【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 -   作:糾縄如氏

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前回読んでなくても読めます。
どうぞ、真人VS虎杖だけ読みたい方も、お楽しみ下さい。

【あらすじ】
呪い合え、再び――。
真人、再発生。対するは虎杖悠仁、ただ一人。



第20話「特級術師・虎杖悠仁」

 

 ―― 特級呪霊『真人』。

 

 呪霊操術による支配を脱し、

 2025年、7年越しの再誕。

 

 特級事象呪霊『ジャック・オー』のバックアップにより、その呪力量自体は過去最大。

 

 術式の対象も、人間だけでなく無生物にも発動可能となった。

 ただし、真人は残穢による発見を避けるため、ストックとして人間を集めることは出来なかった。

 

 

 

 対するは――特級術師、虎杖悠仁。

 

 

 

「「――――領域展開!!!」」

 

 

 

 初手から交わされる呪術戦の極地。

 炸裂する二つの小宇宙。

 必中命令同士の衝突。

 

 ――と思いきや。

 

 

 

「って、うぉあっぶねぇ!! ――テメェ! 呪術師の風上にも置けないセッコい真似しやがって、この恥知らずッ!」

 

 

 

 口では、領域展開と言いつつ。

 掌印においても、バッチリ地蔵菩薩印をやっておいて。

 

 

 

「お前にだけは言われたくねぇよ」

 

 

 

 虎杖悠仁は、『世界を断つ解』を繰り出していた。

 

 

 

 そう――虎杖悠仁の『世界を断つ解』は、五条悟に対する縛りがない。

 

 よって、詠唱もしくは掌印のどちらかで、その発動が可能である。

 

 そして、領域展開と掌印は同一。

 世界を断つ解と、領域。

 

 

 

 同じモーションと詠唱で、どちらが起こるかは、撃たれた後でないと分からない。

 

 

 

何をぉ! ……そーだな。」

 

 

 

 そうして、降り注いだ斬撃を前に、

 

 ――真人は、即座に領域展開を中断。

 触れた空間の『魂』を掴んで動かし、自分もろとも空間をズラして紙一重――直撃を回避し、余波だけで遠く彼方、ブッ飛ぶ程度で済んでいた。

 

 

 

(やっぱ真人(アイツ)には通用しないか……。せっかく伏黒の手本見ながら、五条先生と実験しまくって覚えたんだけどなぁ)

 

 

 

 御廚子は『魂の境界を断つ解』と『世界を断つ解』が両立できない。

 

 

 

 ――片や、世界への解釈の拡張と飛躍、

 ――片や、肉体における細分化。

 

 方向性が真逆なため、完全体両面宿儺においても両立は不可能だった。

 

 

 

 よって『世界を断つ解』は、真人の魂に届かない。

 通常の御廚子でも同様だ。

 

 となれば有効な『解』は――ゼロ距離での『魂の境界を断つ解』一択。

 

 しかしそれも、あくまで魂に境界線を引き、亀裂を顕在化させるのみに留まる。

 

 

 

少なくとも、複数回。術式を通さなきゃいけないか。……そして、)

 

 

 

 真人の無為転変は、今の虎杖悠仁に通用する。

 なにせ、既に『宿儺の指』は宿していないのだ。

 

 

 

(直で複数回術式を当てる――勝利条件、こっちも同じなんだよねぇ)

 

 

 

 術師は魂を無意識で呪力により防衛している。

 今の虎杖ならば、もはや意識的にやれるまである。

 

 真人もまた、直に複数回の『無為転変』を発動する必要があった――故に、

 

 

 

(一手一手の撃ち合いじゃ虎杖に部がある以上―― もう、あの時みたいに自己完成には拘らない。もっと自由に、囚われず。領域より手数で――タイマンでなく、アドバンテージを活かす!)

 

 

 

「――無為転変・多重魂――互観定体(ごかんていたい)!」

 

 

 

 真人は、両手で地面に触れ、

 ――無生物に対し無為転変を発動。

 同時、ストックとしていた家畜の諸々と、自身の分身を僅かにミックス。

 

 

 

「これはこれでいーもんだよ! 前は人を害する学習機会ばかりだったけど――なかなかどうして、インスピレーションが湧いてくる!」

 

 

 

 完成したそれは――複数の動物の特徴を有した――偏殺即霊体(へんさつそくれいたい)

 

 

 

「魂の相互観測――パンダ先輩みたいなもんか!」

「は、パンダ? ……まぁいいか」

 

「さぁどうするよ、虎杖悠仁!」

 

 

 

 迫る、創造性を剥奪された兵隊の肉薄。

 

 人員に手数で対応するラッシュの撃ち合い。

 打ち合う拳、硬物同士の衝撃が唸る。

 

 多勢に無勢で肘のブレードを喰らい――虎杖の片腕ははね飛んだ。

 

 

 

(コイツら――呪力が全くない。その代わりに物理強度は本物。後天的に真希先輩みたくなってんのか!)

