【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 - 作:糾縄如氏
オリ呪霊ビジュアルイメージ↓
ニコラウス:
ぼーっとしてる腕組み宿儺にサンタの赤帽子つけたイメージです。
どっかでそんなコラ画なかったっけ?
ジャック・オー:
ハサウェイのカボチャ頭をイメージしてくだされば。
だいたいそんなんです。
特級事象呪霊・ジャック・オー/ニコラウスは、
その事象に由来した現象の数々を模倣できる術式を持つ。
――渋谷事変と、新宿決戦の事象呪霊である彼等は。
構成要素に、五条悟という概念を内包している。
故に。五条悟の呪力や術式は通りづらく―― 無量空処は、最初から情報を内蔵する彼らに通用しなかった!!
「「領域展開――!!」」
五条悟もまた、焼き切れた術式のリセットを完了させ、再び領域展開を行おうとした。
が――その目論見は、ジャック・オーの先手を前に成り立たない。
(なんだこれ――デカすぎるだろ、その結界!!)
――ジャック・オーは渋谷事変の呪霊。
渋谷事変では、複数の帷が非術師を苦しめた。
その知名度の補正により――結界術は、天元に迫るほど卓越している。
故に、放り込まれた銀河の世界は、
五条悟においても、文字通り宇宙のように広大にしか見えなかった。
(天元の空性結界を領域に転用してるのか。しかも『御廚子』――っぽい術式まで付与されてる。こっちも領域を展開しようものなら、間違いなく外部から解体される――!)
五条悟がどんなに結界強度を高めたとしても、確実に握り潰せる特大スケールの結界。それだけの器をもってすれば―― 二つの術式を両立させる事も可能。
「「多重合体領域――『
「……君ら実は仲良くない?」
「「よくないっ死ね――!!!」」
もうひとつ、付与された術式。
ニコラウスの術式が、『無下限呪術』を模倣する。
だが――それは五条悟の解釈とは別物だ。
(――――っ、体、が!)
「物の間の『無限』だったか――こういう事だろう、五条悟!」
この『啌夢變処』では、物同士の間に『無限』が生じる。
たとえば、肩から指先にかけての距離。
たとえば、脳物質・神経間の伝達距離。
たとえば――細胞と細胞の間。
その他にも、自分とその他の間での摩擦!
そういった、わずかな距離は無限に延長され。
ここにいるだけで意思が肉体に至る事はない!
ここにいるだけで自然、肉体は崩壊する――!
「――やった、やったぞ。必中で通った!」
「待ちなさい。今とどめを――何!?」
重なるダメ押し。落ちる斬撃の
―― 御三家秘伝・『落花の情』。
だが、何故!?
そもそも五条悟は行動できないハズ――、
「――なに言ってんの。このぐらいなら、治しながら動くだけだよ」
――否。この領域は
今の五条悟に限っては、脳と神経が死のうが、魂から肉体へと、意志と呪力は通う。
宿儺がやったように、呪力行使の応用で体を動かし、呼吸できる。
肉体が自然崩壊するだけなら。
常に、魂基準で反転術式を回して立ち回れば良い――!
