【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 -   作:糾縄如氏

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【あらすじ】
11月15日。変わり果てた己の故郷を前に、
夏油勲は、死滅回游の第一歩を踏み出そうとしていた――。



第2部 3話『チュートリアル』

 

 ――2025年11月15日・昼

 滞留区画(ブロック):山陽――山口県某所。

 

 

 

「――なんだお前、死滅回游のこと分かってなかったのか!」

 

 

 

 ――今更その理解に至ったのか、貴様。

 そう、夏油(かおる)に加わった宿儺の目は、怪訝げに歪んだ。

 

 が、少年はどこ吹く風と、納得顔で会話?を続ける。

 

 

 

「どーりで話が通じないわけだよ。じゃ、改めて説明から――」

 

『要らん。記憶を読み取って認識した』

 

「なんだそれ、最初からそれやっとけばよくなかった?」

 

『五月蝿い。死ね』

 

 

 

 もはや、話が通じているのかいないのか。

 現実逃避気味に、宿儺は外へと目を向ける。

 

 この街――死滅回游中というのに、呪霊ばかりで人がいない。

 

 否、死滅回游だからこそだろう。

 

 

 

(……死体を食らう呪霊しか居ない。勝者を残し、死滅した地帯というわけか)

 

 

 

 そう。この場において、生態系は完成しきっているのだ。

 

 唯一の強者か、それ以外か。

 

 

 

 よってこの街にいるのは死体を喰らう呪霊。

 そして、無視してよいと断じられたザコのみなのだ。

 

 そして、他にありうるとすれば。

 

 おそらく――呪霊と、共存した人間達!

 

 

 

「――おい、そこの変な前髪ボウズ。こっから先通りたきゃ10点よこしなぁ!」

 

「――ただし! 俺ら一人ずつにだぜぇ! ヒャッハー!!!!」

 

 

 

 エンジン、もとい唸り声を蒸して威嚇する、バイクの呪霊にまたがったモヒカン頭複数人。

 

 そいつらが勲の向かう先、大橋を占拠していた。

 

 

 

 ここは橋上の一本道。

 街を出入りする上では必ず通る。

 その幅広の四者線道路を、我が物顔で占領する集団!

 

 定期収入目的――否、すでに死滅回游開始からは二週間経過している。

 この人っこ一人も居ない街に、ダラダラと居残った田舎者の集合といえよう。

 

 

 

 が――その全て、一切として勲には重要でなかった。

 

 唯一、重要だったのは。

 

 

 

「――――テメェ、今、この前髪がクソオヤジみたいだと?」

 

 

 

 そう。エンジンよりも低く、不良よりもドスの効いた声を出させた――逆鱗(まえがみ)への言及!

 

 

 

「おっ、なんだお前。そんなジョジョじゃぁあるめぇわ――」

 

 

 

 ――夏油勲は、学ラン革靴の制服姿。

 とは思えぬほど、刹那で距離は消え、拳がモヒカン頭にねじ込まれていた。

 

 

 

「――ぶおぁ!?」

 

「あ、アニキぃ~!?」

 

「んやろぉ! いつの間に!」

 

「オラァ交通指導ぉ――!!」

 

 

 

 橋頭まで吹っ飛ばされる悪の頭領。

 一拍遅れ、モヒカン頭のハイエナは飛びすがる。

 

 囲んで棒で叩く。それ即ち人間の最も原始的な狩猟の常套句。

 

 もはや様式美とばかりに釘バットが振るわれ――!

 

 

 

「あべし!」

 

「ひでぶ!?」

 

 

 

 ――が、ダメ!

 

 体格差でさえも機能しない実力差。

 それは少年の格闘センスという形で示された。

 徒手空拳のみで関節を破壊され、即座に不良達は頽れおちた。

 

 

 

「喧嘩で勝てるとか思ってるんじゃあないぞ。こちとら、何でか体育で負けた試しはないんだ!!」

 

 

 

 前髪を忌々しげに引っ張りつつも、使えるものは使う。そう少年は拳を突きつけ吠えた。

 

 そう。夏油勲に秘められた運動能力は、夏油傑と同等である。

 

 あの、五条悟と同等とされた格闘能力を引き継いでいる。『最強』に劣らぬ喧嘩強さを、だ!

 

 格闘術という技術がないにせよ――――彼ら相手ならば取るに容易い!

