僕のヒーローアカデミア 僕の師匠は異世界最強の魔導士!? 作:ポップ推しの視聴者
相澤先生の代理として突然雄英高校の教師となった魔法使い。
緑谷魔歩と言う偽名を用いて、教師として仕事をすることとなった。
レクリエーションを無事(?)に終え、緑谷出久とのが更生活が幕を開けたのであった。
「ただいま〜。」
緑谷が家に帰ると、「おかえり~」という母の声が聞こえてくる。
いつもはいるはずのもう一人の声が聞こえてこなかった。
それは、新しい当たり前になることであった。
もう一人は今頃学校で仕事をしているのだから。
「お母さん…やっぱり僕と師匠が遠い親戚って無理があるんじゃないかな?」
出久は今回のこの話の内容に不信感を抱いていた。
流石に、遠い親戚設定は無理があるようにしか思えなかった。
そもそも、母の姉妹の結婚相手…ってもはや血縁関係がないどころか苗字が同じであることはまずないだろう。
個性が同じこともこれだけ離れていると逆に違和感を生じるのではないか?
疑念を挙げればきりがない。
それに対して母親の答えは…
「まぁ、なんとかなるわよ!」
であった。
返答することを諦めて、自分の部屋へと向かう。
机に座ると、あるノートを取り出す。
そのノートを覗くと、そこには新たな修行の内容が記載されていた。
緑谷は、下校する直前に魔歩先生に呼び止められていた。
内容は、黒い怪物との戦闘の様子についてであった。
出久が奴に対してどのような戦闘を行ったのか、戦いになったのか、戦果はどうだったのか。
それらのことを詳しく聞かれた。
緑谷はそれについて一つ一つ丁寧に説明していった。
その説明を聞いた魔法使いは、緑谷のノートに素早く何かを書き記していく。
そして、簡単な説明のみを加えて手渡した。
「格上相手にも戦えるすべが必要だな。」
そう言われて手渡された内容を、帰宅した緑谷が確かめるとそこには
【極大呪文の習得】
と書かれていた。
そんな奇想天外な言葉に目を見開く。
まだ、上級呪文すら習得できていない緑谷が
だが、魔法の師である彼の書き記したノートには間違いなく極大呪文とあった。
理由のわからない、目の前の現状に思わず頭を抱える。
もちろん、将来的には
緑谷はデイン系の呪文が得意らしく、
だが、そんなやすやすと覚えられるような呪文ではないことも重々承知していた。
それこそ、覚えようと思って2・3日で覚えられるようなものではない。
師匠の考えが読めないことに、憤りを感じるも、頭の中の思考を一度吹き飛ばすかのように頭を左右に振って考え直す。
再びノートに視線を落とし、書かれた内容を確認する。
【近接戦における防御術の習得】
2つ目の内容を見つけた。
それは自己防衛術についてであった。
そこで緑谷はかつて師匠の話していた内容を思い出す。
(確か師匠は、自分の使う武術のことを【柔術】って言ってたな…。確か攻撃を受け流したり、捌くことに秀でた防御向きの術だって言ってたな。)
その言葉を思い出すと同時に、今日のレクリエーションと怪物との戦いの様子を思い浮かべる。
怪物の強大な力を正面から受け止めるのではなく、全て回避または、身体のしなやかさを利用して受け流すことをしていた。
それができなかった際には師匠ですら腕の骨を折る大怪我を負っていた。
今日のレクリエーションもあれだけの数の生徒と相対しながら、その攻撃の全てを回避していた。
あの術を覚えれば、格上相手にも立ち回れる可能性はグッと上がる。
(…勝てなくてもいい。負けなければ、死ななければいつか勝てる日が来る。)
師匠の教えを思い出す。
負けないための戦いをする、そのための手段を自分の中でも考える。
答えを導いた緑谷は、私服に着替えるとすぐさま走って土手へと向かっていった。
そして、これまで行ったトレーニングを再び行う。
全て行うには明らかに時間が足りない。
そのため、負荷を上げた上で回数を減らし、時間内に収まるトレーニングにする。
格上と戦うための手段はもちろん必要である。
だが、そもそも格上にならない様にこちらがレベルアップをするのもまた必要である。
初めてヴィランと戦い、自分の実力を叩きつけられた。
これまて入学試験から今に至るまで、緑谷は勝てないまでも負けたことは一切なかった。
爆豪相手にも、戦いに負けたが勝負には完勝している。
