僕のヒーローアカデミア 僕の師匠は異世界最強の魔導士!? 作:ポップ推しの視聴者
「HEY!!YEAH!!ぞくぞくとゴールへ帰ってくる1年たち!だが!予選通過の人数は伝えていない!安心せずにどんどん焦れ〜!!」
プレゼント・マイクの実況は競技場の外にも響き渡る。
次々と競技場に戻って来るが、戻って来る生徒のほとんどはやはりというべきかヒーロ科の人間がほとんどを占めていた。
続々と戻ってくる生徒たちの視線は一箇所に集められていた。
それは、互いに牽制しあい、睨み合う上位3人の姿であった。
「「「………。」」」
3人を取り巻く険悪な雰囲気、それは戻って来る選手たちだけでなく、実況や観客たちも感じていた。
「あそこすごいな。あれだけのプレッシャーを感じる1年なんかそうそういないぞ。」
「あれが強襲を乗り越えた1年生ってことか。」
「おい、イレイザーヘッド!お前のクラスどうなってんだ?それとも魔歩の教育か?」
「どっちでもないだろう…。」
そう、それは死線を越えた1-Aの確実な実力であった。
そしてその中でも、先頭3人は確実に高い実力を保持しているということであった。
それをイレイザーヘッドも魔歩も自分の手柄だということは決してない。
彼ら自身が身に着けた力なのだから。
「早かったね〜デクくん。」
息を切らしながら、麗日が緑谷へ称賛の声をかける。
緑谷は気恥ずかしさから、手のひらだけでなく腕すらも使い顔を覆い尽くして返答をする。
女性経験値があまりにもなさすぎるが、いつになればまともに話せるようになるのだろうか。
「そ、そんなことないよ。直すべき点がたくさんあるから…。」
緑谷のセリフに目を丸くする。
麗日の順位は16位、対する緑谷の順位は3位と差があるのは明白であった。
だからこそ、麗日は本心から緑谷に対して賞賛を込めた言葉を贈ったのだが、彼女は彼の言葉が謙遜ではないことを理解する。
確かに謙遜もあるかもしれないが、その言葉に嘘はなかった。
そしてその言葉の中にある本心も簡単に読み取ることができた。
(1位になれたはずなのに逃してしまった)
選手宣誓で公言した優勝。
それは何も最終的な優勝のみが狙いではない。
たとえどんな種目が来ても1位を取るつもりで挑んだが、結果はそうはならなかった。
その目標に対して雪辱を感じていたのだ。
緑谷は顔を隠しているが、その隙間から見える瞳には明らかに、悔しさと復讐が込められていることがわかる。
その強い瞳に、麗日は一瞬体を強張らせるも、すぐに自分も気合を入れなおす。
次の競技、自分自身が1位を取る気持ちで行かなければと、兜の緒を締め直す。
そして、競技場に全員が戻ってきたと同時にミッドナイトから次競技への参加資格を経たメンバーが発表される。
上位42名。
それが次の第二種目へと駒を進めた生徒の数であった。
1年ヒーロー科は当然というべきか、全員が予選を通過し、残り二役は普通科とサポート科の生徒がそれぞれ一人ずつ勝ち残った。
順位が確定したのもつかの間、一息つく日まもなくミッドナイトから次の競技が告げられる。
【騎馬戦】
次の競技は個人戦ではなく、チーム競技である騎馬戦であった。
ルールは単純だが、通常の騎馬戦と2点ほど違う部分があった。
1つ目は、騎馬から落ちても失格にはならないということだ。
騎馬ごとにポイントが与えられ、それを鉢巻につけて戦闘を行う。
その鉢巻が取られようが、騎馬から落ちようが失格になることはない。
つまり、制限時間の15分間、常に誰からでも狙われ、狙う必要が出てくる。
そして2つ目の違いは、先ほど少し出てきた【ポイント】だった。
42位が5pt、41位が10ptと順位に応じてポイントが上がっていき、騎馬のメンバーの合計値がその騎馬のポイントとして鉢巻になるのだ。
そして、その規則性から行けば3位が200点、2位が205点、そして1位が210点となるのだが…
「上に行くものにはさらなる受難を…予選通過1位!轟焦凍くん!持ちpt1000万!!」
その宣言がされた瞬間、その場にいる全員の視線が轟を捉える。
轟はその視線をまとめて受け、背筋に悪寒が走るのを体感する。
これまで何度も視線の的になることはあった。
羨望の眼差し、好奇の眼差し、畏怖の眼差し。
だが、今彼に向けられた視線はそのどれにも該当しない新しい視線だった。
標的、獲物を狩る狩人の視線であった。
予選を1位で通過しただけ、だがその1位の座はあまりに重く、確かに彼の肩へと重く重くのしかかる。
(これが…トップに立つ者の重圧…!!)
