「う、ぐっ…」
「うわー、マジかお前」
「予想外の外の外…」
「信じられない…」
エイドルトのある裏路地は静寂に包まれていた。ソレを破ったのは地面に殴り倒されたサイガ-100の呻き声であり、彼女が呻き声を上げる原因を作り出した男にサンラク、カッツォ、ペンシルゴンの3人は各々そう言葉を漏らした。
「ったく、サイガ-0が前に弁明してなかったら本気で
そして、サイガ-100を殴り倒したユウヒは倒れている彼女と目を丸くしているAnimaliaにそう告げた。
「は、はい…」
ユウヒにそう言われたAnimaliaの行動は早く、直ぐさまメールバードを飛ばしクランメンバーを路地裏に集めた。
「何が起きた…?」
そして、地面から立ち上がったサイガ-100もそう言いつつメールバードを飛ばした。この時点で、ユウヒとミュウラ、エムルを追いかけるプレイヤーはいなくなった。
「いやー、全く予想外の終わり方になったねぇ…。1番解決が早いやり方だけど1番悪いやり方だよ?ユウヒくん」
事態の流れを読み切ったペンシルゴンが溜息を吐きつつユウヒにそう声をかける。ユウヒは「ハメたくせによう言うぜ」とペンシルゴンに返しオロオロしているサイガ-0と頭を抑えるサイガ-100、あたふたしているAnimaliaに視線を向けた。
「急に『黒狼』のエンブレムを身につけたプレイヤーが鬼ごっこに加わったから分かっちゃいたが、正直関わりたくはなかったな」
最初に自分達に向かってきたAnimalia達クラン「SF-Zoo」とは違い、いつの間にか参加していたクラン「黒狼」のリーダーであるサイガ-100。
ウェザエモン討伐後の
故に本気で奇襲せずに一撃に留めて事態をリーダー自らに終息させた。
「度々申し訳ない。いも、サイガ-0から理解が得られたと報告を受けてから君にはちゃんと段階を踏んで交渉しようとしていたのだが、勝手に動いた馬鹿者達がいた…。連中には罰を与えたよ」
「まぁ、組織がデカくなれば統制も難しくなるわな…。今日の事は
目礼をしながらそう言ったサイガ-100にユウヒは隣にいるペンシルゴンを見ながらそう返した。ペンシルゴンはその瞬間に顔を逸らしカッツォとサンラクにニヤニヤされている。
「感謝する」
サイガ-100はその光景に少し驚きながらもユウヒにそう言いもう一度目礼をした。
「いやはや、凄い動きだったな」
すると、慌ただしさが無くなった裏路地にシルバーボイスが響いた。
「「あんたは…」」
声のした方に視線を向ければそこにはピンクの長髪を三つ編みにしリボンを付けた魔法少女がいた。
「やぁ、久しぶりだねユウヒくん、サンラクくん」
魔法少女は声を漏らしたユウヒとサンラクにそう声をかけて右手を上げる。
「考察クラン『ライブラリ』のリーダーキョージュさんだよ。君が追いかけっこしている間に呼んでおいたんだ。いた方が良いと思ったからね」
すると、意外な人物の登場に少し戸惑う2人にペンシルゴンがそう言う。
「お前ってホントに…」
ユウヒがキョージュに個人的にコンタクトを取ろうとしていた事をペンシルゴンは知らないが、図らずもユウヒが予定を立てる前に予定が現実になった事にユウヒはそう言葉を漏らした。
「?」
ユウヒのセリフに意味が分からないペンシルゴンは首を傾げるがユウヒはそんな彼女に「なんでもねぇ」と言って言葉を続けた。
「んで?この後はどうするんだ?」
「皆で話し合いだよ。蛇の林檎水晶街支店の個室を取ってあるからそこで話そう」
「了解」
ペンシルゴンのセリフにそう応えたユウヒは歩き出したペンシルゴンについて行き店へと向かう。
この後始まる「話し合い」で何が起こるのかを楽しみにしながら
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蛇の林檎 水晶街支店
その一室で4つのクランによる話し合いという名の腹の探り合いが行われていた。参加しているメンバーは8人。
クラン『旅狼』より
ユウヒ
サンラク
アーサー・ペンシルゴン
オイカッツォ
クラン『黒狼』より
サイガ-100
サイガ-0
クラン『SF-Zoo』より
Animalia
クラン『ライブラリ』より
キョージュ
シャングリラ・フロンティアのサービスが始まって以来この世界で第一線を走り続ける3つのクランと出来てまだ日の浅いクランが店の個室で顔を突合せている。
