに
知らない間に別ゲーへと変化した神ゲーにそう呟いた俺だがサンラクは声を荒らげて言い返してきた。
「それでビィラック。コイツで何か作れねぇか?お前の腕を見込んで武器の制作を依頼したいんだが」
しかし、何時もの応えなので無視してビィラックに声をかける。
「あぁっ!勿論じゃ!!これだけの水晶群蠍の素材があればワチの最高傑作が作れるじゃろう!任せろ!」「おい無視か!?」
「そうか、それじゃよろしく頼む」「おい!」
「にしても鳥の人と言いワリャと言いよくもまぁあの水晶の地に堂々と殴り込みにいけるの…命知らずじゃな」「お前ら…!」
「まぁ、見知らぬ地の存在を知ったら行きたくなるのが開拓者だからな」「まじで…!」
「だからって水晶の地には行かん」
「だったら3人で行くのはどうだ?ビィラックも一緒に蠍の群れに追いかけられないか?」
「ワリャ何を言っとるんじゃ…ワチに『死ね』と言っとるんか?」
「2人で生還出来たんだもう1人いれ「お前らいい加減にしろ!!何時まで無視すんだ!!!」
俺に呆れ顔で応えたビィラックに「大丈夫」と言って水晶巣崖での鬼ごっこに誘ってみると我慢の限界に達したサンラクが兎御殿中に響いたのではの思うほどの大声で言葉を遮ってきた。
「そう言えばサンラクさっき言ってた『鳥人族』ってなんだ?」
「俺の叫びを受け流すとは…………まじで歪みねぇなっ!!」
遮られたついでにさっきサンラクが言っていた「鳥人族」について聞いてみるがサンラクはそう呟くと「俺も詳しくは知らん」と言って顔を背けた。
(拗ねたか)
サンラクの態度に俺は心の中でため息を吐く。他人には同じような事をされてもこう言う態度は取らないのだが俺にはたまにこう言う態度をとる。
(まぁ、無視したのが原因だしな…仕方ないか)
双子の兄弟故の気やすさだと理解しつつも俺はため息を吐くとサンラクに声をかけた。
「悪かった」
「…………」
取り敢えずそう言ってみたがサンラクの態度は変わらない。なので
「冷蔵庫に本場のライオット・ブラットが冷えてるぞ」「許す」
確実に言質を取れる手を打った。こちとら生まれてこの方ずっと一緒にいるのだ。コントロールの仕方は心得ている(それはサンラクも同じである)。
「んで?この喋る黒猫は何?」
サンラクの機嫌が直った所でずっと気になっていた事を切り出す。俺がゲームが変わったかと思った主な原因を指さしてそう言うと
「あぁ、そいつはな「我こそは"剣聖"!"吹き荒ぶる旋風"!猫妖精の国『キャッツェリア』が誇る『長靴銃士団』副団長!アラァッッミィィィス!!」
その黒猫はサンラクの言葉を遮るとその場でトリプルアクセルとポーズを決めてそう叫んだ。
「見事なトリプルアクセルだ」
「見るとこソコかよ」
何処から突っ込んでいいか分からず取り敢えずアラミースと名乗った黒猫の技にそう言ってみたが速攻でサンラクから突っ込まれてしまった。
「アラミース…おもしろ生物以外の感想が出てこないぞ」
「馬鹿ミースで覚えてりゃえぇんじゃ」
俺のセリフにビィラックは何か道具を漁りながらそう言う。名前以外の情報が未だに定まっていない気がするのでミュウラに視線を向けるとミュウラは頷いて説明を始めてくれた。
「ラビッツの同盟国『キャッツェリア』の住む猫妖精さんですね。アラミースさんはキャッツェリアが誇る『長靴銃士団』の副団長でとても強い方なのです。私やビィねぇさまよりも強い方ですね」
「なるほど…よろしくなアラミース」
ミュウラの説明に頷きつつ決めポーズをしているアラミースに手を差し出す。
「うむ、こちらこそよろしく頼む!永劫の墓守を打倒し、夜の帝王に認められし者よ!」
「名はユウヒだ」
お互いに握手を交わしす。その間俺はミュウラの「私やビィねぇさまよりも強い」と言うセリフに内心笑みを浮かべていた。
(機会があったら戦うか…)
そう思いつつ手を離し俺はビィラックとサンラクに話しかけた。
「それで肝心の『ビィラック育成計画』はどうする?このまま出発するのか?」
「あぁ!メンバーが揃ったからなこのまま去栄の残骸遺道に殴り込みだ!」
「殴り込みですわ!」
俺のセリフにサンラクと肩に乗るエムルちゃんは拳を握りそう応える。
「よしっ、行くか!」
「行きます!」
俺とミュウラも同じように拳を握ってそう返し俺たちはビィラックの「似た者同士じゃのワリャ達は…」と言う呟きを聞き流して去栄の残骸遺道へと向かった。
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「お前…出歩く時何時もこの格好なのか?」
