種目決め
アルザーノ帝国魔術学院のテロ事件が来て数日が経ったある日の休日。
オレは事件の報告のため、帝都オルランドの郊外にある帝国宮廷魔導士団の本部”業魔の塔”、その特務分室の職務室に来ていた。
特務分室の室長である冷血女、もといイヴは高級な椅子の上に座り、執務机の上に網タイツで覆われたしなやかな脚を交差させて投げ出しながら、オレの報告に耳を傾けている。
「―――報告はこんなところか」
「ご苦労様、というべきかしら?キヨト」
イヴがニヤリと不敵に笑った。
「人質となった生徒達に宮廷魔導士だと気づかれずに天の智慧研究会とそのスパイも含めて三名を無力化。特にあの《竜帝》レイクを白兵戦で倒すなんて大手柄よ」
「御大層な二つ名だな。あいつそんな大物だったのか?」
「ええ、これがそのレイクに関する資料よ」
イヴから手渡された資料に目を通す。
「…成程。あいつが最初から本気を出していたら勝率は下がっていたか」
どうやらあの男はかなり秀でた力を隠し持っていたようだ。
だが、どれだけ秀でた力を持っていようと”淘汰”されてしまえば意味がない、か。
「初見殺しだったとはいえ、それだけの相手に全くの無傷ですむなんて、貴方の前任者じゃこうはいかないわね」
「どうだろうな。その前任者と生徒一人の協力で倒したんだがな」
「謙遜ね。敵が潜んでいる中分不相応な大魔術使って死にかけた奴の手を借りずに倒す手がどうせ貴方にはあったんでしょう?」
「まあな。あの時はグレン先生が武器をディスペルすることを考えていたみたいだったからな。望み通り隙を作ってやった。ダメだった場合も考えて準備していた」
「先生、ね………」
なんかグレン先生の話をした途端にイヴが不貞腐れた。
「あんな”正義の魔法使い”気取りを敬称呼びする必要ないわよ」
「いや、一応担任だから」
「だとしても、私の前では呼ばないこと。いいわね?」
「………ああ。わかった」
この前の定期報告の時も思ったが、滅茶苦茶グレン先生のことを嫌ってるな。うちの室長は。
「……話を戻すけど、今回天の智慧研究会がそれだけの戦力を送りこんできたわけだから、今でも機会を狙っているのでしょうね」
「つまり、あんなのがまた襲ってくるかもしれないってことか?」
「あの連中は目的を果たすまで諦めないからそうでしょうね。そういうわけだから、貴方には引き続き廃棄王女の監視と護衛をやってもらうわ。今回のことで、貴方の派遣に難色を示していた反国軍省派の連中もしばらく大人しくするでしょう」
「難色?護衛を命じたのはトップの女王なのにか?」
「あのね。帝国は女王陛下の下での盤石な国家のようで、決して一枚岩ではないの。特にフェジテのアルザーノ帝国魔術学院は、様々な帝国政府各機関の思惑や利権、縄張り争いが複雑に絡み合う混沌の魔窟と言っても過言ではないわ。国軍省、魔導省、行政省、教導省…学院の最高決定機関たる学院理事会は、水面下で各閥の息がかかった連中が、利権の塊のような魔術学院内における主導権争いに日々、しのぎを削ってる…」
「……ようするに上の威光とは言え、軍のやり方を面白く思わない連中がいるってことか」
「そういうこと。もし貴方がなにか問題を起こした場合、連中に格好の餌食にされて退学。で、あわよくば反国軍省派は自分達の息がかかった奴を、代わりに元王女の直近の護衛として学院へ編入させ、女王陛下に媚びを売る、なんてこともあり得るわね」
腹の中真っ黒だな。天の智慧研究会一掃する前に、まず組織の新陳代謝を促した方がいいんじゃないか?
