僕のヒーローアカデミア 僕の師匠は異世界最強の魔導士!? 作:ポップ推しの視聴者
第16話 雄英体育祭 開幕!
ヴィランによるUSJ強襲からはや一週間が経っていた。
初めの頃こそ、クラスの雰囲気がそれとなく落ち着かなかったのを感じていたがそれも、この1週間で普段通りの景色へと戻ってきたのを感じる。
そんなある日の朝のHR。
魔歩先生のHRにも慣れを感じ始めた頃に、突然その言葉は放たれる。
「そろそろ、アレの時期なんだそうですね。」
「「アレ?」」
当然疑問に感じる。
いきなり告げられたアレという言葉に、生徒の全音は思い当たる節を感じない。
だが次の言葉に生徒の大半が盛り上がりを見せることは魔歩先生には安易に想像ができていた。
「雄英…体育祭ですよ。」
「「「学校っぽいの来たあぁぁぁぁぁあああ!!!」」」
【雄英体育祭】
たかが学校の体育祭ごときでなぜそれほど盛り上がるのか?
いや、高校の体育祭ともなれば盛り上がるのは当たり前かもしれない。
だがまだ高校の全容を把握していない一年生のうちからこれほどの盛り上がりよう、それは個性が蔓延るこの社会であるからこその雄英体育祭なのである。
かつては世界中が熱狂するスポーツの祭典であったオリンピック。
だが、個性が侵食したこの世界では
個性ありのスポーツと個性なしのスポーツに運動競技は分かれる。
個性ありのスポーツでは、個性の強さで全てが決まり、個性なしのスポーツでは華がなくなってしまったのだ。
そのため、オリンピックと呼ばれる大会は祭典と言うにはあまりにも形骸化しすぎた末路を迎えてしまった。
そこに入り込んだのが雄英体育祭だというわけである。
高校生がオリンピックに参加すると考えればその興奮度もわかるだろう。
しかも、彼らにとってはそれだけではない。
「まぁ、
プロヒーローの視察。
ヒーローの卵が互いに競い合うこの大会はプロヒーローが視察に来る。
ゆえにそこから直接的に声をかけてもらえることも少なくない。
プロのヒーローとしての道が開ける大事な場でもある、そして何より。
「俺が1位になるに決まってるだろうが!!」
「いやいや、俺だってありえるだろう?」
【誰が一番】
その言葉にクラスのほぼ全員の目に火が灯るのが感覚でわかる。
プロヒーローになるため、そしてトップを目指さんと沸き上がる気持ちを抑えられるわけもなく、そしてそれを目の当たりにする魔歩先生も思わず笑みをこぼす。
「挑むなら、一切手を抜くことなく励んでください。誰も待ってくれはしないです。」
発破をかけたところで、蛙吹が真っすぐに手を挙げて発言をする。
「あの、つい先日ヴィランからの襲撃を受けたのにやるんですか?」
その言葉にクラスが静まり返る。
当たり前だ。
敵からの襲撃があったばかりなのに今度はさらに外部の人間を招く行事を行うというのだから不安にもなる。
だが、魔歩先生は毅然として話を続ける。
「だからこそ、【この程度じゃ揺るがない】と雄英高校の安全性を証明するために開催する。それに、」
「そのために俺がいる。」
先生の口調が変わる。
魔歩先生の纏う雰囲気が先程の優しい雰囲気とは一転し、教室の雰囲気を塗り替える。
覚えがあった、レクリエーションのとき、殺すつもりでこいと話した時があった。
その時の雰囲気に似たものを、いや、それよりも数段重苦しい雰囲気を感じ取る。
プレッシャー、重圧と感じるものだった。
彼は、強襲事件の際に黒い怪物と戦って打倒したヒーローであることを思い出させられる。
だが次の瞬間、教室を埋め尽くす緊張感がすっとなくなる。
「警備も例年の5倍にしています。私も警備に回りますし、数多くのプロヒーローに依頼をしています。だから皆は、ヴィランのことなど一切気にせずに、体育祭に挑んでください。」
そう話すとHRを終わらせて、解散する。
そこからクラスは体育祭ムード一色となる。
クラスメイトのそれぞれが、「頑張ろう!」や「頑張る!」などさまざまな意気込みを口にしていた。
だがそれは、もちろんA組だけではない。
爆豪が教室を出ようとすると、A組教室に響き渡るような多くの声が聞こえてくる。
クラスの面々も何事かと、入り口に向かうとそこには数多くの普通科の生徒が立っていたのだった。
