【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 -   作:糾縄如氏

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オリ呪霊ビジュアルイメージ↓

ニコラウス:
ぼーっとしてる腕組み宿儺にサンタの赤帽子つけたイメージです。
どっかでそんなコラ画なかったっけ?

ジャック・オー:
ハサウェイのカボチャ頭をイメージしてくだされば。
だいたいそんなんです。



第24話「啌夢變処」

 

 特級事象呪霊・ジャック・オー/ニコラウスは、

 その事象に由来した現象の数々を模倣できる術式を持つ。

 

 

 

 呪術的過程(プログラム)を構築するまでもなく、内包された事象(けっか)を出力する呪霊。

 

 

 

 ――渋谷事変と、新宿決戦の事象呪霊である彼等は。

 構成要素に、五条悟という概念を内包している。

 

 故に。五条悟の呪力や術式は通りづらく―― 無量空処は、最初から情報を内蔵する彼らに通用しなかった!!

 

 

 

「「領域展開――!!」」

 

 

 

 五条悟もまた、焼き切れた術式のリセットを完了させ、再び領域展開を行おうとした。

 

 が――その目論見は、ジャック・オーの先手を前に成り立たない。

 

 

 

(なんだこれ――デカすぎるだろ、その結界!!)

 

 

 

 ――ジャック・オーは渋谷事変の呪霊。

 渋谷事変では、複数の帷が非術師を苦しめた。

 その知名度の補正により――結界術は、天元に迫るほど卓越している。

 

 

 

 故に、放り込まれた銀河の世界は、

 五条悟においても、文字通り宇宙のように広大にしか見えなかった。

 

 

 

(天元の空性結界を領域に転用してるのか。しかも『御廚子』――っぽい術式まで付与されてる。こっちも領域を展開しようものなら、間違いなく外部から解体される――!)

 

 

 

 五条悟がどんなに結界強度を高めたとしても、確実に握り潰せる特大スケールの結界。それだけの器をもってすれば―― 二つの術式を両立させる事も可能。

 

 

 

「「多重合体領域――啌夢變処(くうむへんしょ)』!!!」」

 

 

 

「……君ら実は仲良くない?」

 

「「よくないっ死ね――!!!」」

 

 

 

 もうひとつ、付与された術式。

 ニコラウスの術式が、『無下限呪術』を模倣する。

 

 だが――それは五条悟の解釈とは別物だ。

 

 

 

(――――っ、体、が!)

 

「物の間の『無限』だったか――こういう事だろう、五条悟!」

 

 

 

 この『啌夢變処』では、物同士の間に『無限』が生じる。

 

 

 

 たとえば、肩から指先にかけての距離。

 たとえば、脳物質・神経間の伝達距離。

 たとえば――細胞と細胞の間。

 その他にも、自分とその他の間での摩擦!

 

 そういった、わずかな距離は無限に延長され。

 

 

 

 ここにいるだけで意思が肉体に至る事はない!

 ここにいるだけで自然、肉体は崩壊する――!

 

 

 

「――やった、やったぞ。必中で通った!」

 

「待ちなさい。今とどめを――何!?」

 

 

 

 重なるダメ押し。落ちる斬撃の雨霰(あめあられ)は――――呪力の、カウンターによって迎撃された。

 

 

 

 ―― 御三家秘伝・『落花の情』。

 

 だが、何故!?

 そもそも五条悟は行動できないハズ――、

 

 

 

「――なに言ってんの。このぐらいなら、治しながら動くだけだよ」

 

 

 

 ――否。この領域は呪術的過程(プログラム)が抜け落ちているからこそ、『魂』まで術式拡張ができない。

 

 

 

 今の五条悟に限っては、脳と神経が死のうが、魂から肉体へと、意志と呪力は通う。

 

 宿儺がやったように、呪力行使の応用で体を動かし、呼吸できる。

 

 

 

 肉体が自然崩壊するだけなら。

 常に、魂基準で反転術式を回して立ち回れば良い――!

 

 

 

「ほざけェ――ッ!!」

 

 

 

 四つ腕を翻し、ニコラウスは肉薄した。

 五条悟は平然と空を浮き、衝突。

 

 演じられる七年前の再現。両者の格闘。

 

 

 

「――術式順()・『()』!!」

 

「えっ、なにそれパチモン?」

 

 

 

 その最中に放たれる、ニコラウスの術式。

 五条悟を誘引する拳と、飛ぶ斬撃の挟み撃ち。

 

 

 

「やはり――俺はお前だ、五条悟!」

 

「あ?」

 

 

 

 そして――『()』は、花開く。

 四本腕、腹に空いた口で常に掌印と詠唱を行いながらの贋作の一撃が、五条悟を貫いた。

 

 

 

「貴様が力を鼓舞するように、俺は力で全てを壊す! 俺は宿儺を倒した貴様を超え、真の『最強』になるのだ――!」

 