 

 

 

「『赤血操術(せっけつそうじゅつ)』――血星磊(けっせいせき)!!」

 

 即座、四散する、傷口の出血で出来た散弾(ショットガン)

 

 貫通力特化をゼロ距離で喰らうキメラは、

 反射的に足を止めて防御し、でなくとも仰け反る。

 

「次――『百斂(びゃくれん)』」

 

 その隙に、吹っ飛んだ腕は再び取り付けられ、反転術式により縫合され――完治。そして、

 

「――――『超新星(ちょうしんせい)』」

 

 そもそも食らう事なく、死角から回り込んできた背後の牙は、ノールックで広がる血の翼が叩き落とす。

 

 まんまとかかった。誘導は見事成功だ。

 

赤縛(せきばく)――いったん固定完了。つっても、血の毒が通用するかは怪しいよな――」

 

 その場の血全ては、一斉に粘ついて、

 全員、虎杖を中心とした、蜘蛛の巣に絡み取られた。

 

 

 

 今、虎杖悠仁は『呪力を血液に変換する』体質だ。

 

 そこに反転術式による自己回復促進が加わり、

 フルスペックの赤血操術を、完全ノーコストで運用可能となっていた。

 

 ――――だが、恩恵は、それだけには留まらない。

 

 

 

「――『(カミノ)』」

 

 

 

 かつての完全体両面宿儺は、崩壊した結界の破片に帯びた呪力を媒体とし、その奥義を行使した。

 

 ――だが、体質上、虎杖悠仁の発する血は全て呪力そのもの。

 

 

 

 その技は、火力に対して速度がなく効果範囲が狭い。

 

 ――だが、赤血操術で血液(ガソリン)自体を飛ばせば、これらも解決される。

 

 

 

 結界による密封こそないものの。

 劣化再現(ダウングレード)された簡易版ながら、これもまたノーコストで使用可能――!

 

 

 

「『(フーガ)』ッ――!!!」

 

 

 

 ――蜘蛛の巣が引火し、刹那。

 ――盛大に、紅蓮華は咲き誇る。

 

 血液自体の発散と、連鎖爆発による被害拡大。

 よって、悉く――炭にさえならず、掻き消える。

 

 

 

 その『竈』の奥、残るは唯一。

 さも当然と、五体満足の――虎杖悠仁。

 

 

 

(急に脆くなった。回数制限ありきの丈夫さ、そういう縛りか――)

 

「――隙あり」

 

 

 

 否。ハナから、雑兵はブラフだ。

 

 真人の本命は変わらず、ゼロ距離での術式発動。

 苛烈極まる大炎上の中、滑り込んだ掌は――。

 

 

 

「チッ」

 

「うっわ怖え〜。死んだらどうしてくれんのさ?」

 

 

 

 ――中断。真人は一瞬のみ『偏殺即霊体』に変化。

 

 (ブラフ)の奥、待ち受けていた拳の構えを、

 一撃喰らわせて崩し、飛び退いた。

 

 

 

近接(コレ)はリスキーすぎるな、奇襲か距離を詰められた場合に絞ろう。当面、この形態は最終手段。真っ向勝負は賢くないよね)

 

 

 

『あの構え』は、まずい――。

 

 黒閃をいつ出すとも知れないという凄み。

 地味ながら番狂せになり得る小技もある。

 普通の攻撃が来たとしても、そこから次の技が来るに違いない。

 

 それらの、どれが来るか。

 当たる時まで分からないのだ。

 

 択の多さ、それによる強み――。

 

 コストパフォーマンス特化の術師とは、なんと可愛げがない性能だろうか。

 

 

 

(こちらも人間でしか使えないのは克服済み。自己保管の範疇で呪力も回復する。その気になりゃ、互いに無限にやり合えるな――だが!)

 

 

 

「――俺だってなぁ、停滞に甘んじる気はないんだよ!!」

 

 

 

 真人は――突撃した。

 分身などはつけず、本体で。

 それも――偏殺即霊体を解除して。

 

 

 

「捌――『蜘蛛の糸』」

 

 

 

 虎杖の周囲、こちらの足元まで地面が割れる。

 斬撃には血も伴っていた。

 割れた大地は隆起、一気に押し上がるのを――、

 

 

 

「な――」

 

「お前だけは、俺が倒す――俺は、もっと進化する!」

 

 

 

 真正面から。自由に膨らませた自分の質量で叩き潰し。足蹴として。

 ゼロ距離に、そのままの姿で踏み入って、

 

 

 

――『黒、閃』――ンンッ!!

