僕のヒーローアカデミア 僕の師匠は異世界最強の魔導士!? 作:ポップ推しの視聴者
けたたましい警報の音が食堂全体、いや学校中へと響き渡る。
食事を楽しんでいたであろう生徒たちはその突然鳴り響いた轟音に混乱をするが、その音が警報だと気づいたものからどんどん顔に恐怖の色が塗りたくられていく。
誰かが言った、「異常事態?」と。
次の瞬間から食堂はパニック状態へと陥り、人がごった返した地獄へと早変わりをしたのであった。
ある日の出来事だった。
午前中に委員長を決め、緑谷と八百万がそれぞれ委員長と副委員長に抜擢され、その話題を食堂で話していた時だった。
緑谷、麗日、飯田の3人で食堂にいき、ご飯を食べながら先ほどの委員長決めについての話をしていた。
どうやら緑谷の投票のうち、本人以外の票は麗日と飯田の二人が投票してくれたものだというのだ。
まだまだ日が浅いのに、自分に投票をしてくれたという事実に、思わず泣きそうになる緑谷。
そんな緑谷を優しくなだめる麗日と、泣いていては情けない、と叱咤激励を飛ばす飯田と、それぞれが緑谷のために語りかけていた。
そんな状況下で、緑谷は不安をこぼす。
果たして自分に委員長が務まるのか、それが不安で仕方があった。
2人が自信を持って緑谷を推薦してくれた事自体は嬉しかったがそれでも委員長に自分がなって、この先しっかり出来るかは不安だった。
そんな矢先に起こったのがこのパニックであった。
もちろん緑谷たちも逃げようと行動を起こすが、すぐさま人の波にのまれて自分たちの意思では動くことができなくなってしまった。
それどころから人の波にのまれて、麗日とはぐれてしまう。
なんとか麗日の様子を確認しようとするも、圧倒的な数を前に抵抗も虚しく、どんどん自身の意図しない方向へと押し流されていく。
そしてついに飯田と緑谷はぐれてしまう。
飯田の名前を呼ぶもその声は人混みに飲み込まれて彼に届くことはない。
対する飯田は流れのままに動かされ、窓際に押し出され何が起きているのか確認できる立ち位置をとることができた。
何が起きているのか?
それを確認すべく、雄英バリヤのある正門へと目を向ける。
そこにはおびただしい数のマスコミが列をなして校舎内へと侵入しているのが見えた。
その瞬間に飯田はこの警報の原因を察知する。
ヴィランや危険因子ではなく、ただのマスコミだったのだ。
だがしかし、それを飯田が理解しただけではパニックは収まらない。
危険性がないことを全体に周知する必要がある。
だが、どうやって?これだけの人の中で、声も人混みにのまれる。
パニックでそもそも、冷静でない。
頭を必死に回転させる。
(兄さんなら…
「飯田くん!」
その声に思わず振り返ると、その視線の先には麗日の姿があった。
その瞬間、彼の頭の中にこの状況を収められるかもしれない作戦が瞬時に湧き出てくる。
飯田は作戦を即座に実行に移すために、手を麗日に伸ばしながら彼女の名前を叫ぶ。
彼女もそれに気づき飯田の姿を視界にとらえる。
「俺を…浮かせてくれ!!」
理由はわからない。
だが、彼は何かをなし得ようとしていることだけは麗日にも理解できた。
だからこそ彼女もすぐに手を飯田に伸ばす。
人混みの中、手が届くかどうかはギリギリだった。
限界まで互いに手を伸ばし、何とか飯田の手と麗日の手が触れ合う。
次の瞬間、飯田は体に浮遊感が生まれたことに気が付き地面を蹴り上げる。
空中へと浮かんだ飯田はすぐさまある一点を見つめる。
それは、大量の生徒たちが目指す食堂の出入り口だった。
ズボンを引き上げて、マフラーを起動させる。
エンジンの個性をフル活用し、足を勢いに持っていかれながらも、出入り口に向かって吹っ飛ぶ。
(短く端的に…だが大胆に…!)