無駄なところを解散・統合し、組織をスリム化すれば、意思決定の迅速化や業務効率の向上を図れる。そうすればこの前の学院襲撃事件で、面子や縄張り争い関係の問題で、軍の介入に時間がかかるという事態も避けられただろうに。
「そういうわけだから、くれぐれも連中に付け入る隙を与えるようなことはないようにね」
「心配せずとも、オレはそこまで目立つような真似はするつもりはないが、肝に銘じておく」
むしろ心配すべきは、護衛の数を増やす状況になった時、誰を送るかだ。
特に《戦車》。あの脳筋娘はいいカモだ。
「話が終わりなら、もう帰っていいか?」
「ええ構わないわ。これからも精々私の駒として働きなさい、貴方はそのために私が直々に引き入れたんだから」
イヴの許しを貰った後、オレは踵を返して部屋から出て、フェジテへと帰路についた。
私の駒として働け、か。
アンタ自身も誰かの駒の一つに過ぎないだろうに………。
♢♢
その日の学院の放課後ホームルーム、二年次生二組の教室は、びっくりするほど沈んでいた。
「はーい、『飛行競争』の種目に出たい人ー?」
壇上に立っているシスティーナがそう呼びかけるが、誰も応じない。
クラスの皆は一様にうつむいたまま、教室は葬式のように静まり返っていた。
「……じゃあ、『変身』の種目に出たい人ー?」
やはり、無反応。教室は静まり返ったままだった。
「はぁ、困ったなぁ……来週には競技祭だっていうのに」
このホームルームの議題は、年に三度行われるクラス対抗イベント、『魔術競技祭』の選手決めだ。
今回それぞれの競技に出る選手を決めるために会議してるのだが、皆どれにも立候補していない。
ちなみに肝心のグレン先生は、『あ? お前らの好きにしろよ』とたいへん投げやりなお言葉を告げてからどこかへ行った。
「ねえ、キヨト君は何か出ようって思わない?」
「え?」
オレがクラスの様子を観察していると、書記を務めていたルミアが尋ねてくる。
「色々あるんだよ?毎年内容が変わるし、初めて見るような競技もあるから一つくらい出場してみない?」
「いや、オレは遠慮しておく。初めての競技祭だし」
正直目立つようなことは避けたいし、オレは外野から第三者の視点で眺める方がいい。
「そんな遠慮しないで、初めてだからこそ思い切って飛び込んでみるのもありだと思うんだ」
「いやいや、そもそも
「えー、いい線行けると思うけどなー」
なんかいつになくぐいぐい推してくるな。そんなに好感度が高かったか?
………いや。オレが立候補する流れで、他の面々にも出場を促すのが目的か。正直勘弁して欲しい。
あとシスティーナ、その『あぁ……』と微妙に納得するように頷くのやめろ。まさかと思うが、参加させる気じゃないよな。
「とりあえず、去年出られなかった人もいるし。キヨト君は初めてなんだから、思い切って出て見ない?」
「嫌だよ…」
「出たってどうせ負けるし」
ルミアがクラスの皆に明るく呼びかけるが、全員気乗りしないようだ。
クラスの兄貴分のカッシュはもちろん、セシルもテレサも萎縮している。
オレも気乗りしないが、クラスのみんなはそれ以上に忌避している様子から察するに、何処かのクラスに強豪がいるということだろう。もしくは大体学年トップ10に入る生徒が多く出るためなのか。
「でも、勝つことだけが目的じゃ無いでしょ?」
「私はそれほど出場したいわけでもありませんし…」
システィーナはシスティーナで、思い出作りがしたいんだろうが、どれだけ粘っても全員中々首を縦に振らない、そんな時間が過ぎていく。
「……無駄だよ、二人とも」
その時、この膠着状態にうんざりした眼鏡の少年が席を立った。
少年の名はギイブル。このクラスではシスティーナに次ぐ優等生だ。
「皆、気後れしてるんだよ。そりゃそうさ。他のクラスは例年通り、クラスの成績上位陣が出場してくるに決まってるんだ。最初から負けるとわかっている戦いは誰だってしたくない……そうだろ?」
「……でも、せっかくの機会なんだし」
むっとしながら反論しようとするシスティーナを無視し、ギイブルが続ける。
「おまけに今回、僕達二年次生の魔術競技祭には、あの女王陛下が賓客として御尊来になるんだ。皆、陛下の前で無様をさらしたくないのさ」
そうなのか?
