ようこそロクでなし魔術講師のいる教室へ   作:嫉妬憤怒強欲

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第三章には入れました。


無知な友人ほど危険なものはない。賢い敵のほうがよっぽどましだ。
戦車が来た


「……キヨト、君はやっぱり天才だよ」

「ん?」

 

 ある日、外から客が来た。

 ある組織で研究員をやっているその若い男は、今取り組んでいる研究がある問題で行き詰ってしまい、問題解決のためにオレの知恵を借りたいと依頼しに来た。

 普段なら外界との干渉は避けるところだが、その組織が施設の出資をしていて逆らえないとのことで、特別にオレに課せられたカリキュラムは一部免除となった。

 

 その間、普段の要領でその問題の解決策を模索し、組んでみた術式をその男に見せると、男はかなり驚いた様子だった。

 

「君の噂は耳にしていたけど、僕の想像を超えていた」

「大袈裟だろ?基本部分は誰でも使える従来の術式を使っている。オレから見ればアンタの方が凄いだろ。原初人類の霊魂を高精度で再現するなんてオレでも無理だ」

「だけどその先に進むための方法で行き詰ってしまったんだ。君の考えたこの方法、僕でも思いつかなかったよ」

「オレから言わせれば、硬直した固定観念ほど危険なものはないぞ?アンタ達は魔術言語(ルーン)の機能限界を超えることに拘るあまり、別の手法を碌に考えようともしない。だからそこで立ち止まってしまう」

「あはは、手厳しいね………でもその通りだよ。もしかしたら他の方法だってあるのかもしれないのに、僕はただ組織の命令通りに動くばかり」

 

 男がどこか自嘲気味に笑う。

 

「………君も、ここ以外の生き方を考えたことはあるかい?」

 

 ここ以外の生き方?

 

「生憎、オレは生まれた瞬間からずっとこの白い部屋にいる。外の世界に隔離され、娯楽もなにも存在しない小さな世界しか知らない」

「そう、なのか。ごめん」

 

 ふと男は考え込む。

 

「そうだ。僕が外の世界のことを教えようか?」

「ん?」

 

 外の世界のことを?

 

「なんの意味がある?」

「単なる時間潰しにだよ。なんの会話もなくただ黙々と作業をするだけじゃつまらないだろ?」

 

 つまらない、か。

 

 この時からかもしれない。

 あの男(父親)がくだらないと評した俗世間に興味を抱き始めたのは。

 

 

 オレに外の世界のことを教えてくれた男の名前は確か――

 

 

♢♢

 

 ある日の休日、いつもの定期報告で本部に向かったときのこと。

 

「長居させるつもりはないから、まずはこれを見なさい」

 

 職務室に入るなり、イヴに書類を手渡される。

 鷹の紋?つまり女王陛下公認の帝国政府公文書……軍の人事異動に関する最重要機密文書か。

 

「今回新たに元王女の近辺を護衛する宮廷魔導士の異動命令書よ。先日の件を受けて、上は元王女に護衛について真剣に捉えているわ。今後はアルベルトが周辺警護を、今回貴方と追加で派遣される魔導士と共に元王女の身辺を警護するように」

 

 警護を増やすか。オレにかかる負担が減って助かる。

 アルベルトの実力なら申し分ない。

 

 気になるのは追加で派遣される奴だ。

 身辺警護ともなれば、学院の生徒として、しかも同じクラスに所属することになるのが必然か。

 そうなると、適任なのは同世代である《法皇》のクリストフくらいか。

 

 そう考えながら異動書を読み進めていると、とある執行官の名が記載されていた。

 

『リィエル=レイフォード』

 

「………」

 

 文章をもう一度一から読み、秘密の暗号が無いか、裏面も確認する。

 なにも書かれていないことを確認し、もう一度追加人員の項目欄を見る。

 

『リィエル=レイフォード』

 

「おい、イヴ。これなんの冗談だ?」

「冗談ではないわ。《戦車》を元王女の護衛に就かせる、そう書いているでしょ」

「馬鹿なの?」

「上司を馬鹿呼ばわりするなんていい度胸ね」

「前にアンタ、オレに言ったな?もしオレがなにか問題を起こした場合、連中に格好の餌食にされて退学。で、あわよくば反国軍省派は自分達の息がかかった奴を、代わりに元王女の直近の護衛として学院へ編入させ、女王陛下に媚びを売る、なんてこともあり得る」