己以外が全て敵。
まさにそう呼ぶにふさわしい状況に、推薦で雄英に入学し、個性把握テスト、そして体育祭の予選でも圧倒的な存在感を放ってきた轟でも冷や汗を浮かべる。
「雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ。これが、
普段であれば、やる気も熱意もわいてくる言葉である【
だが、今の轟にはむしろトップの座という重りを強く感じさせる呪いにも似た言葉にしか感じられなかった。
15分の準備時間を与えられ、それぞれが2〜4人の騎馬を作ろうと、メンバーを見つけ合い始める。
個性の認知状況を考えれば、基本的には同じクラスの面々で騎馬を組む。
そして、合計得点は高いほうがいい。
よって得点の高いメンバーは色々な人たちから声をかけられることとなる。
それは特にこの予選競技を2位、3位で突破した爆豪と緑谷が顕著であった。
爆豪と緑谷の周りには人だかりができており、大人数がひしめき合って交渉をしている。
「当然と言えば当然だな。」
エクトプラズマ先生が、教員用席から呟く。
それに周りの先生たちも同調していく。
「性格に難があっても、個性の汎用性やその戦闘スキルの高さ、そして予選の結果を考慮すれば爆豪くんに人が集まるのは必然ともいえる。」
「そして、予選では爆豪少年に一歩劣ったものの、ヴィラン強襲事件での活躍、同じく個性の汎用性、そして高圧的ではない性格を考えれば緑谷少年にも人が集まっていくのもまた必然だろう。」
そう、2人は得点もこれまでの活躍も目覚ましくチームメンバーを選べる状況だった。
だが、好成績を残した生徒の内、ただ一人だけはそんなことを流暢に考えている場合ではなかった。
その生徒は即座に目的の生徒を見つけ出し、すぐさま声をかけ交渉へと進めようとする。
声をかけられた3人のリアクションは正直好印象ではなかった。
それもそのはず、15分間ずっと1000万ptを維持して逃げ続けるよりも、それを追う側になったほうがリスクが低いことは圧倒的であった。
だが、それでも彼には必要だった。
騎馬を組むべき仲間が、そのための力を持つ3人の仲間が。
だが、ことはうまく運ばない。
轟が、上鳴似声をかけたあと、飯田と八百万を見つけ出し、二人に近づき声を掛けるがその先には緑谷と麗日の姿もあった。
どうやら飯田と八百万は緑谷と交渉しようとしているところであった。
滑り込みで間に合ったが状況がいいわけではない。
この時点ですでに轟には不利な盤面であった。
「…緑谷、お前も
その問いかけに、緑谷は素直に頷くことはなかった。
「必要だと判断はしてるけど、まだ決まってない。これから話すところだった。」
まだ交渉してないことを確認できて安堵するも、まだ何も好転はしていない。
ここからはここにいる2人が
まず話し始めたのは轟だった。
轟が八百万と飯田になぜ二人の力を求めているのか話し始める。
上鳴の個性を安定して使うための絶縁体の生成、そして創造による移動や防御の補助それが八百万の役目。
そして飯田は、先頭に立ち機動力の確保とフィジカル面による防御を担当する。
これが轟の話す安定した布陣だと説明した。
飯田も八百万もその説明、作戦に納得を示すようなリアクションを取っていた。
その様子に上鳴は期待のまなざしを轟に向ける。
だが肝心の轟の表情はポーカーフェイスを保っているものの、額には冷や汗が浮かんでいる。
ここからだ、ここから緑谷の作戦の説明が始まる。
それ次第では2人とも緑谷に取られる可能性さえある。
麗日は2人のリアクションが轟に対して好反応であることに不安そうな視線を緑谷に送る。
緑谷も不安そうな表情こそしていたものの、一度目をつむり深呼吸をする。
再び開いたその瞳には不安など消え去っていた。
緑谷が口を開く。
「僕は、作戦は話せない。」
その言葉にこの場にいる全員が目を見開く。
麗日は慌てて緑谷の名を呼ぶも、緑谷の表情は変わらない。
「ここで作戦を話せば、轟くん。君は対策をしてくるだろう。そうすれば1000万ptを取れなくなるかもしれない。」
それに聞いた麗日はハッとしたようなリアクションをとる。
だが飯田と八百万は依然として、動揺したように緑谷の方を見つめる。