傍から見ると異常な光景に見えるがこの話し合いに参加しているメンバーに異常を感じている者は1人もいなかった。
「さて、そろそろ始めようか」
店員のNPCによってドリンクが運ばれたのを確認したペンシルゴンが全員を代表してそう切り出した。
話す内容は『答え』を求める者によって異なるが、なんの因果かその質問に答える事が出来るのはユウヒとサンラクだけであった。
「はいはいはい……なるほどね。俺たちへの質問を一気に消化しようって事ね…」
そろったメンバーを今一度確認したサンラクは面倒くさそうな表情でそう言いつつペンシルゴンをチラ見する。
「何か言いたそうだけど君もユウヒくんもずっと追いかけ回されるのは嫌でしょ?」
サンラクの視線に気がついたペンシルゴンはなんの悪びれもなくそう言いサンラクとユウヒをハメた事を棚上げしてきた。
「今更だが質問に答えるだけならサンラクだけで良いだろうが、なんで俺までハメたんだよ?」
本当に今更ではあるがユウヒは自分までハメられた事への疑問をペンシルゴンへとぶつけた。すると、ペンシルゴンは「証人は1人より2人の方がいいでしょ」と綺麗な笑顔で答えた。
ユウヒは知らない事だがペンシルゴンとカッツォがサンラクへ送ったメールにはユウヒにも内容を共有するようにと書かれていた。
それは鳥頭がメールを既読スルーしたことによって事態が厄介になりユウヒには知らされなかったがユウヒは「答えられるかは別として聞かないと面倒くさい」と思っている為、当初の目的は達成されていると言える。
「それで?俺とこの鳥頭に何が聞きたいんだ?答えられる範囲でなら答える」
ペンシルゴンの綺麗な笑顔をスルーしたユウヒは改めてサイガ-100達にそう問いかけた。
「では、単刀直入に行こうか」
そして、その問に最初に答えたのはクラン『黒狼』を束ねるサイガ-100だった。
「我々
「マジか!」
「方法自体は割と知られてはいる。だが、我々が協力すれば一から始めるより数倍楽に済ませられるだろう」
「おぉ!!」
サイガ-100の提案にユウヒとサンラクは目を丸くしサンラクは身を乗り出した。そして、身体に刻まれた『リュカオーンの呪い』に視線を向ける。ユウヒもサンラク同様に身体に刻まれた呪いを見つめた。
「我々
そして、ユウヒとサンラクのリアクションに交渉を進められると判断したのかサイガ-100は話を続けた。
この時点でサンラクは自分が出せる手札の整理を頭の中で進めていた。サンラクはユウヒとは違いシャングリラ・フロンティアでのゲームライフに「縛り」を求めてはいない。ユウヒは逆境に居続ける事に楽しさを感じ装備が出来なくとも己の技で強敵と戦える事を楽しんでいるので現状、サンラク程『装備』に対する欲求は溜まっていない。しかし、サンラクは自由度の高いゲームで縛りプレイを強制されていることに不満を感じている為、サイガ-100の提案に「乗っても良さそうだな」と考えていた。
しかし
「悪いけど俺はいい」
「「は?」」
ユウヒはサイガ-100の提案に拒否を示した。
「お前…いいってどう言う?」
サイガ-100と言葉を重ねて間の抜けた声を漏らしたサンラクがユウヒにそう尋ねる。
「俺は現状この呪いを有効活用させてもらってる。だから
「はぁ〜…お前そういう事かよ」
そして、ユウヒの答えを聞き理解したサンラクは顔を手で覆ってそう呟いた。
「どう言う意味なのだろうか?」
しかし、意味が分からないサイガ-100は困惑した表情でサンラクにそう問いかけた。
「
そして、サンラクがユウヒの意図を伝えると今度はサイガ-100が目を丸くした。
「ユウヒ君…リュカオーンの呪いがある限り君は装備をする事が出来ない。シャングリラ・フロンティアでそれは致命的なのでは?」
驚きが顔に出たのは一瞬、直ぐに表情を元に戻すと彼女は冷静にユウヒにそう尋ねた。
「別に致命的ではないな。装備が満足に出来なくても技と経験で戦える。それに、今はそれが1番楽しい。今の状態でどれだけ強敵とやり合えるのか…とことん試したい、戦いたい…!」
「…………そうか」
サイガ-100はユウヒの答えに緊張感を孕んだ笑みを浮かべた。それは、ユウヒが放った圧に対する笑みでもあり交渉失敗を予感したが故の笑みであった。
(これが最強種討伐の中核をなしたプレイヤーか!!)