「ええ、言ったわね」

「くれぐれも連中に付け入る隙を与えるようなことはないように、とも」

「よく覚えているわね」

 

 イヴはまだボケていないようだ。

 

「だったら、なんでよりにもよってあのリィエルなんだ?」

 

 護衛って結構、デリケートな任務だよな?こんな高度な状況判断力を要求される特殊任務に、人の話を聞かずに勝手に突っ込む脳筋馬鹿は、反国軍省派にとって良いカモだ。

 上もそれくらいわかっているはずだが。考えなしに突っ込んで数多くの作戦を台無しにしてきたそうだし。

 

 それに、絶対オレにかかる負担が急増する。

 

「正直言って、アイツはお荷物だ。クリストフにチェンジで」

「駄目よ。常に人員不足に悩まされているウチがこれ以上優秀な駒を一つの任務に長期間送れるわけないでしょ。ただでさえ貴方という化け物がいるのに。これ以上送る必要性はないわ」

「なら身辺警護の方はいつも通りオレ一人で十分だろ?」

「悪いけどこれは決定事項だから。リィエルのサポート、任せたわよ」

 

 まさかの丸投げかよ。

 話はこれでお終いと言わんばかりに、冷血女にしっしっと退室を促された。

 

 何が何でもリィエルを送り込みたいらしい。

 あいつが護衛に向かないのは分かり切っているのに………いや。

 それとも護衛は単なる名目で、あいつには別の役割があるのか?

 

 まあなんにせよ、リィエルが編入した後は気が滅入りそうだ。

 あいつの手綱を引くなんて、オレには無理だ。

 

「こういう時は………」

 

 

♢♢

 

 

「というわけなので、リィエルの面倒はグレン先生に任せます」

「なにがというわけなんだ、テメェェェ!」

 

 登校時間。学院正門へと続く上り坂の麓で、早速制服姿のリィエルとじゃれ合っていたグレン先生に事情を説明すると、激怒したグレン先生がオレに怒鳴ってきた。

 

「以前先生はリィエルと相棒だったんでしょ?今回も上手くやってください」

「できねえよ!さっきの見てなかったのかよ!?危うく斬り殺されるところだったわ!」

「リィエルなりの挨拶でしょ。そうだろリィエル?」

「ん。アルベルトがそうって言った。武器で斬りかかるのが、久々に会う戦友に対する挨拶だって」

「ですって」

「んなわけあるかッ!?てか、アイツの仕業かッ!?くっそぉあの野郎!!」

 

 アルベルトに吹き込まれてやってたのか。

 やっぱり何も言わずに軍を辞めたグレン先生に怒ってたんだな。

 

「あの…先生?その子は……?」

「あれ?そう言えば、その子、この間の魔術競技祭の時の……」

 

 傍で呆然と二人のじゃれ合いを見ていたルミアとシスティーナが口を開いた。

 

「あぁ、覚えてたか。魔術競技祭の時に会った奴な。白猫も、顔だけなら知ってるだろ」

「あ、そういえば……」

 

 あの時はルミアが変身魔術でリィエルに成りすましていたから、実際のシスティーナとリィエルとの顔合わせはこれが初めてか。

 

「俺が昔、帝国軍の宮廷魔導士団に所属していた時期があったってのは話したっけな?こいつはその魔導士時代の同僚だ」

「私達と同い年くらいの子が魔導士なんて………って、そう言えばキヨトもそうだったわね」

 

 今忘れてたなシスティーナ。

 

「帝国政府が正式にルミアに護衛をつける事を決めた。それで、編入生という形で追加派遣されたコイツとオレが二人がかりで護衛をすることになった」

「それで学院の制服を着てるのね……」

「…正直コイツはいらない気がするが」

 

 アルベルトが遠くからサポートしていることは敢えて黙っておく。

 

「もう、駄目だよキヨト君。そういうこと言うの。リィエル…だよね?久しぶり…になるのかな?」

 