非常口のような形で出入り口上部に叩きつけられながらも、彼は力いっぱい全体に向かって叫ぶ。
「大丈ーーー夫!!!」
その声は人混みからは離れた上部から放たれたこともあり、食堂一帯に響き渡る。
「ただのマスコミです!!何もパニックになる必要はありません!!」
全体に向けて言い放つ。
この警報が全くの危険性がないこと、そしてその原因がただのマスコミであることを。
そして、
「
最高峰の高校としての行動を呼びかける。
その叫びが食堂全体に響き渡ると、先ほどまでザワザワと騒がしい様子だったはずの食堂の雰囲気が、一変する。
そして冷静になった一部の生徒が校門に警察車両がやってきていることを確認し、それをつぶやく。
それを皮切りに、食堂の様子は先程までのパニックがまるで嘘かのように落ち着きを取り戻していった。
その後、学級委員以外の委員会を決めるために、皆の前に立つ
「が、学級委員長は、やっぱり…飯田天哉くんが良いと思います!」
緑谷は先ほどのパニックの中での飯田の動きをみんなに説明する。
パニックの中でも冷静にみんなのために活動できた飯田こそが、委員長に相応しいと述べる。
それに賛同するかのように、食堂の様子を知っていた切島、上鳴も緑谷の意見に賛同する。
クラスからも特に反対意見が出ることもなく、そして他ならぬ学級委員長からの推薦だったこともあり、飯田は自ら学級委員長を務めることを承諾した。
あの環境下で、危険性がなかったことを察知し、動けるものはそう多くない。
だからこそ飯田の行動は評価されるべき点なのだが…【危険性】がなかったわけではない。
校長たちが、マスコミが入ってきた原因を探っていたのだが、異常な光景を前に立ち止まり、見つめてしまう他ない状況になるほど異常事態が起きていた。
「…そそのかしたものがいるね。それか、【宣戦布告】のつもりか。」
粉々に粉砕された雄英バリアを前にその瞳には明らかな警戒が見て取れた
この小さな事件が、これから始まる大戦争の小さな一歩であることなど、まだ誰にもわからぬのであった。
午後の授業が始まり、再びヒーロー基礎学の時間となる。
今回の担当は相澤先生だった。
オールマイトの時とは雰囲気が全く違うが、今回の授業の内容は問題なく説明される。
【
と書かれた板を掲げていた。
災害や事故、それらの自然災害などから人々を助ける訓練であった。
ヒーローの本分と言っても過言ではないであろう。
本来、ヒーローの本分とは人助けであり、決して
派手さを追い求めるヒーローが増えた現代であるが、この根本を忘れてはならない。
そんな本命の授業を受けようとバスに乗り込み、訓練会場へと向かう最中、ワクワクやちょっとした緊張などからバス内での会話は弾む。
「ねぇ、私は思ったことを何でも正直に言っちゃうんだけど。」
とある前置きを言ってから、カエルの個性を持つ蛙吹が隣に座っている緑谷に話しかける。
「貴方は、一体いくつの"個性"を持ってるの?」
「…え?」
予想だにしていない質問に緑谷は目を丸くして、回答できずにポカンとしてしまう。
だが、周りにいた人たちはその意図を理解していたようで、それに乗っかるように続々と緑谷に質問を飛ばす。
「それオレも思ってたんだ!緑谷は火も出すし、氷も出すし、風も出すし、しまいにゃ瞬間移動じみたことまでしちまうからな!」
「まるで"個性"が何個もあるようにしか見えなかった。」
切島や障子の言葉で緑谷はようやく質問の意図を理解する。
考えたこともなかった。
初めから魔法だと理解していた緑谷は、魔法だからこそ様々な属性や特徴を持つ呪文を扱うことができる。
と、理解できているが、初めてこの"
"個性"は基本一人ひとつである。
熱を操る、風を操る、など一つの事象を操ったりすることが限界なのだ。
だが緑谷の魔法はそうではない。
詠唱に応じた属性の魔法を放つことができる。
それはこれまでの個性の常識をひっくり返しかねないものだった。
「僕の個性は"魔法"なんだ。だから詠唱に応じて、様々な呪文を発動することができるよ。」
そう説明すると、周りの皆はもちろん驚く。
魔法なんてものが存在するのかと、口々にするが、実際緑谷の技を見た彼らは納得をせざるを得なかった。
そんな説明をしたあと、バスの中では緑谷を羨む声で溢れかえっていた。
自身の"
切島の硬化もヒーローで十分通用する個性であり、帯電だって、自身の
そんな力を【元から持っていた】ことがどれだけ羨ましいか…
派手さで言ったら、やはりと言うべきか爆豪と轟が話に上がる。
爆破・半冷半燃の個性はともに派手で強力な個性である。
だが、そんな派手で強力な個性を持つ2人だが、ヒーロー科の中では決して持ち上げられたりするだけではなかった。
