今回の話しはユウヒの性格を考えた時に突っぱねるよりも受け入れる方に舵を切った方が良さそうに感じたのでそうしました。話の流れが気に入らない方もいると思いますが、SF-ZooひいてはAnimaliaの性格を考えると此処で終わらないので引き続き読んで頂けると嬉しいです。
((来た!))
Animaliaのセリフを聞いた俺とサンラクはそう心の中で呟いた。元々『この話し合い』をペンシルゴンに持ちかけたのはサイガ-100とAnimaliaでありキョージュは突然呼ばれた側になる。
そして、この『話し合い』が始まる前からあらゆる場所でSF-Zooのメンバーに追いかけられてきたユウヒとサンラクはペンシルゴンとカッツォに捕まりその理由を聞かされた時からこうなる事はだいたい想像していた。
「『SF-Zoo』の名にかけて、何が何でも話して貰うわよ!サンラクさん!ユウヒさん!」
身体をずいっと前に出してそう言うAnimaliaの顔は先程とは違い恍惚とした笑みを浮かべた顔になっている。興奮しすぎて今にも口から涎が零れそうだ。
(超豪華な餌を前にした犬だな)
その姿に心の中で俺はそう呟いたがAnimaliaへの答えはサンラクとアイコンタクトを交わす間でもなく決まっていた。
((いや、話せるわけねぇだろ!!))
恐らくAnimaliaが知りたいのは「ラビッツ」に関するユニークシナリオの情報。しかし、それを此処で公開する訳には行かない。
俺とサンラクの現状を擦り合わせた事で粗方ユニークシナリオ「兎の国からの招待」の発生方法はわかってきている。
恐らく低レベルでユニークモンスターと「致命」の名を持つ武器で戦う事。すなわち
【弱者による強者への対抗】
それがユニークシナリオを発生させる方法だ。しかし、それを教えてしまうと更に先のEXシナリオにたどり着いてしまう。
現在の状況、あまり関係の無い話だが他のトップクランに対しての強カードを一つ失う事になってしまう。それはクランリーダーであるペンシルゴンとしては避けたいところだろう。
「さぁ!話してもらうわよお二人共!兎の国『ラビッツ』へのフリーパスについて!」
しかし、俺とサンラクの心情を無視してAnimaliaが放った言葉は俺達の予想から外れた言葉だった。
「「は?」」
予想外のセリフに俺とサンラクは間の抜けた声を漏らしてしまう。
「そう!『ラビッツ』へはユニークシナリオ【兎の国ツアー】で行けるのは有名な話。でも、ラビッツを襲うシナリオボスである『兎食の大蛇』を倒してしまうと、強制的に追い出されてしまい二度と行くことが出来ない!」
Animaliaは誰がどう見てもわかる程ハイテンションで俺達にそう話すとビシッと音がなりそうな程キレのある動きで俺たちを指さした。
「だと言うのに貴方達は何度もラビッツへ行きあまつさえヴォーパルバニーを外へ連れ出している!!私達はその方法を知りたい!!教えてくれれば私達はSF-Zooは貴方達の
「なるほどな…」
Animaliaの要望を聞いた時は間の抜けた声が出たがその理由を聞けば納得のいくモノだった。俺とサンラクはAnimaliaの言う「兎の国ツアー」を発生させていない。
そのシナリオをクリアする事で得られる魔法【エンチェント・ヴォーパル】も獲得していない。だが、それよりももっと上質で上等なモノを獲得している。それが良いかどうかは各々の感性によるだろうが少なくとも俺はそれで良い。
だが、Animaliaの感性は『戦い』よりも『触れ合い』。俺とサンラクへの打診としては納得出来た。
しかし
(「兎の国からの招待」の発生方法は教える訳には行かない。ユニークシナリオの発生なしでラビッツに行ける方法も心当たりが無いわけじゃない。でも、SF-Zooを