そして、それと同時に高揚した。自分達よりも早くユニークモンスター「墓守のウェザエモン」を倒した4人のプレイヤー。その中に知人がいた事で誰よりも深く話しを聞く事ができた。
その知人は言っていた。
『彼が…モモちゃんの探してるプレイヤーの一人。ユウヒくんがいなかったら相当危なかったと思うよ』
奴がそうまで言う程のプレイヤーの実力はどれ程なのか。リュカオーンの呪いを刻まれている時点で並のプレイヤーではないと想像していたが、ユウヒはサイガ-100にとって想像以上だった。
そして
「条件を変えようぜ。貸一って事で要求を呑む。あの犬を殺りたいのは俺も同じだ。サンラクもそれで良いだろ?」
そんなサイガ-100の内心など露知らず。ユウヒは堂々とそう言い放った。
「マジかよユウヒ?」
「い、いいのか?」
要求した本人と兄が困惑した表情でユウヒにそう問いかける。
「あぁ、リュカオーンの情報で貸しが作れるなら別に良いよ」
「良いねぇ!そうしよっか!!
困惑する2人にユウヒはいつも通りの様子でそう答えたが突如、ペンシルゴンが大きい声でそう言って介入してきた。
「いや、別にクランじゃなくて個人への貸しでいいっつうの」
ペンシルゴンの乱入にサイガ-100は困惑した顔をするがユウヒは呆れた顔でそう言う。
「流れを読もうぜ!ユウヒくん!」
「知るか」
ユウヒの言葉にペンシルゴンは机を叩いてそう言ってきたがたった三文字のセリフに一蹴されてしまった。
「でも、今はクラン同士で話し合ってる事だから個人的な取引はなるべくしないで欲しいな」
しかし、諦めないのがペンシルゴン。彼女は真顔でユウヒを真っ直ぐ見つめてそう言う。
「ったく
ペンシルゴンの目を見返し頭を掻いたユウヒは息を吐くとペンシルゴンとサイガ-100にそう言った。
「…………………………………………良いだろう」
そして、熟考の末にサイガ-100はそう応えペンシルゴンは満足そうに頷いた。そして、ユウヒとサンラクも頷き話を始めた。
「それじゃあまず初めにユニークモンスターはただ戦うだけじゃ倒す事は出来ないと思う」
「あぁ、俺達が倒した墓守のウェザエモンは専用の『ユニークEX』を受注しないと倒せなかったからな」
「あの犬は情報的にランダムエンカだ。だから、遭遇して戦闘自体は出来ても"討伐"は出来ない可能性が高ぇ」
ユウヒのセリフにサンラクが頷き経験から差し出せる情報を伝えていく。
「確かにユニークモンスターはEXシナリオの中核だった。フラグが立ってないとダメだろうね」
そして、ペンシルゴンも2人の意見に同意してそう言う。
「…アップデートで追加された新大陸にそのフラグが隠されてる可能性はあるな」
「まぁ、無くはないだろうけど可能性がありそうなのはの未確認になってる残りのユニークモンスターの方だと思うけどね」
「ふむ…」
ユウヒ達の話しに考える姿勢をとるサイガ-100だったがペンシルゴンのセリフで余計に沼にハマっている。
「新大陸と言えばウチの家内は迷惑をかけてないかね?サイガ-100君」
しかし、キョージュにそう尋ねられた事で沼から脱し顔を上げた。
「あぁマッシブダイナマイトさんですか、1番はしゃいでましたよ。新大陸に行けるのが余程楽しみだったみたいで」
「そうかそうか…年甲斐もなくはしゃいで私としては少し恥ずかしいが付き合ってくれたまえ」
「えぇ、私達もマッシブダイナマイトさんは頼りにしているのでそのつもりです」
キョージュと和やかに話をするサイガ-100だが内容が分からないユウヒ、サンラク、カッツォは呆けてしまう。
「誰の話しだ?」
「キョージュの奥さんだよ。夫婦で同じゲームをプレイしてて奥さんは
仲間の中で最も歴の長いペンシルゴンにサンラクが尋ねるとペンシルゴンは小さめの声でそう応えた。
「強いのか?」
