あれから10年ほどが経ち、15歳になった俺は高校1年生として普通の高校に進学している。もちろん監視の目が外れることはない。監視員もクラスメイトに扮して紛れている。
最近の出来事だが、本編通り例のライブは行われたらしい。新聞の見出しにも、ノイズ出現とデカデカと書かれていた。俺が本編に関わるのも時間の問題だろう。そんな事を考えながら通学路を歩いていると飛行型ノイズが頭上を飛んでいた。
「なぜここにノイズが…なにをして」
よく見ると頭上でノイズがぐるぐると飛び回っている。何かしらの合図のようにも思えるが。
「特異点、ようやく見つけたぞ。探し出すのに苦労したものだ」
声の先には、キャロル・マールス・ディン・ハイムがいた。まさかの邂逅、向こうから現れるとは思いもよらなかった…わけでもない。
「結局、そうなったわけか」
「何を言っている」
「いや、こちらの話だ」
妹との久しぶりの再会だと言うのに、素直に喜べるわけがない。こうならないように最善を尽くしたはずなのに。
「貴様に聞きたいことがある」
「答えられる範囲でなら」
「その前に邪魔な奴らを排除する」
錬金術を行使して、建物にいた俺を監視していた監視者たちが遠くに飛ばされる。
「さて邪魔者は居なくなったわけだ。オレの問いに答えてもらおうか。シンフォギアという言葉に聞き覚えは?」
眉一つ動かさず俺の答えは、知らないの一点張り。
「知らない」
「そうか、ならば死ね」
お得意の錬金術で攻撃を仕掛けてきたキャロルに対し、俺は抵抗できるはずもなく、もろに攻撃をくらう。あちこちに傷を負ったが動けないほどではない。
「なぜ抵抗しない」
「抵抗できる力なんて持っていない、そもそも俺は君のような特別な力は持ち合わせていないんだよ」
「力の使い方を知らないだと?可笑しな話だ。ではもうひとつ聞くが、あの歌をどこで知った?」
「あの歌?」
とぼけるつもりはないのだが、身に覚えがない。そもそもキャロルとの邂逅はこれが初めてのハズ。
「10年前の海岸で歌っていただろう?」
「10年前…あぁ」
10年前と言われようやく思い出した。そう言えばあの頃は現状把握のためにやってたな。
「あの歌は、オレと死んだ兄しか知らないはずだ。答えてもらおうか、なぜその歌を知っているのかを」
「答えに辿り着いているのに、わからないのか。我が愚妹は」
「愚妹だと?」
少し焦りの表情を浮かべるキャロル。
「失言だった、忘れてくれ。ただ君も特別な力を持っている人間なんだろ。なら俺と関わるのはやめたほうが良い」
こうしてキャロルと会えたことは僥倖ではある。けれど、今の俺は彼女と関われない。
「悪いけど今の俺は監視対象らしくてね、よくわからない組織に囲われているわけだ。今回俺と接触したことで君も狙われる事になるかもしれない」
「ふん…興醒めもいいところだな、悪いが貴様も一緒に来てもらおう」
ピアノ線のようなもので拘束されると、転移させられる。彼女の居城フォートゥン・シャトーに。