(俺の名前は黒神ユウマ、高校2年生生まれつき霊に憑かれやすくて、今じゃ100体以上の悪霊に呪われまくった超絶不幸な男、ちなみに霊感はゼロ、完全に生まれてくる家を間違えた)
そう思いながら、ユウマは自らの仕事場でもある黒神心霊相談所へと入って行った。
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黒神心霊相談所
「隣の家から夜な夜な声が聞こえてくるんです、それが引っ越して来てから半年間、ずっと続いてて」
震えながら依頼人はそう話す、
(ここは黒神心霊相談所、親父が二代目オーナーの心霊現象や呪いの相談なんかを専門に扱う、民間の事務所で、親父が留守の時はこうして俺達が仕事を手伝わされている)
ユウマの隣にはハカが、そして台所からワタルが出てくる、
「すみません、粗茶ですがどうぞ」
依頼人にワタルが飲み物を出すところを見て、ユウマとハカは叫ぶ、
「ちょっとワタルくん!?それコーヒーじゃないよな?絶対にやめてくれ!?」
「ちょっとワタルさんはコーヒーよりも紅茶を出して上げてください」
「何なんですか?この人のコーヒー、劇薬でも入ってるんですか?」
ユウマ、ハカ、そして依頼人までもがそう言うが、
「コーヒーじゃないですけど失礼な!それにお客様にはしっかりとした飲み物を出しますよ」
((それ、自分のコーヒーはちゃんとしてないって理解してるんじゃ))
ユウマとハカがそんな事を思いながら、依頼人の話にハカが口を開いた、
「騒音ですか、それは大変ですね」
興味の無い、まさに棒読みと言える程の調子で言う、それを聞き、ユウマは
「相変わらず感情こもってねぇ⋯⋯」
(隣にいるのは同じ高校2年、俺と姉貴の助手をしているアルバイトの三途川ハカ)
「ご近所トラブルは警察対応です、近くの交番に相談下さい、では」
(こいつは生粋の推理マニアで、その迷いに迷った迷推理ときたら折り紙付きだ、俺の親父に憧れ高校進学と同時にここの3階に住み始め、事も有ろうにウチでバイトまでし始めた、ちょっと頭のおかしな奴)
依頼人の依頼に対してお辞儀で済まそうとするハカを見て、ユウマはそれをジト目で見る、ハカのその姿勢を見て依頼人が慌てて話す、
「ちょ、ちょっと待ってください!違うんです!!隣の家、空き家なんです!それなのに夜中になると変なうめき声みたいなのが聞こえてきて⋯⋯そのせいでインスタのフォロワーは減るし、仕事もクビになるし、結婚詐欺にもあってもう散々なの!こんな不幸な人生じゃ私、生きていけないっ!」
「前者はともかく後者は何か違う気が、それに不幸さで言えば」
ワタルはユウマを見ながら言った、
(こいつの名前は月影ワタル、俺の妹とクラスメイトでとある事の手伝いをしてもらってる、それと生粋の物作りバカ、それと割とたまに結構辛辣なことも言ってくる毒舌職人だ、っていうかワタルの言う通りそれうめき声関係ないと思いますけど、それと俺を見るなー⋯⋯ん?)
頬を掻きながらどうしたものかと困っていると、不意にハカへと視線が移った、
「夜の空き家⋯⋯うめき声⋯⋯」
(やば今こいつスイッチ入った)
「謎めいた悪霊の怨念が聴こえるわ!大丈夫!貴方に三途の川は渡らせない!さあ行くわよ、ユウマ!」
依頼人の追加の話を聞くと同時に興奮しだすハカ、それを見てユウマとワタルは
(いや、キャラ変わり過ぎだから、それにあなたの立ち位置助手だよ?バイトだよ?おかしくない?)
