【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 -   作:糾縄如氏

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【あらすじ】
特級対決、勃発。乙骨憂太24歳、九十九由基に挑む。



第2部 9話『キス・ヒム・グッパイ!!!』

 

「さて、一応殺し合うわけだ。愚問かも知れないけど、これだけは聞いておかないとね――乙骨くん」 

 

 

 

 ニヤリと笑う九十九由基は。腰に手を当て、いつもの決めポーズ。投げキッスも添え、問うた。

 

 

 

「――どんな女が、タイプだい?」

 

 

 

 答えはわかっている。

 葵から交流戦での話は熱弁されたし。だがいいのだ。

 

 好みを即答できるナイスガイと殺し合える。それを確かめられるだけで本望。

 

 ――だったのだが。

 

 

 

「……おや?」

 

「――あ、え、えっ、と――その」

 

 

 

 これは――愛というより、『恋』の反応!

 

 

 

 当の本人は、返答に窮していた。

 それはもう、盛大に目を泳がせ、耳まで真っ赤に染めて。

 

 誰が浮かんだのか。7年の空白なにがあったというのか――フル回転で記憶を探る九十九の思考。その類い希なる知性を結集した考察の果て――彼女は、答えに行き着いた!

 

 

 

「ぶっはは! マジかよ君! こりゃ新発見だ――いや、そういえばそうか。天元と会った時もいー感じだったもんねぇ、()()()は!」

 

「えっ、ちょ、バレてたんですk――!?」

 

 

 

『――ゆうだぁ?』

 

「ひっ」

 

 

 

 途端、真っ赤な顔は一転して青ざめる。

 

 背筋を走る悪寒――そして、なぜだろう。

 あの少女からも、ただならぬ視線を感じる気が――。

 

 

 

「いっ、いいい、今はそんなことより戦いですよ!」

 

「オーケー、オーケー。ま、そういう事にしといてあげよう♪」

 

 

 

 首をブンブン振り払い、心頭滅却。

 乙骨は煩悩を振り払う。

 

 そして――ネックレスにしていた『ソレ』を手に取り、指に嵌めた。

 

 

 

「――おいで、『リカ』」

 

「……あい」

 

 

 

 ――特級術師・乙骨憂太。

 式神『リカ』による五分間の――『接続』。

 

 

 

「憂太、どれにする?」

 

 

 

 

 この間のみ乙骨は、術式の使用・『リカ』の完全顕現・『リカ』からの呪力供給が可能となる。

 

 

 

「ありがとう。いきなりで悪いけど――『全部』をやる」

 

「……あぃ」

 

 

 

 手加減など出来ない。

 短期決戦しかない。

 その点、両者の選択は一致していた。

 

 

 

「特級過重怨霊の『残穢』による式神か……いやぁ、よかったよ。こちらも、遠慮なく『凰輪(ガルダ)』を持ち出していいわけだ」

 

 

 

 乙骨ほどの呪力量を前に、長期戦などあり得ない。

 そも、九十九の術式ならばワンタッチで終わる。

 

 確実に当てる。そのために。

 監視に回していた、長い骨の尾を揺らがす『式神』が主の元に降りる――役者は揃った。

 

 

 

「そんなのは初めから期待してませんよ――いきます」

 

 

 

 現代の異能。超質量の体現者。

 

 その衝突、明白を左右する初撃は。

 

 

 

「「――領域展開!!」」

 

 

 

 双つの小宇宙。示される呪術戦の極地。

 全力全霊でもって、火蓋は切って落とされた。

 

 

 

――

―――

 

 

 

 刹那、乙骨を中心に聳え立つは――剣の丘。

 その一本一本、全てが呪具化した術式の刃。

 

 

 

   領域展開 真贋相愛(しんがんそうあい)

 

 

 

(僕の『包蔵(ストック)』は12……いや13個。どうせ使えないし、アレを必中効果に選んだけど――)

 

 

 

 この領域は、ひとつの術式を『必中』効果とし、残りはランダムで領域内の刀に付与される。

 

 だが、今回は互いに領域を切った。

 必中効果は相殺される前提で考えねば。

 

 

 

(僕は、九十九さんから領域効果を教わっていない。どうくるか? 『質量』の必中付与となると、有効札は――)

 

 

 

 自身の手札を鑑む、刹那の逡巡の最中――乙骨は。

 

 

 

「って――できるの!?」

 

 

 

 思考の前提を崩され、思わず上がる声。なにせ、

 

 九十九由基の必中効果だけは、

 ――『相殺』されていなかった!

