【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 - 作:糾縄如氏
【あらすじ】
黒閃を経て、真人は変身した。
完全体宿儺と同様、複数の腕と口を備え、
絶えず掌印と詠唱を行い、術式効果を底上げさせ、
特級術師・虎杖に牙を剥く。
「―― 『穿血』!」
「穿、血ッ!」
「な――!?」
撃ち込まれる虎杖の血液を、
真人はぐにゃりと歪み、自ら体に穴を開けて回避。
そして――ストックした
命を捧げる縛りを強制させた一発限定。
故に威力も質も、真人の方が遥か上。
虎杖悠仁は走り、紙一重で回避するも――音速のままそれらは追従していた。そして、
「おらおらどーした、お前の技だろ――!?」
真人は、ストックの数だけ砲門を有する。
否、もはやストックは問題ではない。
無生物であろうと魂を改竄して、
生物に変換すれば血液など無限に用意できる。
故に――試行回数の数だけ洗練され、穿血を撃つだけに特化したフォルムが形作られた側から、与えられた命を散らしていく――。
「――『
「今更、それがどうしたよ!」
虎杖は、迫る血液全てを『解』で微塵切りにし、
呪力を浴びせて着火、蒸発させ難を逃れた。
即座――『世界を断つ斬撃』を撃とうとし、中断。
今、これだけは使えない。
使ったが最後、おそらく、使われる。
なんせ相手は、『六眼』を模した、真人なのだ――!!
「無為転変『
件の、真人は魔の手を伸ばす。
真人は『無限』も『アキレスと亀』も知らないが。
自己解釈での『集束』――空間の魂を掴み。
両者の間の距離を消し、引き寄せ――『無為転変』で直に触れんとし、
「なんだこれ。チェンソー?」
紙一重。虎杖は手のひらに細かな斬撃を纏わせ、ギリギリで触れる事なく受け止める。
「こっちのセリフだ。なんなんださっきから、グニャグニャ変わって!」
「無為転変による術式の改変・覚醒さ!」
「あり得ねぇ、無為転変を残した上で成り立つわけ――いや!」
「そうだ、俺の体には今、三つの魂がある!」
『偏複掌腔体』。六つの腕、二つの口腔を備えた真人は、階層構造だ。
――まず、基盤の魂。ニュートラルな『無移転変』を持つ真人。
そして、多重魂。複数の術式を内包する不定形の第二核。
最後に『偏複掌腔体』――上記の二つの魂を噛ませたうえで、この形態は成立している。
相互で魂を観測し合うために、複数の術式が同時に両立できる!
「俺は今、俺自身と、ひろった魂全てに術式を開示している。お前にもそれを行った――これから、俺の技は全て、際限なく進化する!」
「なん、の――!」
向こうが掴んできたなら、こちらとて触れる。迫る虎杖の拳。
が、真人はあっさりと術を解除。
虎杖を手放し、再度、石っころ二つを合わせて生物を作成――中断された。
「なるほど。やられてみるとウザいなぁ、それ」
飛んできたのは、通常の御廚子による『解』。
真人本体も斬られるも、問題ない。
断たれた部分は、絶えずぐにゃぐにゃ動く体からすれば容易にくっつける。
魂に響かない斬撃はノーダメージだ。
「それなら、『コイツ』で――って、あれっ?」
刹那。虎杖の目でさえ瞬き程度の間、
――真人は『偏殺即霊体』へと変化し、一瞬で虎杖の眼前、踊りかかって――1秒、フリーズしていた。
(おっかしいなぁ、ターボババアで実験は済んでたんだけど)
仕様を知らない『投射呪法』の行使、その副作用。
逃さず、虎杖悠仁は術式を拡張し、
「――『解』!」
魂の境界へ、差し込まれる斬撃。
これにより、三位一体の構造を崩さんとし――思い知る。
(なんだよ、この密度。この魂の結束は――!)
さながら、それはスパゲッティコード。
砂粒ひとつの魂さえも拾い上げ、凝固圧縮された――軽く見積もっても5000を超す魂の塊である―― 『偏殺即霊体』には通らない。
今の真人は。より強大に存在を昇華している――!!!
「いいや、めんどくさくなってきた」
故に、五体満足。真人は『投射呪法』により虎杖から飛び退く。
再びぐにゃりと様変わり、再び不定形の、六つ腕の玉体へ。
それでも変わらず――下卑た笑みで、叫んだ。
「無為転変『擬貞魂』――『隕』――か、らのッ、『
――真人にとって、その大火力は遠巻きに見物したモノに過ぎない。
だからこそ、過程を無視して。
大気の『魂』を一気に燃やして、劣化再現された――巨大質量と大火力で、黙らせにかかる。
「クソ――!」
――使わざるを得なかった。
『隕』の成立を、『蒼』を無視して妨害、裁断し、被害を最小化できる唯一のカード――虎杖の『世界を断つ解』が、網目状に放たれ。
これにより。擬似六眼に、手本は示された。
「狙いは腹か首――じゃ、ない!?」
山勘で回避に成功、と思いきや。
ハナから狙いは、ガードに回された――両の腕。
虎杖の、両腕が切断され、跳ね飛ぶ。
即座、『赤血操術』により血のつながりを強く保ち、
回収、接合に動いた。
――わかってんだよ。そのくらいは!