「君ってそればっかりだねぇ。戦闘狂だよやっぱり……シャンフロではそれなりに名の通ったプレイヤーだよ」
応えを聞くと直ぐにそう聞いてきたユウヒにペンシルゴンは呆れたような顔をしたがしっかりと質問に答えた。
「へぇ………」
ペンシルゴンの答えにユウヒは薄っすらと笑みを浮かべてそう呟いた。
「オホンっ、いかんな…話しがそれてしまった」
ユウヒ達の会話か聞こえたのか、サイガ-100と話していたキョージュは個人的な話で盛り上がってしまった事を恥ずかしく思ったのか咳払いをしてそう言うとウィンドウを操作して話し出した。
「現在確認されている『七つの最強種』は5つ。『夜襲のリュカオーン』ランダムエンカウントの黒い狼。実は雌との情報あり。
『深淵のクターニッド』海に出現する蛸の形をしたユニークモンスター。しかし、その姿を見た者はおらず情報は茫然自失状態のNPCによるもの。
『天覇のジークヴルム』リュカオーンと同じくランダムエンカウントの黄金のドラゴン。目撃情報は多いが上空を飛んでいるので手が出しにくい。エリア「気宇蒼大の天聖地」で戦えるとされ常に己に挑む英雄を求めている。
『冥響のオルケストラ』この大陸全土を国土とする統一国家「エインヴルス王国」の王城図書館に潜入したプレイヤーが、ある書物から存在を発見。津波を操り、炎を纏い、雷を落とすなどとされているが詳細は名前以外不明。
そして、ユウヒ君達が倒した『墓守のウェザエモン』
我々も色々と考察はしているが確かな情報となるとネット上のモノと大差がないのが現実だ」
現在確認されている最強種。未確認とされている残りの2体をして「最強」を冠するモンスター達、キョージュの説明にユウヒは目を爛々と輝かせた。
(此奴…)
(キラッキラしてるねぇ…ふふふっ)
両隣に座っているサンラクとペンシルゴンはユウヒの表情に気が付き呆れた表情と笑顔を浮かべた。そして、そんなユウヒの表情を真正面に座っているサイガ-100とサイガ-0も見ていた。
『七つの最強種』はこの世界での頂点。リュカオーンと出会い何度も敗れているからこそ、その強さ、恐怖を2人は知っている。現状、この部屋の中でクラン「旅狼」のメンバーに次いで『最強種』を知ってる。
だからこそ
(この情報を聞かされて笑うのか…)
(なんて人……)
ユウヒの表情に2人は言葉を失ってしまった。
「
しかし、2人はキョージュのそのセリフに意識を引き戻された。そして今、自分達は情報を得るための交渉の場にいる事を再確認した。
「そんな中、君たちは誰もなし得なかった最強種の一角を倒した。君達は我々が求める『情報』の宝庫なのだよ。……トップクラン等と呼ばれているが我々は君達に頼る他ない。手を貸してはくれないだろうか?」
そして、キョージュのセリフにサイガ-100は頷くと言葉を続けた。
「勿論タダで情報を得よう等とは思っていない。貸しでリュカオーン"戦った"君達の情報を開示してくれるのなら願ってもない」
キョージュとサイガ-100のセリフにユウヒとサンラクは視線を合わせた。そして
「さっきも言った通り、リュカオーンはただ戦うだけじゃ倒せない」
「だが、あの戦いでわかった事はある」
相談をすること無く話し出した。
「物理攻撃だが、基本的に斜め、縦、横の3パターンで前足を振るってくる」
「その攻撃事態が予備動作が少ない上に速い。でもパリィも回避も可能だ。ディレイも使ってくるけど腹の真下は完全に安置だった」
「……基本的な攻撃以外で厄介なのは噛みつきだな。俺の時は多様してこなかったが破壊属性が付いてる。っていうか、物理攻撃にはデフォでついてるのかもな」