 

 

 ――ニコラウスは、新宿決戦の事象呪霊。

 

 五条悟は両面宿儺に単独勝利した。

 よって、ニコラウスの術式には、その二者の能力のみが反映される。

 

 それは無下限呪術と御廚子の抱き合わせ――つまりところ、『空間作用』だ。

 

 

 

 空間を切断し、空間を圧縮し、空間を爆破する。

 

 

 

「そうかい、ファンボーイだったか。僕は優しいからねぇ――ペラッペラのお前には贅沢な解答(モン)をやるよ」

 

 

 

 それらを喰らった上で――五条悟は切り返す。

 

 本物の『蒼』の伴った蹴りで腹の口腔を穿ち、その下顎を足蹴に、アッパーひとつで四つ腕を弾きあげ――もう片方の手はゼロ距離で、印を結ぶ。

 

 

 

「――いちいち、大雑把だ!」

 

「なにを――ごッ、あ――!?」

 

 

 

 ――無下限呪術・術式反転『赫』。

 

 

 

 マイナスの呪力にプラスの呪力を掛け合わせ、より大きなマイナスがニコラウスを大きく吹っ飛ばした。

 

 呪霊が正の呪力を行使できない以上、途中式が抜け落ちた紛い物とは、比べるべくもなかった。

 

 

 

(まぁ、今さら宿儺モドキに遅れをとるわけないもんね)

 

 

 

 ……むしろ、厄介なのは――。

 

 

 

(アイツだよな――とはいえ、まずはコイツ優先だ。タダでさえ得体の知れない呪霊、この単純な戦闘力。どちみち無視できない)

 

 

 

 後隙を狙い、必中効果で降り注ぐ、

 ジャック・オーの御廚子(偽)の雨を『領域展延』でいなしつつ。

 

 

 

 五条悟は――脳内演算を終え、決断。

 

 

 

 遠く、領域の奥。

 己を囲む銀河の彼方へと目をやった。

 

 

 

「ここは、ひとつ――乱暴しようか」

 

 

 

 領域展開をされた場合の対策は色々あるが。

 五条悟が決断したのは、彼以外不可能な一手。

 

 

 

 ――すなわち、バリアとした『無限』の範囲拡大であった。

 

 

 

「ぐ、ぉ――ジャック・オー、結界をもっと広げろ! このままでは潰される!!」

 

「お黙りなさいッ、最初から最大サイズです。だいたい、領域内の空間にも『無限』を付与しました。五条悟から見た距離はさらに引き延ばされるハズ――!」

 

 

 

 あらゆる攻撃は弾かれ、見えない壁が五条悟を中心に広がる。刹那、加速度的に宇宙の彼方へと吹っ飛ぶニコラウス。

 

 

 

 これは――オート展開のバリアとしてきた、ニュートラルな無下限呪術の最大化。

 

 

 

「おら、どーしたよ。僕を超えるんでしょ。ほ~れ頑張れっ、頑張れっ♪」

 

「な、なんのぉ、これしきッう、ぐぐ――ぐ!!」

 

 

 

 ポケットに手を突っ込んで、銀河の上、五条悟は悠々と進む。跳ね除けられ、押し返されるニコラウス。

 

 

 

 もちろん――これだけの規模のバリアだ。リスクはある。

 

 こんな規模で行使すれば、情報量のあまり五条悟の脳と六眼がぶっ壊れる。

 

 ……という、魂で思考する生物には、無いようなリスクが。

 

 

 

 とはいえ代償。すなわち縛り。

 人体構造上、無理難題の縛りを突破する事で――。

 

 

 

「お。届いたみたいだね、結界の端」

 

「ぬ、ぬぐぐ――ジャック・オーッ!!」

「なんという――いえ。術式分析はもうすぐ!」

 

 

 

 四つ腕も立たず、スクラップになり始めるニコラウス。

 結界情報の更新により『無限』の突破を測るジャック・オー。

 

 両名は、この理不尽に対応しようとしていた――が。

 

 

 

 ここまでが、序の口に過ぎない事を思い知る。

 

 

 

「――シン・陰流『簡易領域』」

 

 

 

 手始めに――五条悟、0.01秒の『簡易領域』。

 

 0.01秒後に自壊する限定化・範囲最小化・カウンター機能の排除。3つの縛りで強度を高めて、必中の中和を一瞬のみ実現。

 

 これにより『啌夢變処』で付与された『無限(ぼうがい)』が、一瞬のみ消える。

 

 

 

 その布石に続く、本命。

 

 

 

「――無下限呪術・術式反転」

 

 

 

 それは。『蒼』の反転ではなく。

 

 バリアとして使われてきたニュートラルな無下限呪術――『無限』の反転。

 

 簡易領域消失と同時、

 五条悟に対する『啌夢變処』の必中効果復活よりも速い、一瞬で。

 

 

 

 五条悟とニコラウスの間の『無限(きょり)』は、反転し、ゼロとなる。

 

 

 

 

「――(しろ)

 

「――な――――」

 

 

 

 引き絞られたバネの解放。大気の爆縮。

 音速突破の爆音を伴い、位置関係は急変。

 

 そう。『一瞬』で――ニコラウスと五条悟は、衝突する。

 

 

 

「――――『黒閃』!!!!」

 

ぐ――ぉ、あああアアッ!!?

