今から鹿紫雲対秤が楽しみでなりません。心配なのは秤の領域の内容が全員に伝わるかくらいですねw
誤字報告助かっています。気にして書いていますがどうしても出てしまうので発見してくださる方には感謝の念が絶えません。
「そっち行ったぞ!」
「おっしゃ任せろ!!」
去栄の残骸遺道でビィラックが古匠になる為に必要な『魔力運用ユニット』を探している俺達は人型から動物型へと変形するゴーレムと戦っていた。
「『ハンドオブフォーチュン』!」
人型から鳥型へと変形するゴーレムを俺が一際大きい瓦礫へと追い詰め上へ飛んで逃げた所をサンラクが殴り壊す。
即興で立てた作戦だったが上手くいきゴーレムは地へと落ちてくる。
「トドメじゃあ!『マテリアルデストロイ』!!」
そして、最後に瓦礫の山で押し潰すようにビィラックがハンマーを振るいゴーレムは完全に破壊された。
「ナイス、ビィラック!」
「楽勝じゃな」
「水晶群蠍狩りまくってレベルが上がったおかげだ」
ドロップアイテムを回収しながら落ちてきたサンラクを含めてそう言い合う。
「にしても…すげぇゴーレムだったな。まさか、変形するとは」
すると、サンラクが鳥の右翼部分をは拾い上げてそう言ってきた。
「あぁ、3人でも倒せたが1個前に倒した豹型に変形する奴がまた出てきたら厄介だぞ」
「確かにそうじゃな。ミュウラの魔法と馬鹿ミースがいて倒せたようなヤツじゃ。また、出たらちょいと面倒じゃぞ」
サンラクのセリフに俺とビィラックは先に倒した人型から豹型に変形するゴーレムを思い出しながらそう応えた。
そう、俺達が変形するゴーレムを倒すのはこれが初ではない。去栄の残骸遺道を進む中で徐々に出てくるゴーレムの数が多くなりついに変形タイプが現れた。
人型から動物型、動物型から別の動物型へと、変形が可能なゴーレムが現れ始めさっき倒したゴーレムで6体目だ。
中でも豹に変形するタイプがかなり厄介であり「速い」「硬い」「上手い」が三拍子揃ったゴーレムだった。スピードと瓦礫を上手く使って逃げる上に隠れるのが上手い。
前衛を務める俺とサンラクのどちらかと空中で入れ替えそこをアラミースが狙撃する戦法を取らなければ俺達の耐久では大ダメージを食らっていた可能性があった(ちなみに鳥型は位置替えしてもバーナーで急加速して逃げる。だから方向転換した直後で破壊した)。
(まぁ、俺もサンラクも魔法とスキルを極力使わない様にしてるから使えば問題はねぇけどな)
今の自分達の強さを知る為にあえて縛りをしている状況に「そろそろ止めるか」と考えながら俺達は後ろで待っていたミュウラ達と合流した。
「お待たせ」
「お疲れ様です。ユウヒさん」
「ただいま」
「おかえりなさいですわサンラクさん。素晴らしいパンチでしたわ」
「戻ったぞ」
「おかえり我が乙女よ。さぁ、この胸の中に!」
各々ミュウラ達と言葉を交わす。アラミースに関しては抱きつこうとして恒例行事の如くビィラックにハンマーで殴られているが、身体をビクビクさせながらも顔を紅くしているので問題はないだろう。
「夫婦漫才やってないでさっさと行くぞ。きっとこの辺にお目当てのモノがあるはずだからな」
恒例行事に呆れ顔をするサンラクはビィラック達にそう言って当たりを見回す。ビィラックは「誰が夫婦じゃ!」と叫ぶが次の瞬間には首を傾げていた。
「目当てのモノ…?マーリョークウンヨーンユーニットがここら辺にあるのか?どうして分かるんじゃ?」
至極真っ当な疑問にミュウラやエムルちゃん、アラミースもクビを傾げる。だが、俺とサンラクは目を合わせると頷いて話し出した。
「ここいらに来てから出てくるゴーレムの数が多くなったのはわかるか?」
「そりゃ分かるぞ、おまけに厄介なゴーレムばかりじゃ」
「あぁ、飛べたり足が速かったり…色々な種類のゴーレムが出てきた。そして、ビィラックが言ったようにその全てが"厄介"だ。何故か?」