「確かにな…簡単に食いちぎられたからな…。あぁ、後基本的な3パターン以外にも上体の落下を利用した両足攻撃もある。左右をほぼ同時に振り下ろしてくるし一足一足のサイズがデカイから前身か後退以外に逃げ道がない。変に横に移動しようとすると殺られる。前に進んで避けつつ安置の腹下へ入り込んで攻撃がベストだ。あと、クリティカルを結構入れたけどダメージが入ってる感覚が全く無かった。半端な攻撃じゃ意味はねぇな」
「マジか、俺の時はそんな攻撃してこなかったぞ」
「俺の方が強いからだろリュカオーンがサンラクと戦った時より本気になったんだよ」
「このっ「ま、待ってくれ!」
怒涛の情報ラッシュ。何気なく出された情報にサイガ-100とサイガ-0は呆然としてしまった。辛うじて、ユウヒとサンラクがじゃれ合い始めた瞬間に復活を果たし声を出すことが出来たが驚きが胸中を支配していた。
「「ん?」」
自身の言葉に話を遮られた2人がサイガ-100を見る。そんな2人に彼女は動揺しながら問いを投げかけた。
「君達がリュカオーンと接敵したのは1度だけではないのか?」
「「そうだけど?」」
「初見の戦闘中にそれだけの情報を分析しきったというのか…?あの『夜襲のリュカオーン』相手に??」
「「うん」」
「!!??」
自分の問に当然の様に答えるユウヒとサンラク。サイガ-100は言葉を失ってしまった。それは隣にいるサイガ-0もであったが中の人はユウヒは
兎も角、サンラクの事をよく知っているので納得は出来た。
「変態なんだよコイツら」
「そうそう」
「お前らなんだその言い草は!?」
「2人揃ってその格好してんのも趣味だもんねぇ?」
「お前ら2人後でマジビンタな」
「「へ??」」
サイガ-100達の気持ちなど露知らずユウヒ達は茶化しあって遊んでいるが驚いている暇も遊ばせている暇もない。
「話しを遮ってすまない。続けて欲しい」
サイガ-100は顔を強ばらせてユウヒとサンラクにそう言った。
「「あぁ」」
サイガ-100に応えて2人は話しを再開する。2人の頭の中で思い出されるのは奇しくもあの瞬間の事。
「そう言えば分からない事がある」
「分からないこと?」
「あぁ、サンラクとも話し合ったがリュカオーンは共通して"唐突に俺たちの前に現れた"。なんの前触れも無くな」
「それに俺の足を噛みちぎった時もそうだ。いつの間にか足を噛みちぎられた。なのん前触れも無く」
「このゲームってシステム上エネミーが突然湧いたりしねぇよな?」
「あぁ、そんな仕様はない」
ユウヒの問にサイガ-100ははっきりとそう答えた。自分達より長くゲームをプレイしている先達の回答。
答えとしては十分だった。
「つまり"アレ"は…」
「あぁ間違いねぇな」
ユウヒとサンラクはお互いに視線を合わせて頷く。そして、サイガ-100も2人が言わんとしている事に気がついた。
「その状況を作り出したのは
そして、そのセリフにユウヒとサンラクは頷いた。部屋が静寂に包まれた。しかし
「次やり合えば負けねぇよ。絶対なにかある。それさえわかりゃあいいんだよ」
ユウヒのセリフで静寂は破られた。
そして、サイガ-100はそんなユウヒに微笑むと
「君たちのクラン名は確か
ユウヒ、サンラク、ペンシルゴン、カッツォの顔を一人一人見てから改めてそう言った。
そして、話を続ける。
「どうだろう?我々
しかし、彼女の話しはAnimaliaによって遮られてしまった。手を挙げサイガ-100の話を切ったAnimaliaの目はエムルとミュウラを捉えている。
「その話しは後でいいでしょ?元々、質問には含まれてない。次は私の番」
「……まぁ、そうだな。それにそれに関しては彼奴と話すべき内容か」
Animaliaのセリフに不快感を見せることなくサイガ-100はそう呟くと交代を了承する様に頷いた。その頷きにAnimaliaは「やっとね」と呟くと
「私達もクラン『SF-Zoo』からの打診はただ一つ。ヴォーパルバニーの国『ラビッツ』について!」
机に身を乗り出してそう言い放った。