(本当に機械系と怪異関係のことになると、ハカさん興奮するのは何なんだろう)
その様子を見た依頼人が声を掛ける、
「あ、あの⋯⋯もし幽霊だったら除霊とかしてもらえるんでしょうか?」
その返答にはユウマが答えた、
「えっと⋯⋯、まあ、はい除霊って言うか俺に憑いてくるって言うか⋯⋯」
「着いてくる?幽霊がですか?」
それにハカは素早く答える、
「はい、ウチの三代目筆頭は女の子にも子供にもすかれない、オマケに霊感ゼロの超ネガティブ思考で救いようのない奴なんですけどね、」
「おい」
「でも霊にだけは好かれるんですよ!ほら、感じませんか?彼の後ろに取り憑いてる100体以上の悪霊を」
ユウマは少し困った表情をしながら言った、
「望んでこうじゃ無いですよ?」
依頼人はユウマに取り憑いてる悪霊を感じ取ったのか、悲鳴を上げた。
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空き家玄関前
ユウマとハカ、ワタル、依頼人は件の空き家まで来ていた、そして玄関前で
「ちょ、ちょっと⋯⋯」
「無理無理無理!!絶対無理いいいぃぃ!!俺が大の幽霊嫌いなの知ってるだろ!!!?」
ユウマがハカの腕に抱きつき、駄々をこねていた、
「知らない、興味ないわ、あと触らないでよ」
「ユウマさん、もうここまで来てしまったんです、諦めましょう?」
ハカはユウマを強制的に連れて行こうと、ワタルは宥めながら連れて行こうとすると、
「いやあああーーー!!待てよバカハカバカ!!」
(そう、何を隠そう俺は超が付くほどの幽霊嫌いだ、霊感は無いから見えない、なのに憑かれるんだ)
今、何処かから地雷を踏み抜く音がした、歩みを止めたハカがゆっくりと振り向きながら言った、
「ほうあんた今何て言った?」
「あ、いや⋯⋯」
(ハカにバカは地雷だった⋯⋯、ワタルくん助け)
ユウマがワタルの方に向くと依頼人と話しており、ユウマの救援信号に気づいていなかった、ユウマはその瞬間頭に何発か衝撃ガ走った、頭にはたんこぶができていた、
「次バカって言ったら許さないから」
「は、はい!」
「ふんっ、行くわよ!依頼者さんはここで待ってて下さい⋯もう、ユウマのボケナス」
ハカはぷりぷりと起こりながら空き家へと入っていく、
「そういえば、ミレイの姉御は?」
「何か行くとこあるって行ってたけど、知らん」
そのハカの後ろ姿を見ながら、男性陣2人は話しながらついて行った。
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空き家内部
「お、おい、ハカ⋯⋯み、見えちまったんですけど⋯⋯」
「うそ、あ、あんたにも見えるの?」
「あの後ろ姿、どっかで見たような」
三人が見る先には黄色いスカートに濃い濃い藍色の服を着た、長髪で茶髪の女性が見えた、
「あ、ああ⋯か、髪の長い女の霊が⋯⋯」
「私にも見えるわ⋯⋯どういう事⋯⋯」
「何か、つい最近見たような」
三人が話し合うなか、ハカがそっと指を顔に突き立てて、目を瞑り、考え始める、
(謎が私を呼んでいる⋯⋯)
「は?」
「これは」
悩んでいるハカを見て、固まるユウマとワタル、
「ふむふむ、ほうほう、なるほど」
(うわーここで?ここで迷推理始めちゃいます?)