 

 

 

「そぉれがどうしたぁ!!」

 

「取り締まりダァ! ヒィイィイハアアア!」

 

 

 

 が――アクセル全開。ペダルベタ踏み。

 

 より具体的には、呪霊の腹にあたる部分を蹴って呪霊を走らせ、

 

 ――爆音を伴った暴走が少年を襲った!

 

 

 

「――っと、あぶないな。うっかり轢かれたらどうしてくれる!」

 

「「そーなれってんだよ死ねェエエエ!」」

 

 

 

 ――彼らは呪力をバイク型呪霊に与え、最高の威力とスピードを担保していた。

 

 ――どんなに強い人間であろうと、極論、人は車両に追突されれば死ぬ!

 

 

 

 そう、ケンカでは勝てないという弱さの確信が、彼らを躊躇いなく走らせていた!!

 

 現に、かすっただけで少年は転げた。

 これならば――ッ!!

 

 

 

「なにっ! なんだぁっ!? バイクが、バイクが消え――!?」

 

「なにっこっちも――うわぁぁあああ!!!?」

 

 

 

 否。突如として、バイク型呪霊は消え――墜落。

 

 人の身にすぎたスピードに投げ出され、跳ね飛ばされたのは彼らモヒカン側だった。

 

 

 

「ご馳走さん。別にオレは、喧嘩しかできないとは言ってねぇよ」

 

 

 

 勲は振り返る。塩顔ながら年相応に笑いつつ大顎を開き、デカい球塊を喉に通して、ペロリと舌鼓を打った。

 

 

 

 そう。――『呪霊操術』である。

 

 降伏した呪霊を取り込み自在に操る術式。

 階級換算にして二級以上の実力差があれば『降伏の儀』を省き、ほぼ無条件で取り込める。

 

 バイク型の呪霊は下位個体であり、元から人間に飼い慣らされていた。

 

 その条件から――――夏油勲はカスった一度、触れた時点で、バイク型の呪霊を取り込んだのだ。

 

 

 

 ……えっ? にしては美味しそうに取り込んでないかって?

 

 そりゃお前。夏油勲はイカれているのだ。

 この場合、味覚において!

 

 

 

「歳上のくせして、一人相手に寄ってかかって。これまでそれしか出来なかったのか? だったら――こちらも、物量を持ち出させてもらうぞ!」

 

 

 

 そして――囲んで棒で叩く。

 その戦法を、夏油勲は、モヒカン以上の質でもっては実現した。

 

 

 

「いひゃひゃひゃひゃひゃしゃ!」

 

「ぎひひひひはははは!!」

 

 

 

 即ち――呪霊による、蹂躙で!

 

 

 

「「「「うぎやぁあぁぁあ!!??」」」」

 

「え〜。こうだったっけな――交通料だ。お前らの点を全部寄越せ。そうすりゃ、命までは取らないぞ〜」

 

 

 

 もはや、こうなれば結果は見えている。

 

 淡々と勲は、作業感覚で、泣き喚き逃げ惑うモヒカンらに降伏条件を告げた。

 たかだか多少強化した低級呪霊に言いようにされるなど、底が知れてあまりある。

 

 

 

 その一方――宿儺は、冷静にお手並み拝見を決め込んでいた。

 

 

 

(なるほど。この坊主、ここ二週間は呪霊狩りに終始していたというわけか)

 

 

 

 そう――この術式を得た時点で、手数が重要なくらい誰でもわかる。

 

 

 

 それ故に夏油勲は、ゲーム開始から二週間、呪霊収集と自己鍛錬に費やしたのだ。

 

 自宅で籠城し、呪霊を遠隔で戦わせて、家の周辺で人の死骸を食って繁殖した呪霊を、片っ端から集め回った。

 

 なおかつ使役した呪霊の呪力運用から逆算し、夏油勲はある程度の呪力コントロールを体得。

 

 その上で、あえて使役を解除した呪霊と組み手を行い、実践訓練までも済ませていたのである。

 

 

 

(この体だ、筋がいいのは当然。だが……)

 

 

 

 ――ただ。実戦経験は、お世辞にも高くない。

 

 

 

「――な、マジか、この反応。祓われた!?」

 

「――なぁめえるなぁああああッツ!!!」

 

 

 

 突如、呪霊の群れを抜き去るモヒカンが一人。

 