これまでは先生方からの声かけもあり、A教室に余計なちょっかいをかけたりなどはしなかった。
しかし、雄英体育祭の話を聞かされていま、第一の関門、敵になり得る
もちろん全員ではないだろうが。
爆豪もそれを理解しているためか、相手にするつもりもないようで「モブ共どけ。」とモブ扱いをしている。
そんな中一人の生徒が爆豪に声を掛ける。
「俺たちは視察とかそんなんで来たんじゃないよ。ヒーロー科。」
その言葉に爆豪を含めたA組の生徒たちが反応する。
「成績次第じゃ、普通科からヒーロー化科への編入もできる。まぁその逆も然りだけどね。」
その言葉だけで十分彼の言いたいことは伝わる。
ヒーロー科の人間を引きずり落として、のし上がるつもりだった。
「視察なんて甘いことはしないさ、これは宣戦布告。浮き足立ってると足元すくうぞ。ヒーロー科。」
爆豪を指さしながら、堂々とケンカを売りつける。
爆豪はそんな状況も意に返さずに、返事もなくその場を立ち去ろうとする。
そんな様子に憎悪を抱くのは何も普通科だけではない。
「おうおうおう!どんな様子が見てみればずいぶんと態度がでかいじゃねえの!A組!!」
そんな大声を上げながら出てきたのは、同じくヒーロー科の1-Bの生徒だった。
彼も同じくA組に宣戦布告に来ていた。
敵はA組の中だけではない、この学校にいる全ての1年生が敵であることを再度認識し直すA組の面々。
密かに逃走本能をたぎらせる面々が多い中、緑谷はそんなメンバーから一歩下がる形で眺めていた。
当事者でもあるはずの彼だが、その顔には闘争心を抱いているようには見えなかった。
そんなこんなでお昼の時間になる。
いつメンと化しかけている緑谷、麗日、飯田の3人は雑談をしながら食堂へと向かっていた。
「お金が欲しくてヒーローを目指してるの?」
話題は互いがヒーローを目指す理由だった。
そんな中、麗日から出てきた言葉に緑谷は思わず言葉を繰り返す。
麗日は申し訳なさそうに、かつ恥ずかしそうに自身の身の上の話をし始める。
麗日は建築関係の仕事をする両親を持つ。
そして麗日の持つ個性は【
建設において重宝されるものであった。
それゆえに、麗日は何度か両親に将来手伝いをしたい、と告げていた。
しかし、両親はそれを受け入れなかったのだ。
否定ではない。
それは、麗日お茶子自身の夢をかなえてほしいという、親の願いからの否定であった。
それを聞いてから、麗日はせめてお金の面で助けてあげたいと、自分の夢でありお金を稼げるヒーローを志すようになったのだ。
それを聞いた、緑谷と飯田は麗日を否定することはなく、むしろ尊敬するかのような言葉を麗日に投げかける。
麗日は恥ずかしがりながらもその言葉を素直を受けとる。
そんな事を話していると、突如後ろから声をかけられる。
振り返るとそこには、魔歩先生が立っていた。
「いず…緑谷くん。今、少しだけ話いいかな?」
「え?分かりました。」
緑谷は2人に先に食堂へ行くように伝えると、魔歩先生の下へと駆けていく。
緑谷が魔歩先生の下へとやってくると話を始める。
「緑谷くん。今度の大会で君は何を目指すつもりですか?」
「何を…ですか?」
先生の質問に対して言葉が詰まる。
質問の意図がいまいち読めなかった。
おそらく優勝を目指しているかどうかの質問なのだろうが、一度考える。
(どこまでいければ順当なのかな?)
「即座に言えないならそれでいい。お前の意識は分かった。」
「え?」
唐突だった。
いきなり口調が変わったことに驚いて、視線を送るとそこにいたのは魔歩先生ではなかった。
その目線は普段修行の際に見ける師匠のそれであった。
なぜそんなに鋭い視線を浴びせられているのか?
その答えなど出る由もなかった。
その答えを聞こうとするも、師匠はすぐさま踵を返し、立ち去ってしまった。
手を伸ばし呼び止めるもそれをききいられず、廊下にひとり取り残される。
そんな理不尽を恨みながらも、食堂へと向かい、麗日と飯田と合流する。
話は当然体育祭の話となる。
それぞれがヒーローに対する目標や、大会の目標を話し合う。
麗日も飯田も優勝を目指して頑張る!と言っていた。
そんな二人の言葉にわずかな疑念を抱く。
(優勝…か。できるのかな?)