そんな彼はヴィラン相手に初めて、決定的な敗北を叩きつけられた。
自分が調子に乗っていたことを理解して、顔をしかめる。
黒い怪物にいきなり喧嘩をふっかけたこと、その結果が招いた蛙吹さんの危機、そして戦闘。
愚策であったと気付かされる。
そんなことを感じながら、トレーニングに打ち込む。
自分にはまだ何もかも足りない。
今の自分の力が通じると慢心している暇など全くない。
そう自分自身を焚き付けていた。
やがて、日が暮れ始めると緑谷は家に帰宅する。
するとまだ師匠が帰ってきている様子はなく、母のみが緑谷を優しく出迎える。
緑谷は母に返事を返すと、疲れ切った様子でベットに倒れ込む。
まだ今日の復習もしていなければ、風呂も食事も取っていない。
だが、それでも彼の意識は闇に消え入りそうであった。
それほどまでに疲弊しきっていた。
ご飯を食べなきゃ、お風呂に入らなきゃ、予習と復習もしなきゃ
と頭でわかって履いても身体がそれに反して動き出そうとはしなかった。
そんな状態の最中、リビングから会いたかった人物の名前が届く。
「あぁ、魔歩さんおかえり~。勤務初日はどうだった?」
母が帰ってきた師匠にあいさつをしていた。
それを認識した瞬間、緑谷の身体がだるそうに起き上がる。
聞きたいことが山程ある人物が帰ってきた。
その事実に体は、重力が倍かかっているのかと疑いたくなるような重さを感じながらもリビングへと足を動かす。
リビングへと向かうと、楽しそうに談話している母と師匠の姿があった。
出久はすぐに師匠を呼び、ノートに書かれた内容について問いかける。
すると魔法使いは、母に許可を取ってから緑谷を抱えて
突然連れられた出久は混乱しながら師匠の顔を見つめる。
すると師匠は「見ておくんだ。」と一言伝えると、両の手を海の方へと突き出す。
師匠の魔法力が全身からほとばしる。
その桁違いの魔法力量に出久は、恐怖すら感じる。
自分とはまるで違う世界を見せられた出久だが、これから起こる未知の事態に期待を感じているのもまた事実であった。
異世界の魔法使いは、全ての魔法力を解き放つ!
「
恐ろしいまでに巨大な魔力の爆発が海上で巻き起こり、それによって発生した爆風が出久に襲いかかる。
吹き飛ばされないように必死にこらえながらも、その破壊力に目を離すことができなかった。
やがて風が収まると、目の前のそこ巨大な爆発があった地を見つめる。
海に放ったために、破壊痕などは残っていないがそれでも出久の瞳には先ほどの光景が焼き付いていた。
魔法使いは振り返りながら、出久に対して言葉を告げる。
「これが極大呪文、マダンテだ。」
魔法使いは出久に説明を始めた。
極大呪文、またの名を魔法力犠牲呪文。
全ての魔法力を解き放つことで究極の一撃を放つ、魔法の中でも最上の威力を誇る呪文であった。
つまり、今の一撃は師匠が全ての魔力を込めてはなった一撃だということである。
その現実離れした破壊力に、身を震わせながらもそれを教えてもらえるかもしれない可能性に期待の眼差しを己が師匠に向ける。
魔法使いの師匠は再び説明を始める。
この呪文は人によっては究極呪文と称する呪文であるが、なぜ他の極大呪文も使えない出久にいま教えるのか、それは…
「魔法力を解放し、爆発させる感覚を身につけ慣れること。」
が大事だと言っていた。
上級呪文のさらに上に属する
その感覚は魔法力を爆発させる感覚に近いという、そしてその感覚に特化して究極の一撃としているのが
そこまで聞いた緑谷は、自分の力両の手を見つめる。
全ての魔法力を両の手に集めて収束し、爆発させるように放つ。
説明は受けた、であればあとは実践あるのみである。
自身の持つ魔法力を全て両手のひらに集めようとする出久。
だがしかし、そんな初歩の段階ですら、これまでの呪文とは全く違う次元だということを思い知らされることとなる。
「…っ!」
両手に集めていた魔法力がその場で爆発したかのように拡散してしまう。
出久は手のひらに焼け付くに似たような感覚を覚えてすぐさま海の中に両手を突っ込んだ。
なぜ、師匠が無人島を選んだのか。
その魔法の破壊規模を隠すためもあったのだろうが、
「魔法力を高めるほどに、高温で高エネルギーを持った力に変わる。それを正しく制御できないとそうなる。」
師匠はまるでわかっていたかのように、淡々と語る。