 最初に顔面に一発を入れたモヒカンが、してやったりと拳を固めて迫り来る。

 

 捨て身の特攻か。なんにせよ、勲は再び殴り返そうとして――。

 

 

 

「コガネぇ! 45点を呪力に変換! トばせぇええっ!!」

 

「あいよーっ!」

 

「は――ぁ、ッ!?!?」

 

 

 

 ――九死に一生。直近に迫った『死』。

 それを済んでで回避し、余波で吹っ飛ばされ、少年は鋼の轟音にぶちあたる――そう、橋の側面。柱に叩きつけられたのだ。

 

 すんでで呪霊をクッションにできたが。

 

 今のは危なかった。

 まさか――致命の一撃を見過ごしかけたなど。

 

 

 

「出たっ! アニキの術式『仏恥義理(ブッチギリ)』だァ!!」

 

「お前こそ降伏しろクソ前髪!」

 

「なにせアニキの術式効果は、『呪力出力の上限解放』なんだぜっ!」

 

「――口の代わりをしろと言った覚えはねぇが。ま、そういうわけだ、クソガキ」

 

 

 

 やーらーれーた〜。

 とアピールするために、使役した呪霊を一斉に引っ込め、ぐったり気味の動きで着地しつつ。

 

 最後に残した低級呪霊一体もまた、丸くねじれて、歪んでいく。

 

 

 

「やー、マズったマズった。点数による呪力ブーストがあれば、あんなヤツにも殺されうるんだな……」

 

 

 

 ――総則⑥:泳者は『点』を消費し、呪力を獲得する事ができる。

 

 これにより、アイツの呪力が突然膨れ上がった。

 なるほど。たとえ格下を相手取るにせよ、殺されるリスクがあるわけだ。

 

 

 

『……下らんな。成り損ないに喰らわされるとは』

 

「そう言わないでくれよ宿儺。むしろ、この方が手っ取り早いんだって」

 

 

 

 

 好機と見たか、突撃してくるボスモヒカン。

 

 そりゃあアイツのオハコは呪力強化した拳なのだ。近接を仕掛けるに決まっている。

 

 そして、決め手を持っているヤツほど誘いやすい。

 

 見落とすのだ――至近距離ともなれば、その真横など。

 

 

 

『――ほう、やれるか』

 

 

 

 受肉して初めて、宿儺は知る。

 

 

 

 ――呪霊操術において、その技は初期内蔵されている。

 

 秤金次や日車寛見の術式が領域展開前提であるように。壊相が初めから蝕爛腐術の『翅王』を引き出せたように。

 

 

 

 ――極ノ番も。

 また、その術式において使用可能――!

 

 

 

「――――『うずまき』!!」

 

 

 

 低級呪霊一体。捻れて丸まった弾丸は射出された。

 極小規模の一発。だが決定力は確か。

 

 一条の、指向性呪霊収束放射(ビーム)は――呪力防御を解き、拳に全振りしていたモヒカンを容易く貫いた。

 

 

 

「ぎぃやぁあぁあ――っ!!?」

 

「「「あっ、アニキ――!!!」」」

 

 

 

 唯一、戦力として機能する人間がダウンした。

 となれば、その後の事など押して知るべし。

 

 が、倒れ伏す事さえ許さぬと、勲は襟元を掴み、首根っこをガクンガクンさせながらも、要求した。

 

 

 

「お前ら殺して4点ポッチなんて割に合わん。殺されたくなきゃ点数全部を寄越せ、今すぐだ!!」

 

 

 

 さもなくば、と生じる呪霊複数体。

 どれもが捩れ始めていた。

 

 ――その気になれば、さっきのはいつでも全方位に連射できる。

 

 まさしく銃口を突きつけられたような構図に。

 

 

 

「わっわかりました!」

 

「点数あげます! コガネ! はやく!」

 

「何言ってやがる。雷同(ライド)ォ……俺ァ、まだ止まれね――」

 

「命あっての物金でしょうよ団長(アニキ)! もう俺ら四人しかいねェんですよ!?」

 

 

 

 ――総則⑤泳者(プレイヤー)は他泳者に任意の『点』を譲渡することができる。

 

 

 

 かくして――夏油勲、34点を獲得。

 

 合計点は47となった。

 ついでにバイク型呪霊も全て強奪。完全勝利である。

 

 

 