成程。神聖不可侵の存在が来るともなれば、そりゃあ委縮するわけだ。
「それより、システィーナ。そろそろ、真面目に決めないかい?」
「……私は今でも真面目に決めようとしてるんだけど?」
「ははっ、冗談上手いね。足手まとい達にお情けで出番を与えようとしてるのに?皆を見なよ。君の突拍子のない提案のおかげで、元々、競技祭に出場する資格があった優秀な連中も気まずくなっちゃって萎縮している……もういいだろう?」
「わ、私はそんなつもりじゃ!?それに皆のことを足手まといだなんて…?」
「綺麗事はいいよ、そんなことより、さっさと全競技を僕や君のようなクラスの成績上位陣で固めるべきだ。そうしなければ他のクラスに…特にハーレイ先生が率いる一組に勝てるわけがない」
ん?
なに言ってるんだコイツ?
こんな雑多な種目をたった数人で回すとか……二つ三つならともかく、それ以上やったらマナが持たないだろうに。
「でもそれ去年もやったけど……なんか凄くつまらなかったし…」
「はぁ……システィーナ、いい加減にしないかい?」
システィの言葉に呆れたように、ため息混じりに呟きながらギイブルが席を立つ。
「つまるつまらないの問題じゃないだろう?めったなことじゃ魔術の技比べができないこの学院において、誰が本当に一番優れた魔術の技を持っているのか――それを明白にできる数少ない機会が魔術競技祭じゃないか。しかも、この競技祭には学院の卒業者…魔導省に勤める官僚や、帝国宮廷魔導士団の団員の方々も数多く来賓としていらっしゃるんだ」
「そうなのか?」
「う、うん……」
ルミアに確認してみると、どうやら近年の競技祭は将来の進路のため、教師達の顔を立てるためのの足掛かりとして、各方面のお偉いさんにアピールする数少ない魔術系の行事となっているようだ。
だからどの競技でも成績上位者を出場させて勝ちを狙いにくるのが定石になっていると。
競技祭とは名ばかりで、下心満載だな。
「ねぇ、貴方、それ本気で言ってる……?」
「勿論本気さ」
怒りを露にシスティーナがギイブルを睨みつける。
一触即発だな。
システィーナは勝ち負け関係なく皆で楽しみたい。
ギイブルは実際勝算もなしに出場させるくらいなら、上位成績者で出場させるべきだ、と。
前者は理想的。後者の方は気になるところがあるが現実的か。
どちらも良いようで良くは無いな。
前者はモチベーションを上げるために理想と現実のすり合わせが必要であり、後者は学院で広まっている『定石』というものに囚われ過ぎている。
オレがそれを諭したところで、この二人が聞くはずもない。
さて……。
「今回の優勝クラスには、女王陛下から直々に勲章を賜る栄誉が与えられるんだ。これにどれだけの価値があるのか、君にもわかるだろう?システィーナ?だから、だだこねてないで大人しく出場メンバーを成績上位陣で固めるんだ。これはこのクラスのためでもあるのさ」
「ギイブル…貴方、いい加減に――」
「話は聞いたッ!ここは俺に任せろ、このグレン=レーダス大先生様にな―――ッ!」
システィーナが怒りを爆発しかけたその時、うちの担任が勢いよく扉を開けながら、謎のポーズを取って教室にやってきた。
「ややこしいのが来た…」
システィーナが頭を抑えながら呟く。
「喧嘩はやめるんだ、お前達。争いは何も生まれない…何よりも――」
グレンはきらきらと輝くような、爽やかな笑みを満面に浮かべて――
「俺達は、優勝という一つの目標を目指して共に戦う仲間じゃないか」
うわぁ…。
爽やかな顔をして普段なら絶対言わないような台詞を前に、クラスの皆も引いていた。
「まぁ、なんだ。なかなか種目決めに難航しているようだな、お前達。たく、やる気あんのか? 他のクラスはとっくに各種目の出場選手決めて来週に向けて練習してるっつうのに、意識の差が知れるぜ」
「『お前らの好きにしろ』ってやる気のなさ全開のあなたが何今更言ってんですか!」
「……え? 俺、そんなこと言ったか? マジで覚えがねえんだが」
「あんたは……」
どうやら思いっきり意識が上空を舞っていたのか、全然話を聞いてなかった上での空返事だったみたいだ。
「俺が総指揮を執るからには全力で勝ちにいくぜ? 覚悟しておけよ、お前ら。遊びは一切ナシ、容赦もナシだ。だが、その代わり……絶対に優勝させてやる。俺に任せろ」
と、なんだかちょっとカッコよく見えないこともないセリフを吐いた。
誰だあれ?本当に本人か?