「作戦は話せないけど、2人の個性が、力があれば1000万ptだって取れると思う。君たちの力を貸してほしい。」
まっすぐに、嘘偽りはなく2人に語りかける。
2人は少し考えてから答えを出す。
先に話し始めたのは飯田だった。
「…俺は轟くんにつく。」
麗日は信じられないという顔になり、緑谷は苦虫を潰したかのような表情をとる。
すると飯田は続けても緑谷に挑戦をすると語る。
入試からずっと緑谷に負け続けていると、だからこそこの騎馬戦で君に挑むと。
それを緑谷も否定できるわけがなかった。
轟の下へと歩いていく飯田の背中を悔しく思いながら見つめる。
次は八百万であった。
「…作戦を伝えない、それは素晴らしい選択です。私もこの状況であれば作戦が割れた轟さんよりも【轟さんの作戦を聞いた緑谷さん】についたほうが有利かもしれません。」
そこまで聞いた轟はハッとして緑谷を見つめる。
確かに、この状況であれば緑谷は轟がどんな役割のもとでメンバーを選んだのかが完全に割れてしまっている。
焦りすぎた。
自身が最も強いと思う生徒を集めるために躍起になりすぎて、作戦周りの隠匿にまで意識が回らなかったのだ。
轟が緑谷の方へと視線を送ると、同じように緑谷も轟に視線を向けていた。
嘲笑うわけでもなく、慢心するわけでもなく、その瞳は轟のチームに向けられ次の作戦を、轟のチームを捕らえるための作戦を考えていることが轟には分かった。
目先の一手ではなく更にその先の作戦を彼はすでに練っていたのだ。
それに気づいた轟のポーカーフェイスは流石に崩れ始めていた。
奥歯を噛み締め、自身の失敗に後悔する。
ここで八百万が緑谷の方に行けば、作戦を練り始めなければならない。
そもそも上鳴は八百万の絶縁体を前提に作戦に組み込んでいる。
八百万がいなければその個性は全力で扱うことはできない。
作戦変更も余儀なくされる。
そんな状況に彼の中での焦りは最高潮に達する。
そんな様子を、観客席から眺める一人のプロヒーローがいた。
「…何だあのざまは。こんなお遊びのトップ如きに動揺しよって。」
フレイムヒーロー:エンデヴァー。
現在No.2に立つ、轟の父であるエンデヴァーだった。
だか、彼の言葉は彼への応援などではなく、むしろ彼を卑下する言葉を呟いていた。
「ですが、だからこそ私は轟さんにつかせていただきます。」
その言葉を聞いた瞬間、騒がしかったはずのフィールドの雑音がすべて消え去った。
いや、正確に言えばこの場にいる5人の耳には一切届かなくなった。
緑谷もこれには意表を突かれる。
こちらについてくれるとばかり思っていたため表情全面に「なぜ?」と現す。
「緑谷さんを信頼していないわけではありませんが、ここで緑谷さんにつけば、私を信頼して作戦まで話してくれた轟さんを裏切ることになりますからね。」
そういいながら、轟の方へと歩いていく。
そして緑谷に振り返りながら続けてこう言い放った。
「それに、不利だからこそ、
これは、八百万から緑谷に対する宣戦布告でもあった。
全員敵。
緑谷は八百万の答えを聞くと、轟のチームのメンバーを確認する。
轟が言っていた通りの布陣だ。
作戦が割れている以上ある程度の対策もできる。
だが、相手もバカではない。
基本戦術が割れている以上それに依存した戦い方をするつもりはないだろう。
基本戦術を下に、それを覆すような逆転する作戦を考えてくるだろう。
それも考慮した上で、戦略を練る。
そしてそれに必要なメンバーを再び探そうとした瞬間、静寂をぶち壊すビッグボイスが6人の中に響き渡る。
「私と組みましょう!1位の人!!」
轟に突如として話しかけてきたのは、A組でもB組でも…いや、ヒーロー科ではない、謎のゴーグルをかけた女子であった。
女の子は、轟に話しかけるもすぐさま周りに3人の生徒たちがいることに気づく。
気づいた上で…
「私はサポート科の発目 明!貴方のことは知りませんが立場を利用させてください!あなたと組むと必然的に注目度がNo.1になるじゃないですか!?そうすると必然的に私のドッ可愛いベイビーたちがですね、大企業の目に留まるわけですよ。それってつまり大企業の目に私のベイビーが入るってわけですよ!!」
緑谷(チーム決まってる雰囲気あったのに行ったぁ!?)