これまで緑谷は、人生の中で全くと言っていいほど勝利経験をしたことがなかった。
"無個性"だった彼は、自尊心を成長する機会すら得られなかった。
運動神経もよいわけではなく、学力も秀でているわけではなかった。
いや、確かに無個性だという事実は彼にとってマイナスに働くがそれでもこれまでの人生の中で勝利を得られなかったのは言い訳だ。
それを師匠に突きつけられて、今の
無個性だと自身で認め、決めつけたがゆえに抗い、挑まなかった。
そんな彼が、ここ最近で何度も勝利を見出してきた。
試験ロボット、身体測定テスト、屋内訓練、そして有象無象の
それらを乗り越えた彼には、勝利ゆえの自信が蓄積されつつあった。
しかし、それを黒い怪物が一気に崩していったのだ。
そんな彼の心には再び、かつての暗闇が巣食い始めていた。
自分の力がどこまで通じるのか全く推測すらできない、という形となって彼の考えを蝕む。
「緑谷くん。君は、どんな競技が出てくると思うんだ?」
不意に投げかけられた質問で意識を現実に引き戻される。
目を丸くして、飯田を見つめていると、飯田は首を傾げながら再度同じ質問を投げかける。
それを理解した緑谷は、「あぁ、」と一言つぶやいてから口元に指を当てて考える構えをとる。
癖だった。
緑谷は何かを考えるとき、口元に指を当てる癖がある。
そして、日頃から長考することの多い緑谷であったため、既に麗日と飯田はその癖を把握していた。
10数秒後、緑谷が口を開く。
運動会である以上、普通であれば【走】【投】【跳】が組み込まれた競技を行うことが一般的である。
【走】であれば100m走やリレー走、【投】であれば玉入れ、【跳】であれば障害物走などが有名であろうか?
そのいずれかは競技に組み込まれると予想していた。
その話を聞いた、飯田と麗日はその案に理解を示し納得したような相槌を打つ。
だがしかし、ここは雄英高校。
そしてその校風はまさに【自由】そのものである。
予想もあくまで一般的な領域のものであり、雄英高校にどこまで通用するものかは全くわからないというのが正直なところだった。
そんなこんなの雑談も食事を終える時間となり、それぞれが教室に向かって歩いていくことで終わりを迎える。
そうして雄英高校体育祭に向けてそれぞれが特訓や、対策を進めていく中で、緑谷はある疑問を抱えていた。
それは、
「緑谷!優勝を狙っていくけど、そのためにもお前には絶対負けられねえ!」
「お前雷も使えるんだからな!俺も負けてられねえ!決勝で会えるの楽しみにしてるわ!」
なぜか、名指しで宣戦布告を受けることであった。
確かに入試首席で合格、個性把握テストTOP4 と確かに注目される結果を残せていたことは実感していたがそれでも、推薦組やかっちゃんの戦闘センスを前にしたら自身が勝っているとはとても感じなかった。
ゆえにそれが疑問として浮かび上がってはモヤモヤしたままで過ごす羽目になっていた。
だがそれでも、緑谷自身も他のクラスメイトと同じように、例外なく、体育祭に向けて地獄のような訓練を行なっていた。
師匠は仕事で帰宅が遅く、直接的な指導はほとんど受けられなかったため、自主訓練と、アドバイスのみで体育祭当日を迎えるのであった。
不安がないと言ったら嘘にはなるが、優勝とまでは行かなくても、それなりの順位にはなるのではないかと実感できる程度には訓練をしてきた。
まぁ、地獄と呼ぶに相応しいとすら感じてはいるのだが、それでも【優勝】という目標にはイマイチ届かなかった。
母からの声援を受けて家を出る。
いつもと同じ朝。
違いを痛感したのは一度控室に入ってからであった。
控室の扉を開いた瞬間、教室内のほぼ全員の視線が緑谷に注がれる。
普段感じる視線とは違う、敵意のある視線。
緑谷はその視線を感じどった瞬間身を強張らせる。
そして頭によぎる。
(あれ?僕は、標的にされてる…?)