「何がなんでもここいらに踏み込んできた奴らを倒すためだ。……この『去栄の残骸遺道』は神代の名残りを強く残すエリア。そして、神代では戦いにゴーレムを用いていた事は明白。なら、そのゴーレムは何処で作る?」
サンラクと交互に話していき俺がそう言うとビィラック達はハッとした表情になった。
「そうか!つまりゴーレムを作る『工房』が何処かにある!そういう事じゃな!?」
答えに辿り着いたビィラックのセリフに俺とサンラクは頷きまた話す。
「そう、そしてその工房を護る為に強いゴーレムが必要だったとしたら?」
「強く厄介なゴーレムが大量に出てくる此処が怪しいだろ?」
「なるほど…それでこの場所を重点的に歩いていたのか…!」
「「流石ですわ。お二人共!」」
ミュウラ達も納得した様にそう言い俺達はそれに頷いて辺りを見回した。俺達の考えが正しいと仮定すると必ずこの近くにあるはずだ。
「ユウヒ」
すると、サンラクが唐突に俺の肩を叩いた。
「見ろ」
そして、ある場所へ指をさす。そこには"不自然に"瓦礫が積まれていた。
いや、『工房』の存在に気がついていないとそれはただの瓦礫の山だ。気が付かなくても無理はないだろう。
俺とサンラクはその場所に近づくと一際大きい瓦礫を排除した。
「「見つけたぜ」」
そして、瓦礫を排除した事で現れた穴を見てそう呟いた。
「これが工房なのか?」
「デッカイ穴ですわ〜」
「ちょっと怖いです…」
俺達が見つけた穴を兎達は覗き込んでそう言う。ミュウラに関してはいつも通りな感じだが確かに大きく底が見えない穴は不気味さがある。
「真っ暗だな」
穴を覗き込むアラミースもそう言い「困った」と言う様に息を吐く。
(此奴、猫なのに暗闇ダメなのか)
そんな様子にそう思ってしまうがそれは言わぬが花だろう。
「全く見えねぇ」
「ワリャ鳥目じゃからな」
「これは装備だっつうの!」
そんな事を考える隣でサンラクビィラック鳥人族と間違えられた事にツッコミを入れている。だが、そんな事をしている暇はない。
既に初めてから時間が経っている。リアルと日照時間が揃っているゲーム内で日が傾きもうすぐ夜になるだろう。
「サンラク、ジャンケンするぞ」
さっさと下へ行く奴を決めるために俺はサンラクにそう言い拳を構えた。しかし
「だが断る」
サンラクは妙に決まった顔でそう言って来た。
「お前にジャンケンで勝てるわけねぇだろ!」
「チッ覚えてたか」
サンラクのセリフに俺は以前ジャンケン必勝法を話したのを後悔した。
(話してなければノーリスクで生贄に出来たのにな)
「じゃあどうやって決める?」
ジャンケンの為に構えた拳を解いて穴を指さしながらそう尋ねる。サンラクは首を傾げて悩んでいるが少しすると何処か、正確には俺の後ろを見て目を見開いた。
「縄ならあるよ♡」
そして、俺の耳元で囁く様に甘い声が聞こえた。
聞き覚えのある、しかし、聞こえるはずがない声に俺は振り返りつつ蹴りを放つ。
「あっぶないな〜!女の子を蹴るなんてやっちゃダメなんだよ?」
俺の蹴りを躱した"ペンシルゴン"は頬を膨らませてそう言いつつ「めっ」と言ってくる。
「何でここにいる?」
色々聞きたいことがあるが兎に角それが解らず俺はそう尋ねる。すると、ペンシルゴンはサンラクを指さすと
「どっかの鳥頭が私らのメールガン無視してさぁ…一言の返信もないの。だから、捕まえに来たんだぁ」
一転、悪魔の様な表情で笑ってそう応えた。
「三十六計逃げるに悪しからず!!」
その笑顔を見た瞬間にサンラクはそう言い残してスキルまで使って走り出した。
しかし
「逃がすかぁぁぁぁぁっ!!」
瓦礫の裏に隠れていたのかカッツォがそう叫んで
サンラクの首に縄を巻き付けた。
「うげぇっ!?」
突然首を絞められた事でサンラクは変な声を上げてその場に倒れる。カッツォは捉えた獲物を引きづって俺達に近づくと
「久しぶり、ユウヒ」
何事も無かったかのようにそう言ってきた。