 

 

 

「そう、これが私の領域――相手を必中対象にしない『縛り』によって、私だけは、必中命令の相殺を回避できる!

 

 

 

 通常、二者の領域展開は『押し合い』になる。

 

 パターンは2つだ。

 互いの必中命令が衝突し合う、相殺か。簡易領域のように領域自体で必中効果を受ける、中和。

 

 

 

 ――そこで九十九由基はこう考えた。相手の領域にも相手の必中命令にも接触しなければいい!

 

 相手の必中効果は領域自体で受けて、その内側――自身の生得領域のシンボルにのみ『星の怒り(ボンバイエ)』を必中させ――『押し合い』の不利条件を一方的に()()()()()

 

 天元の器、『星漿体』としての高度な結界術でもって実現する、これこそが!

 

 

 

「これこそが私の領域展開――

 ―― 慈星稚遍線(キィス・ヒム・グッバイ)』だ!!

 

 

 

 乙骨は空を仰ぐ。

 真っ暗闇の天井、虚空の彼方。

 降り落ちてくるモノが見えた。

 

 そう、領域のシンボル。もれなく超質量を付与され、迫る――超巨大な赤リンゴの数々が!

 

 

 

「っ――リカ、逃げよう!!!」

 

「あ、ぃい……!」

 

 

 

 領域内の距離は、結界の大きさと一致しない。

 どこまでも広大に広がる剣の平野を、『走って逃れろ』と乙骨は命じ、式神は応えた。

 

 

 

 恐らく、あれは防御などできない。とにかく少しでも遠くにいなければ話にならない。

 

 術師本体を叩く? そんな領域対策は意味をなさない。なにせ、あれはもはや――!

 

 

 

「――えっ、ちょ――おわああぁあぁア!?!?」

 

「憂太――っ!?」

 

 

 

 ひとつ目の隕石(リンゴ)が着弾し、それだけで――剣の平野は波打った!

 

 背後を見れば、地盤に深々と刻まれるクレーターが、()()()見えた。軒並み弾け飛びる剣達と同様――乙骨もまた、地面から跳ね飛ばされたのだ!!

 

 

 

「は、はは……こりゃ、凄いや」

 

 

 

 あまりにも馬鹿げた超威力。

 思わず乾いた笑いが漏れていた。

 まるで巨大怪獣の足元。トランポリンに乗ったかのような、抗い難い反動。

 

 だが、それは初期微動に過ぎない。

 

 

 

 リンゴが爆ぜ、欠片となって撒き散らされる二次被害。そう、むしろ飛沫の方が手に負えないのだ。

 

 その皮、芯、汁の一雫に至るまで――全てに余さず、『星の怒り(ボンバイエ)』が機能している故に!

 

 

 

 

「――ぐっ、うう、うう――!」

 

 

 

 轟然と、唸りをあげて駆け抜ける綺羅星の群れ。

 空に投げられ、木っ端微塵に砕け散る刀の数々。

 その衝撃が――総身を蹂躙し、突き抜けていく。

 

 とっさに前に翳した掌を見やる。

 そこには見落としそうな程に小さな穴が、指先から手首まで幾つも開通していた。

 

 ――それらすべてが風穴だと理解して、脳天に針千本の痛みが突き刺さる。

 

 

 

「憂太っ!?」

 

「ッ――僕はいい、リカちゃんは『アレ』に走って!」

 

 

 

 防御不能、結論に変わりはない。

 リカに受け止められ着地した乙骨は、即座に別行動を選択。より待避するよう指示し。

 

 自身は――反転術式全開。

 暴力的なまでの正の呪力を注いで傷を埋め合わせ、種や芯といった塊は走って避け、命を繋ぐ。

 

 

 

(領域の中心が爆心地として固定されているんだ。離れたのは正解だった。こっちは領域で上がった呪力出力と、リカの呪力供給のおかげでダメージより回復が勝っている――問題は)

 

 

 

 果汁と皮による暴風雨。

 轟々(ごうごう)と降り注ぐ星の群れ。

 次々にリンゴは降り落ち、振りまかれる被害。

 

 だが、その全てを無視し、乙骨の目は一点に向かう。

 

 

 

「……いやぁ、見違えたよ乙骨くん。反転術式だけで、これが凌げるとはね」

 

 

 

 ――煌めく大嵐の只中にあって、どこ吹く風と。

 雄大に、優雅に、優美に。

 星々の後光を背にして、歩み寄る――九十九由基を。

 

 

 

