【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 - 作:糾縄如氏
「くらえーっ全方位骨スパーク!」
『
鋭利な殺意と呪力の塊。その数々を──!
「いよっ、よっ、ほいっと」
──パンダは、ぽよんぽよんとバウンドし受け流す。
貫通される前に、弾力に富んだ身を回して衝撃を分散。
避けられない攻撃は欠損してもいい部位で受け、
ゴムボールのように針の山を跳弾して、
「狙うは本た──」
「からの、追加増築ぱーんち!」
「あうち!?」
『
またもバウンドし、パンダは「いてて」と立ち上がる。
「おまえ、恐竜のくせにパンチできんだな」
「てめぇ見て学んだんだ、白黒! つーか『核』のブラフ何回やんだよ、またハズレかよ! いーかげん気持ちよく殴らせろっ!」
さすがに動きづらかったのか。『
パンダは考察する──コイツは呪骸として『骨を操る』能力を持つ。今の肉体改造もその一環であろう。
「そっちは分かりやすいな。バカでっかいの三つで隠しようもねぇ」
「おう!
『
パンダには、その部位の意味するところがすぐにわかる。
──完全自立呪骸としての基本構造。
相互観測させられた三つの魂だ。
だが同じモデルであっても、
(たぶん恐竜三世紀ってヤツだよな。素材になった何万体もの恐竜呪霊の魂を、世代という大枠に押し込めて、ひとつの魂として定義してる……)
この
それを元手に構築された恐竜型の完全自立呪骸。
それらすべての魂が、『
──完成度が、違いすぎる。
──現にパンダは、既に全身の至る所が欠損し、
「……なぁ、人殺すのやめられねぇのか。そしたら俺と、一緒に外へ出れるぜ?」
パンダは、交渉を試みた。
理論上は、あの部位を攻撃し続ければ倒せる。
しかし──たとえ危険な相手だろうと、弟殺しは躊躇われた。
思わぬ問いだったのだろう。『
そして、こう言った。
「ヤだね!
パンダは理解した。ああ、こいつは子供なのだ。
強大な力という生まれ持った玩具を、ただ思うままに振り回したいだけの、子供──。
「テメエいなくたって自分で出ていくっつーの! こーんな狭っちいとこじゃつまんねえ!」
「あーOK、よくわかったよ」
交渉決裂。そう見るや、パンダは一息に踏み出していた。
狙いは魂の含まれた胴体部位。
そこにまっすぐと正拳を叩き込む。
(硬ってぇ! わかっちゃいたが重厚な造りだな!)
「やる気戻ったか! んじゃーいくぞ、モードチェンジだ!」
易々とパンダの拳は、堅牢に重なった骨組によって弾かれた。
そして『
再び自分に向かってくるに違いない、そう思ってパンダは身構え、
「いっただっきまーす! んがっんがんが!」
(自分で食った!?)
予想と違った光景が飛びこんできた。
骨の数々は、『
そして目を疑った──『
(さっきの腕生やしたのはそういう──!)
「またちいちゃくなったなァ白黒ぉ!」
倍返しとばかりの蹴りが、パンダを弾き飛ばした。
逃れようのない上空に放たれた体を、突進する口が食らい付こうとして、
──パンダの姿が、その一瞬のみ消えた。
「んが!? ちぃっ、またコレかよ!」
(あぶねー。ありがとな、ラプンツェル)
生得領域への待避。世界を断つ『解』であろうと機能する絶対回避能力は、バランス重視の『パンダ核』にも標準搭載されている。
絶体絶命の瞬間を棚上げしたパンダは、『
(そりゃーそうか。こいつの骨を操る能力は、自身にも機能する……)
生存によって勝ち得た情報をパンダは整理する。
──巨体に反し、異様に軽やかな動きだった。
骨を増設することでフィジカルを強化した、だけではない。
──『
それによって瞬間的に速度と威力を増していた!
瞬間的な増設と還元。それが『三畳紀核』の強み──!
(──待てよ。それなら──できるか!?)
パンダは、ふと思いついて、ソレを二の腕から外した。
夜蛾から受け取っていた、ぶかぶかのグローブを。
「よし……やってみるぞ!」
「なにをしようってんだぁ、アァッ!?」
再び突進する『
パンダは、自身の主要核を変更する。
「って、そのメガネは!?」
パンダ 夜蛾正道モード
「せりゃァ!」
「ぐが!?」
長くなった
間髪入れず顔面を蹴り、足場として──突進を受ける前に、パンダは跳躍。
着地した足元の地面に、五本指の両手で触れた。
刹那──土が、その手元に自ら集まり出した!
「……いよぉし、いいぞ。ここを、こうすれば……」
「なっ、まさみち!? まさみちじゃねーか、なんでそいつに!?」
土を粘土のように手で取ってこねる。
そうするうち、泥塊はワタへと変化していた。
パンダは自ら、それを欠損部位に突っ込んでいく。
「なぁ知ってるか。どこぞの話じゃ、人間って土から造られたんだってよ」
この形態のパンダは、呪力をワタに還元できる。
だが例外として、呪術的価値の高い、この空性結界の地面も機能していた。
そして、ワタに還元できるのは『自身』の呪力に限られず、
周囲の、
「まっ、
欠損が補われ、なおも
「あれ? じゃあ、オマエ食べたらまさみち貰えるんだ! いよっしゃあ逃がさねえぞ!」
巨体同士が激突する。
パンダは格闘術で、
自身の骨子を燃やしながら快哉を響かせ合う。
(思ったよりテクニカルだな。骨を消費して自由自在にウェイトを調整している。それに──!)
パンダの狙いは依然、
しかし折っても折っても、それを覆う骨のガードは増設される。
決め手がない。それは
「だーっテメエどんだけ死にたくねえんだよ死ねよテメー!!」
今のパンダは、核を呪力強化したワタで覆うことで隠蔽したうえで、核の位置のブラフを見せている。
致命傷を与えようにも、危険を感じたなら『生得領域への待避』を行う。
──
むろん、質量で上回ろうと
既に互いの図体は森林の木々を超えて、視界の半分が青空を占めた。
大地を踏みならす両者の格闘は、怪獣決戦の様相を呈していた。
「そらそらそらぁ!」
(なんとか五分五分に持って来れた! むしろ火力ならこっちが上! いける、いけるぞ!)
そのぶん
パンダは軽いワタのすべてに呪力を浸透させ、伸縮性によって威力を得る。
──すっかり拳にぴったりと収まったグローブを振るいながら、パンダは勝利を確信していた。
「ならァ! いいぜ! オレの最強モードを見せてやるぜぇ!!」
「なに──!?」
──
通常形態の『三畳紀核』でも、『ジュラ紀核』でもない──切り札の使用を決意した。
たぶんこれだけ強くなっても鹿紫雲には勝てない