(さて、今回はどんな面白い推理が聞けるのか)
バッと振り向くと、ハカは言った、
「分かったわ!ユウマ安心して!あなたに三途の川は渡らせない!」
「ユウマさんが渡る前提なの草だな」
(いや、これっぽちも渡る気ありませんけど)
「この幽霊は洋服を着てるのよ!髪の毛はウィッグ!駅からここに来るときショップがあったわ!そこに行って買ったのね!ふう難解な謎だったけど、私の目は誤魔化せない!全てお見通しよっ!!だ、黙ってないで何とか言いなさいよ!しょうがないけど⋯て、点数付けさせてあけるわよ」
ハカがユウマの後ろを見ると、笑いを堪えすぎて蹲っているワタルがいた、すると前に居た女の幽霊が、
「だああれが、服着た幽霊ですってええー!!!?」
「きゃああああーーー!!!!/ぎゃああああ!!!!」
「「ごめんなさあああーーい!!!!」」
ユウマとハカが女の幽霊に全力で謝るなか、ワタルは未だに先程の推理で笑い転げており、笑い終わって、女の幽霊を再度見ると、
「何やってるんですか?ミレイの姉御」
「「あ!/ん?」」
ハカとユウマが先程の女性の幽霊を見ると、そこには腹を抱えて笑っている黒神ミレイの姿があった、
「あはーーははwww驚きすぎでしょ2人共!!本当、可愛いんだから」
(あ、姉貴!!!!)
(ミレイさん!!!!)
笑いが落ち着いたのか笑いかけながらこちらを見た、
「ミレイの姉御、どうしてここに?」
「姉御は辞めてって言ってるでしょ、ハカちゃんとユウマを驚かせるために先回りしてたのよ」
(目の前にいるのは姉の黒神ミレイ⋯死ぬほど霊感が強くて、見える、聴こえる、話せると三拍子揃ったとんでもない女だ、更に人に触れるだけで、数分間、その人の霊感まで上げちまうっていう信じられない体質の持ち主⋯一方では、恐らく日本一男運の無い女でもある)
ユウマのモノローグが終わると、ミレイがユウマとハカに話しかける、
「ねえねえユウマ、ハカちゃん怖かった?」
「いえ、怖くありません⋯ちょっと驚いただけです」
「えー、残念」
ミレイはユウマに近づき、耳元でこう囁いた、
「ハカちゃんと2人の方が良かったりした?」
「ばっ!そ、そんな訳ねえだろっ!!」
赤面しユウマは否定するとミレイに質問した、
「で、状況は?」
「いるよ、奥さんに出ていかれて自殺した男の地縛霊が住み着いてる」
「へえ、俺にはユウマさんと同じで霊感無いんで見えないっすけど」
「どうします?成仏してくれそうですか?」
「うーん、ちょっと難しそうね⋯だいぶ拗らせてるから」
そう言うと、ミレイはユウマとハカの2人の肩に手を置いた、
「マジかよ⋯⋯大人しく成仏してくれよ⋯⋯」
「直接聞いてみる?」
ミレイがハカとユウマに霊気を流し込むと2人は霊の姿がくっきり見えた、
「俺はもう駄目だ⋯ギャンブルも出来ねえし、ふかふかのベッドもねえ⋯テレビも見れねえし、スマホがねえから幽チューブも見れねぇ」
スーツを着た男性だった、かなり碌でもないことを言っていた、
(は?)