「この領域は絶えず、君に無数の穴を作っている。どんなに高度な反転術式ができようと、頭脳や脊髄や神経が欠損しまくる中では精度が落ち、普通なら2秒ともたずに死亡するんだよ」

 

 

 

 その発言は、決して比喩ではなかった。

 

 ――呼吸が危うい。

 胸の中で、臓腑が、肺胞がプチプチと潰される音が響いている。止めどない内出血を呪力で焼き潰さねば、今にも溺れ死ぬ。

 

 ――思考と、視野が幾度と点滅している。

 無理もない、文字通り脳を刻まれているのだ。眼球は常に赤一色。

 

 脳溢血、頸動脈破裂、肝臓への貫通。およそ致命傷の目白押し――だというのに。

 

 

 

「しかし――思ったように呪力が削れない。その細やかな呪力制御、前とは段違いじゃないか」

 

 

 

 ――――全て、問題なし。

 

 緊急オペの水面下、乙骨は何ら不自由なく、敵へと走る。

 

 

 

「それならよかった。五条先生には、散々言われてきましたから」

 

 

 

 手には、リカと逃げた最中に拾った3本の刀。

 次にもリンゴは落ちてくる。壊される前に使わねば。攻撃せねば。

 

 たとえ――九十九由基本体が、『星の怒り(ボンバイエ)』によって強化された対象そのものでも。

 

 

 

「おや、まだ話し足りないんだがねぇ――せっかちな男は嫌われるぞ!?」

 

(―― 『凰輪(ガルダ)』が伸びた。リーチを補えるのか……)

 

 

 

 振るわれる、蛇腹剣。

 過集中で冴え切った眼光で見切り、潜り抜けた。

 これでさえ、カスっても即死なのだというから悪質極まる。

 

 

 

 ――状況をまとめよう。

 

 『星の怒り(ボンバイエ)』は防御力として機能しない。

 この刃を首に通せば勝てはする。

 

 だが、一発でもモロに喰らえば即死。

 ステージギミックだけでもHPはガンガン削れ、呪力も削れ、パフォーマンスは安定しない。

 

 

 

 よって結論だ――『詰将棋』しかない。

 

 一度として攻撃を受けず、己の攻撃のみを通す。

 一手のミスも許されない、完全封殺のパーフェクトゲーム!

 

 それこそが、この場における唯一の勝利条件。

 

 

 

(――だから、先手は譲らない)

 

 

 

 故に。彼女より早く、『一刀目』は放たれていた。

 

 それは本体、九十九由基の――腹、首を僅かに裂いた――『斬撃』であった。

 

 

 

「いつの間に。まさか、宿儺の――いや違う。式神!?」

 

 

 

 ――ドルゥヴ・ラクダワラの術式。

 名を、治天下大王(あめのしたしろしめすおおきみ)』。

 

 その効果――式神『ヤマト』『イズモ』二体の軌道を、領域の軌跡とする結界術。

 

 

 

 自然、式神の飛んだ軌道上、彼女に対する切断が生じた。簡易的な式神のため、威力は僅か。

 それでも、首と腹への一撃に注意を向けない呪術師はいない。

 

 先手は取った。すかさず――二刀目を繰り出す。

 

 

 

 迫る乙骨の刀、横凪ぎの一太刀。

 

 その炸裂を、九十九の拳は遮らんとし、

 

 

 

(マジかよ、後ろから迫る『凰輪(ガルダ)』をノールックで避けた!?)

 

「――あの日、僕も羂索を仕留められなかった」

 

 

 

 拳のフェイントと同時、Uターンしたガルダによる追撃を――乙骨は、弁えていたかのように避ける。

 

 

 

「でも、だからこそ――僕が、貴女に負けるなんて許されない」

 

 

 

 ――シャルル・ベルナークの術式、『G戦杖』。

 

 提示された二秒先の未来に従い、次の挙動を見透かす事によって。

 

 

 

(なんだこれ、錯視か!? 本命の蹴りまで空振った!?)

 

 

 

 九十九の執拗極まる第三打は、『三刀目』に阻まれた。

 

 空間が歪み、九十九の目は正しい乙骨の位置を捕捉できなかった。だがそれでもわかる。無手となった乙骨が掴んだのは、『空の面』。

 

 

 

 ――『宇守羅彈(ウスラビ)

 烏鷺亨子の術式によって――!