そんな様子に何か言いたげな顔をするも、すぐに考えを振り払うかのように頭を左右に振る。
そして、海から両手を引き上げて再び意識を集中させる。
意識を両手に、そして魔法力に集中させる。
出久の手には魔法力が集められていき、エネルギーが蓄積されていくのがわかる。
魔法使いはそれを眺めながら、出久の動きやその癖を見出そうと細かく確認を行う。
前々からではあるが、一度集中し始めた時のその集中力は類まれなるものだと感じていた。
もう声をかけても出久には届かないだろう。
そう考えながら彼の特訓を見守る。
出久の両手には白い魔法力がどんどん集まっていき、明かりのない無人島を照らし始める。
輝きが見え始めた頃、出久の顔には冷や汗が浮かび始める。
出久の持つ魔法力の半分が両手に集まった頃に異変が起き始めた。
魔法力を集める速度があからさまに落ちる。
出久はさらに魔法力を込めようと、全身に力を込めるがそれでも注ぎ込まれる魔力に大差はない。
次の瞬間、出久の両手から一つの球体が現れる。
紫色の球体はそれ自体が魔法力で生成されたものだと認識するのに時間はかからなかった。
出久は、できてしまったこの魔法力の球体をどうすればいいか全く分からなかった。
どうするべきか非常に助けを求めるつもりで振り返るも、師匠の目を見た瞬間にその考えを捨てざるを得なかった。
【自分で考えろ。】
師匠の視線からその言葉を感じ取った。
師匠は今の状況を助ける気などは全く無いようだった。
出久はすぐさま視線を目の前の球体に再び向き合う。
球体の形を保っているが、不安定であることは明白であり、いつまでもこの状況でいられないことは火を見るよりも明らかであった。
師匠が自分に判断を投げたということは、出久自身で何とかできるということである。
(考えろ!考えろ!師匠はなんて言ってた!この呪文の特徴は!性質は!成功させるためのコツは!技術は!どれだ!?)
師匠の言葉を一つ一つ確認する。
だが、それを続けるには時間が足りなかった。
目の前で紫色の球体がわずかに膨らむ。
限界だ。
それを悟った出久は両手を前に突き出しながら叫ぶ。
「マダンテ!!!」
呪文の詠唱を行いながら、紫色の球体を海に向かって放つ。
その球体は海に着弾すると大きな爆発を巻きこす。
しかし、その爆発は先ほど師匠が見せてくれた極大呪文とは似つかない無様なものであった。
出久は痛む手のひらを悔しさで握りしめる。
そんな出久に、師匠は水筒を手渡す。
出久は感謝を告げながら受け取り、中身をぐいっと含む。
麦茶のほんのりとしか香りが口いっぱいに広がり、体の緊張がわずかに解ける感覚を覚える。
魔法使いは、出久の隣に座り今の魔法について振り返った。
咄嗟の判断にしては悪くなかった。
詠唱を行なうことで未完成であろうが呪文として発動できているかの確認ができる。
今回は未完成でありながらも一応マダンテとしては放たれていた。
それが師匠からの言葉であった。
今の緑谷では、緑谷の持つ全魔力を操作するのは困難であること、そしてそれを成し得るためには精密な魔法力操作を訓練する必要があることを説明された。
なぜ初めから説明してくれないのかと、時折師匠の融通の利かなさを感じることがある。
しかし、師匠曰く自分自身で経験しなければ意味がない、とのことだった。
それを伝えると、魔法使いは出久に残りの魔力を全て使ってもう一度マダンテを唱える指示を出す。
どうやら魔法力の最大値ではなく、今ある魔力の全てを消費することで発動できる魔法らしい。
腕が痛むも、それを無視して再び呪文を唱えようとする。
このような痛みを伴い、緊張するような訓練は久しぶりに感じた。
魔法を覚える最初期は、これよりも辛く、痛い訓練をひたすらにしていた記憶がある。
それに比べたら、今回の訓練は何倍もマシに感じた。
大きく深呼吸をする。
それを何回も繰り返しながら、頭をクリアにして思考を始める。
(師匠は詠唱をしたことを褒めてくれた。そうだ、僕は魔法力の操作ばかりに気を取られていた。確かに技術は必要だけどあくまで魔法、呪文なんだ。僕がこれから放つのは魔法力ではなく…マダンテなんだ。)
考えを終えると、目を見開いて両手を構える。
「マダンテ!!!」
呪文の詠唱を行なうと同時に、全ての魔法力を己の両の手に集める。