(何ですか、このゲスの極みは)
すると、霊はユウマ達に語り掛ける、
「なあ、お前ら何とかしてくれよ!これじゃあナンパすら出来ねえしよぉ、成仏しちまったらろくな人生歩んでねえ俺なんて絶対地獄行きじゃねえか!こんな不幸な幽霊いるか?なあ、俺より不幸な奴なんていねえよなあ?」
すると、直ぐ様ワタルはビルドドライバーを取り出した、
「分かりました、地獄に送りましょう」
「ストップ、ワタルくん」
そう言いミレイに止められたワタルはそっとユウマの方向に目を向けると、
「お前なぁ⋯うっせえよ!それの何処が不幸なんだよッ!!俺はなあ、あなたが思うより不健康です!!」
「え?」
「お前100を超える悪霊に取り憑かれた奴がどれだけ不幸な人生歩んでるか知ってるか!!?」
「ひゃ、100の悪霊??」
「そうだ!宝くじ買っても300円すら当たらねぇ!連番で買っても気付いたら当たりの1枚だけ無くなってる始末だ!挙句の果てにはジャンケンすら勝てねえ!!」
「ええ?」
「それだけじゃねえぞ!毎晩悪夢にうなされて寝れたもんじゃねえし、肩も首も鉛のような重さでイカれちまってる!!金縛りなんて一晩中ずっとだ!!物心ついてから熟睡なんて1日たりともした事ねえ!!」
「そ、そんな不幸な人間が⋯⋯この世にいるのか?」
ユウマの圧は霊をも黙らせるほどの気迫であった、
「ここにいるんだよ!!元々ブサイクなのに目の下クマだらけだから学校では女子には避けられるし、呪われまくってるから毎日死にてえのにこいつらいるから死ねねえし、」
「ユウマ⋯⋯」
「この先彼女なんて出来るわけねえし結婚なんて夢のまた夢だ!!お前は結婚出来たんだよなあ!?」
「は、はい!」
「随分幸せそうな人生だなあ!!?」
「ひいいい!!」
その様子を見たミレイとハカ、そしてワタルは、
「あれはもう、妬み嫉みの権化ね」
「ですね 哀れです」
「今度、俺が寝る時に使うアロマでもあげようかな」
ユウマの気迫に霊も反論する、
「で、でも、地獄には⋯⋯それに、俺はもう一度妻と娘の顔をっ!!!!」
(それで俺等を見て、開口一番がギャンブルなのは大分、終わってると思うけどな)
ユウマはそれを聞いてまた叫ぶ、
「地獄だぁ?俺からしてみりゃそんなのこの上ない楽園なんだよ!!言ってみりゃ天国だ!!問題はナシ!!でもなあ_____??」
ユウマは先程叫んでいたのが嘘のように優しく語り掛ける、
「奥さんと子供に会いたいなら会わせてやる」
ユウマは霊の肩に手を置いた、
「え?どうして⋯⋯?それに、な、何だ、この今まで感じた事のねえ心地良さは⋯⋯」
「知らねえ⋯でも俺の身体はお前ら悪霊にとっては天国より居心地良いらしい⋯地縛霊は一人じゃこの場を離れられねえだろ⋯憑いてくるか?」
「で、でも⋯⋯そしたらまたあんたに俺っていう悪霊が⋯⋯」
「気にすんな⋯今更一匹増えたくらいどうってことねえよ⋯それに俺は____人と悪霊のハーフだから」
そう言うと、霊は嬉し泣きをし始める、
「ううう、あ、ありがとう、ありがとう!!美佐枝えええ!!!一花あああーー!!!!」
その様子を見ていた3人は、
「ずっと会いたかったんですね」
「そうね⋯どれだけ他の理由で武装しても、結局はそこが未練で成仏出来なかったみたいだね」
「勉強になります」
手帳に何かを書いているワタルを余所目にハカが不意に口を開いた、
「人と悪霊のハーフ⋯⋯か」
「ただの悪霊に取り憑かれまくった人間なんだけどね」
「そうですね、でも⋯⋯ユウマはあの幽霊が奥さんと娘さんに会いたがってるの分かってたんですかね」
「どうかなあー、あの子お父さんに似て妙にカンの鋭いところあるからねって、あれ?あれあれ?もしかしてハカちゃん、ユウマに惚れちゃった?」
微笑ましい顔でハカに言うと、ユウマと同じ様に顔を赤面させて否定した、
「へ?ちょっ!ちょっと!!ち、違いますよっ!!何言ってるんですか!!?そ、そんな訳ないじゃないですかあっ!///」
必死で否定しているハカを見て、ミレイは笑う、
「あらそう?私はハカちゃんがユウマの彼女になってくれたら嬉しいけどなあ」
「なりませんっ!!そんなの絶対ありえませんっ!!!///」
そして今日も夜が更けていった。
感想お待ちしております
俺クロの百鬼夜行編が始まる前に、主人公には仮想現実シュミレーションを単身で行ってもらうのですが、どれがいいと思います?
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