 

 

 

 ――――黒い火花は、愛する相手を選ばない。

 

 有言実行。気炎は現象を呼び、その愛と祝福に拳が喝采。クリーンヒットが虎杖悠仁を錐揉み吹っ飛ばした。

 

 

 

「俺の魂の形に――、一貫性なんて、必要ない」

 

 

 

 かくして。真人のギアは、更に押し上がる。

 

 

 

「無為転変――」

 

 

 

 顔を手で覆い、自身に術式を発動。

 肉体にさらなる変換が加わる。

 

 両の腕と瞳は六つに裂かれ、腹には口腔が開き、下卑た笑みを浮かべ。

 

 

 

 ――それらは、無限に詠唱と掌印を実行。

 本来の術式発動において短縮される過程をあえて行い、際限なく、術式の出力を上げていく。

 

 

 

 ぐにゃぐにゃ蠢く不定形。

 絶えず動めく魂の変容。

 

 それは、『偏殺即霊体』の真逆。

 肉体強度を放棄した、術式運用の特化形態。

 挙げ句の果て――その瞳の色は。

 

 

 

「――――偏複掌腔体(へんぷくしょうくうたい)』!!

 

 

 

 黒閃による過集中と、五条悟に対する学習経験から――、一時的に、六眼の再現に至っていた。

 

 

 

「さっきの爆破。俺に毒を蓄積させるつもりだったんだろ? ――残念ッ、これで問題なしだ!」

 

 

 

 ――その実現は、間違い無く。

 

「さぁ――アゲてけよ、虎杖!」

 

「こっからは俺とオマエ――過去最大のッ、呪い合いだァ――!!!」

 

 両者の拮抗が、覆った事に他ならない――――!

 





???「なんて、美しいんだ……!」

えっ、それ真人でもいけるくね?

って事でやってみました宿儺形態。
虎杖の敵全部乗せでお送りしております。

果たして真人はインフレに追いつけるのか?
どうぞ明日投稿の次回もお見逃しなく!

ご感想ご評価ドシドシお願いしますっ!!
あと一応、本作は推薦可です。殊勝な方いましたら是非何卒…。



【オマケ・五条先生(実験台)と世界斬を勉強する虎杖】

五条先生「ちょっ、宿儺見て一発で再現したのに悠仁不器用すぎない!? 見なよ、恵もマコちゃんも遠い目してんよ!」
虎杖「待って先生、もっかい。あと三回でいけっから!」
伏黒「それもう何十回も聞いたんだがな……」



【性能解説・虎杖は技コスト0の特級術師】

縛りナシで成立する『世界を断つ解』の火力、
タダで撃てる『開』というインチキさ、
本体の格闘センス、黒閃の当て勘もさることながら、

特級術師・虎杖悠仁の最大の特徴は、
技の『燃費の良さ』、完成されきった効率性にあります。

そう、あまりにも術師単独としてのスペックが無駄なく完成され切っていて、崩されようがないのです。



(本体が)カッチカチやぞ!

元々あった呪力の繊細さが、
赤血操術による省エネ反転術式と相まって、
六眼とほぼ同レベルの精緻さに到達。

黒閃を起こさずとも、常に呪力の運用効率は99%に近いです。

元々『宿儺の器』として頑丈なフィジカルが、
余程の大ダメージでもなければ呪力切れなんて発生しないし即完治して、常にフルスペックで殴りかかってくる、ほぼ無敵の状態にまで昇華されました。

遅延プレーされようものなら、まず勝てないでしょうね。

(なお『無為転変』は防御無視のため、今回は防御力が機能しません)



そんな絶対殺されないマンが、
『拓の多さの押し付け』をしてきます。



前動作から技が判別できない

ひとつのモーション、ひとつの掌印から、
発生する結果は多くの選択肢があり、
ヒットするまで効果がわからない。
やられる側は相当イヤでしょうね。



同一モーションからの派生コンボが多彩

派生する技のラインナップも大変に豊富です。

赤血操術による近中遠、
オールレンジかつフルスペックで操られる血液が、

導火線となって簡易版『開』に繋がったり。

単なる『解』や『捌』の飛ぶ斬撃でさえ、
血液を帯びている場合、くらえば毒が入ってきます。

いくらでもコンポが繋がる上、
本来なら一人の術師が発揮できる最大効果を、
ジャブやブラフ感覚でポンポンと出せるのです。

もはや全くコストがコストになっていません。出し得モーションしかありません。



以上の事から、もはや一部の隙もなし。



どんな場合でも優位を築ける、高い決定力と安定性。
コンパクトな市街戦から大規模戦闘までいける対応力。
仲間との戦闘でも、五条悟以上のタンク性能を発揮できる継戦能力。

魂認識してるので受肉体に特効を持ち、
でなくとも石流さえも断ち切れる斬撃がある。



相手が賢く強いほどに、強さを発揮する後出し性能と、
選択肢の押し付けという先出し性能を兼ね備えた、

作中最強の『手堅さ』を誇る難攻不落、
そんな、百折不撓の術師となっています。



……逆に、こんだけ強くなった虎杖でも、
触れさえすればダメージ通せるだろう『無為転変』って一体……?
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