「おい、白猫。リストよこせ。……ふむふむ。ほーん、なるほど……」
グレン先生はシスティーナからひったくった競技種目リストを眺め、
「なあ、白猫。これって、毎年同じ競技なのか?」
「違うわ。大目玉の『決闘戦』とか他一部を除いて内容が一部変わってたり、全く新しい競技を作られたりなんかもするからほとんどが去年と同じなんてのは早々ないわ」
「なるほどな〜……そうなるとここは……で、これは今年初の競技か」
それから数分間ブツブツと目を通すと、顔をあげる。
「うし、決まった。一度しか言わねえから自分の名前出たら絶対覚えろよ。まず、最大の目玉の『決闘戦』なんだが、こいつは白猫、ギイブル……そしてカッシュで行け」
「俺!?」
まさかの人選にカッシュは驚愕の声を上げるが、グレン先生は構わず生徒達に種目を割り振っていく。
「それから『暗号早解き』がウェンディ一択。『飛行競争』はロッドとカイが適任だろ。『魔術狙撃』はセシルに、『遠隔重量上げ』はテレサ。『精神防御』……はルミア以外ありえねえわ。えーと、それから『探知&解錠競争』は――『グランツィア』は――」
それから次々と競技名とクラスメートの名前が挙がるが、今のところ被ってる人間は誰もいなかった。
成程、どうやらグレン先生は成績上位陣で固めるんじゃなく、生徒全員出場させる気の様だ。最低一人一競技。各々の得意分野を当てていっているのか。いつもふざけてばかりだが、常日頃から生徒達をよく見ていることがわかる。
ってちょっと待てよ。まさかオレも――
「――『変身』はリンに頼むか。そして最後の新種目、『乱闘戦』はキヨト一択だな」
ですよね。
「よし、これで全部埋まったな。何か質問は?」
「納得いたしませんわっ!」
思った通り、少なくとも最低1回はクラスの全員が競技に参加することになったが、1人の女子生徒が早速言葉荒々しく立ち上がる。ツインテールの高飛車系お嬢様―ウェンディだ。
「どうしてわたくしが『決闘戦』の選択から漏れてるんですの!?カッシュさんよりわたくしの方が成績はよろしくってよ!?」
「ああ、お前……確かに呪文の数も知識も魔術容量もすげえんだが、ドン臭ぇところがあるからなぁ。突発的な事故に弱ぇし偶に呪文噛むし」
「うっ」
ウェンディは痛いところを突かれたかのように呻く。
確かに、ウェンディは一言で表せばドジっ娘なのだ。以前何もないところで躓いて転んでしまったところをたまたま目撃し、恨めしい目で睨まれたこともある。
「だから、使える呪文は少ねーが、運動能力と状況判断のいいカッシュの方が『決闘戦』やるなら強ぇって判断した。だがお前の【リード・ランゲージ】の腕前は、このクラスの中じゃ文句なしのピカ一だ。ぜひとも『暗号早解き』で点数稼いでくれ」
「まあ、そういうことでしたら……言い方が癪に触りますが……」
文句も反論もできず、すごすごとウェンディは引き下がった。
他にも自分が競技に選ばれた理由がわからない生徒が手を挙げる。
そして、グレン先生は宣言通り競技に選ばれた理由を、一人一人丁寧に答えていった。
「『乱闘戦』は一対一の『決闘戦』と違って、各クラスから一人ずつ計十名でのバトルロワイヤル形式だ。この場合一対一になるとは限らねえ。一時的に手を組んで複数対一もあるかもしれんし、突然裏切ってくるかもしれん。つまりなんでもありだ」
『乱闘戦』だけ物騒な競技だな。
事前に協定を組んでいたのに一番最初に潰した、なんてことが起これば、競技終了後には人間不信になりそうだ。
「そうなると目の前の相手に集中するだけでなく、周りの状況にも注意を払いつつ、上手く立ち回らないと生き残れねぇ。だからクラスで一番機転が利く奴が適任だ」
「それがオレだと?買い被りすぎじゃないですか?」
学院襲撃事件の時のオレの立ち回りを見て、そう評価したのか。
そこまで余裕がないように見えたのだが、どうやらそうではなかったらしい。