 早速、ルミアが挨拶しようと、リィエルに向き合った。

 

「ん」

「改めて自己紹介しますね? 私が、ルミア=ティンジェルです。で、この子が私の友達のシスティ、システィーナ……帝国宮廷魔導師団の方が来てくれるなんてとても心強いです。これからよろしくお願いしますね」

「ん、任せて。グレンは私が守るから」

「「「…………」」」

 

 だから言ったんだよ。いらない気がするって。

 

「俺じゃねぇええええええええ――ッ!?俺を守ってどうすんだ、このアホ!?」

 

 ぐりぐりぐりっと、グレン先生はリィエルのこめかみを両手の拳で挟んで抉った。

 

「痛い。やめてー」

「お前任務の内容聞いてなかったのか!? お前が守るのはこっち! この金髪の可愛い天使なルミアちゃんな、オーケー!?」

「……何で?」

「なんで?じゃねえよッ!?お前、作戦説明、受けなかったのか!?」

「……よくわからないけど。わたしはルミアより、グレンを守りたい」

「黙れ、やっかましい!そんなわけわからん要望通るか、アホ!?」

 

 グレン先生が頭をがりがり掻き毟りながら嘆き叫ぶ。いつか禿げそうだ。

 

「つーか、本当に、なんでよりにもよってリィエルなんだよ!?どこをどう考えても人選ミスだろ!」

「ですよね」

「おいキヨポン、お前も護衛ならどうにかしてこいつに任務を教えてやってくれ!」

「無理です」

「簡単に諦めるなよぉ!頼むからぁ!」

 

 はぁ、仕方ないな。

 

「……なあリィエル、条件を出そう」

「ん?じょうけん?」

「卒業までルミアを守り切ることができたら、代わりにグレン先生と勝負できるよう取り計らってやる。これならどうだ?」

「ん、わかった。それならルミアを守る」

「念の為オレが言ったことを復唱してみろ」

「ん。卒業するまでルミアを守れたら、グレンが決着つけてくれる」

「内容は大体合っているな。先生、うまくいきましたよ」

「よっしゃ、マジで助かったぜ―――じゃねえだろおおおぉぉぉ!!!」

 

 激怒したグレン先生がオレの胸ぐらを掴み上げてきた。

 

「ふざけんな、テメェェェェェ!なんで俺が生贄に捧げられにゃならねんだあぁぁぁぁ!?」

「だってグレン先生を出さなきゃ、リィエルは理解できないようだったので」

 

 グレン先生が現役時代のときに勝負がお預けになっていて、リィエルはその決着を付けたがっていることは魔術競技祭の時に聞いていた。

 単純なようで面倒くさいリィエルを誘導するために、それを利用したまでの事。

 

「元相棒として、一度だけでも付き合ってあげたらどうです?」

「嫌だよ!俺に死ねって言うのかテメェは!」

「グレン先生ならゴキブリ並にしぶとそうだし、大丈夫でしょ………多分」

「いつになく適当過ぎる!?リィエルの相手するのが面倒くさいからって投げやりすぎだろ!!」

「……ねえ、あの二人はどうして喧嘩してるの?」

「あ、あはは……何でだろうね?」

 

 それから登校時間ぎりぎりまでグレン先生との交渉が続き、とりあえずルミアが卒業するまで決闘云々の話は保留という形で決着がついた。

 

 

 

 

「──てなわけでだ、本日からお前らの学友になるリィエル=レイフォードだ。まぁ、仲良くしてやってくれ」

 

 ホームルームの時間。二組の教室にて、グレン先生が編入生リィエルを連れて教室に姿を現すと、おお、とクラスの声が上がった。

 

「おぉ……」

「……か、可憐だ」

「うわぁ、綺麗な髪……」

「なんだかお人形さんみたいな子ね……」

「め、滅茶苦茶可愛い子だよなぁ、リィエルちゃんって……」

「つーか、このクラスの女子、全体的にレベル高過ぎだろ……」

「決めた。俺、無派閥だったけどリィエルちゃん派になるぜ…カイ、お前もどうだ?」

「あぁ、そうだなロッド…俺もリィエルちゃん派になるわ……」

 

