魔神セイバー(偽)、職業/死神   作:サルミアッキ

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Fragments of silver blue

 

世界中の人間と比べれば

 

一山いくらにも満たない

護った命

 

だが

本来死ぬべき定めにある命

 

それを救った人間を越えたもの

 

運命の変更を成し遂げた

その奇跡の代償として

世界はその人間を

都合の良い道具として

手に入れた

 

 

BLEACH

5

ALTER

Fragments

of

silver blue

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昭和20年。帝都西部鳴木市。

 

 ではこの俺、煉獄がこの辺ダイジェストでお送りしよう。BLEACH特有のオサレ、設定説明はマルッと無視してぶん投げで。ぶっちゃけ俺もこの時起きた他陣営周りの動きを、完全に理解しきることはできねぇし。知ったかぶりで言うのは性に合わねぇ。えー……おほん。

 

 

時ハ太平洋戦争末期

 

我ラ大日本帝国陸軍ハ崩玉ノ量産ニ成功セリ 崩玉ノ量産ニ成功セリ

量産崩玉ヲ要トスル新型爆弾 驚天動地ノ必殺国防兵器 試作型崩玉爆弾

 

 

「私は藤宮九十九。魔女。このクレイシ探偵事務所で厄介になってるわ。で、こっちは……淺間かなめ。母親が魔女の完現術者(フルブリンガー)よ。初めまして、死神さん。早速だけれど契約しない?」

「どういうわけだ?」

 

滅却師ノ集団デアル見エザル帝国ヨリ強襲セシ

 

「……ああいうわけ」

「あ、あれが滅却師(クインシー)見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)の離反者が作り出した機構兵装、人造星十字騎士(ヘルトクリーガー)部隊……です」

 

人造星十字騎士 ヘルト・クリーガー

 

『馬鹿ナ!動血装ヲ用イテモ貫ケヌ肌ダト!何者ダ女!』

「わたしは……、お竜さんだ。せやーっ」

(あの、黒髪セーラー服の女の人。何か、凄い違和感が……、全く霊圧を感じない?)

「いえーい、勝利。ぴーす」

 

ソシテ裏デ蠢ク 国家ノ存亡ヲ左右スル陰謀

 

「ねぇねぇ、日本人のおねーさんたち。さっきさぁ、見えざる帝国の滅却師と戦ってたよね。アタシも協力させてくれない?探し物があるんだよねぇ。あ、自己紹介がまだだった!アタシは蘭蘭芳、完現術者。ああ、心配しないで?お金を払ってもらえれば何だってやるわよ」

 

ドイツ帝国ノ言ウモ憚ラレル 人道ニ悖ル悍マシキ計画

 

「私は第三帝国対軍滅却師団所属、レイター少佐。そしてそのBGシリーズ……、ヘルトクリーガーの回収若しくは破壊の任を受けています。それは滅却師とダークドラゴン、いえ、こちらで言うところの虚の力を融合させた人工生体兵器です。土地の霊脈から永続的に霊力を吸収できる限り死ぬことがありません」

「ハァッ⁉それって霊力の枯渇で土地が死ぬじゃない⁉」

「重霊地であるここにいる限り、無敵じゃないですか……」

 

霊王ノ意思ニ呼バレシ 七人ノ完現術者

 

「ごめ……なさい、ごめ、ん……なさ、い……」

「……そうね。あんたのせいよ、淺間かなめ。私は、藤宮の人間は、あなたを絶対に赦さない」

 

原初ノ竜ト 尸魂界ヲ追放サレタ死神タチ

 

「まずい。沖田、オルタ。()()、じゃない……」

「リョーマ!」

「……おい。蘭芳、お前が狙っていたあれは、何だ?」

「————、霊王の体の一部らしいわよ」

 

彼女ラガ霊王ノ欠片ヲ巡リ繰リ広ゲタ、歴史ノ影ニ埋モレシ()()()()大戦ノコトデアル

 

「まさか、あれは……霊王の欠片と崩玉を組み合わせたの……?」

「『人造の霊王(ネオ・アドナイェウス)』、だとでも……⁉」

「……ドイツ帝国も厄介なものを作ってくれたものです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……藤宮九十九。その、模造品の聖遺物(聖剣の鞘の贋作)を貸してください。もしかすれば、私の完現術の媒体になるかもしれません」

「信用して、良いのよね。竜王の真血統(マスター・アルトリウス)、淺間かなめ」

「……、私の完現術の名前は、天鎖されし理想郷(ガーデン・オブ・アヴァロン)。ドラゴン憑きだった魔女(母親)由来の力と、持て余すだけの霊力を相応しい格の道具に付与し真に迫らせる……。事象の拒絶とまではいきませんが、別世界法則の適用を行い、この鞘で人造の霊王の放つ三界由来の力を、滅却します……!」