「うるせぇ…何も言うな」
ゲートでエイドルトに出た俺は隣を歩くサンラクにため息を吐いた。
「その表情はやめてくれ…心が抉られる」
「仕方ねぇだろが…」
頭から"巨大な布を被った様な姿"で歩くサンラクにそう言う。
(ただの頭から装備なんだろうが下でナニカが動き回ってるのがわかっちまうからキモイな…)
布の下で何が起きているのか知らないがモゾモゾと動き回っている様子が見て取れる布の波打ちに俺も周りにいるプレイヤーも引いている。
街を出るまでの辛抱だが隣を歩く俺も、俺と周りの忌避の視線に晒されるサンラクもあまりいい気分では無い。
「走るか?」
早くこの場を去るために俺はサンラクにそう提案するがサンラクは何故か首を横に振るった。
「この見た目の奴が走ってたら通報される」
そして、サンラクのそのセリフに俺は頷くことしか出来なかった。確かにこんなキメラみたいな見た目の奴が走っていたら通報待った無しだ。
しかし
「見つけたぞ!ユウヒだ!!」
「それにサンラクもいるぞ!!」
状況がそれを許してはくれなかった。
「目立ちすぎた!」
「仕方ねぇだろ!」
後ろから声が聞こえた瞬間に俺たちは走り出す。周りのプレイヤーはそのタイミングでカメラを起動し俺たちを撮影し始める。
(盗撮で訴えてやる!)
「兎の情報寄越せ!」
「リュカオーンの情報を寄越せ!!」
周りのプレイヤーを睨みながら心の中でそう叫び俺達は全力ダッシュでエイドルトの街を駆け抜けた。
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「ここまで来りゃ平気だろ?」
「クソがあの駄犬のせいでろくな目に会わねぇ」
「毎度の事ながら大変ですわ」
「エムルお姉様、その気持ちよく分かります」
「大変じゃなワリャ達…」
「あぁっ!乙女の体温が遠ざかっていく!!」
エイドルトから去栄の残骸遺道まで走り抜けた俺達は周りを警戒しつつそう言っていた。
「また動物ファッションと黒狼の連中だったな…」
「まじでいい加減にしろよ…」
目立つ見た目から変更が効かないので仕方の無い事だが本当にいい加減にして欲しい。俺達はそう言いつつ目の前に広がる新エリアに視線を向けた。
「此処が『去栄の残骸遺道』か。此処に目当てのモノがあるんだよな」
「そうじゃ、ワチが『古匠』に成るために必要な"マーリョークウンヨーンユーニット"があるらしいけぇ」
俺のセリフに応えたビィラックはそのセリフを背に歩き始めた。俺達もその後に続くが俺は首を傾げた。そして
「それ魔力運用ユニットだろ?」
前を歩くビィラックにそう言った。
「正っ解っ!」
すると、サンラクが大袈裟にそう言い俺は「やっぱりか」と呟く。変に改変されてて分かりにくかったが、それしかないだろう。
「うるさいぞ!何度も言われんでもわかっちょる!!」
「何度も言ってねぇ」
「いや、お前で2テイク目。俺が前に一回やったから」
「ビィ姉ちゃん、ドンマイですわ」
「ビィねぇさま、ドンマイです」
「そんな乙女も僕は大好きだ!!」
俺とサンラクの会話に顔を紅くして叫んだビィラックに各々そう言い最後にアラミースがビィラックにハンマーで殴り飛ばされてこの会話は終わった。
「それでその魔力運用ユニットはどこら辺を探せば見つかるんだ?」
気を取り直して歩きつつ俺はビィラックにそう尋ねる。すると、ビィラックは首を横に振った。つまりはビィラック自身にも分からないと言う事だ。
(まぁ、NPCが全部知ってたら意味ないよな…)
ゲームとしての構造じょうその事には納得しつつ歩いていく。すると、俺達はビィラックに話しかけられた。
「マーリョークウンヨーンユニットも大事じゃがワリャ達、このエリアは気をつけぇ」
「「??」」
突然のセリフに俺とサンラクは首を傾げる。
「此処に来るにあたって少し情報を集めてきた。此処にはゴーレムが湧きよるらしい」
「「ゴーレム?」」
「あぁ、神代の頃に作られたゴーレムじゃ。それも1種類じゃのぉて幾つもの種類があるらしぃけぇ…中でもやっ「カランッ」かい…」
俺達の前を歩きつつそう言っていたビィラックだったが何かの音に話すのをやめた。
そして、音の発生源に目を向ける。
それは、何かの部品だった。
「上から落ちてきたか?」
そして、俺達は落ちてきた方向を見上げる。すると
ドンッ
上からゴーレムが降ってきた。
「早速来た!」
「ぶっ壊す!」
俺とサンラクはそう叫び武器を取って向かっていった。