【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 - 作:糾縄如氏
『三畳紀核』、『ジュラ紀核』に続く第三形態。
最大の特徴は、この形態でのみ可能となる――『光線』だ。
「はァ――っ!」
「ぶねぇっ!?」
至近距離で浴びたパンダは、迷いなく『生得領域への待避』を選択。
一時的に姿を消し、戻ってきたとき、
「ガッテム! なんだぁこいつぁ!」
周囲の変わりように驚愕した。
光線が当たったと覚しき地表は、凍上現象を起こしていた。
細かくヒビ割れ、一部の地面は盛り上がっている。
背後には粉塵が高く舞い上がり、異常な気流が巻き起こっている。
そして何よりも、パンダが足裏に感じる冷気!
「ククク聞いてみごと驚け! こいつは
「えっじゃあなんで爆発してんのアレ」
「知らん!」
「えぇ〜……」
自慢を終えた
――それも一方向でなく、全方位無制限に。
パンダは再び『生得領域の退避』を実行し、回避を実現。光線が通過した後に――背後から現れ、攻撃を叩き込む。
「あだーっ!?」
(言ってることがマジなら、人間にあたれば即死だ! 俺がここでやるしかねぇ!)
だが白亜紀モードの
第三射を撃つまでに死なないことは容易であった。
「テメェ、ずっと消えてりゃいーのにそうしねえな! ならァッ!」
冷凍光線、第三射が全方位へ放たれる。
パンダは生得領域へ待避。しかし、
「出しっぱにしてやるよ! さぁ戻ってこい白黒、キンッキンにしてやる!」
白亜紀モードは、この光線を撃ち続ける事に特化した形態。
設計上、継続掃射も想定されている。
――氷上現象が加速し、過冷却された大気が暴風を産み、絶対零度が地表を埋めていく。およそ生命の存在しえない氷点下。
そこに再発生したのは――!
「なにぃ――っ!?」
予想外すぎて反応が遅れた。
――頭にストーブをつけたトラックが、
それも、今のパンダと
「うおおっあっちいーっ!?」
文明の利器の意味がわからない
「ぬおおおっホッカイロがありゃーなんとかなるぜ!」
「んなわけねーだろ痩せ我慢がぁああ!」
その全身にはカイロが貼り付けられ、首にはマフラーが巻かれていた。
――ただそれだけで『熱量を0にする』概念に対抗できるのか?
――できる! できるのだ!
「これには! 外への
パンダ ティンカーベルモード
この形態では、生得領域内のオブジェクト――外の世界を夢見て作られた物品の数々を持ち出せる。
本来ならガワだけのシンボルに過ぎないが、パンダが呪力という中身を与えることで、本物以上の機能を獲得していた!
「有象無象が、んなもん引き剥がしてやる!」
疾走するパンダを、地面から突き出る骨の杭が阻んだ。
一歩ごとに身が削られ、ワタへと冷気が染み込んでいく。
呪力とは身体で捻出するもの。
その身体が凍れば呪力が作れない。
パンダの活動停止に陥るのは時間の問題だった。
「おらおら街明かりを喰らえぇ!」
故にパンダは死にものぐるいで抵抗する。
街灯を振り回し、屍の柵を砕いて走る。
持ち出される英知と幻想の数々。
――その光景に、恐竜王は、えもいれぬ怒りを覚えた。
「あー、そうか。わかったぜ!
彼は、死骸が折り重なって出来た墓穴そのもの。
この世界に遺された犠牲者の数々。
故に、その怨恨も引き継いでいる。
「
怒りに駆られ、
パンダを真っ向から打ち破るためだ。
パンダもまた、攻撃体制に入る。
形態を『夜蛾正道モード』に変更。その身に染みついた最も呪力出力を発揮できる動作を――正拳突きを、繰り出した。
(凍結部位のぶんだけ呪力が削れた! 拳以外の呪力強化がほぼ0! ――カウンターで仕留める!)
王故に、隠しもしない『核の含まれた部位』で拳を受け止める。
それが間違いだった。
喰らった瞬間、恐竜王は自身が『崩れる』のを自覚した――!
「これは――!?」
――『魂を捉える打撃』。
魂の相互観測によって無意識に魂の輪郭を理解するパンダは、この極限状態において初めて、その再現に成功した。
(だが、問題ねぇ! 少なくともメインの核が残ってる限り破壊されることは――!)
「
「!?」
そして、パンダの腕には改造が施されていた。
トラックの裏に隠されていた鬼札。
過去に持っていた構造の疑似再現。
『魂を捉える打撃』は、不調を起こせるとしても致命傷にはならない。
最後に求められたのは単純火力。
「
骨組みの重装甲を無視し、内部破壊攻撃が直撃。
それが、決定的な亀裂を産んだ。
「……ば、……ばかな! この
それが最期に漏れた怨恨だった。
骨組みは瓦解し、機能を停止する。
全長12メートルを越す巨体は、ただ横たえる死骸に成り果てていた。
「てめえの気持ちは分からんでもねぇ。俺も人間キモいと思ってるしな。けど、俺らはそいつで出来てるんだ」
結末を見届けたパンダは、凍った身を緩ませ、踵を返す。
まだ、すべき仕事が残っている。
「あばよ、兄弟。今度こそ安らかに眠っとけ」
パンダは後悔なぞ囚われない。
故に、弟殺しの重責を考えるのは後にした――。
―――
――
―
「……ふむ、あの呪骸はやられたか。となると、やはり私自身の計画を進める他にないな」
「乙骨憂太の戦闘不能は助かったが。なんだったんだ、夏油勲って……あの夏油だろ? まぁ弱者なら誰でもいいと冥冥に言った私が悪いか……」
花御と
トラブルは多発したものの、彼自身の計画に支障はなかった。
いまだこの
たとえ自身の位置する座標が露見したところで――、
「それで? 今さら君に何ができる。小娘」
――灰原結が現れたとて。
さしたる問題はないのだ。
【補足】
裏梅の『氷凝呪法』とは異なり、
当たった相手に『熱量を奪う』呪術的現象を起こす光線です。
呪言みたいなもんで、ある程度の実力者であれば軽減はできます。
そのため宿儺を含めた特級超過クラスなら耐えれます。
にしたって強いなコレ。体温が20度下回るだけで死ねるわ