「兄さんとの買い物を邪魔するなど、良いご身分だなノイズども」
「先にお会計しとかないか?」
警報がなっていようが精算はやらないと万引きになると思い、レジカウンターに行ったが店長がお客を誘導していた。
「押さないで、出口はあちらからです!」
「あのお会計」
「アンタ、この状況がわからないのか?補填すんのは俺じゃないし、商品なんぞ持ってっていいから早く逃げろ。死ぬか生きるかなんだぞ!」
必死に誘導する店長から了承を得たのでキャロルのもとに戻ると既に商品は持って帰った後だった。
「この状況だし、そうなるかなとは思っていたから」
「際で、んでこの後は?」
「もちろん帰る、シンフォギアどもも来るだろうしね」
噂をすればなんとやら。爆発音とともに現れたのは金色の鎧をまといし少女、立花響。凄まじい勢いでノイズを殴り飛ばしていく。
「大丈夫ですか!早く退避を!」
こちらをチラッと見て、そう言うとノイズの方へ真っ先に突っ込んでいく少女。
「兄さん、帰るよ」
「わかってる」
躊躇なく攻撃しているが、闘い慣れていないのか、所々無理な攻撃をして傷を負っている。恐らくは装者になってまだ日が浅いのだろう。
「あの」
「まだいたんですか!この辺りは今危険なんです」
「わかっています、ですがお礼を」
彼女の肩に右手を置くと傷が消えていく。
「ぐっ…まさか触れるだけでいいとは」
彼女の痛みをその身に受け、思わず顔を歪ませてしまう。打撲、捻挫、擦り傷…思ったよりもダメージを負っていたのか。かなり来るな…これは。隣でキャロルが凄い形相で俺の顔を見てくるが無視する。
「えっちょっと、大丈夫ですか!?」
「あぁ大丈夫、ただの貧血だ。すまない俺たちはもう行く。助けてくれてありがとう」
青ざめる俺をキャロルが肩を貸し裏路地へと向かう。無言のままキャロルは手に持っていた結晶を割り拠点へと帰ってきた。
「兄さん、さっきのは何?傷がまるでなかったように消えてたけど」
「俺の力の一つだ。体の状態を一日前に戻すという
」
「そんなふざけた力持ってるなんて、聞いてないよ兄さん…それで代償は?」
錬金術を行使するキャロルにとって、代償はつきもの。等価交換の原理も知っている、思慮深い彼女だからこそ俺のこの力の代償についても当然の如く追求してくる。下手に誤魔化しても無駄だと思い詳細について話すことにした。
「対象が受けた苦痛を追体験する、死人は無理だが助ける対象が死ぬ一歩手前でも使えると思う。まぁそこまでの重傷となれば精神的フィードバックは計り知れないがな」
「兄さん!」
「大丈夫、肉体的なダメージはない。1日に連発して使わなければ問題ないはずだ。お前の言いたいことも分かるが、使える手段があって使わないわけにもいくまい。力を持つものの責任と言うやつだな」
「だからって…」
不安げな表情のキャロルの頭に手を置き撫でる。
「見知らぬ誰かのために体を張れるやつに、手を貸さないのは性に合わない。それに昔のお前も同じような事してたの見てたしな。妹ができて兄ができないなんてお笑い草だろ?」
「兄さんはいつもそれだね、昔から変わらない」
「そんなことないさ、俺のは家族のためだったからな。他人じゃない」
「それでも兄さんは、兄さんだよ。わかった、でもこれ以上無茶されるのもアレだから明日から訓練の時間を作るよ。兄さんの力についても把握しておきたいから」
「え?」
笑顔の裏側にとてつもない圧迫感を感じた。