【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 - 作:糾縄如氏
【あらすじ】
釘崎と烏鷺、双つの『領域』がぶつかり合う。
どこまでも利用される烏鷺の怒りに、
釘崎野薔薇もまた我を通す。
一級術師・釘崎野薔薇。
死滅回遊・残存泳者――烏鷺高子。
両者、同時の領域展開。
必然。互いの必中命令は相殺され、押し合いは発生する――。
「領域展開――『
摩利支天印の元に結ばれた、
釘崎のそれは――必中必殺の領域展開。
この領域自体が『釘』として機能し、
この領域内にいる時点で、術式行使の媒体として相手の全身を収めたも同然。最大値の『共鳴り』が必中化。
鄒霊呪法は必中必殺に昇華される――が。
この状況においては。
押し合いのマイナスのほぼ全てを、釘崎野薔薇のみが被る事となった。
「領域展開――『
なにせ烏鷺が発動したのは。
必中効果を放棄した、術式強化特化の領域であった。
この時点で。釘崎の必中命令である『共鳴り』は相殺され、『必殺』単体での性能差が戦いの成否となり――烏鷺の必殺特化性能は、圧倒的優位となる。
「――お前に、なにがわかる。恵まれた時代に産まれた、お前なんぞに――!」
かくして迫る、強化された『宇守羅彈』の猛攻。
対して、釘崎は領域の『鄒霊呪法』を自己強化に転用。
『釘』として機能する世界が呪力を巡らせ、主人を強化させ――走り、延命させる。
「テメェも現代人やってんだろーが、他人の名前とガワ借りてよぉ!」
「それさえも――奪われたと、言ってるんだ!!」
空間を『面』で捉えて操る術式は、空間を『領域という球面』で操作する領域に昇華されていた。
故に、そもそも――ここには、地面がない。
呪力で土台を作れなければ結界という『面』に接触し、術式効果の直撃する即死トラップ。もはや殺意しかない全方位。
しかも、事はそれだけに留まらず――、
「なんのために逃げ隠れ、仕事を転々としてきたと思ってる。貴様らに見つからないためだ。あの藤原のガキに!」
烏鷺の欠損した左腕を補う義手。
――呪具『たなごころ』。
その効果は、保有者以外から受けた呪力の吸収――これにより。
必殺威力に昇華された釘崎の術式は、本体に届く事なく吸い取られる。
「なのに挙げ句、高専に喧嘩を売れなどと――!」
ここでの烏鷺の勝利条件は、どちらかふたつだ。
①釘崎の呪力による土台を剥がす
②宇守羅彈が回避できないよう位置を拘束する
よって呪具を振るう接近戦と、文字通り『必殺』の宇守羅彈で、有利条件を押し付けていた。
「どいつもこいつも、人をいいように利用して。自分都合で消費しやがって――!!」
釘崎野薔薇からすれば――、
領域は相性最悪、そこに術式対策の重ねがけ、加えて即死攻撃の連打。
まるで揺るぎない不利条件――だと、言うのに、
「――よく言うわよ、受肉体の癖して」
――なんら気負けのひとつもなく。
変わらぬ睥睨で全てを見据えていた。
「――ッ、殺す!」
烏鷺の移動予測地点に撃たれる、
呪力で象れた釘の牽制。
空間歪曲は呪力の流れから予測して、
あくまで自然体の動作範疇で――踊るように、
釘崎は危なげなく『必殺』を避けて回る。
それどころか、
「テメェの事情なんざ知ったことかよ――なんでテメェか他人か、どっちか捨てることが前提なんだ断捨離バカ!」
あえて、実物の釘を持ち出し、撒き散らした。
自ら展開した、釘として機能する領域内でだ。
それは、刀をあえて峰打ちにしたり、布を巻き切断力を落とす事で――術式効果を強化するような。
あえての手間を己に課す事による、自己強化。
そこに領域のバックアップが加わり、
鄒霊呪法のボルテージは、更に跳ね上がる。
「くっ――!」
「二者択一なんて、考える理由がどこにある!」
烏鷺が行使する『宇守羅彈』。
その、空を掴む手元へ、巻き込まれた釘は――『簪』を放った。
もはや。ほとんど呪力のビームでしかない高威力をだ。
(何この威力!? ほとんど藤原と式神のやってた指向性呪力砲じゃない!?)
呪具『たなごころ』の吸収をした上でも、両腕を上に打ち上げられる馬鹿力。その間隙、ガラ開きになったところへ――!