俺の頭の中はこの問いがぐるぐると回っていた。話し合いが始まってからAnimaliaの視線が怖いのかミュウラはずっと背中に隠れて一言も話さないしエムルちゃんもAnimaliaの視界から外れて隠れている。
サンラクも相棒の様子には気がついているだろう、チラッとエムルちゃんに視線を送ると今度は俺と視線を合わせた。
(わかってんよ)
俺は視線に頷く事で応えるとAnimaliaに質問を投げかけた。
「打診に応える前に聞きたいことがある。クラン『SF-Zoo』はラビッツに行って
「…………………………………勿論!可愛い兎ちゃん達とたっくさん触れ合うのよ!」
俺の問いに対する沈黙の長さ、恐らく何を問われているのか理解できなかったのだろう。しかし、Animaliaは破顔してそう答えて来た。
しかし、その答えに俺とサンラクは内心どデカい溜息を吐いた。
(予想通り…だからこそSF-Zooをラビッツへは
俺とサンラクはお互いにそう決めると声を揃えて
「「アンタらの要求には答えられねぇ」」
Animaliaに『NO』を叩きつけた。
「え……え?えぇ??なんで??どうしてっ??」
俺達の回答にAnimaliaは動揺を隠せなくなった。まぁ、それもそうだろう。ゲームの攻略を目的や七つの最強種の討伐を目的に掲げるクランではなくともクラン『SF-Zoo』は大派閥だ。そのリーダーが「要求を呑むなら可能な限り此方の要求を呑む」と言っている。
飛びつくことはあっても拒否される事は無い。
そう思っても不思議じゃないだろう。だが、俺達は色んな意味で他のプレイヤーとは
「理由は2つある」
戸惑うAnimaliaに俺はいつも通りのトーンでそう言って話を始めた。
「まず一つ。アンタらクラン『SF-Zoo』が俺達の相棒であるヴォーパルバニーの事を理解
「どう言う事?1つ目も2つ目も訳わかんない!自分達が兎ちゃんを独占したいだけでしょ!!」
「何も理解できない事は言ってないと思うぜ?アンタらのやってきたことをそのまま
テーブルに勢いよく手をついて声を荒らげるAnimaliaに俺は淡々と話を進めていく。
「アンタらは事ある毎に俺とサンラクを追いかけ回した。理由はアンタが俺達に要求した内容の為…でもアンタらは考えたのか?毎度毎度、街に出る度にそれをやられる俺達の"気持ち"を?」
「!………だって個人が秘匿してる情報を開示してもらう為には本人を直撃するしかないじゃない………」
「あぁ、そうだな。だったらそれ相応の手順を踏むべきだった。俺もサンラクも荒事は極力避けて逃げに徹してきたがその行いに何も感じないなんてある訳ねぇんだ。なのに、どいつもこいつも『話す気はねぇ』って言ってんのにその『意志を変える努力』をしねぇで話す事を強制してきやがる。こうなっても不思議じゃねぇ、そう思わねぇか?」
「……………………」
俺の言葉にAnimaliaは俯いて無言になった視界の端ではサイガ-100が苦い顔をしているが俺は話しを続ける。
「こう言う……いわば段階を踏んじまってるからこそ俺達は
「「「「「「…………………………………」」」」」」
なんだか説教じみた事を言ってしまって少し恥ずかしくなってしまう。だが、此処で
「まぁ、ガチ説教はこの位にするとして…もうひとつの理由の意味は単純に俺達のこの状況がヴォーパルバニー達の好感度に依存してる可能性が高いって事なんだよ」
俺よりも柔らかい口調で気が張った雰囲気を解いていく。
「それはどう言う事?」
「秘密にしておいて貰いたいんだが、俺達はこの状況になる過程で『ラビッツ名誉国民』と言う称号を得たんだ。俺達の相棒達はNPC、ラビッツに住むヴォーパルバニー達もNPCだ。ちゃんと意思がある。そんな兎達が住む国に名誉国民の称号を持つ俺達が今の
「そんな事有り得るの?」
サンラクのセリフにAnimaliaが困惑した表情と声でそう言う。