 

■■■、■■■■■■■■■■■。

 

「我は————抑止の守護者」

『何ト醜キ、人ノ祈リ……!』

 

■■■■■、■■■■■■■■■■。

 

「……()()

 

■■■、■■■■■。

 

「塵刹を穿つ。無辺の光を以って、天命を断つ」

 

■■■■、■■■。

 

 

 

 

 

「————絶剱・無穹三段」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「東梢局ではそんなことが……特例での潜入捜査、感謝する。レイター保護官」

「ええ。しかし、よろしいのですか。童話竜(メルヒェンズ)スノーホワイトは力を()()に分け、墜落。尸魂界東梢局の西部にてその痕跡が両方とも途絶えています。おそらく、霊力の持つ魂魄の中で成長し、死神の力として間も無く完全に甦るかと」

「あちらとこちらでは世界のテクスチャが幾らか違う。異物となって排除されるか、世界に適合し別の物語になるか。それは今後分かることだ。それに、向こうにもダークドラゴンが一匹いる、それも天地開闢以前からいた特大の厄ネタが。西と東のバランスは辛うじての均衡を保っている。向こうも率先して動かんだろう」

「……では、そのように」

 

 

 

 

 

 ————そうして霊王滅神大戦は歴史の影に葬られた。だが時を隔てたとしても、再び帝都……否、東京に災禍が襲い来るのは、約束されていた運命であったに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世の中ってヤツは、イロイロと不思議なことが起こる。真っ黒なでけー竜が空を飛んでたり、普通は見えないはずのユウレイが見えたり。俺は、そういう奇天烈なモンが見えることを、幼い頃から受け入れていた。

 不自由はない。ただの個性ってだけだ。不便になるわけでも他人が傷つくわけでもねー、一生付き合っていくのに苦痛があるわけでもねー。非常識かもだが、この不思議なことが俺の当たり前。

 そんな不思議(あたりまえ)なことの中でも、常識をぶっ壊すとびきりの運命(出会い)ってやつはあるらしい。

 

 今思えば、俺にとっての運命の日は二つあった。

 

 彼女と出会ったのは雨の日だった。その日、俺はお袋と一緒に川近くの歩道を歩いていた。足が縺れて転ぶわ、泥が跳ねて顔にかかるわ、色々とツイていなかった。そして、何よりツイてなかったのは、お袋を狙って厄介な悪霊が憑いて来たことだ。

 

 その時、お袋は身構える姿勢をとって、俺を逃がそうとしたらしい。冷静に考えてみりゃ、どうすることもできなかったはずだ。ただ、幼い頃の俺はバカみてーにその場に突っ立っていた。

 今思い返せばあのままだと、俺は死んでいたんだろう。あの悪霊の女が原因で、お袋が体調を崩したのは事実だしな。

 

 だが、俺たちは死ななかった。

 

 悪霊はぶった切られていた。刀が一閃した瞬間、チョウチンアンコウみたいな本体がきったねー叫びを上げて消えていった。

 

 だから聞いたんだ。感謝を伝えたかった。護ってくれてありがとうって。

 俺は尋ねた。褐色肌に長い白髪を靡かせ、時代錯誤の大太刀を持った、丈の短い着物の女に、お前は誰だって。

 

『私か?私は……、————魔神アイランド仮面だ』

『は?』

 

 俺とお袋を救った仮面の女は、バカみてーな偽名を名乗った。

 それきり、その仮面の女には会えてない。そんな不思議な出来事があったと思い出したのは、高校一年の春先だった。

 

 

 

 

 

 高校生になった俺、黒崎一護は、死神になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空座総合病院。

 

『おはようございます、5月8日月曜日のすこやかTVです。原因不明の巨大爆発事故の日から55回目を迎えた今日、平和祈念式典が行われる予定です』

 

 ベッドの傍に備え付けられたテレビからニュースが流れているのを聞きながら、身を横たえた女性は体を起こす。

 

『平和公園では今朝早くから献花をしようと多くの参拝者が集まっております。20万人以上が死亡し帝都と呼ばれた東京の中枢を消失させた過去に類を見ないこの爆発事故ですが、未だ原因究明には至っておらず……』

「……あら」

 

 茶髪の髪を長く伸ばした妙齢の女性は儚げだが気丈な顔立ちで、慈しみに満ちた笑みを零した。誰かが来たのを察知して、窓を開ける。

 

「久しぶりだな。数年ぶりか、元気だったか。滅却師の女」

「久しぶり、魔神さん」

 

 滅却師の力を失ってもなお、その名で呼ばれるとは思わなかったのだろう。弱った身体を動かして、()()()()は窓から入って来た不思議な客に手招きをした。

 体の具合はどうだ、とか、最近はこういうことがあった、とか。取り留めもない言葉を交わす二人。

 

