【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 - 作:糾縄如氏
水曜に来るより休日に来た方が嬉しいよね!
てことでやっぱ今日出します。次回は5/8(木)です。
【あらすじ】
両面宿儺から逃げた烏鷺亨子は、平穏を享受していた。
だが真人に脅され、再び暗殺に手を染めようとする。
そこへ、一級術師・釘崎野薔薇は待ったをかけた。
滅私奉公。
闇に生き、汚名を被せられて終わった第一生。
その処刑前日、ある術師に誑かされて得た第二の生――私は。
「先輩、ありがとうございます。いつもシフト変わってくれて」
「はいはい、いいわよそんなのは。ふみちゃん、引越し近いんだもんね」
ありきたりな人に紛れて、本当の意味で。
私は――第二の人生を掴んでいた。
―
――
―――
「てかそこ、男子ども。腕二本は飾りかッとっとと片す!」
「「「うっす姐さん!」」」
死滅回游が機能停止し、両面宿儺から逃げてから――ずっと仕事を転々として維持した生活。
一般人としての暮らし。素直な後輩たち。
呪術も暗殺も絡まないタダの生活。
元より、死滅回游は二度目の人生の第一段階。
勝ち残れなかったのは、ものすごい癪だけど。
この暮らしこそ、やりたいことのひとつだったのだと、やってみた後でわかった。
――日に日に、この肉体の意識がぶり返す事さえなければ文句なしだが――そんな日々は。
「いらっしゃいま――あれ。誰もいないのにドア開いてる?」
「はいはい誰もいな――、何ですって?」
「やー、ここが待望のファミレスかぁ、安っぽ! 俺だけ来れてなかったからねぇ。俺だけ!」
そう、見えない事をいいことに。
後輩の少女の肩に、ベタベタと手を乗せ。
ツギハギの人形の形をとって――
「――実はお仕事頼まれちゃってさあ。でも、俺はあんまり残穢を残したくないんだよねぇ……そこで相互の縛りを設けたい。こいつ殺して欲しいんだよね」
――。
路地裏に移動した矢先、差し出される写真。
真白に染まった少女が映っている。
呪術高専一年――
「達成したら、さっきの子は生かしてあげるよ? 今ならなんとっ、前払いで義手もついてくる! ってなわけで、どうよ――この手、取ってくれるよね?」
差し出される掌は。その眼は。
私の中で揺れる天秤を見据えて、嗤う。
これだ。私は、これから逃げてきたのだ。
「……なんのつもりだ」
「いつも通りさ。気に入らないヤツは踏み壊す。ムカつくやつはぶっ殺せば大正解……それが呪いだろ?」
己の生殺与奪を掴む、強者の手。
過去のような汚れ仕事の駒使い。
逃げた先の終着が望み通りでない事くらい――わかっていたはずなのに。
―――
――
―
『さいきん、バイト先の先輩が思い詰めてそうで……私また何かしちゃったのかな』
そう、
相変わらずオドオドとした、ふみちゃんの話を聞いたのは、つい先日。
曰く、金髪ロン毛で、タトゥーを入れたのか真っ黒なお目目。
イカついスタイルと態度ながら、体育会系なのか上下を弁えており、仕事は正確で責任感も強いという。
見た目があれでも仕事さえできれば居場所がある。
そんな。何とも現代的なお話――。
「――現代の結界か。コイツ解け、テメェに用はないんだ!」
「――生徒に全裸土下座したら考えてやんよ暗殺者!」
「そうか。なら、貴様から殺してやる!」
――夜闇に仕切られた帳の中。
呪力を帯びた釘が空を突く。
その一直線は――避けるまでもなく。
襲撃者により、空間ごと掴まれて、歪められた。
名乗られずとも、その術式だけで。
釘崎野薔薇は、眼前の相手を認識した。
(『
コイツが。
死滅回游・残存泳者――
「え。ふみちゃんの先輩なの、この裸族が!?」
「あァそーだよッ悪かったわね――!!」
青筋を全身に浮かべて、気炎を吐き――烏鷺の身体は射出された。
インファイト一択。その判断は正しい。
釘崎の術式――鄒霊呪法は、それこそ平安の世からあった典型的な呪術。
遠くから陰湿に呪いを打ち込むソイツが。
自ら結界を閉じてくれたのは、ある意味で好都合――!
「――――私はッ、第二の生を謳歌していた!」
射出された釘が、歪んだ空間に巻き込まれて飛んでくる。
しかし所詮は後手の苦し紛れ、悉くへしおり、懐へと飛び入る。
「――死してなお、その享受と平穏を奪われた!」
そして、その胸の前で両手をかざした。
空間を面で相手ごと捉え、まっすぐに打ち割る――必殺の行使。
「――ふざけんな!! 私は、そんなふうに終わるもんか――――!!!」
それが、術式『宇守羅彈』。
現代の異能、乙骨憂太に痛打となった一撃。
それは容易く、小娘の肉体を飛沫に変え――!
「……私さ。ド田舎から出るために呪術師になったのよね」
――、腕を。掴まれていた。
なんなら――胸に手を当てたとき、まるで分厚い城壁に触れたかのような、錯覚さえあった。
「何でだと思うよ、烏鷺亨子」
見下ろしてんじゃねぇぞ、小娘。
なんなのだ、この肉体強度は。
全く効かなかったわけじゃない。
乙骨みたく吹っ飛びこそしなかったがダメージはあった。
空間を突き通った威力は間違いなく最大だった。
なにより呪力量は、間違いなく烏鷺以下。
だが技量が、まるで年齢と合っていない。
それこそ、まるで――、
幾度と呪力の核心に触れた、猛者のような。
「誰も、彼も――煩わしいからに、決まってるだろ!!」
足元、大量に刺さっていた釘の爆発――『簪』。
それと同時に振り落とされんとしたトンカチ。
上下から迫った予想外、烏鷺は。
自身に対して――術式を発動。
自分を歪め、挟撃を脱し、飛び退いた。
「支配を脱する事、私らしくある事――そう願った時点で。テメェは、今まで不自由なんだよ!!!」
――作戦変更だ、近接はむしろ難しい。
より出力を上げ、より多段的かつ集中的に、なおかつ距離を維持して攻める必要がある。
ならば、手段はひとつ――!
「なんだ、わかってんじゃん――私も同じ気持ちだよ!!」
それは。互いにとって悪手でしかなかった。
最後の手段を切らされるも同然だ。
単独襲撃をした烏鷺の狙いは、あくまでも婪佳久だ。
釘崎もまた、この先にこそ本命を見ていた。
その上で、なお――、
「「――――領域展開ッ!!!!」」
手加減は不可能と断じた両者は。
全身全霊で。互いを貪り合う事を決めた――!
烏鷺ってあの後どーなったんだろうなぁ。
と思ったので書いてみました。
割と今回、呪術らしい感じにできてる気がしてますがどうでしょう?
釘崎が釘崎してる感じするでしょうか?
ご評価ご感想、是非ともお聞かせくださいませ。
さてさて、レスバ最弱VSレスバ最強。
可愛げなきキャットファイトの行く末は如何に??
次回もお見逃しなく!
あと。死滅回遊のプレイヤーネームは呪肉体の名前である、という設定は無視させてください。
烏鷺は烏鷺である、としておきたいのです。
(仙台在住ドルゥヴ・ラクダワラさん? 知らない子ですね……)