「まだ何か聞きたいことが?」
「それもある、でもまずは兄さん…なんだよね」
いつの間にか拘束が解け、泣きそうな顔をしているキャロルが目の前にいる。
「もうお前の兄じゃないけどな、あの時‥何も言えずにくたばった事は悪かったと思っている」
ポンと頭に手を乗せて撫でると抱きしめてくるキャロル。
「お前が何でそういうふうになってしまったのかはわからないけど、俺のせいだったらごめんな」
「違う、兄さんは悪くない」
話を聞くと、俺が死んでそう時間が経たない内に父さんも魔女狩りから逃げ切ることは叶わず死んだのだそうだ。その時に父さんからの命題を出されたらしい。
「記憶が残った状態で転生できたのは僥倖ではあった。でもお前にそんな顔をさせるために戻ってきたわけじゃない」
「あの時、私だけが守られて兄さんたちが死んだこと‥昨日のことのように思い出せる。何もできなかったこと…私は私を許せない」
「だから父さんの命題と俺たちの無念を晴らすために動いていたこと、それは見ていればわかる。ただお前のその力、思い出を焼却して力に変えるだったか‥それは」
「兄さんの言うことも分かる、けどこの力は必要なの」
伏し目がちに答えるキャロルの表情は揺るぎないものだった。
「私はパパや兄さんを殺したこの世界が憎い、それは今も変わらないしこれからもずっと。せっかく兄さんと巡り会えても世界がまた兄さんを殺す。世界が否定するというのなら、私はこの世界を壊すしかない」
「シンフォギア装者、彼女たちならこの世界の希望なりうる。ただ、お前の言う世界を壊すしかないという意見もわからなくはない」
「なら」
「ただし、それを行って一番嬉しがるのは俺たち人間を長きにわたって嘲笑い、人生を弄ぶクソ野郎どもだ。神なぞ、この世にいちゃいけない、空想でなくてはならない。お前も根の部分ではわかっているだろ?」
たじろいでしまうキャロル。誰も言わないであろうことを言えるのが家族特権だ。
「神はどうでもいい‥けど、世界を壊すのは一旦保留にする。兄さんには私と一緒に行動してもらうから。二度とごめんなの…死に別れなんて」
「…俺もお前を死なせるのはごめんだ、それにこれ以上無理をさせるわけにもいかない。記憶が消えるなど本来あってはいけないことだからな」
思い出を焼却して力に変える彼女の力は、諸刃の剣だ。威力は絶大、それ故の代償も大きい。相当な覚悟と苦労があって使っている事は目に見えるよりも明らかだ。ならば誰かが、誰かが彼女をとめてやる必要がある。