麗日(それもめちゃくちゃ話す…。)
唯我独尊と言わんばかりの少女の様子に、緑谷と麗日は度肝を抜かされる。
もちろん自身のメリットだけではなく、自身が入ることで得られるメリットを轟に説明していく。
彼女が彼らの前に出してきたのは彼女が作り上げた数々のサポートグッズであった。
「フライト、ホバー、跳躍、移動手段やサポーターなど何でもござれと自負しております!」
「われらサポート科はヒーローの"個性"をより扱いやすくするための装備を開発してます!」
その言葉に緑谷は目を光らせる。
対する轟はその話を途中でぶった切る。
「おれはもうすでに作戦とメンバーを決めている。悪いがお前と組むつもりはない。」
そう告げて、3人を引き連れて作戦会議のため、ごちゃごちゃと人が多い居場所から離れていく。
その場に取り残された発目は、大きなため息をつくと、今度は2位の下へと移動しようとする。
が、それを緑谷が引き留める。
発目は声をかけた人物が予選3位の人物であることを確認すると、一瞬迷ったようなリアクションをするものの、すぐに緑谷の近くへと走って寄り、数多くの発明品を見せつける。
緑谷は数々の発明品を見つめながら、笑みを浮かべる。
「発目さん。僕とチームを組んでくれないかい?そうすれば次の騎馬戦、1位になって君の言うベイビーを有名にできるかもしれないよ。」
「いいですね〜、その自信!私も私のベイビーが大企業に見ていただければ十分ですから。とはいえ、もちろん勝ちに行くつもりではいますからそこはご安心を。」
緑谷も飯田、八百万の2人に断られてしまったものの、その代わりにと言うのは失礼だがサポート科の発目が騎馬戦に入ってくれることとなった。
緑谷が考える騎馬戦に必要な要素、それは…
【機動力・防御を含めた対応力・攻撃範囲と攻撃距離】
の3点であった。
今、緑谷たちのチームは機動力と対応力を伴うメンバーがそろっている。
残り1つである、攻撃範囲と距離を稼ぐ事ができる馬が必要だった。
そしてそれを可能とするメンバー候補はすでに決めていた。
一度離れた緑谷のチーム立候補の山へと戻り、とある人物に声を掛ける。
「常闇くん。僕とチームを組んでくれないか?」
「ほぉ、俺と組むか、緑谷。」
緑谷は迷わずに常闇の下へとゆく。
常闇もその様子を見て、緑谷のチーム内に入ることを認める。
元々、常闇自身も緑谷のもとに集まっていたため、断る理由も特にない。
これで緑谷が求める騎馬の戦力は整った。
残る時間は6分間。
その時間はすべて有効に使う。
「麗日さん。…その、さっき話した大まかな作戦を常闇くんに共有してほしい。」
「発目さん…は、その、発明品を見せてほしいんだ。」
麗日と発目は気合を入れた返事をすると、二手に分かれてそれぞれのやるべきことを行う。
麗日と常闇は作戦の確認を行うと、緑谷と発目似合流し、発明品を選出しながらより具体的な作戦の説明を行っていた。
やがて周りの騎馬の選手たちも形が決まり始め、作戦会議の静かな時間が流れ始める。
緑谷が作戦を考えながらふと、全体に目をやると、やはりというべきかA組はA組のメンバーで、B組はB 組のメンバーでまとまって騎馬のグループを組んでおるところがほとんどであった。
別教室のメンバーで組もうとすれば、"個性"を把握するところから始めなければならない。
口頭の説明と実際見たものとでは全然違う情報量がある。
そのため、"個性"を把握している同じクラスのメンバーで組んだほうが戦略を組みやすいのだ。
そして、ミッドナイトが時間終了の掛け声を競技場内に響かせる。
それと同時にフィールドにいる全員が騎馬を組み始める。
「3!」
フィールドには全12の騎馬が完成した。
「2!」
A組の騎馬はほぼすべてのグループが一点を見つめてスタートの合図を待つ。
「1!」
「麗日さん、発目さん、常闇くん!行くよ!」
ジェットパックとホバーソールの挙動を確認しながら3人に発破をかける。
「START!!!」
ミッドナイトの掛け声と同時に、多くの騎馬が走り出す。
騎馬戦ともい1000万pt争奪戦が今始まった。
久しぶりに1週間で仕上げることができました!
ここ最近土日休みがなかった作者です。
今週は久々に日曜日が休みなので小説に集中することができました!休みっていいものですね!
心なしか前回よりも書きたいことが表現できた気がします!
ヒロアカアニメの最終章もついに始まりましたね!
次回も楽しみでなりません。
こちらはまだまだ体育祭ですが、頑張って進めていきますので、お楽しみに待っていただければ幸いです。
それでは、次回もよろしくお願いします!