出久の身体の周りには光の魔法陣が展開され、持ちうる魔力の大半が手に向かって流れていく。
先ほどまで白い光をまとっていたはずの両の手が、紫色の光へと変化していく。
だが先程と同じ現象が緑谷に襲いかかる。
紫色に変化した魔法力は彼の両手に大きな負荷をかける。
出久の顔が再び曇る。
手に集めた魔法力が徐々にコントロールしにくくなっていく。
なぜこうなるのか、未だに原因が掴めない。
精密なコントロールが必要であれば今はできないと諦める。
そんな選択肢を持ち合わせるはずもなかった。
できないのならばできる範囲でやれることをやるまでだ。
師匠からの教えを自分の心で再度確かめる。
なんども、何度でも、繰り返しになろうができるまでやり続ける。
諦めの悪さが勝ちにつながるということを何度も話していた。
だが、冷静さを欠いてやけくそになってはいけない。
常に冷静に判断すること。
今の自分にできることを。
「…っ!」
「
手に集められた魔力を放ち、マダンテを発動させる。
紫色の魔法力は先ほど同様に海に向かって放たれて、着弾すると爆発を巻き起こす。
だが、その爆発は先ほど緑谷の放ったマダンテとも若干違い、もちろん師匠の放ったマダンテとは大きく異なるものだった。
緑谷は完成を見せない呪文に若干のいらだちを感じながらも、先ほど同様にエネルギーによって焼けた手のひらを海の水で冷やす。
まだまだ力は及ばないのかもしれない。
そんな考えを抱きながらも、師匠が提示したこの呪文が今の自分に習得できないとは思わなかった。
それは、1年もないわずかな時間ではあるが出久と魔法使いが築いたその関係性から彼の発言に疑念はあれど信用しないことはなかった。
どれだけ困難であろうと、師匠が自分に提示したのであれば師匠は出久にそれができると信じて託してくれたものである。
もう緑谷の身体に魔法力は欠片も残っていない。
だが、それでも彼の目は死んでなど一切しなかった。
それを見た師匠は出久に対して、「お疲れ様」と労いの声をかけると頭を軽く撫でる。
出久は恥ずかしそうにその手を払いのけるも、そこに力は全くこもっておらず相手を傷つけないようにする気持ちが感じ取れる。
魔法使いは、出久の身体を持ち上げると、帰宅しようと話す。
それに賛同する出久だがまるで何かを思い出したかのようにあっと声を上げる。
「そういえば、僕も師匠も
「?何言ってるんだ?泳いで以外にあるのか?」
衝撃の言葉に出久の思考回路はフリーズする。
今この人はなんて言った?
泳いで帰るといったか?
ここは無人島な上に場所なんかもろくにわからない。
ましてや、月明かりしか頼りにするものもなく方角すらわからない。
こんな状況でそんな事が出来るわけなどなかった。
再起動した頭に湧いてくるのは絶望と呼ぶにふさわしい状況のみであった。
本気で師匠に怒鳴ろうかと考えている中で再び師匠が口を開く。
「ごめん、冗談。普通にルーラで帰ろう。」
師匠曰く、魔法力は寝ていなくても回復するのだという。
ただこれについては、個人差が大きく、体質に近いのだという。
そんなことを聞きながら、とにかく無事に帰れることに安堵した出久は疲れ切った声で「早く帰りましょう」と師匠に頼む。
もちろんその様子を見ていた魔法使いもそれを否定することはなく、すぐさま
その後は夕飯や風呂、歯磨き等を済ませてものの数秒で眠りに落ちていった。
その日の夢はもちろんマダンテの修行の内容が出てきた。
何をすれば成功するのか?
何が足りないのか?
どうすれば精密なコントロールが身につくのか?
様々な疑念が出てはそれを解決するための作戦を立案していく。
そんな夢のない夢から目覚めた彼の身体には、とてつもない疲労感が残っていたのであった。
その疲労感を募らせたまま、雄英高校へと向かっていった。
いつもこの作品を読んでいただきありがとうございます。
マダンテについて少し触れていきますが、かなりオリジナルの設定を組み込んでいる呪文になります。
◯マダンテ(極大呪文・魔法力犠牲呪文)
本作品では、最上位呪文に位置する特殊な呪文であるという形になっています。
本来であれば、最終盤に習得するような呪文ですが契約自体は既に終わっているため早い段階から修業に入っています。
習得できるのは果たしていつになるのか?
また次回も楽しんでいただければ幸いです。
次回もよろしくお願いします。