戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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宝は見つかる。未確認生物も見つかる(罠)

「うん、さすが。アレ位じゃビクともしないね」

 

門番のゴーレムを倒した俺達はヤツが守っていた扉の前でカッツォの作業が終わるのを待っていた。

 

「それが例の預けてたって言うメイン武器か?」

 

「そうそう『聖槍カレドヴルッフ』。この世界に一つしかない槍の勇者武器だよ」

 

「へぇ、そう言うのもあるのか」

 

「ほぉ…それが…」

 

「初めて見るのぉ」

 

カッツォが扉に触れ解錠の為に試行錯誤してエラー音を出しまくっている中、俺達はペンシルゴンが持つ武器を見て話す。

 

「キラキラしてますね」

 

「カッコイイですわ!」

 

「良いでしょ〜、これを持つと『勇者』のジョブが解放されるだよ。手に入れるのにそれはもう苦労したんだから〜」

 

目を輝かせて聖槍を見るミュウラとエムルにペンシルゴンは気を良くしたのかニヤけた顔で聖槍に頬擦りしながらそう応えた。

 

「「シャンフロ終わったな」」

 

しかし、そんなペンシルゴンに俺とサンラクは口を揃えてそう言う。

 

「どういう事ですか?」

 

俺達のセリフにミュウラが首を傾げるが意味なんて分かりきっているだろう。

 

「"こんなの"が勇者とか終わりだな。ユナイトラウンズの二の舞にならなきゃいいが…」

 

「油断ならない黒幕気質が『勇者』だぞ?ろくな事にならねぇよ」

 

俺とサンラクは呆れ顔でそう言いため息を吐く。ペンシルゴンは俺達のセリフを気にした様子もなく「勇者なんて暗殺者とイコールでしょ」と言ってくるがそのセリフだけで察しなのは言うまでもない。

 

「んが!?また失敗かぁ!」

 

すると、扉とにらめっこしていたカッツォが悔しさを滲ませた驚き声を発した。

 

「大丈夫か?」

 

「まぁた弾かれた〜どうなってんだよ〜」

 

「結局開かないのその扉?」

 

「お前が『俺のスキルなら開けられる』って言い出したんだぞ」

 

右手を振りながら困惑した表情を見せるカッツォにペンシルゴンとサンラクがそう言う。まぁ、言いたい事もわかる。俺達が相手だったから苦戦はしなかったが、あのレベルの門番が守っていた扉だ奥には必ず"ナニカ"がある。

 

それを楽しみにしていたのだが、俺達が倒したゴーレムは鍵を落とさなかった。その為、開けられる可能性を持つカッツォに期待が集まっているのだが、そのカッツォも苦戦しているのだ。

 

「まだ、スキルレベルが1なんだよ!」

 

サンラクとペンシルゴンにカッツォは声を大にしてそう言い返すと再び扉、正確にはタッチパネルの様なモノに右手をかざした。

 

バチッ

 

「あわ!またか!」

 

しかし、再び弾かれてしまった。

 

「風呂入ってきていい?」

 

その様子にサンラクは「こりゃ長くなるな」と小さく呟きそう言う。正直、俺もサンラクと同意見だが『門番』が鍵を落とさなかった以上なにか開ける為のヒントはある筈だ。

 

「壁の周りとか一帯ぶっ壊すか…」

 

「いきなり何を言ってるのかな君は?」

 

手がかりを見つける為に壁を見ながらそう呟いた俺にペンシルゴンは真顔でそう言うがサンラクは言いたい事が解ったらしく「あーそれ良いかもな」と言って兎月をインベントリから取り出して構えた。

 

「んじゃ、サンラクは右の壁で俺は左な」

 

「頑張って下さい!ユウヒさん!!」

 

「了解!」

 

「サンラクさんならやれますわー!!」

 

ミュウラとエムルちゃんの応援を聞きながら俺もサンラクと同じく兎月を構えてそう言う。互いに壁に向き合い武器を振り上げる。しかし

 

「待った待った!!ツーカーな会話からストッパー無しで行動するの止めて!!壁壊す必要ないから!単純に『乱数チャレンジ』の時間ってだけだから!!」

 