「だけど爆豪ちゃんはキレてばかりだから人気でなさそう。」
その煽り文に爆豪は食って掛かる。
だがそれを再び、「ほら」の一言で簡単に返されてしまう。
「この短い付き合いですでにクソを下水で煮込んだような性格と判断されるのがすげえや。」
蛙吹ついでに上鳴も爆豪のことをいじりはじめる。
これまで見たこともないような光景に、緑谷はもはや恐怖すら感じる。
そんなこんな話をしていると、バスはいつの間にか
バスを降りて中に入ると、そこにはすでにある人物が立っていた。
それに最も早く反応したのは麗日だった。
「あ!13号だ!!」
【スペースヒーロー:13号】
主に災害での救助活動で活躍しているヒーローだった。
その個性は強力であり、災害で隙なく活躍している。
今日はそんな13号がメインとして授業を行うようだ。
そんな13号に相澤先生が何やら話しかけているようだったが、それは聞こえなかった。
そして、まずは13号から授業の前の講演が始まる。
自分の
その個性を用いて、災害から人を助けていること。
しかし、話したいことはそこではなかった。
「人を簡単に殺せる個性でもあります。」
そして、生徒の中にも
相澤先生での授業で、彼らの個性が持つ可能性を。
オールマイトの授業で、彼らの力を人に向けることの危うさを学んだ。
そして13号の授業ではその力を用いて人を助ける方法を学ぶのだ。
今の社会では、その力をどれだけ人のために、安全に扱えるかが問われている。
今ここにいるみんなはその力を誰かのために使うべきだと、そうなってほしいと願いを込めて彼らに話しかけた。
その言葉は生徒の心に刻まれる。
その言葉に、感動した生徒たちからは拍手と喝采が巻き起こる。
その公演がおわり、いよいよ授業が始まろうとしたその瞬間、突然USJを照らしていた照明の全てがその機能を停止する。
教師を含むその場の全員が突然起こった事態に疑念を抱く。
それとほぼ同時に相澤先生は、この建物の中心に位置する噴水の広間へと視線を送る。
すると広間の中心から、なにやら黒いモヤのものがどんどん巨大になっていくのが確認できた。
それを見たと同時に、相澤先生は生徒に向かって「その場を動くな!」と指示を飛ばし、13号に生徒を守るように伝える。
生徒たちは入試の時同様に突然始まったのかと疑うがそれを相澤先生の一言が断ち切る。
「あれは…!
その言葉に生徒全員が目を丸くする。
それもそのはずだ、なぜなら犯罪者の軍団が攻めてきているのが今の状況なのである。
だがそれに疑問を抱く生徒もいた。
ヒーロー科の学校に攻めてくるなどどれだけ命知らずなのだと。
だが、1人の生徒がその状況を冷静に解析する。
センサーが反応しないのはそんな個性を持つものがいる可能性の示唆、そしてクラスが離れた施設にやってくる【このタイミング】を狙った奇襲、そこから導き出されるのは…
「バカだがアホじゃねぇ。これは、計算された奇襲だ。」
轟はこの襲撃が突然行われたものではなく、裏で準備されてきた犯行であることを見抜く。
そして戦闘態勢を取ろうとするも、相澤先生がゴーグルを付けながら再度全体に避難指示を出す。
それはまるで自分だけが戦場に降りて戦おうとしているようにしか見えなかった。
緑谷は、それに思わず食って掛かる。
普段のヒーロー像ではない戦闘。
だがしかし、相澤先生は緑谷にまるで教育を施すかのように落ちついて端的に話す。
「一芸だけじゃヒーローは務まらん。」
そして13号に「任せた。」と声を掛けると敵のど真ん中へと飛び出していった。
それに合わせてもちろんヴィランたちも飛んできた人物めがけて攻撃を仕掛けようとする。
だが、先遣隊の"個性"はなぜか発動せず、攻撃は不発に終わる。
その隙を疲れ、イレイザーヘッドの捕縛布に捕らえられて互いにぶつけられてしまう。
顔面同士の衝突に一撃で意識が飛ぶ。
その様子を見ていたあるヴィランが、相澤先生の正体がイレイザーヘッドであることを見抜く。
そして"個性"が"抹消"であることも同時に共有する。
すると異形系の個性を持つヴィランが相澤先生に向かって突撃してくる。
「俺みたいな異形型のも消してくれるのか!?」
「いいや無理だ!」
異形型のヴィランの攻撃をかわしつつ、その顔面に右拳を叩き込む。
そして、浮いた体を捕縛布で拘束する。
「だが、お前たちのような異形型の本領は…近接戦闘で発揮されることが多い!」
そう説明しながら、異形型のヴィランを投げ飛ばし、3人まとめて押しつぶす。
そんな戦闘を緑谷は見ながらイレイザーヘッドの戦い方に目を奪われる。
(そうか、チーム内で個性が消されれば連係が取りづらくなる。そしてその消した先が分からないためのゴーグル…。イレイザーヘッドは対集団においても強い戦法があるのか!)