正直出たくないんだが、段々とクラス全体が乗り気になっている空気で、一人不参加を表明するのは悪目立ちしかねない。必然的にオレは大きく出れず受け入れる他なかった。
「さて、これで納得したか?納得したなら他に質問は?」
グレン先生は再び辺りを見渡す。
もはや、先生の編成に対する反論は何一つない。
「じゃ、これで決まりってことでいいか?」
一瞬、グレン先生がニヤリと笑ったのをオレは見逃さなかった。
「……先生、いい加減にしてくれませんか? 勝ちに行くと言ってましたが、そんな編成で本当に勝てると思ってるんですか?」
グレン先生の編成を傾聴して尚ギイブルは反対意見を崩さなかった。
「何だギイブル。お前は他に何か妙案でもあるのか? まあ、使えるなら使うに越したことはねえから一応聞いてやるよ」
「本気で言ってるんですか? そんなの、全種目を成績上位者で固めることですよ! それはどのクラスでも毎年やってることでしょう!」
「……え?」
え?単純に『使い回し可能』というのを知らなかっただけだったのか?
ギイブルの言葉の意味を理解したらしいグレン先生がいやらしく笑ったのを、オレは見逃さなかった。
ギイブルの意見を取り入れる気か。
そもそも何故グレン先生が魔術競技祭にやる気出してるんだと疑問が湧いた。
グレン先生は名誉とかの精神的なものを求めるような性格じゃなかった筈だ。そんな人がやる気を出すと言ったらもっと自分に益がありそうな、物理的なもの………金か?
このクラスが勝ったら担任にそういった賞金があるのだろう。だから全力で勝ちに行くといった、と。
ロクでもないな。
だが残念だったなグレン先生。システィーナが望んでいた『全員出場』というのを先に提示したんだ。この流れで本人が強く出ない筈がない。
「うむ……そうだな、そういうことなら「何を言っているの、ギイブル!せっかく先生が考えてくれた編成にケチつける気!?」ちょっ」
オレの予想通り、システィーナが反論すると、グレン先生の目に焦燥が浮かぶ。
「見てよこれ!みんなの得手不得手を考えて決めてくれたのよ!大体、成績上位者だけの勝利なんて、なんの意味があるの!?先生は勝ちに行くって、俺が優勝させてやるって言ってくれたわ!」
クラスもシスティーナの訴えでなんとなく彼女へ追従するムードが出来上がっていた。
グレン先生を信じ抜いて啖呵を切るシスティーナ。しかし、当の本人の顔は反比例して真っ青に染まっていく。
「皆でやるからこそ意味があるのよ!ですよね、先生?」
珍しく険の取れた満面の笑みで先生に微笑みかけるシスティーナ。
「お、おう……」
真っ白になったグレンはそれだけ答えた。
「ふん、やれやれ。君は相変わらずだね、システィーナ。…まぁ、いい。それがクラスの総意だというなら、好きにすればいいさ」
降参と言わんばかりに、ギイブルは皮肉げに冷笑して着席する。
先生の采配が決定し、クラスが沸き立つ中、当の本人だけは顔を引き攣らせていた。
「ま、せっかく先生がやる気出して考えてくれたみたいだし、勝ちにいきましょう、先生?」
「当たり前だ! 全員、黙って俺についてこい!」
「「「「おお――ッッ!!!!」」」」
完全に場の空気に流されたグレン先生は、逃げ場をなくしてみんなと一緒にガッツポーズをするのだった。
「なんか…かみ合ってないような気がするなぁ……なんでだろう?」
流石ルミア。間違いなく噛み合ってない。
殆どグレン先生の自滅だが。
こんなのがオレの前任者とはな。
いつも執筆が途中で行き詰ることがあり、ネットで小説の書き方を検索したところ、先にプロットという物語の設計図、所謂あらすじを先に考えた方がいいと出ました。
あらかじめ完成図がイメージできていれば、なにを作り上げていくかの指針が立つとのこと。
このあたりを少し勉強して、向上を図っていきたいと思います。