俺はペンシルゴンに腕を取られて止められてしまった。

 

「乱数か…クソな思い出しかないぞ…!」

 

そして、ペンシルゴンのセリフにサンラクは表情を歪ませると何かを堪える様な声を出した。

 

「サンラク君は昔から乱数に見放されがちだからねぇ」

 

そんなサンラクにペンシルゴンは俺の腕を抱いてそう返して話し続ける。

 

「『ミナゴコロ大戦記』だったっけ?ヒロインの病を治す為のアイテムが出なくて…3週間くらい乱数外し続け「思い出させんな!!」

 

じわじわと話すトーンを上げていくペンシルゴンの声をかき消す大声を上げるサンラクにペンシルゴンはニヤリと笑う。同じゲームをやった者としてサンラクの気持ちが解る俺はペンシルゴンが抱く腕を解くと「あれは最悪だったな」と呟いた。

 

「そう言うって事はユウヒくんもそのゲームやった事あるんだ?」

 

すると、俺の呟きが聞こえていたのかペンシルゴンが少し驚いた顔でそう言ってきた。

 

「やってたけどクリアはしてねぇ…サンラクがクリアした後にやってみたが2ヶ月乱数外してヒロイン殺して止めた」

 

ペンシルゴンのセリフに当時の記憶を思い出して舌打ち混じりにそう答える。サンラク曰く、最後の最後で大量虐殺する事になるらしいのだが、俺は2ヶ月アイテムゲットの乱数を外した後ベッドで眠るヒロインにナイフを刺してログアウトした。アイテムゲットの為に3徹していた事もあって変なテンションだった事は認めるが、それを差し引いても「最悪」の一言に尽きる。そんなゲームだった。

 

「そ、そうなんだ…」

 

俺の態度から表面上の理由を察したのだろう、ペンシルゴンは何処か引いた様子でそう言う。

 

「馬鹿、散らせその殺気」

 

すると、サンラクがそう言いながら俺の頭を叩いてきた。どうやらあの時の記憶のせいで殺気を放っていたらしい。

 

「悪い」

 

「気にすんな。全ては扉相手に手こずってるカッツォが悪い」

 

「辻斬り的に罵倒すんの止めてくれる!」

 

俺の謝罪にカッツォを指さしてそう言ったサンラクだったがカッツォの叫びに伸ばしていた指を速攻で納めた。

 

俺らが話している間もずっと扉相手に何かしら試していたのだ叫んでも無理はない。

 

だが

 

「さっさとしてくれカッツォ、余計な事を思い出してキレそうだ」

 

とりあえず俺もカッツォを急かしてみる事にした。

 

「それ俺全然関係ないよねぇ!?」

 

俺のセリフにカッツォは右手をパネルに叩きつけてキレ気味で言い返してきた。

 

ヴオォォン

 

すると、今までなんの反応も示さなかった扉が音を立てて動き始めた。

 

「おっ!」

 

「おぉ!」

 

「やっと開いたねぇ!」

 

開かれた扉に俺とサンラクは声を上げペンシルゴンも上機嫌にそう言う。

 

「どうやら『稼働する遺機装』を読み込ませれば開く仕組みだったみたい。やっと開いたよ…」

 

そんな中、カッツォはインベントリアの内容物が記載された一覧を操作しながら少し疲れたようにそう呟いた。

 

「やぁっと訳の分からん話しを聞かずに済むのぉ」

 

カッツォの呟きにビィラックはそう言うと足を前へ進める。ビィラックに続きカッツォ、俺、ミュウラ、ペンシルゴン、サンラク、エムルちゃん、アラミースも足を進めた。

 

「うん、これは"ある"ね!お宝の匂いがプンプンするよ!」

 

部屋の中に入り全体を見た俺達だったがペンシルゴンが部屋の様子にテンションを上げてそう言う。

 

「あぁ、良い意味で時代錯誤的なモノが並んでる。これは絶対に"ある"な」

 

そのセリフに俺はそう応えて部屋の奥へと進んだ。部屋は言葉通りシャンフロの世界観に合わない機会のオンパレードでありまさに『ラボ』という感じだ。必ずナニカがある空間に全員が目を輝かせている。