「そこで――平和の勝ち得てこその、自由だろ!」
「――ッ!!」
攻撃に回る釘崎の全呪力。
その隙を狙ったカウンター、領域による二度目の『宇守羅彈』は――両者の間に生じ、
でないと、やられていた。
なにせ、その
――黒い、閃光を伴っていた。
「テメェは、自分を縛るために選んできたわけじゃねえんだろーが!!」
本来、空間を叩き割る『宇守羅彈』。
その攻勢防御は、より大きな力に押し負ける。
余波だけでも烏鷺は錐揉み吹っ飛び、
すかざず飛ばされた、領域による『釘状呪力』と実物による波状攻撃を。
「さっきから、知ったような事を――!!」
領域の結界という『面』を掴み、
ちゃぶ台返しで盛大にふるい落とし、弾き返して――吼える。
――先ほど、あえてトンカチを使わなかったのは呪力に道具が耐え切れないからだろう。
その『あえて』がまたも、釘崎に拍車をかけている――!
「そっちこそ、ムダにしぶといわねェ」
間髪入れず、釘崎が指を鳴らした刹那。
烏鷺の周辺。飛ばしまくった釘は真価を果たす。
空間圧縮を受けた形状崩壊により、その内部に仕組まれた――白い粉塵の爆発的発生。
まさかこれは――毒物!?
「全裸でキレられても効かねーってんだよ。少しは慎ましくなっときなさい!」
結界全体へと膨張する粉末。
仕掛けを考慮した烏鷺は対処に動く。
そこらじゅう釘の散らされた地点を、
瞬時に圧縮させて排滅。
自身は呪力消費の激しい反転術式に注力した。
毒の原理がわからないと、反転術式は効果を発揮しない。ヤツが既に種を理解しているのであれば、被害はこちらだけに――!?
「どこまでも――どこまでもッ、小娘!」
――ブラフだった。
だがその隙で、釘崎の
煙の背後――デカデカと聳え立つ生得領域の
「なにをしたところで、私には当たらないッてンだよ――!」
なにか、機能しようとしているのは烏鷺の目にも明らか。だが、問題ない。
――なにが来ようが、必中効果はない。
――最悪この領域ごと内部の全てを握り潰せる。
――――烏鷺の勝利は、揺るがない。
むしろ本命はその後だ。
一刻も早く
「――――
「――――
「ぁ。は? ――ぇぇえッ!?!?!?」
突如として、脈略なく。
刀を持って迫り来るオッサンと、河童という絵面の――無理解に思わず、悲鳴があがった。
【追記】UA10000突破、誠にありがとうございます。
正直、平日でここまで伸びるとは思ってもみませんでした。
最新話まで読んでいる方は限られるかもしれませんが、
ぜひぜひ今後とも、よろしくお願いします。
しかし。いや〜、いい戦いしてますよねぇ。
呪霊のモンスターパニックもいいですが、
地に足着いた能力バトルも良きものです。
やっぱ死滅回游って面白かったんやなぁって。
……えっ、最後のなんだよって?
……えっ、今んとこ『幼魚と逆罰』感がない?
まぁまぁ。そこは次回にご期待ください。
んな事より、釘崎の領域ですよ!
どうでしょう。これちゃんとらしくなってますか?
気に入っていただけるものでしょうか?
ご感想ご評価お聞かせいただけるとありがたいです(n回目)
【能力解説・今回の領域の押し合いについて】
本作でよく登場する『必殺のみの領域』ですが、
渋谷事変(原作13巻109話)において、
伏黒の必中効果がない領域でも、陀艮の領域の必中効果が消え、領域の押し合いが成立した前例から、
今回『必殺のみの領域でも必中効果は消せる』という場面を書きました。
私が必中必殺アンチなわけでも、必殺のみの領域を贔屓したいわけでもなく、ましてや独自解釈でもありません。
今回は、原作で成立した現象をまんま書いただけですので、悪しからず。
それはそれとして、
わざわざ敷居を上げて必中必殺を呪術戦の極地にするぐらいなら、自前の術式強化に全振りした領域のが実戦的なのでは?
ってマイブラザーから言われた時は、なにも反論できなかったです()
必中のみの領域もいいですが、原作でもっと『必殺のみの領域』も見たかったなぁ、と思ったり。
そこを自給自足できるのが二次創作の醍醐味ですよね。
【オマケ・烏鷺の能力名について】
原作では術式名が出なかったようなので、
なんとか捏造できないか考えてみたモノの、
宇守羅彈がパーフェクトネーミングすぎてやめました。
無為転変が術式名として初期からあるんですから、
そのまま術式名でも許されるでしょう、多分。
領域『
・諸法:仏教用語。この世のあらゆるもの。
「諸法無我」という言葉にも使われています。
(あらゆるものは独立した実体ではなく、相互に関連し影響し合っているという考え方の意)
・天涯:空の果て、遠い故郷、天涯孤独の意
という二つの用語を組み合わせて、『ひどく曖昧で孤独である』、ひいては『まだ曖昧ながらも我を貫き、果てへと至りたい』といったニュアンスとしました。
要するに、『これから私は何者かになる!』ってことです。