「ほざけェ――ッ!!」
四つ腕を翻し、ニコラウスは肉薄した。
五条悟は平然と空を浮き、衝突。
演じられる七年前の再現。両者の格闘。
「――術式順
「えっ、なにそれパチモン?」
その最中に放たれる、ニコラウスの術式。
五条悟を誘引する拳と、飛ぶ斬撃の挟み撃ち。
「やはり――俺はお前だ、五条悟!」
「あ?」
そして――『
四本腕、腹に空いた口で常に掌印と詠唱を行いながらの贋作の一撃が、五条悟を貫いた。
「貴様が力を鼓舞するように、俺は力で全てを壊す! 俺は宿儺を倒した貴様を超え、真の『最強』になるのだ――!」
――ニコラウスは、新宿決戦の事象呪霊。
五条悟は両面宿儺に単独勝利した。
よって、ニコラウスの術式には、その二者の能力のみが反映される。
それは無下限呪術と御廚子の抱き合わせ――つまりところ、『空間作用』だ。
空間を切断し、空間を圧縮し、空間を爆破する。
「そうかい、ファンボーイだったか。僕は優しいからねぇ――ペラッペラのお前には贅沢な
それらを喰らった上で――五条悟は切り返す。
本物の『蒼』の伴った蹴りで腹の口腔を穿ち、その下顎を足蹴に、アッパーひとつで四つ腕を弾きあげ――もう片方の手はゼロ距離で、印を結ぶ。
「――いちいち、大雑把だ!」
「なにを――ごッ、あ――!?」
――無下限呪術・術式反転『赫』。
マイナスの呪力にプラスの呪力を掛け合わせ、より大きなマイナスがニコラウスを大きく吹っ飛ばした。
呪霊が正の呪力を行使できない以上、途中式が抜け落ちた紛い物とは、比べるべくもなかった。
(まぁ、今さら宿儺モドキに遅れをとるわけないもんね)
……むしろ、厄介なのは――。
(アイツだよな――とはいえ、まずはコイツ優先だ。タダでさえ得体の知れない呪霊、この単純な戦闘力。どちみち無視できない)
後隙を狙い、必中効果で降り注ぐ、
ジャック・オーの御廚子(偽)の雨を『領域展延』でいなしつつ。
五条悟は――脳内演算を終え、決断。
遠く、領域の奥。
己を囲む銀河の彼方へと目をやった。
「ここは、ひとつ――乱暴しようか」
領域展開をされた場合の対策は色々あるが。
五条悟が決断したのは、彼以外不可能な一手。
――すなわち、バリアとした『無限』の範囲拡大であった。
「ぐ、ぉ――ジャック・オー、結界をもっと広げろ! このままでは潰される!!」
「お黙りなさいッ、最初から最大サイズです。だいたい、領域内の空間にも『無限』を付与しました。五条悟から見た距離はさらに引き延ばされるハズ――!」
あらゆる攻撃は弾かれ、見えない壁が五条悟を中心に広がる。刹那、加速度的に宇宙の彼方へと吹っ飛ぶニコラウス。
これは――オート展開のバリアとしてきた、ニュートラルな無下限呪術の最大化。
「おら、どーしたよ。僕を超えるんでしょ。ほ~れ頑張れっ、頑張れっ♪」
「な、なんのぉ、これしきッう、ぐぐ――ぐ!!」
ポケットに手を突っ込んで、銀河の上、五条悟は悠々と進む。跳ね除けられ、押し返されるニコラウス。
もちろん――これだけの規模のバリアだ。リスクはある。
こんな規模で行使すれば、情報量のあまり五条悟の脳と六眼がぶっ壊れる。
……という、魂で思考する生物には、無いようなリスクが。
とはいえ代償。すなわち縛り。
人体構造上、無理難題の縛りを突破する事で――。
「お。届いたみたいだね、結界の端」
「ぬ、ぬぐぐ――ジャック・オーッ!!」
「なんという――いえ。術式分析はもうすぐ!」
四つ腕も立たず、スクラップになり始めるニコラウス。
結界情報の更新により『無限』の突破を測るジャック・オー。
両名は、この理不尽に対応しようとしていた――が。
ここまでが、序の口に過ぎない事を思い知る。
「――シン・陰流『簡易領域』」
手始めに――五条悟、0.01秒の『簡易領域』。
0.01秒後に自壊する限定化・範囲最小化・カウンター機能の排除。3つの縛りで強度を高めて、必中の中和を一瞬のみ実現。
これにより『啌夢變処』で付与された『
その布石に続く、本命。
「――無下限呪術・術式反転」
それは。『蒼』の反転ではなく。
バリアとして使われてきたニュートラルな無下限呪術――『無限』の反転。
簡易領域消失と同時、
五条悟に対する『啌夢變処』の必中効果復活よりも速い、一瞬で。
五条悟とニコラウスの間の『
「――『
「――な――――」
引き絞られたバネの解放。大気の爆縮。
音速突破の爆音を伴い、位置関係は急変。
そう。『一瞬』で――ニコラウスと五条悟は、衝突する。
「――――『黒閃』!!!!」
「ぐ――ぉ、あああアアッ!!?」
音速突破の一撃が降り落ちる。
寸分違わぬ打撃と呪力の一致。
ソニックブームによって五条悟の脚の大半と上顎から先の頭は削れ飛び、だが構わず、五条悟の『蒼』を伴う拳は、火花を産んだ。
ニコラウスは、結界の内郭に叩きつけられ――景色に、亀裂が走る。
「流石に強固だなぁ。これでもワンパンできないか――んじゃ。大質量も、いけるよね♪」
そう、呪力強化で両腕は死守されていた。
ニコラウスはあまりのダメージで――眼前、組まれる腕を、掌印を、ただ見ているしかできなかった。
「ッ、ぁ……やめ――!」
「虚式――――『茈』」
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙――!!!?」
掛け合わされた『蒼』と『赫』の合体放出。
超巨大呪力と擬似質量は、ニコラウス諸共につき抜け――概念無視にして問答無用の極大威力となり。
「はぁ……やっぱ。あれほど、しんどくはならないか」
ただの術式行使のみで、贋作の領域を打ち砕くに至った――――。
『蒼』『赫』も強いけど、そもそもニュートラルな無下限呪術が一番ヤバくね?
