【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 -   作:糾縄如氏

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第2部 58話『スーパーパンダVS恐竜王③』

 

    恐竜王(プロドロムス)・白亜紀モード

 

 『三畳紀核』、『ジュラ紀核』に続く第三形態。

 最大の特徴は、この形態でのみ可能となる――『光線』だ。

 

 

 

「はァ――っ!」

 

「ぶねぇっ!?」

 

 

 

 至近距離で浴びたパンダは、迷いなく『生得領域への待避』を選択。

 一時的に姿を消し、戻ってきたとき、

 

 

 

「ガッテム! なんだぁこいつぁ!」

 

 

 

 周囲の変わりように驚愕した。

 光線が当たったと覚しき地表は、凍上現象を起こしていた。

 

 細かくヒビ割れ、一部の地面は盛り上がっている。

 背後には粉塵が高く舞い上がり、異常な気流が巻き起こっている。

 そして何よりも、パンダが足裏に感じる冷気!

 

 

 

「ククク聞いてみごと驚け! こいつは当(・)た(・)れ(・)ば(・)熱(・)量(・)が(・)0(・)に(・)な(・)る(・)ビームだ!」

 

「えっじゃあなんで爆発してんのアレ」

 

「知らん!」

 

「えぇ〜……」

 

 

 

 自慢を終えた恐竜王(プロドロムス)は、間髪入れずに第二射を放つ。

 ――それも一方向でなく、全方位無制限に。

 

 パンダは再び『生得領域の退避』を実行し、回避を実現。光線が通過した後に――背後から現れ、攻撃を叩き込む。

 

 

 

「あだーっ!?」

 

(言ってることがマジなら、人間にあたれば即死だ! 俺がここでやるしかねぇ!)

 

 

 

 だが白亜紀モードの恐竜王(プロドロムス)は、従来の耐久性を維持している。

 第三射を撃つまでに死なないことは容易であった。

 

 

 

「テメェ、ずっと消えてりゃいーのにそうしねえな! ならァッ!」

 

 

 

 冷凍光線、第三射が全方位へ放たれる。

 パンダは生得領域へ待避。しかし、

 

 

 

「出しっぱにしてやるよ! さぁ戻ってこい白黒、キンッキンにしてやる!」

 

 

 

 白亜紀モードは、この光線を撃ち続ける事に特化した形態。

 設計上、継続掃射も想定されている。

 

 ――氷上現象が加速し、過冷却された大気が暴風を産み、絶対零度が地表を埋めていく。およそ生命の存在しえない氷点下。

 

 そこに再発生したのは――!

 

 

 

「なにぃ――っ!?」

 

 

 

 予想外すぎて反応が遅れた。

 

 ――頭にストーブをつけたトラックが、恐竜王(プロドロムス)に突っ込んできていたのだ!

 

 それも、今のパンダと恐竜王(プロドロムス)を超すサイズの!

 

 

 

 

「うおおっあっちいーっ!?」

 

 

 

 文明の利器の意味がわからない恐竜王(プロドロムス)は、いとも簡単に轢き飛ばされる。そして車体の影から、パンダが顔を出す。

 

 

 

「ぬおおおっホッカイロがありゃーなんとかなるぜ!」

 

「んなわけねーだろ痩せ我慢がぁああ!」

 

 

 

 その全身にはカイロが貼り付けられ、首にはマフラーが巻かれていた。

 

 ――ただそれだけで『熱量を0にする』概念に対抗できるのか?

 

 ――できる! できるのだ!

 

 

 

「これには! 外への幻想(ユメ)が詰まってんだからなぁ!」

 

 

 

    パンダ ティンカーベルモード

 

 

 

 この形態では、生得領域内のオブジェクト――外の世界を夢見て作られた物品の数々を持ち出せる。

 本来ならガワだけのシンボルに過ぎないが、パンダが呪力という中身を与えることで、本物以上の機能を獲得していた!