動揺していると、1人のクラスメイトが緑谷の胸を軽く拳でどつく。
「今日は負けねぇぞ。緑谷!」
切島だった。
「えっ、あっ…うん。」
まだまだ平静には程遠く、動揺したままで変な受け答えをする。
そんな様子に苦笑いをしながら、緊張し過ぎだと切島は指摘する。
それを心配した麗日も緑谷に駆け寄るも、緑谷の動揺が収まることはなかった。
そんな緑谷に、もう一人近づいていって正面に立つ。
それは轟であった。
そして緑谷に告げた言葉。
「客観的に見ても、実力は俺のほうが上なはずだ。」
「…。」
緑谷は轟の事を見ながら、なぜそんな分かりきっていることを聞くのか理解ができなかった。
突然自慢のようなことをされたために、緑谷の思考は一度フリーズする。
だが、次の台詞で緑谷の思考はフル稼働し始める。
「でもお前、オールマイトに目をかけられてるよな?」
突然言われた爆弾発言。
自覚をしてはいなかったが、今考え直せば確かに緑谷の訓練を見に来てくれたり、そのアドバイスをしてくれたりとかなり目をかけてくださっているようなイメージがあっても同じくはなかった。
緑谷はそれに反発しようとするも、なぜか言葉が出てくることはなかった。
緑谷は本能的に、轟の本心がここではないことを理解していた。
「んでもって、俺と"似た
「俺はお前に勝つぞ。」
1-Aの推定No.1からの宣戦布告。
緑谷は目を丸くしながら、轟の瞳を見つめる。
轟は明らかな敵視を緑谷に向けながらその闘志を、隠さず緑谷に叩きつけていた。
そんな喧嘩腰とも捉えられる言葉に、切島は止めに入るが轟は「仲良しごっこじゃねぇ。」とこれを一蹴。
そんな轟の様子に緑谷は心を打たれる感覚を覚える。
あのクラスNo.1ですら、今日の1位をもぎ取ろうと闘志を燃やし、あまつさえ敵に宣戦布告をし、自身の力を証明しようとしていた。
その光景に緑谷は尊敬すら感じ取る。
そんな轟の姿に
(あぁ、かっこいいなぁ。)
緑谷はそんな感想を抱いた。
そして同時に彼の中の小さな闇をかき消すほどの炎を灯す。
緑谷は不敵な笑みを浮かべながら、立ち去ろうとする轟を呼び止める。
「轟くん、悪いけどそれは叶わないよ。」
轟が動きを止めて、振り返る。
切島も、同じように振り返り視線を緑谷に送る。
いや、この控室にいる全員が、緑谷に視線を送る。
今度は敵意などではなく、これから何を話すかを気にしている好奇の目だ。
「僕は負ける気なんてサラサラないよ。」
そういいながら、両手を胸の高さまで持ってくる。
轟は自ら全員の前で宣戦布告をし、逃げ場をなくしてまで優勝を、緑谷への勝利を渇望している。
ならば、緑谷もそれ相応の…いや、これまで渇望していなかったからこそ、それ以上の地獄を自ら進むために言葉を継ぐ。
「君の
そう言いながら、左右の手に交互に炎と氷を出現させる。
それをした瞬間、轟の視線が鋭くなるのを感じる。
敵意が再び緑谷に牙を剥く。
だがそれでもまだ足りない。
この程度では、優勝を悲願としなかった先ほどまでの自分自身がいまのクラスメイトと対等であるわけがない。
「
爆豪と上鳴の視線が鋭くなる。
「
飯田と切島が目を丸くして緑谷を見つめる。
「
青山と佐藤が緑谷が何を言わんとしてるのか察して、驚きを隠せない視線を送る。
「全部僕は持ってる。だから…」
「全部で君たちを超えていく。僕がトップになる!!」
そう宣言した。
クラス全員の敵意が緑谷に注がれる。
それにさすがに緑谷も体が震える。
たがそれでいいと、これが今の自分にふさわしいと、それを全身で受け止める。
「俺は負けねぇぞ、緑谷…!」
「はぁ!?俺が勝つに決まってるだろうが!」
「俺だって負けねえぞ!緑谷!!お前の魔法より、俺の硬化のほうが強えからな!!」
様々な言葉が緑谷に投げつけられる。
だがそれからは逃げない。
全て受け止める。
これでようやく全員の意思が固まる。
1-A全員が、この雄英高校体育祭で、優勝を我が物にしようと死力を尽くし合うであろう。
その盤面が今ようやく整った。
最後の緑谷出久の参戦によって、ついに舞台が整ったのだ。
飯田が時計を確認し、そろそろ入場の時間だとみんなに告げる。
1-A全員が闘志をむき出しにしたまま、入場口へと歩いていった。
「HEYYYYYY!!!盛り上がってるかぁぁぁぁあああ!!?」
プレゼント・マイクの言葉に会場の全体が一気に盛り上がりを加速させる。
「今年もお前たちが大好きな高校生たちの、青春暴れ馬!始まりEverybody!!?」
「どうせあれだろ!?こいつらだろ!?」
プレゼント・マイクの実況で入場メンバーの説明が簡単になされていく。
期待の新星、ヴィランの強襲から全員生還という快挙を成し遂げた噂の渦中にいるクラス。
「ヒーロー科!1-Aだろーー!!?」
プレゼント・マイクの紹介とともに、会場が割れんほどの歓声が入場者達を包みこんだ。
遅くなりましたが、16話の更新です!
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次回も、よろしくお願いします。