「領域展開――『
刹那。広がる魔の手が世界を仕切った。
飛ばされた両腕は――結界により、領域外へ分かたれ――修復不可能となり。
領域に、領域で返す手段は失われる。
「――クソッ!」
こうなれば、対抗手段は限られる。
「――シン・陰流『簡易領域』!!」
「死に体、がぁ――!」
虎杖は、突撃していた。
そうせざるを得なかった。
しかし、バカめ。と真人は嗤う。
両腕を失い、呪力を大幅に損なっているとはいえ――その一時凌ぎに、魂の防護に使っていた呪力も回すなど。宿儺の指がもうないのを忘れたか!
「出力、最大だ――!!!」
容易く削りとられる弱者の領域。
噛み潰さんと吠える真人の全身全霊。
咆哮に、世界は応え――その時がきた。
「くらったな、無為転変を――!!」
手始めに魂の形から、両腕をなくす。二度と掌印も、姑息な拓の押し付けも使わせない。それから――それから!!
駆け巡る夢想。理想の結実。
勝利を確信する、必殺を行使した真人は――。
「――――は、ぇ?」
――――あり得ない、ものを見た。
『――ばっし!』
『――まっし!!』
『ご令弟!』
『季子!』
『ゆーじ――!』
『悠仁!!!』
『『『『『『――――に、手ェ出すな――ッ!!!』』』』』』
「え。なにッ。なんだぁっ――うわ、ッ!?」
ただただ理解できないまま、
弾かれたのだという結果だけを突きつけられた。
魂の方から、変化を拒絶された。
あの肉体には虎杖以外の魂があった!
「まさか――受胎九相図!?」
呪力を血液に変換する体質――その正体。
真人はかつて、その一番から三番を京都高専より持ち帰った。残りの六体は受肉していないハズ。
だが、『宿儺の器』に――それらが収まらない道理などない!
「そうか……すべては、これを成立させるためのブラフ!」
だから、虎杖悠仁は。
迷う事なく走り――今。
ゼロ距離にまで滑り込むに至った。
――――証明しろ。
「九相図、兄弟ぃ……!」
飛び上がる。まるで理想そのものな一蹴りのフォーム。
あらゆる余分の削げた、機械じみた瞳が真人を捉えた。
しかし、その奥の――彼らの『血』と『熱』の赤は。
――――俺は、
『『『『『『「ファイヤ――――――っ!!!!」』』』』』』
――――呪術師だ!!!
そう――当然の如く、黒い火花を産む『鬼神』が。
人間であると――それ以外の何者にもならないと、証明していた。
何度でも〜♪ 何度でも〜言うわ〜♪
私が―― 当主になれなかったのは、娘が出来損ないだったからだ!
じゃなかった。ご感想ご評価よろしくお願いします。
次回は、20日(火)に投稿予定です。
ちなみに今回のサブタイですが、
『GO!! 虎杖GO!!』にしようか迷いましたが、自重しました。
【オマケ①・『擬貞魂』について】
元より無為転変は『術式の覚醒』は可能でしたが、
さらに進化した結果、『術式の作成』までもができるようになりました。
言葉の意味合いとしては、擬態、という意と、
正しさに沿う、という意図で漢字を選択してます。
なお、真人の思う正しさです。
「人だったら改造されたら忌避すんだろうけど、家畜ならいくらやってもいいだろ? 人間サマ!」
といったふうに、命を弄び、どころか命を想像して、人だけにとどまらず他の全てに伸ばされる支配の手。
そのひとつが、この新技となります。
【オマケ②・ここがすごいぞ『偏複掌印体』!】
腕が六本、口は腹と口元の二つ、おまけに6つの劣化再現された『陸眼』が備わっています。
掌が術式トリガーである真人にとって、その三分の一を掌印を結ぶ作業に回すデメリットは大きく、メリットである術式効果の底上げもまた大きく現れます。
術式解釈の細分化、拡張も止まることを知れず、
砂の二粒を合わせて『多重魂・撥体』なんて事を容易でやれます。
本体性能としては常にグニャグニャしており、防御力皆無。
しかしそれは、常に魂の形を変えているという事でもあります。
フレキシブルである事に全振りした真人はあらゆる攻撃のダメージを受け流し、もしくは自身の体に穴を開けてかわしたり、なんて事もできます。
果たして、虎杖はこれを祓えるのか?
次回もご期待くださいませ。