「うっし、初勝利。どんな魔境かと身構えてたが。いけるね、俺!」

 

『……貴様に身構える神経があったとはな』

 

 

 

 一方、モヒカン達には絶望の影が立ち込める。

 宿儺は、その雑魚一同を冷静に見定めた。

 

 

 

(この坊主もそうだが。『擬似術師』というところか――これは呪力を『持たされている』に過ぎん。自力で呪力を生み出せず、挙げ句、垂れ流す始末とは……まったくもって、貧相極まる)

 

 

 

 ――総則②:非術師の泳者には、ランダムで『呪力』と『術式』が付与される。

 

 彼らの呪力コントロールはド素人そのもの。

 自力で呪力を作れず、常に呪力が垂れ流されている。

 

 この消費を賄うためには、総則⑤により『点』が必要となり、戦う他にない。

 

 

 

 今、彼らは呪力切れを起こす前に誰かを殺す必要があった。

 

 互いに消耗は激しく、となれば――次に起こり得るのは、共食いの一択!

 

 

 

「「「「……」」」」

 

 

 

 モヒカンはモヒカンを見合い、拮抗は今にも崩れようとしていた。

 

 既に人殺しに手を染めた短絡な彼らが、賢い選択などできようハズもない。

 

 

 

 ──そこへ。

 

 ──ツカツカと割って入ったのは。

 

 

 

 やはり、夏油勲。

 

 

 

「テメ、まだ何をしようってん――げ、ぼぼぼぼばばばばば!!!?」

 

 

 

 またひとつ、潰されるアニキの面目。

 その絵面、狂気のあまり青ざめる一同は、先程までの思考を綺麗さっぱり忘れていた。

 

 

 

 ――口を強制的に開かれ、引き潰れた呪霊を捩じ込まれ、体液を飲まされる――などという、拷問以外の何物でもない行為を前には!!

 

 

 

「ぐがががゲロ雑巾の味がずる――――ッ!!!」

 

「何言ってんだよ、美味いだろコイツらは。ほら食え! 食えなきゃ死ぬんだぞ!!」

 

 

 

「「「あ……じゃ、俺らはこの辺で……」」」

 

 

 

「テメェらも同じだ! 食え! オレの呪霊が食えないってのかアァン!?」

 

「「「ひええっ! ぶびばべんばばばぼば!!!」」」

 

 

 

 同じく、例外なく、呵責なく、

 繰り出される呪霊ハラスメント。

 

 モヒカンらは口端から泡を吹き、喉を灼熱感に焼かれ、鼻腔を支配した酸味に嗚咽千万。

 

 さしもの宿儺もこれにはドン引き。同情を禁じ得ず――だが、その合理性を理解し、得心いった様子でもあった。

 

 

 

(ふむ、簡易的な『浴』か――呪霊を殺して高濃度の呪力(たいえき)を捻り出し、相手に与える。これならば当分、コイツらは呪力切れを起こすまい)

 

 

 

 これは、絵面こそ最悪だが、画期的な救命行為であった。

 

 人を殺して点数を得るまでもなく、人に呪力を与えられる手段。

 代償に勲は手持ちの呪霊を失う。人助けとは有償の行為である。

 それを理解した上で、夏油勲はその善行を選んでいるのだ。

 

 さながら――自分の頭を分け与えるアンパンヒーローが如く!

 

 

 

(食を分け与える行為、か。――とはいえ、果たして善行のつもりなのか? これは……)

 

 

 

 それはそれとして、マズいものはマズかろう。

 功罪のどちらかで言えば客観的には功でも、たまったものではあるまい……。

 

 

 

―――

――

 

 

 

「――全員の生存よーし。全員への呪力付与よーし。全呪霊の収納よーし――うん。味も好調! ミルキーなママの味!!」

 

『これの、どこかだ。貴様、俺につまらんものばかりを――』

 

「……いや、あんま良い覚えなかったわママの味。ともあれ、いざ行けバイク呪霊!」

 

『さっきから話を聞い――』

 

 

 

 ――エンジン全開。

 呪いの王の声さえ掻き消して轟く爆音、そして疾走。

 

 ピクピクと痙攣するモヒカン共を捨て置き、夏油勲は橋を通り去る。

 

 

 

いやっほー! いいねぇ初手から『足』ゲットできたとは! 天は俺に味方したぁ!!」

 

『免許は?』

 

ないッ! けどな! 呪霊が操れるんだからバイク呪霊だってイケる! 吹き荒れろV型水冷DOHCエヴォリューションエンジィインひゃっは――!!

