【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 -   作:糾縄如氏

17 / 84

水曜に来るより休日に来た方が嬉しいよね!
てことでやっぱ今日出します。次回は5/8(木)です。

【あらすじ】
両面宿儺から逃げた烏鷺亨子は、平穏を享受していた。
だが真人に脅され、再び暗殺に手を染めようとする。
そこへ、一級術師・釘崎野薔薇は待ったをかけた。



第14話「死滅回游・残存泳者 烏鷺亨子」

 

 滅私奉公。

 闇に生き、汚名を被せられて終わった第一生。

 

 その処刑前日、ある術師に誑かされて得た第二の生――私は。

 

 

 

「先輩、ありがとうございます。いつもシフト変わってくれて」

 

「はいはい、いいわよそんなのは。ふみちゃん、引越し近いんだもんね」

 

 

 

 ありきたりな人に紛れて、本当の意味で。

 私は――第二の人生を掴んでいた。

 

 

 

――

―――

 

「てかそこ、男子ども。腕二本は飾りかッとっとと片す!」

 

「「「うっす姐さん!」」」

 

 

 

 死滅回游が機能停止し、両面宿儺から逃げてから――ずっと仕事を転々として維持した生活。

 

 一般人としての暮らし。素直な後輩たち。

 呪術も暗殺も絡まないタダの生活。

 

 

 

 元より、死滅回游は二度目の人生の第一段階。

 勝ち残れなかったのは、ものすごい癪だけど。

 

 この暮らしこそ、やりたいことのひとつだったのだと、やってみた後でわかった。

 

 

 

 ――日に日に、この肉体の意識がぶり返す事さえなければ文句なしだが――そんな日々は。

 

 

 

「いらっしゃいま――あれ。誰もいないのにドア開いてる?」

 

「はいはい誰もいな――、何ですって?」

 

 

 

 

「やー、ここが待望のファミレスかぁ、安っぽ! 俺だけ来れてなかったからねぇ。俺だけ!」

 

 

 

 そう、見えない事をいいことに。

 後輩の少女の肩に、ベタベタと手を乗せ。

 

 ツギハギの人形の形をとって――因果応報(ツケ)を巡らせに来たのだとわかった。

 

 

 

「――実はお仕事頼まれちゃってさあ。でも、俺はあんまり残穢を残したくないんだよねぇ……そこで相互の縛りを設けたい。こいつ殺して欲しいんだよね」

 

 

 

 ――。

 路地裏に移動した矢先、差し出される写真。

 真白に染まった少女が映っている。

 呪術高専一年――婪佳久(らんかく)

 

 

 

「達成したら、さっきの子は生かしてあげるよ? 今ならなんとっ、前払いで義手もついてくる! ってなわけで、どうよ――この手、取ってくれるよね?」

 

 

 

 差し出される掌は。その眼は。

 私の中で揺れる天秤を見据えて、嗤う。

 

 これだ。私は、これから逃げてきたのだ。

 

 

 

「……なんのつもりだ」

 

「いつも通りさ。気に入らないヤツは踏み壊す。ムカつくやつはぶっ殺せば大正解……それが呪いだろ?」

 

 

 

 己の生殺与奪を掴む、強者の手。

 過去のような汚れ仕事の駒使い。

 

 逃げた先の終着が望み通りでない事くらい――わかっていたはずなのに。

 

 

 

―――

――

 

『さいきん、バイト先の先輩が思い詰めてそうで……私また何かしちゃったのかな』

 

 

 

 そう、()()()()()()のグループチャットにて。

 相変わらずオドオドとした、ふみちゃんの話を聞いたのは、つい先日。

 

 

 

 曰く、金髪ロン毛で、タトゥーを入れたのか真っ黒なお目目。

 イカついスタイルと態度ながら、体育会系なのか上下を弁えており、仕事は正確で責任感も強いという。

 

 

 

 見た目があれでも仕事さえできれば居場所がある。

 

 そんな。何とも現代的なお話――。

 

 

 

「――現代の結界か。コイツ解け、テメェに用はないんだ!」

「――生徒に全裸土下座したら考えてやんよ暗殺者!」

 

「そうか。なら、貴様から殺してやる!」

 

 

 

 ――夜闇に仕切られた帳の中。

 呪力を帯びた釘が空を突く。

 

 その一直線は――避けるまでもなく。

 

 

 

 襲撃者により、空間ごと掴まれて、歪められた。

 

 名乗られずとも、その術式だけで。

 釘崎野薔薇は、眼前の相手を認識した。

 

 

 

(『宇守羅彈(うすらび)』――乙骨先輩とやったっていう?)