 

「「よく開けた(な)カッツォ」」

 

俺とサンラクは声を揃えて扉を解放したカッツォにそう言うがカッツォはニヤリと腹立つ笑顔を見せると

 

「まぁ、乱数の女神に見放されたお前らとは違うって事だね」

 

と言ってきた。

 

「「ユニーク一つ見つけられないやつがよく言うぜ」」

 

そして、俺とサンラクは微笑んでそう言い返してゴングが鳴った。

 

「それは禁句だろうが変態共!!」

 

「理由があるって言ってんだろうが!!」

 

「てめぇも半裸にするぞコラァ!」

 

飛びかかってきたカッツォに俺達も対抗して拳を出す。周りに置かれていた物が散乱し始めるが止まらない。

 

「何をやっとるんじゃ彼奴ら…」

 

「あ〜気にしなくて良いよ〜全員本気じゃないから」

 

ビィラックとペンシルゴンのそんな会話が聞こえるが喧嘩開始5秒でカッツォに関節を決めた俺は締めるのに忙しく反応する事はなかった。

 

「馬鹿鰹め!こっちには最強兵器(ユウヒ)がいるんだよ!最初からお前の負けだ!!」

 

「クソがぁ…!」

 

関節技に苦しむカッツォにサンラクはハイテンションで笑ってそう言いカッツォ本人も苦しそうに声を漏らす。

 

「大丈夫でしょうか…」

 

「心配ですわ」

 

ミュウラとエムルちゃんがそう言うのが聞こえるが締めを緩めることはない。

 

「ふむ…あのまま更に締めれば腕が折れるな」

 

「何を冷静に言っとるんじゃ馬鹿ミース」

 

俺達の様子にアラミースは顎に手を添えてそう呟きビィラックはその頭を軽く叩いた。

 

「はぁ、そろそろ止めようかな」

 

そんなミュウラ達の様子にペンシルゴンは溜息を吐くと俺達に近づき3回手を叩くと

 

「早く探して」

 

低く一定のトーンで俺達にそう言ってきた。

 

「「「はい」」」

 

これ以上、巫山戯られない雰囲気を一瞬で作り出したペンシルゴンに俺は関節技を解き今まで笑っていたサンラクと倒されていたカッツォ共々部屋を調べ始めた。

 

俺たちを一瞬で大人しくさせたペンシルゴンにミュウラ達が体を震わせたのが見えたが余計な事は言わない方が良いだろう。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

ペンシルゴンの一声からしばらくして部屋を漁っていた俺は顔を上げた

 

「それにしても物が多いな。ラボだから当たり前だけど、ゲームの世界観を考えると全部お宝に見えてくる」

 

目的の魔力運用ユニットを探しながら机を漁ったりよく分からない機会を開けてみたりしているが一向に見つからない。

 

「早く見つけてぇのにこれじゃぁ…絶対に見つからないぞ!!」

 

俺のセリフに応えるようにテンション高めにサンラクはそう言いうと辺りを見回す。その様子にビィラックが「なんじゃ?」と首を傾げているがあれは単純に新しい玩具で遊びたくてウズウズしているだけだ。

 

「餓鬼かよあの変態…手に負えねぇな」

 

「聞こえてんぞ!!」

 

サンラクの様子に小さく呟いたつもりだったがテンションが上がり五感が過敏になっていた様でそう言い返されてしまった。

 

サンラクの叫びは無視したがサンラクの「絶対に見つからない」の言い分も現実味を帯びてきた。4人+3羽+1匹で見つからないのは流石に不味い。

 

「なんかヒントとかないの?」

 

この状況にカッツォが魔力運用ユニットを知っているビィラックにそう尋ねる。

 

「そうじゃのぉ…」

 

ビィラックはカッツォの問にジェスチャーを混じえて応えている。そんな中、俺はミュウラに近づくと小さい声で話しかけた。

 

「ミュウラ、お前の出番だ」

 

「どういう意味ですか?」

 

「お前、大道と会った時魔力の感知やってたろ?それを此処でやってみてくれ」

 

「何故ですか?」

 