 

 

 

「有象無象が、んなもん引き剥がしてやる!」

 

 

 

 疾走するパンダを、地面から突き出る骨の杭が阻んだ。

 一歩ごとに身が削られ、ワタへと冷気が染み込んでいく。

 

 呪力とは身体で捻出するもの。

 その身体が凍れば呪力が作れない。

 パンダの活動停止に陥るのは時間の問題だった。

 

 

 

「おらおら街明かりを喰らえぇ!」

 

 

 

 故にパンダは死にものぐるいで抵抗する。

 街灯を振り回し、屍の柵を砕いて走る。

 持ち出される英知と幻想の数々。

 ――その光景に、恐竜王は、えもいれぬ怒りを覚えた。

 

 

 

「あー、そうか。わかったぜ! 王(オレ)が外をぶっ潰したい理由。人間どもを踏み潰したい理由!」

 

 

 

 彼は、死骸が折り重なって出来た墓穴そのもの。

 この世界に遺された犠牲者の数々。

 故に、その怨恨も引き継いでいる。

 

 

 

「王(オレ)の上に乗っかってるモンぜーんぶムカつくんだ! 死体の上の平和なんざ反吐が出ンだよ――ッ!」

 

 

 

 怒りに駆られ、恐竜王(プロドロムス)もまた走り出した。

 パンダを真っ向から打ち破るためだ。

 パンダもまた、攻撃体制に入る。

 

 形態を『夜蛾正道モード』に変更。その身に染みついた最も呪力出力を発揮できる動作を――正拳突きを、繰り出した。

 

 

 

(凍結部位のぶんだけ呪力が削れた! 拳以外の呪力強化がほぼ0! ――カウンターで仕留める!)

 

 

 

 王故に、隠しもしない『核の含まれた部位』で拳を受け止める。

 

 それが間違いだった。

 喰らった瞬間、恐竜王は自身が『崩れる』のを自覚した――!

 

 

 

「これは――!?」

 

 

 

 ――『魂を捉える打撃』。

 魂の相互観測によって無意識に魂の輪郭を理解するパンダは、この極限状態において初めて、その再現に成功した。

 

 恐竜王(プロドロムス)は無数の魂をひとつの大枠に押し込めて『核』を定義している。その結合が崩され――全機能が盛大に不協和音を発していた!

 

 

 

(だが、問題ねぇ! 少なくともメインの核が残ってる限り破壊されることは――!)

 

「激震(ドラミング)――」

 

「!?」

 

 

 

 そして、パンダの腕には改造が施されていた。

 トラックの裏に隠されていた鬼札。

 過去に持っていた構造の疑似再現。

 

 『魂を捉える打撃』は、不調を起こせるとしても致命傷にはならない。

 最後に求められたのは単純火力。

 

 

 

「拳(ビート)ォおおっ!」

 

 

 

 骨組みの重装甲を無視し、内部破壊攻撃が直撃。

 それが、決定的な亀裂を産んだ。

 

 

 

「……ば、……ばかな! この王(オレ)が? 旧型(ロートル)ごとき、に……?」

 

 

 

 それが最期に漏れた怨恨だった。

 骨組みは瓦解し、機能を停止する。

 全長12メートルを越す巨体は、ただ横たえる死骸に成り果てていた。

 

 

 

「てめえの気持ちは分からんでもねぇ。俺も人間キモいと思ってるしな。けど、俺らはそいつで出来てるんだ」

 

 

 

 結末を見届けたパンダは、凍った身を緩ませ、踵を返す。

 まだ、すべき仕事が残っている。

 

 

 

「あばよ、兄弟。今度こそ安らかに眠っとけ」

 

 

 

 

 パンダは後悔なぞ囚われない。

 故に、弟殺しの重責を考えるのは後にした――。

 

 

 

―――

――

―

 

 

 

「……ふむ、あの呪骸はやられたか。となると、やはり私自身の計画を進める他にないな」

 

「乙骨憂太の戦闘不能は助かったが。なんだったんだ、夏油勲って……あの夏油だろ? まぁ弱者なら誰でもいいと冥冥に言った私が悪いか……」

 

 

 

 花御と恐竜王(プロドロムス)の顛末を観測していた、加茂憲泰(のりやす)は嘆息する。

 

 トラブルは多発したものの、彼自身の計画に支障はなかった。

 いまだこの空性結界(せかい)は、彼の権限によって運営維持されているのだ。

 

 たとえ自身の位置する座標が露見したところで――、

 

 

 

「それで? 今さら君に何ができる。小娘」

 

 

 

 ――灰原結が現れたとて。

 さしたる問題はないのだ。





【補足】恐竜王(プロドロムス)の凍結光線について

裏梅の『氷凝呪法』とは異なり、
当たった相手に『熱量を奪う』呪術的現象を起こす光線です。

呪言みたいなもんで、ある程度の実力者であれば軽減はできます。
そのため宿儺を含めた特級超過クラスなら耐えれます。

にしたって強いなコレ。体温が20度下回るだけで死ねるわ
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