 

 

 

 コイツが。

 死滅回游・残存泳者――烏鷺亨子(うろたかこ)

 

 

 

「え。ふみちゃんの先輩なの、この裸族が!?」

「あァそーだよッ悪かったわね――!!」

 

 

 

 青筋を全身に浮かべて、気炎を吐き――烏鷺の身体は射出された。

 

 

 

 インファイト一択。その判断は正しい。

 釘崎の術式――鄒霊呪法は、それこそ平安の世からあった典型的な呪術。

 

 遠くから陰湿に呪いを打ち込むソイツが。

 自ら結界を閉じてくれたのは、ある意味で好都合――!

 

 

 

「――――私はッ、第二の生を謳歌していた!」

 

 

 

 射出された釘が、歪んだ空間に巻き込まれて飛んでくる。

 しかし所詮は後手の苦し紛れ、悉くへしおり、懐へと飛び入る。

 

 

 

「――死してなお、その享受と平穏を奪われた!」

 

 

 

 そして、その胸の前で両手をかざした。

 空間を面で相手ごと捉え、まっすぐに打ち割る――必殺の行使。

 

 

 

「――ふざけんな!! 私は、そんなふうに終わるもんか――――!!!」

 

 

 

 それが、術式『宇守羅彈』

 現代の異能、乙骨憂太に痛打となった一撃。

 それは容易く、小娘の肉体を飛沫に変え――!

 

 

 

「……私さ。ド田舎から出るために呪術師になったのよね」

 

 

 

 ――、腕を。掴まれていた。

 なんなら――胸に手を当てたとき、まるで分厚い城壁に触れたかのような、錯覚さえあった。

 

 

 

「何でだと思うよ、烏鷺亨子」

 

 

 

 見下ろしてんじゃねぇぞ、小娘。

 なんなのだ、この肉体強度は。

 

 全く効かなかったわけじゃない。

 乙骨みたく吹っ飛びこそしなかったがダメージはあった。

 空間を突き通った威力は間違いなく最大だった。

 なにより呪力量は、間違いなく烏鷺以下。

 

 だが技量が、まるで年齢と合っていない。

 

 

 

 それこそ、まるで――、

 幾度と呪力の核心に触れた、猛者のような。

 

 

 

「誰も、彼も――煩わしいからに、決まってるだろ!!」

 

 

 

 足元、大量に刺さっていた釘の爆発――『簪』

 それと同時に振り落とされんとしたトンカチ。

 上下から迫った予想外、烏鷺は。

 

 自身に対して――術式を発動。

 自分を歪め、挟撃を脱し、飛び退いた。

 

 

 

「支配を脱する事、私らしくある事――そう願った時点で。テメェは、今まで不自由なんだよ!!!」

 

 

 

 ――作戦変更だ、近接はむしろ難しい。

 より出力を上げ、より多段的かつ集中的に、なおかつ距離を維持して攻める必要がある。

 

 ならば、手段はひとつ――!

 

 

 

「なんだ、わかってんじゃん――私も同じ気持ちだよ!!」

 

 

 

 それは。互いにとって悪手でしかなかった。

 最後の手段を切らされるも同然だ。

 

 単独襲撃をした烏鷺の狙いは、あくまでも婪佳久だ。

 釘崎もまた、この先にこそ本命を見ていた。

 

 

 

 その上で、なお――、

 

「「――――領域展開ッ!!!!」」

 

 手加減は不可能と断じた両者は。

 全身全霊で。互いを貪り合う事を決めた――!

 





 烏鷺ってあの後どーなったんだろうなぁ。
 と思ったので書いてみました。

 割と今回、呪術らしい感じにできてる気がしてますがどうでしょう?
 釘崎が釘崎してる感じするでしょうか?
 ご評価ご感想、是非ともお聞かせくださいませ。

 さてさて、レスバ最弱VSレスバ最強。
 可愛げなきキャットファイトの行く末は如何に??
 次回もお見逃しなく!



 あと。死滅回遊のプレイヤーネームは呪肉体の名前である、という設定は無視させてください。
 烏鷺は烏鷺である、としておきたいのです。

(仙台在住ドルゥヴ・ラクダワラさん? 知らない子ですね……)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。