 ロッドとカイは何を言ってるんだ。

 じっとしていればお人形なんだろうが、中身に難があるぞ。

 

「あー、まぁ、とにかくだ。お前らも新しい仲間のことは気になるだろうし、まずはリィエルに自己紹介でもしてもらおうか。つーわけで、リィエル」

「…………」

「あの……自己紹介してくれませんかね?」

「……なんで?わたしのこと紹介してどうするの?」

「いいからやれ!頼むから!定番なんだよ、こういう場合!」

「……そう。わかった」

 

 微かに頷き、リィエルは一歩前に出る。

 

「……リィエル=レイフォード」

 

 そして一言、そう呟いて終わった。

 クラスに沈黙の時間が流れる。

 

「いや、名前はさっき紹介しただろ…何か他にだな…とりあえず特技とか言えばいい」

「ん、わかった」

 

 いや、余計なこと言うかもしれないからやめておいた方がいいんじゃ………

 

「……リィエル=レイフォード。帝国軍が一翼、帝国宮廷魔導士団、特務分室所属。軍階は従騎士長。コードネームは《戦車》、今回の任務は……」

「だあぁああああ――ッ!」

 

 やっぱり言いやがったなコイツ。

 グレン先生が奇声を上げてリィエルを掻っ攫い、廊下へと出た。

 

「えーと、リィエルちゃん。今、なんて……?」

「うーん、よく聞こえなかったけど…帝国軍がどう、とか……?」

 

 危なかった。

 小声だったおかげでリィエルが何を言っていたか、皆聞き取れていなかったようだ。

 なんで自己紹介だけでここまで不安にならなきゃいけないんだ。

 

 そして数分すると、二人が廊下から戻ってきて、改めてリィエルの自己紹介を始めた。

 

「……将来わたしは?帝国軍の入隊を目指して?……え、なに?魔術を学ぶ為にこの学院にやってきた…ということになった?出身地はえっとイテリア地方……?年齢はたぶん15歳。趣味は……読書?……グレン、これでいいの?」

 

 横でグレン先生が耳打ちしたことを棒読みしてるし。

 自分達は一体何を見せられているのか、と皆困惑している。

 

「質問してもよろしいでしょうか?」

 

 グレン先生が無理矢理自己紹介を終わらせようとした時、ウェンディがリィエルに質問をしようと挙手した。凄くやめて欲しそうな顔をしているグレン先生など見向きもしていない。

 

「差し障りなければ教えていただきたいのですけど。貴女、イテリア地方から来たって仰りましたが、貴女のご家族の方はどうされているんですの?」

「!」

「……家族?」

 

 その問いに、グレン先生が微かに目を見開き、リィエルがほんの少し眉を動かす。

 

「えっと、家族……兄がいた、けど……」

「まあ、お兄様が。どんな御方でしょうか?」

「兄さん……兄さんの、名前……は? あれ……?」

 

 ウェンディの質問はなんて事ない、よくある事だ。だが、リィエルは明らかに眼の焦点がこちらに合っておらず、微かだが震えていた。今までと様子が全く違う。

 

「……ああ、悪い。こいつに家族の質問は避けてくれ。こいつは今身寄りがいない。それで察してくれ」

 

 今身寄りがいない。

 成程。そういうことにしているのか。

 

「え?でも、兄が……いたって……申し訳ありません、リィエルさん。わたくし、何も知らず……」

「ん、いい」

 

 たちまち恐縮したように目を伏せ、ウェンディがリィエルに謝罪する。

 それに対し、ぽつりと呟くように応じるリィエル。どこか納得いかないような、戸惑っているような表情が、珍しくその能面に見え隠れしていた。 

 

「えっと、じゃあさ!リィエルちゃんと先生って、どんな関係なのかな?」

 

 カッシュが気まずい空気を払おうと別の質問をぶつけた。

 

「あ、そうそう、それそれ。それは私も気になっていましたわ!」

「やっぱそうだよなぁ?ここはキッチリ聞かせていただかねーとなぁ?」

「さっきから、どう見てもただの知り合いとかじゃなさそうだし……」

「……わたしと、グレンの関係?」

「あ〜と、それはだな…」

 