「可能性は高いだろうね」
すると、今まで沈黙を決め込んでいたキョージュがそう言ってきた。
「シャングリラ・フロンティアのシナリオフラグは難解だ。何時どこでどの行動がフラグになるか未だに判別が出来ていない。プレイヤー一人一人の行動がシナリオそのものに影響している可能性も否定できない。その可能性を考えるならば、NPCの好感度がユウヒ君とサンラク君の状況に影響していると考えるのは妥当だろう」
全員の視線が集まる中ではっきりとそう断言したキョージュに俺達以外の全員が息を呑んだ。
他ならない
「ってなわけで俺達はアンタらの要求は呑めない。悪いな」
キョージュの話を引き継ぐ様にそう言ったサンラクにAnimaliaは呆然としながらもドサッと椅子に座った。今にも「終わった……」とでも言いそうな表情は流石に可哀想になってくる。
(許せアンタらを招く訳には行かねぇんだ)
自分で口撃しておいてなんだが俺はAnimaliaに心の中で合掌してそう呟いた。
しかし
「…………ない…………まだ………」
「「ん?」」
Animaliaがボソボソと何かを呟き始めた。俺とサンラクは訳が分からず声を出す。すると
「まだ諦められない!!!!」
机を思いっきり叩いて店中に響く大声でAnimaliaはそう叫んだ。
「はぁ?」
「クハっ」
そんなAnimaliaにサンラクは戸惑ったような声を上げ俺は笑い声を上げた。
(折れねぇな此奴!)
諦めの悪さとあれだけ口撃されても折れない信念。俺はAnimaliaからそれを感じ取った。
「行動は改める!NPCの嫌がる事はしない!だからお願いします!私達をラビッツへ行かせてください!!!!」
そして、そんな俺達を圧倒しながらAnimaliaは机に頭をぶつけながら俺達に懇願してきた。
「ここまで来るとスゲェな」
「同感」
サンラクの呆れたようなセリフに俺は笑ってそう言い背中に隠れるミュウラに話しかけた。
「ミュウラ、この開拓者の話しってどうにか出来るか?」
「えぇ……?話しを聞くのですか?」
「あぁ」
ミュウラと話す俺に全員の視線が集まった。それもそうだろう、あれだけAnimaliaをボコボコにしたのだ。この行動は意外以上の何物でもない。
だが、俺はそんな視線を無視して表情で「嫌だ」と伝えてくるミュウラに「出来るかどうかを確かめるだけだ」と言って再度尋ねてみた。
「お姉様……どうしますか?」
ミュウラは隠れていたエムルちゃんにもそう問いかける。エムルちゃんはサンラクの肩に跳び乗ると顎に手を添えて考え出した。
「う〜ん………エードワードお兄ちゃんなら答えられるかも知れないですわ」
「「エードワード?」」
考えた末にそう言ったエムルちゃんに俺とサンラクは首を傾げた。
「エードワードお兄様はラビッツの国王なのです。とても頭が良くて頼りになるのですよ」
そして、ミュウラが俺達の疑問に応える様にそう言ってくる。
(国王ってヴァッシュ師匠じゃねぇのか?)
ミュウラのセリフにまた別の疑問が出てくるが今はそれどころではない。俺はその疑問を頭の隅に置くとそれぞれの相棒に話しかけた。
「今回の件そのエードワードに話してくれるか?」
「話を持ってきた開拓者の素性を話して行動を改めると約束していると言ってくれ」
「「了解しました(ですわ)!」」
俺達に元気よくそう答えた2羽はすぐに動き出した。店の個室からラビッツへとゲートを作り出し扉の奥へと消えていった。
俺達はそんな相棒を手を振って見送るとAnimaliaへと向き
「こういう事だ」
「少し待ってくれ」
と告げた。Animaliaは再び頭を打ち付けて礼を言ってきた事は言うまでもない。
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