俺の真意が解らないのか首を傾げるミュウラに俺は予想も混ぜて考えを伝える

 

「魔力運用ユニットって事は文字通り魔力を運用、つまり動かして使う道具って事だろ?て事はだ、大昔に使ってた道具とはいえこの部屋の機会と同じでちゃんと原型を残したまま残ってるかもしれねぇ。もし、昔に魔力を通して使ってたならそれには魔力が残ってるって思わねぇか?」

 

「ですが、それでは時間が経ち過ぎていて分かりませんよ?」

 

「それで良いんだよ。逆にこの部屋で『魔力の残滓が薄いモノ』を手当り次第に探せば良いんだからな」

 

「なるほど!流石ユウヒさんですね!」

 

俺の考えにミュウラはそう言って頷いた。これであとはミュウラが感知したものを順番に調べれば済む。しかし

 

「なぁにやってるの♪」

 

先程の一声とは180°違う声と共に俺の肩が掴まれた。

 

顔を向ければニコニコ笑顔のペンシルゴンがおり綺麗な笑顔であるにも関わらず凄い圧を放っていた。

 

「あ〜……ちょっとミュウラの能力使って上手いことやってもらおうかなって…」

 

「へぇ、ミュウラちゃんそんな事出来るんだぁ?」

 

笑顔で放たれる圧を感じながらも応えた俺だがそう言うペンシルゴンに「やっちまった」と思った。

 

(此奴相手に変に情報出すと不味いってサンラクに言われてたな…もう遅いが)

 

「手伝ってくれ」

 

「良いよ♪」

 

一つ溜息を吐いてそう言った俺にペンシルゴンは放っていた圧を消して頷いてくれた。圧が消えた事に安心しつつもミュウラが感知したモノを調べ始める。

 

「幾つか集めて見たけど…どれかお目当てのブツなの?」

 

少しすればテーブルの上には10個程の機器が集まり腕を組んで首を傾げるペンシルゴンと同じく俺も「わからん」と首を傾げた。

 

しかし

 

「わかる奴に聞きゃいい。ミュウラ、ビィラック呼んでくれ」

 

俺は考えるのをやめてそう言うと手っ取り早くミュウラにそう伝える。

 

「はい、お待ちくださいな」

 

「よろしくな」

 

頷きビィラックの元へ向かったミュウラを見送り少し待つ。すると、ミュウラに呼ばれたビィラックとサンラク、カッツォ、エムルちゃん、アラミースがやって来た。

 

「ワリャ達、どうやってこの量集めたんじゃ?」

 

「すごっ、俺達が見つけたヤツよりそれっぽいのが集まってる」

 

「流石だね」

 

来るやいなやテーブルに置かれた機器にビィラック達はそう言い俺はミュウラの頭を撫でつつ「ミュウラのおかげだな」と答えた。

 

「流石、乙女の妹君だ」

 

「よくやりましたわ、ミュウラ」

 

俺のセリフにアラミースは頷きエムルちゃんはミュウラの頭を撫でる。エムルちゃんに撫でられたことが嬉しかったのか、ミュウラは胸を張って得意げに笑った。

 

「それで?この中に魔力運用ユニットはあるのか?」

 

「そうじゃのぉ…………」

 

ビィラックは俺、ペンシルゴン、ミュウラが集めた機器を一つ一つ確認しつつ魔力運用ユニットを探していく。自然とビィラックに視線が集まる中、積まれた機器の中からエムルちゃんがリング状の機器を取り出した。

 

「コレ、丸くてちょうどいい大きさですわ。被れますわ〜」

 

「こら、エルム。ビィラックが確認してるんだから暇だからって遊ぶんじゃありません」

 

取り出した機器を頭にはめて遊ぶエムルちゃんにサンラクが子供を叱る様にそう言う。まぁ、興味のあるヤツからすれば重要な時間だが、興味がなければただの暇だ遊びたくなってしまう気持ちは良くわかる。

 

「まぁ、良いんじゃねぇの?他の機器の確認が終わるまでなら」

 

「確かにね、ビィラックちゃんも他をじっくり確かめたいだろうし」

 

俺とペンシルゴンはサンラクのセリフに頬を膨らませているエムルちゃんにそう言う。

 