「おー。読んだのか、その小説」

 

 窓の縁に腰掛けた仮面の女は、片手に持っていたアイスキャンディーを舐めながら、そう問うた。

 

「ええ。とっても面白かったわ!不謹慎だけれど、史実に沿って書かれて荒唐無稽には思えないリアリティがあったわね」

「そうか」

帝都(ていと)/(ぜろ)戦記。息子が買って持ってきてくれたの。……でも魔神さん、これぼかしているけれど、完現術者(フルブリンガー)魔女(ウィッチ)滅却師(クインシー)、それに死神と(ホロウ)のこと書いていない?」

「ん?言ってなかったか。その主人公のモデルは私だ。こんな格好良く書かれると照れくさいが、嬉しみが勝つな。いえい」

「あら、架空の話じゃなかったのね……⁉」

 

 おーっ、と目をキラキラさせて本と来訪者を交互に見る真咲。そんな会話を一つ二つして、満足したのか仮面の女は病室から出ていった。

 ひゅぅと、涼やかな風が窓から病室に入ってくる。

 

「……相変わらず人が良いな。真咲」

「あ、竜ちゃん」

 

 ドアが開かれる。不可視の存在であるはずの褐色肌の女と入れ違いに病室に訪ねて来たのは、整った面立ちの白髪の男性。

 

「奴は未だ自分の素性を言わない死神だ。それに顔の仮面……一心に聞けば、虚の力に手を出した異端の死神、仮面の軍勢(ヴァイザード)と関係があるかもしれん。注意は払っておけ」

「はーい。でもそんなこと言っても、なんだかんだで敵じゃない気がするのよね。一心さんと出会った時と同じで、全然死神っぽくなかったし。それに、滅却師の力が無くなった竜ちゃんの奥さんも助けてくれたんでしょ?」

「……確かに、静止の銀が蓄積する叶絵の体を回復させる完現術の鞘を貸し与えられたのは事実だ。だが、……悪意がないだけで何の思惑があるのかは知らん」

 

 二人の滅却師の間を、穏やかな時間が流れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「刀を寄越せ、死神」

 

「死神ではない、朽木ルキアだ」

 

「そうか……俺は黒崎一護だ。お互い最後のアイサツにならないことを、祈ろうぜ」

 

 

 

 

 

 春の日の深夜。空座町に二代目となる死神代行が誕生した。()()()()()()は、そのオレンジ色の髪の男子高校生を興味深そうに眺めている。

 

 

「死神代行————黒崎、一護ね……」

 

XCUTION会員番号001番

『クロス・オブ・スキャッフォルド』

銀城空吾

 

 

「良いのかい?また尸魂界から厄介事が持ち込まれたみたいだけど?」

 

XCUTION会員番号002番

『ブック・オブ・ジ・エンド』

月島秀九郎

 

 

「はぁ?また沖田に頼まなきゃいけないわけ⁉イヤなんだけど!どーすんのよ、教祖サマ!」

 

XCUTION会員番号003番

『ドールハウス』

毒ヶ峰リルカ

 

 

「教祖様はやめなさい。あくまで宗教法人の体裁をとっているだけです。しかし————」

 

XCUTION会員番号000番

『???????????????』

道羽根アウラ

 

 

「ム?あれはルッキャか……。こちらに一人で来たのか。成長したな。嬉しいぞ」

 

護廷十三隊元十三番隊第四席

沖田オルタ

 

 

「沖田か。何しに来たんだい?」

「コンビニおでんが安かったから買ってきた。皆も食べるか?」

「相変わらず好きですね……」

 

 シリアスムードだった謎の集団が、この魔神さんの登場で途端に丸っこいデフォルメ画な雰囲気になった。

 

「あたしパース。カワイくないじゃない」

「そうか。しかめっ面になる程か。悲しみ……」

「安心しろ沖田。こいつただ目が悪いだけだから」

「眼鏡をかけたらどうだい?」

「うっさいわよそこ二人!」

 

 そんなリルカのツッコミをスルーして、夜空に浮きながら各々おでんの串を持って頬張り始める成人組三名。

 

「……だが、お茶が欲しいな。買い忘れた。しょぼんだな」

「……サントリーのでいいか?」

「何で懐に2Lサイズで持ってんのよ……」

「おー、ありがとうだ銀城。お礼に魔神さんがもらってしまった辛子をやろう。はい」

「押し付けてる!ただいらないモノ押し付けてる!幾ら恩人だからって拒否って良いのよ銀城⁉」

「仲が良いのは良いですけど、騒ぎすぎるとバレますよ」

「え、ちょっとまってあたしが悪いのコレ?ねぇ⁉」

 

 本来の歴史と異なる流れで出会った霊能力者である彼らが、黒崎一護と会合するまで、もう間もなく……。




 閑話。
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