死体とセナ   作:炊く石

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膝枕っていいよね、良くない?


死体と膝枕

何やかんやあった後、二人で家に帰ってきたときセナはほんの少しだけ困惑していたかその瞳の奥に期待や喜びに似た感情を持っていた。

(膝枕、、、話に聞いたことはありましたがどんなものなのでしょうか)

多くの人が思い浮かべるのはおそらく恋人やそれに近しい者達が片方の膝にもう片方の頭をのせながらイチャイチャしている光景だろう。

実際セナの頭にもそのようなイメージが確かにあった。

そしてそれは彼女の隣にいる少年にもあった。

(セナとの膝枕、想像しただけで最高なのが確定してる)

 

 

「と言うことで、善は急げと言いますし早速膝枕をば」

「えぇ、いいですよ」

「では、」

 

 

 

 

「俺の膝の上にどうぞ!」

「私の膝に頭をのせてください」

 

 

「「え?」」

 

 

 

 

どうやら二人の間に行き違いがあるらしいと同時に気付くふたり

 

 

 

「えーと、セナは俺がされる側だと思ってた感じ?」

「えぇ」

「いや、だってちゃんと俺『膝枕"したい"』って言ったよ?」

「それは、そうかもしれませんが」

「じゃあいいじゃん、ほら早く早く」

「いや待ってください、その心の準備が」

「心の準備?」

 

 

膝枕って心の準備とかいるか?とか思っている莫迦とは対照的に

 

(私が彼の膝に頭を?最初は私がして上げる側だと思っていたのですが、そちらの方がまだ優位性があると言うかなんだか可愛がっている側だと思ってまだ良かったのですが)

 

髪を揺らしながらかなり狼狽しているセナを無理やり甘えさせるように強引にかつ優しく彼女の肩を横に倒し、彼女の頭を撫ぜる

膝の上でピシリと固まった彼女の様子に少し肩を揺らしながら語りかける

 

 

「ほら、こうやってやればいいじゃん 簡単でしょ?」

「」

「あら、フリーズしちった」

「何でこういうことが出来るんですか?」

と少しこちらを攻める口調でセナが非難する、それに対しての返答と言えば

「でも満更でも無い顔ような顔してるが?」

彼女の顔はいつも通りポーカーフェイスなのであまり分からないが鎌をかけて言うと少し弄りすぎたのかセナが俺の足をペシペシと叩くが何でもないようにしてまた言葉を紡ぐ

 

 

「俺としてはもっとセナには甘えて欲しいんだけど」

「それはどういう?」

こちらの意図を探ろうとしたのか横だった顔を上に向け目を合わせてくるセナに少しの嗜虐心を抱きながらそれ以上の優しさを含めた視線を向ける

 

「こっちに来てから色々と助けて貰ってるでしょ?俺」

「家も然り食事も然り、先生に繋いでくれたりミレニアムとゲヘナを案内してくれたことも」

「だから、せめて俺が出来ることって言ったらセナのことを甘えさせるくらいしか無いなと」

心からの本心を伝えるのは少し気恥ずかしいがそれでも圧倒的に世話になっているのは俺の方だろう

「そんなこと無いですが」

「そんなことあるの」

 

いつの間にかセナが持っていた身体の強張りも消え失せ、自分の手とは違う大きな手に心を溶かされている感覚に陥る

力が抜けていくのを表すように主張を増す彼の少し硬い太ももを感じながらふわふわとした思考で微睡む

 

 

「、、、確かにたくさん迷惑はかけられました」

「面目ないなぁ」

「それでもいいんです、それを言うなら私はもっとあなたに寄りかかってて欲しいです」

「今も十分俺が寄りかかってると思うけど?」

 

「私としてはもっともっと頼って甘えて欲しいです。あなたはまだ私に心の底まで頼りきってる訳では無いでしょう」

「あなたが何を抱えて何に悩むのかは分かりませんが無理に話せとは言いません」

「私だって秘密や悩みはたくさんあります、けどそれも含めて私は私ですし、貴方は貴方です」

 

 

彼の足が一瞬さらに硬さを増した気がした。自分よりも一回り大きな彼の身体で抱え込む不安や焦りは恐らくその身体の何倍も大きいのだろう。

 

 

徐に彼の膝から頭を離し普通の姿勢に戻る、どうしたのだろうとこっちに視線をやる彼の顔を見てやはりこの人が愛しいと思う

いつの間にかすっかり彼のことが大切になってしまった自分をちょろいと思いながらもそれで良かったとも思う

 

 

「次は私の番です」

「え?」

と同時に先ほどされたように彼の肩を強引に倒し私の太ももに頭を乗せる

「柔かい」

彼のその一言に顔が赤くなりそうになるのを我慢しいつものポーカーフェイスを保ちながら彼の頭を弄ぶ。ばつが悪そうに居心地が悪そうに身体を硬くする彼のことを感じながら

(これは、確かに良いものですね)

等と思いながら先ほど彼がしてくれたように優しく頭を撫ぜる

面白いぐらいに力が抜けていく彼を感じて少し肩を震わせながら

 

「ご感想は?」と聞くと

 

「柔らかいです」と返される。先ほどの呟きと合わせても満足してくれたのだろうと勝手に判断しながら少しどころかかなり朱に染められた彼の頬をプニプニとつつく

 

「柔こいです」

「、、、さいで」

 

 

すっかり攻守が逆転した彼らを窓からの暖かい夕焼けが覆う

 

 

 

「タク」とあまり呼んでいない名で彼のことを呼べば、

「え?」と間の抜けた声が帰ってくる。

 

「先ほどを同じようなことを言いましたが私はもっとあなたに頼って欲しいですし私のことを優先して欲しいと思ってます」

「、、、それは重々承知してます」と彼にしては硬い口調で返してくる。

「けれど、あなたが嫌だと言うのなら私は」

 

「嫌なんかじゃ「分かっています、あなたが私を拒むことはほとんど無いでしょう。それでもです」

 

 

「私はあなたの支えになりたいんです。でもその支えになっていると思っている私の腕があなたの足を引っ張っていたくはないのです」

「だからどうか、あなたも私もお互いに正直に行きませんか?」

 

「それはどういう?」

 

「では、私がお手本を見せましょう」

 

覚悟はもう決めている、あとは勇気を出して足を踏み出すだけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はあなたのことが好きですよ、タク」

 

 

 

 

 

 

 

自分の心音が暴走しているのを感じる、目の前の瞳と目を合わせても返してくるのは固まっていて朱に少し染められた顔と確固たる意思を持った色を含む瞳

 

 

(返事をしなきゃ)

と必死に頭を巡らせ一瞬にも永遠にも似たような時間で考えた言葉は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺も世界で一番セナが好きです」

 

 

 

 

 

 

 

などというなんともまぁ凡庸で在り触れているがそれでも何百万回、何千、何億という単位では計り知れないほど人々に選ばれ愛されてきた言葉だった。

 

 

 

 




やっとここまで来ました。
結構その場のノリと勢いで書いてきたんですけどこのふたりって長々と思いを伝え合う前の期間が在るイメージがなかったし早くくっ付けって言う厄介オタクが私こと作者なのでこの展開になりました
もし、この展開が早かったっていう人がいたらこのふたりを叩くんじゃなくてこう言いましょう


「許さんぞ、陸八魔アル」
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