「お前らなぁ…」

 

サンラクは何か言いたげな顔をしているが最終的にビィラックが確認出来ればなんの問題もない。子ウサギが遊ぶくらい大丈夫だろう。

 

「何を騒いどるんじゃ…少し、しずか……に……」

 

俺達の話し声が少し大きかったのだろう、ビィラックは顔を上げて俺達にそう言うと不自然に言葉を詰まらせた

 

「エムル…そりゃ…」

 

そして、エムルちゃんの頭を指さすと声を震わせる。

 

「それじゃ…」

 

「「「「「「はぁ?」」」」」」

 

意図が解らないセリフに全員が首を傾げる。

 

「エムルの被っとるヤツじゃ!!それがマーリョークウンヨーンユーニットじゃけぇ!!」

 

「「「「「「はぁ!?」」」」」」

 

そして、ビィラックのセリフに俺達は叫んだ。

 

「道理で山の中にないはずじゃ!」

 

ビィラックはハイテンションでエムルちゃんの頭から魔力運用ユニットだと言うソレを外すとじっくりと確認し大きく頷いた。

 

「間違いないけぇ!コレがマーリョークウンヨーンユーニットじゃ!!」

 

「よっしゃあ!!」

 

「コレで規格外エーテルリアクターが修理出来る!!」

 

「ウェザエモンの遺産の復活だね」

 

「楽しみだねぇ…!」

 

「流石だ!!黒き乙女の妹君よ!!」

 

「流石ですおねぇさま!」

 

「あたし凄いですわー!!!」

 

ビィラックのセリフに全員の喜びが爆発する。エムルちゃん本人が1番驚いているが俺、サンラク、ペンシルゴン、カッツォの喜びは一入だ。

 

「あのSFスーツで暴れられるぜぇ!!!」

 

サンラクはエムルちゃんを抱き上げ叫び声を上げる。そして、ビシィ!と音が鳴りそうな程キレッキレの指さしポーズを決めると

 

「早速!持って帰って!!修理するぞ!!!行くぞ、ユウヒ!!ビィラック!!」

 

声高らかに叫んだ。

 

しかし

 

「「なぁに逃げようとしてんのかなぁ〜??」」

 

大興奮も束の間、サンラクの両肩はペンシルゴンとカッツォによって掴まれその様子に俺達は現実に引き戻された。

 

「勢いで逃げようとしてるのバレバレなんだよサンラク君??」

 

「メールの件、忘れたとは言わせねぇぞ!!」

 

やけに力の入った手とセリフにサンラクは舌打ちをかますが、俺は静かにミュウラとエムルちゃんを肩に乗せてビィラックとアラミースを掴むと

 

(今しかない)

 

音を立てずにその場から去ろうとした。

 

しかし

 

「なぁにやってるの?」

 

凍死しそうな程冷えた声色と共に俺の横顔を掠めて槍が投擲されその穂先が壁に刺さると同時に俺の足は止められた。

 

「君も私と一緒に来るんだよ」

 

「何処にだよ?地獄か?」

 

振り返れば闇という闇を凝縮したような目をしているペンシルゴンがおり俺は彼女にそう返すので精一杯だった。

 

肩の上ではミュウラとエムルちゃんが震えており、ビィラックやアラミースは何かを訴えるように俺の足をタップしている。

 

「と言うか俺は関係ないよな、メールの件はサンラクの問題だろ?」

 

正直なところ本当に俺には関係ない話なのでそう言ってみる。サンラクの「裏切り者め!」と言うセリフが聞こえてくるが反応している余裕はない。

 

「一緒に行くの?行かないの?」

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………行きます」

 

「良かった♡」

 

生きた心地のしない沈黙の末に俺はそう言うとペンシルゴンは笑って壁に刺さった槍を抜いた。

 

「それじゃあ行こっか」

 

そして、俺達にそう言うと腕を組んで上機嫌で歩き出したのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━

「お疲れ様」

 

「ホントにな」

 

「あんな鉛筆を見たのは初めてだよ」

 

帰り道のユウヒ、サンラク、カッツォの会話から1部抜粋

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

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