 

『なるほど貴様、都合の良い事しか聞かん耳か』

 

 

 

 実際、その運転には澱みがない。

 飛び出した体は止まらない。

 なにせ心のコンパスは定まっている。

 

 彼の方針は、暴風の最中でも頑なに維持される、ヘンな前髪からも明らか!

 

 

 

「――コガネ! 夏油傑(クソオヤジ)は京都にいる。間違いないんだなァ!?」

 

「おう! その泳者の滞留区画(ブロック)『京都大結界(コロニー)だぜ!」

 

 

 

 ――そうだ、京都に行こう。

 

 ――そこに、夏油傑は存在している!

 

 

 

『げと――ああ、羂索の。しかし、死んでいなかったのか?』

 

「みなまで言うな宿儺(もうひとりのオレ)。お前が殺しを躊躇うのはわかる。けどな――男には、やらねばならん時があるッ!」

 

『――知らん。勝手にしろ』

 

 

 

 今すぐに行きたい。京都に行きたい。

 

 が、ここは堪えて――急カーブ。

 

 

 

「とはいえ、最初からラスボスには行けねえ。順序を抜かしちゃ叶うものも叶わん――まずは、数を揃える!」

 

 

 

 そう、この街は呪霊の宝庫。

 ともすれば術式持ちもいるであろう、玉石混交のバーゲンセール。

 

 たとえ格上の呪霊がいようと問題ない。

 

 そう――囲んで棒で叩く!

 それこそが、人類が霊長たりえる常套手段ゆえに!!

 

 

 

「総員、命令だ。――この街の呪霊全てに攻撃し、我が軍勢に迎え入れよ!」

 

 

 

 手持ちの個体、一斉解放。

 

 蝿頭は青空に黒いノイズを加え、

 呪霊は歯茎を前面に押し出して、

 

 生まれ故郷に対し、百鬼夜行は進軍していく。

 

 

 

 ただ殺すのでなく、己が陣営に加えるために。

 ひいては、術者本体のレベルアップのために!

 

 

 

「今回は良い勉強になった。――格上相手でも、点数を呪力にしたブーストさえありゃ通用する。より多い点数を得るには殺すのでなく譲渡させる形でなければならない――ならッ!!」

 

 

 

 そう、この死滅回游には、格上に対抗しうる攻略法がある。

 

 無論、相手も同じ手段を取る事は可能だ。

 だが上位者であるほど、恐らくは1億点――『願望器』のために、使用を渋る。

 

 

 

 ――夏油勲に、使用を躊躇う理由はない!

 ――そして、ゲタを履くにせよ勝つには自力が不可欠!

 

 

 

「まずは、ここのボスからだ。この街で唯一、勝ち残った100(ポイント)保有者(ホルダー)――『灰原結』を、狩るッ!」

 

 

 

 そう――レベルを上げて点を集め、呪霊だろうが人だろうが仲間を増やす!

 

 

 

 

「いざ出立(しゅったつ)だ、俺の百鬼夜行。――親殺し、行きまァあああすッ!!」

 

 

 

 ここに、少年の冒険が、幕を開けた――。




二日おきなので、次は21日(金)です。
日車然り、死滅回游って、目標がシンプルでいいですよね。

つーか映画の最後の曲よくないですか? サントラまだですか??
アニメ本編が早く見たい。色々逆輸入したい。

あと、安曇野禍福編もちゃんと出ます。ご安心を。
……出番、一ヶ月後になりそうですが()



【オマケ・今の宿儺は意外と話が通じる】

今の宿儺は相変わらず傲慢不遜ですが、「でも俺アイツに負けたしな…」とアイデンティティクライシスに陥っています。

『最強』に代わる新たな指針もなく、燃え尽き症候群です。

そのため、意外とカオルと会話するシーンが多かったりします。

最後の指が死ねば今度こそ死ぬわけですが、だからと言って必死になっている訳でもありません。むしろ投げやりになっている状態です。

原作で『次があれば』と思えたのは、裏梅と死ねたのと、小僧に殺されたからこそ、との解釈でいます。

えっ、じゃあもう暴れたりしないのかって?
……五条悟だけ優遇する気はない、とだけ言っておきましょう。
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