と思ったので拡大解釈しました。
飛び出していけ宇宙の彼方(直喩)!
ジャック・オー助けて!!
となってるニコラウス爺さんの明日はどっちだ!
次回もどうぞお見逃しなく!
【オマケ①・もうひとつの無下限呪術・術式反転について】
正の術力を術式に流し、術式効果を反転する、術式反転。
元の五条悟が使えたのは、『蒼』と『ニュートラルな無下限呪術』の二種でした。
で、これまで『蒼』の反転である『赫』があったわけですが。
……じゃあ、無下限バリアの術式反転もあるのでは?
と思い、『闢』としました。
今の五条悟は、『蒼』による転移とは別に、
『闢』による音速突破の移動手段があります。
そのため、全術師の中で最速です。(2018年からそうでしたけど)
あと、『闢』は『蒼』と違う強みとして、
黒閃の条件である『打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突する』が成立しやすい技でもあります。
なにせ、文字通り一瞬で、距離自体が消えますからね。
加速してスピードアップするのとは比になりません。
『蒼』だと位置のマーキングが必要らしいのですが、『闢』なら小出しにポンポン使えるのでお手軽ですね。
まぁ、無下限バリア消えるというデメリットがデカいので、一長一短なのですが。
【解説・事象呪霊ってどのくらいデタラメ?】
(前提として、この二体は呪力バカでかいです。
なので、事象呪霊である以前に強いです。
しかしながら……)
術の知識、工程抜きに結果だけを出力する呪霊。
なんでそんなにデタラメが成り立つのか?
理由は単純で、コイツらは『非術師の思う呪術』の恐れによって産まれたからです。だから、呪術という工程が伴わないわけですね。
じゃあ、なんでもありなんじゃん!
と思うかもですが、そうでもありません。
コイツらは呪霊として産まれた以上、
呪術のルールにのっとって出来ています。
呪力をパワーソースとし、あくまでも生得術式はひとつだけ。領域展開も、結界を設けるかはさておき、術式を付与しないと成立しません。
また、領域解除後、術式焼き切れもちゃんと起こります。
『仮想の重力』という術式効果があるように、
事象呪霊は『現象を起こす術式を持っている呪霊』でしかないのです。
なので、そこまで原作設定を逸脱してない……ハズです。
【解説②・前回の伏線について】
ニコラウスは前回、「どういうワケか死に損なった分際で!」と言ってましたが、実際この呪霊達は「なぜ五条悟が生きていられているのか」を理解していません。魂への術式拡張という発想自体もないです。
この呪霊達の知識は、渋谷事変で「なんか知らんけどヤバいこと起きてる」と外側で知った一般人や、新宿決戦の配信を見てた一般人程度の認識です。
要は五条と初めて戦った漏瑚みたいなものです。
とはいえ。『六眼』を備えてるんですよね…。
前知識のなさは、その場の学習でカバーできるのです。
いや本当なんです。次回を見たら分かりますんで。マジでね。