そんな事を考えていると、飯田から「分析している場合ではない!」とお叱りを受ける。
すぐさまその言葉に従い、13合に続いて避難をする。
だが、そんな道を楽々と歩かせてくれるヴィランではなかった。
彼らの行く手を阻むように、突然先程噴水の前に現れたものと同じモヤが突如として目の前に現れる。
そしてそれは人のような形を取りながら行く手を遮った。
そしてその影は、
「オールマイトに死んでいただきたく、参りました。」
教師の死刑宣告を行った。
生徒の多くが動揺するなか、13号は指のふたを開き"個性"を発動させる準備を整える。
だが、それと同時に2つの影が13号の後ろから飛び出してきて、黒いモヤに攻撃を仕掛ける。
爆豪と切島だった。
2人の攻撃が黒いモヤに向かって放たれ、粉塵を巻き上げる。
わずかな時間の経過。
全員の動きが一度静止する。
そして次に時間が流れ始めたのは
「危ない危ない。」
黒いモヤの人物の言葉からであった。
13号がすぐさま前の2人に対して「どきなさい!」と声を掛けるも行動をより素早く起こしたのはヴィラン側であった。
そして先ほどオールマイトに死刑宣告を行った人物が次に行ったのは…
「あなた達を散り散りにして…嬲り殺す。」
突如黒いモヤが、恐ろしいほどに大きく膨れ上がり、その場にいた生徒全員に襲いかかり、覆い隠す。
突如として襲いかかられた生徒たちの中に反応ができるものはほとんどいなかった。
そう、【ほとんど】いなかった。
先陣を切って攻撃を仕掛けた2人はもちろん、生徒のほとんどがその場から消えうせてしまった。
入り口付近に残ったのは、13号、飯田と彼が庇った麗日、瀬呂、障子と彼が庇った砂藤だった。
その他大勢の人物は黒いモヤが消えると同時に忽然と姿を消したのであった。
緑谷は気がつくと、空中に投げ出されていた。
わけも分からず空中でもがきながらそのまま真下の水場へと墜落する。
何が起きたのかほとんど分からなかったが、唯一分かることは別の場所へと転移されたことだった。
このまま水の中にいても溺死してしまうため、泳いでひとまず海面を目指す。
だがそんな緑谷の様子をみていた何者かが一人、一気に距離を縮めてくる。
緑谷はそれに気が付き視線を送ると、そこには魚人のような人物が牙のついた口を大きく広げながらこちらに襲いかかってきていた。
緑谷はすぐさま右手をその人物へと向けるが、突然のことで思考は纏まらない。
(くっ!迎撃…だけど、
答えを導くまもなく、ヴィランが緑谷を喰らおうと襲いかかる。
思わず目を瞑るが、次の瞬間彼の体には何かを巻きつけるような感触を感じる。
目を開くとそこには、ヴィランに蹴りを入れる蛙吹の姿があった。
蛙吹はヴィランを蹴飛ばすとそのまま、さよなら、と告げ瞬時に戦線から離脱する。
そして、水上で大型の船を見つけるとそこに緑谷を着地させた。
蛙吹は次に峰田を船上に乗せ、自分が最後に合流する。
どうやらこの水難ゾーンに運ばれた1-Aは彼ら3人だけであったようだ。
合流できたことに安堵するも、状況が危機的であることは変わらなかった。
この絶望に緑谷たちはどう立ち向かうのか?
疲れからか、今回は作成するのにかなりの時間を要してしまいました。
これまで定期更新に努めていましたが、少しずつできるかの不安を感じています。
頑張っていくつもりですが、定期的に更新ができなくなった場合は申し訳ありません。
仕事でだいぶメンタルがやられてしまっている部分もあり、作品を作るのが少し辛い現状でもあります…
次回も見て頂ければ幸いです。