 うわぁ、一番言いにくい質問来たな。

 軍時代の同僚です、なんて言うわけにもいかない。

 頼むから余計なことは言うなよ。

 

「グレンはわたしの全て。わたしはグレンのために生きると決めた」

 

 さっそく、爆弾を投下してくれた。

 

「きゃぁああああああ──ッ!大胆〜ッ!情熱的〜ッ!」

「禁断の関係! 先生と生徒の禁断の関係よ〜ッ!」

「もう失恋だぁあああああああああ──ッ!?」

「表に出ろやぁあああああああ──!!」

 

 もう生徒それぞれが言いたい放題の大騒ぎとなる。

 

「何言ってくれちゃってんのぉおおおおおお!?」

 

 グレン先生がリィエルの頬を引っ張り上下にシェイクする。

 しかしその行動が火に油を注ぐことになる。

 

「なにイチャイチャしてんだ、こらぁあああああああ─ッ!!」

「リィエルちゃんに触るんじゃねぇえええええ──ッ!!」

 

 最早収拾が着かなくなりつつあった。

 何をやっているのやら…………。と他人事のように思っていると、グレン先生がこの窮地を脱しようとしたのか、またリィエルに何か吹き込む。

 

「あと、キヨトも」

 

 は?

 

「わたしとキヨトは愛し合ってる?わたし達は将来を誓いあった仲」

 

 なに言ってるんだコイツ。

 

「「「キヨポンてめぇえええええええええ!!!」」」

「ほ、本当なのキヨト君………!?」

 

 男子どもの怒りの矛先がオレに向いた。あと右隣に座っているリンが何故か少し泣きそうになっている。

 

「ちょっと待て落ち着けお前ら。全部グレン先生が噓を吹き込んでいるだけだ」

「……キヨトはわたしのこと、嫌い?」

「先生、アンタマジでいい加減にしろ」

 

 さては今朝の仕返しか。

 

「テメェルミアちゃんやリアナちゃんだけじゃ飽き足らず、リィエルちゃんにまで手を出しやがったのかぁあああああああ!!」

「手を出した覚えないぞ」

「うるせえリア充が!いや、リア獣が!」

「俺、お前がこの前一年のマリアちゃんって女の子と握手してたの知ってるからな!」

「とうとう一年にまで毒牙が!?」

「…これは体育館裏を借りなきゃいけねぇなぁ!」

「いや、迷いの森が良いだろ。あそこなら人があまり来ないな」

「そうだなあそこにすっか」

「スコップってどこに置いてあるんだっけ?」

 

 駄目だこいつら。人の話を聞いてくれない。しかも後半、オレを埋める場所の相談が始まっていた。

 

「…イタっ」

 

 どうやってオレに向けらている殺意をグレン先生の方に戻すか考えていると、いきなり横腹に激痛が走る。

 見るとルミアがオレの横腹を抓っていて、いつも通りの笑顔を浮かべていた。

 

「えっと、ルミア……?」

「キヨト君、今の話は本当なのかな?」

 

 訂正……笑顔はそのままなのに目が全く笑ってない。それどころか若干ハイライトがなくなりかけてる。

 

「いや、だから……」

「本当、なのかな?」

 

 ルミアの指にさらに力が込められる。

 

「…まったくの事実無根です。どうかオレの話を聞いてください」

 

 よくわからないが誤解は解いておかないといけない。

 懇切丁寧に説明している間、さっきまでの喧騒が噓だったかのように教室が静かだった。

 

 

 ここで皆が学んだ教訓は一つ。

 ルミアは怒ったら怖い。

 




今回のプロットはこちら

・回想シーン
・追加人員に文句を言うが聞き入れてもらえず
・別に貧乏くじを引くのはオレである必要ないよな?
・グレン先生に押し付ける
・自己紹介でやらかす
・キヨポン巻き添え


最後の埋めるくだりで、もしルミアが介入しなかったら

「ようしキヨポン、俺達とかくれんぼしようぜ?」
「グレン先生も一緒になぁ?」
「「…」」

となります。
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