 

 

 

 音速突破の一撃が降り落ちる。

 寸分違わぬ打撃と呪力の一致。

 

 

 

 ソニックブームによって五条悟の脚の大半と上顎から先の頭は削れ飛び、だが構わず、五条悟の『蒼』を伴う拳は、火花を産んだ。

 

 ニコラウスは、結界の内郭に叩きつけられ――景色に、亀裂が走る。

 

 

 

「流石に強固だなぁ。これでもワンパンできないか――んじゃ。大質量も、いけるよね♪」

 

 

 

 そう、呪力強化で両腕は死守されていた。

 

 ニコラウスはあまりのダメージで――眼前、組まれる腕を、掌印を、ただ見ているしかできなかった。

 

 

 

「ッ、ぁ……やめ――!」

 

 

 

「虚式――――『茈』

 

 

 

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙――!!!?

 

 

 

 掛け合わされた『蒼』と『赫』の合体放出。

 

 超巨大呪力と擬似質量は、ニコラウス諸共につき抜け――概念無視にして問答無用の極大威力となり。

 

 

 

「はぁ……やっぱ。あれほど、しんどくはならないか」

 

 

 

 ただの術式行使のみで、贋作の領域を打ち砕くに至った――――。

 





『蒼』『赫』も強いけど、そもそもニュートラルな無下限呪術が一番ヤバくね?

と思ったので拡大解釈しました。

飛び出していけ宇宙の彼方(直喩)!

ジャック・オー助けて!!
となってるニコラウス爺さんの明日はどっちだ!
次回もどうぞお見逃しなく!



【オマケ①・もうひとつの無下限呪術・術式反転について】

 正の術力を術式に流し、術式効果を反転する、術式反転。
 元の五条悟が使えたのは、『蒼』と『ニュートラルな無下限呪術』の二種でした。

 で、これまで『蒼』の反転である『赫』があったわけですが。

 ……じゃあ、無下限バリアの術式反転もあるのでは?
 と思い、『闢』としました。



 今の五条悟は、『蒼』による転移とは別に、
 『闢』による音速突破の移動手段があります。

 そのため、全術師の中で最速です。(2018年からそうでしたけど)

 あと、『闢』は『蒼』と違う強みとして、
 黒閃の条件である『打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突する』が成立しやすい技でもあります。

 なにせ、文字通り一瞬で、距離自体が消えますからね。
 加速してスピードアップするのとは比になりません。

 『蒼』だと位置のマーキングが必要らしいのですが、『闢』なら小出しにポンポン使えるのでお手軽ですね。

 まぁ、無下限バリア消えるというデメリットがデカいので、一長一短なのですが。



【解説・事象呪霊ってどのくらいデタラメ?】

(前提として、この二体は呪力バカでかいです。
 なので、事象呪霊である以前に強いです。
 しかしながら……)

 術の知識、工程抜きに結果だけを出力する呪霊。
 なんでそんなにデタラメが成り立つのか?

 理由は単純で、コイツらは『非術師の思う呪術』の恐れによって産まれたからです。だから、呪術という工程が伴わないわけですね。

 じゃあ、なんでもありなんじゃん!
 と思うかもですが、そうでもありません。

 コイツらは呪霊として産まれた以上、
 呪術のルールにのっとって出来ています。



 呪力をパワーソースとし、あくまでも生得術式はひとつだけ。領域展開も、結界を設けるかはさておき、術式を付与しないと成立しません。

 また、領域解除後、術式焼き切れもちゃんと起こります。



 『仮想の重力』という術式効果があるように、
 事象呪霊は『現象を起こす術式を持っている呪霊』でしかないのです。

 なので、そこまで原作設定を逸脱してない……ハズです。



【解説②・前回の伏線について】

 ニコラウスは前回、「どういうワケか死に損なった分際で!」と言ってましたが、実際この呪霊達は「なぜ五条悟が生きていられているのか」を理解していません。魂への術式拡張という発想自体もないです。

 この呪霊達の知識は、渋谷事変で「なんか知らんけどヤバいこと起きてる」と外側で知った一般人や、新宿決戦の配信を見てた一般人程度の認識です。

 要は五条と初めて戦った漏瑚みたいなものです。

 とはいえ。『六眼』を備えてるんですよね…。
 前知識のなさは、その場の学習でカバーできるのです。

 いや本当なんです。次回を見たら分かりますんで。マジでね。
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