「ん‥?」
目を覚ますと知らない天井がそこにはあった。
キャロルとの邂逅を果たした俺は拠点であるこの居城に泊まったわけだが、あまり昨日の記憶がない。
確か、キャロルに手料理を振る舞われて彼女の希望で私室に通されたはずだ。
私室というかもはや書斎と化しているその部屋には錬金術関連の物が多く、研究者が使うような部屋だと思った。なんやかんや話をしたりしているうちに眠そうな彼女をベッドで寝るように促して、私室を出たと思う。そこまでは覚えている。
確かその後に与えられた俺の私室に向かって、室内は殺風景だったが…眠かった俺は特に気にもせずベッドにダイブ。そして今に至る。
「うーむどうしたものか」
掛け布団をめくった先には、キャロルが俺に抱きついているというトンデモ光景が広がっていた。幸せそうな顔をしている彼女を無理にはがすわけにはいかず、悩んでいると時刻は既に7時を回っていた。
「今日は休むか」
特に学校を休んでなかった俺は、今日一日くらいズル休みした所で何もない。とはいえ、この体勢も意外ときつい俺はキャロルのほっぺをつついてみることにした。
「妹よ、起床の時間だぞ?」
「…兄さん、おはよう」
おかしい挨拶は終わったはずなのに、ハグをやめてくれない。
「冷蔵庫の中に何も入ってなかったから買い物に行きたいのだが」
「私も一緒に行く、少し待ってて」
ようやく解放されるかと思いきや、まさかのついていく宣言。アニメで見たキャロルと違ってうちの妹は存外に分かりやすい。
「おまたせ」
少し待っているとオシャレに着こなした妹がそこにいた。黒系で固めたキャロルの服装ではあるが、着こなせている。
「流石にオシャレさんですな、うちの妹は」
「ふふっ、そうでしょ」
地上に出るためキャロルが所有していた結晶を割ると眩い光が辺りを包む。再び目を開ける頃には地上にいた。
「俺の家の近くか」
見覚えのある場所だと思えば、家の近くにあるスーパーだった。
「兄さんの家の近くにちょうど良くスーパーがあったからそこにしてみた」
独特の店内BGMが流れるスーパーに入ると素早くカードを持ってきたキャロルが次々と商品をかごに入れていく。
「手慣れてるな」
「まぁね、基本的には部下に任せてるけど時間があったらたまにはやってたから」
よく見るとお買得品や割引品なんかも混ざっている。意外と家庭的なんだなと思いつつ、そういえば家事はキャロルがやってたかと思い出した。
「っとそういや俺も買っておきたいものがあるんだった」
かごを別に持ってくると駄菓子やおもちゃ関連のものを放り込んでいく。
「兄さん、そんなに買ってどうするの?」
「いやどうするも何もお前がそんなガリガリだから食わそうと思って」
「私もう子どもじゃないし…それに女性の体を指摘するのは世間的にセクハラっていうんだよ?」
「いや、言ってることはわかるけどそれにしたって皮下脂肪なさすぎないか?」
その後もやいやいキャロルが言うので妥協しておもちゃ関連を買うことをやめた。それから日課のエナドリ大量買いをしようとして止められた。
「兄さん、言っておくけどエナジードリンクは明日の元気を無理くり持ってきているだけだからね。体にものすごく悪いんだよ?よってエナジードリンクは没収です」
無慈悲にもカゴに入れたエナジードリンクは全て戻された。変わりにジュースやコーヒーなどの飲料水をカゴに入れられた。
「仕方ない、妹の言うことだし聞き入れよう」
そんな事を話しているとノイズ警報が発令された。