 

 

 

 

「だから、ごめんなさい」

 

 

 

 ――拳は、炸裂する。

 ――断固として、砕けぬ指輪の輝きと共に。

 

 手持ちの刀を生け贄とし実現した一発により、錐揉み吹っ飛ぶ金髪美女。

 

 それを後追う乙骨の目線は――感情(よぶん)が抜け落ちすぎていた。

 

 

 

「――次は僕が、貴女を斃します」

 

「――いいねぇ。泥臭い(わたしごのみの)パンチだぜ、マッチョメン!」

 

 

 

 次の刀を求め、走り出す青年。

 すかさず、九十九と凰輪(ガルダ)は追い縋る。

 

 二手に分かれ、二方向から挟み込むが如く。

 三人中二人が鬼という鬼ごっこの構図!

 

 

 

「だがどうする、こっちだって反転術式がある。いつでも殺されうる君が、どう私を倒せると!?」

 

「――いいえ、貴女は結局触れなきゃならない!」

 

 

 

 二方向より迫る超質量。絶対的不利条件。

 対して振るわれる、乙骨の手に取った二刀。

 

 威力差は歴然、衝突――否!

 

 

 

「なるほど、刀を爆破して!」

 

「そういうこと、です!」

 

 

 

 衝突の間際、刀は、呪力の爆弾となって爆ぜちった。

 

 ――『星の怒り(ボンバイエ)』は防御に転換できない。

 高濃度の呪力暴発に凰輪(ガルダ)と、九十九の拳は弾け飛ばされ――煙の向こうから、再び、乙骨の拳は通る!

 

 

 

「っ――しかし、決定力の差は埋めようがないな! 殴り合いだけでは、先に死ぬのはそちらだろう!!」

 

「くっ――!?」

 

 

 

 ――ふたつ目の隕石(リンゴ)、着弾。

 ――ほぼ同時、三つ目までもが重なり、最大に砕け散る。

 

 深々と生じるクレーター、捲れ上がる地盤、震え立つ領域そのもの。

 

 ちゃぶ台を返され、余波だけで再び上空へと投げ出され、暴力の豪雨を受ける乙骨を――追撃すべく、飛び立ち、迫る凰輪(ガルダ)。手持ちの刀はなし――否!

 

 

 

「――『リカ』!」

 

「――あ、いいい!」

 

 

 

 別行動していた『リカ』の、完全顕現中のみ可能となる――高出力指向性放出が。

 

 乙骨が伸ばした手の先、凰輪(ガルダ)をロングレンジで狙い抜き、撃ち落とす。

 

 

 

「ヒューッ! グッキル! ……で、着地はどうするつもりかな? そうこうする間に、次のリンゴは落ちてくるぞ!」

 

(クソっ、初見殺しを使わされた――もう奇襲には使えないか)

 

 

 

 だが。いよいよもって――難局だ。

 

 次の着地は確実に、狩られる。刀なしで対応せねばならない。ただてさえ、絶えずリンゴの飛沫と皮が、乙骨を刻み続けているのに。

 

 

 

 九十九の指摘は正しかった。ダメージレースでは勝ちようがない。このままでは押し切られ続ける。

 

 故に九十九に迷いはなかった。落ちた凰輪(ガルダ)を拾い、落下地点で待ち構えんと走っていた。

 

 

 

 ――そう。

 ――その、はずだったのだ。

 

 

 

「――、なに?」

 

 

 

 足が止まり、顔が上がる。

 

 視線の先、乙骨とは全く関係のない地点――立ち登る、光の奔流が網膜を焼いた。

 

 ブラックホール間際の暗黒世界、己の領域に割り込んだ――光の、柱を。

 

 

 

「そうか、そういうことか――やってくれたね、()()()!」

 

 

 

 九十九は笑い、そして悟る――決定力不足というのは誤りだった。

 

 火力だけが戦いの全てではない。

 あんな代物を持ち出されたら、術式勝負なんて次元ではない。

 

 何より、分かったところで止めようがない!

 

 

 

(いや、私の考慮不足だな。乙骨くんの領域仕様が、過去と全く同じわけがなかった――刀を手に取れるのは、彼だけではなかった!)

 

 

 

 ――そう、『リカ』なのだ。

 今のリカは、()()()()()()術式(かたな)を使用可能!

 よって別行動していた式神『リカ』は、乙骨が時間を稼ぐ中、試行回数を重ねていたのだ。

 

 ――乙骨憂太は、九十九を相手取る上で、読み合いで勝てるとは考えなかった。だからこそ相手をしなかった。パーフェクトゲームを、番外戦術(これ)こそを選んだのだ。

 

 

 

 だってそうだろう。領域勝負(ゲーム)なんてのは、ゲーム盤ごとブッ壊せばいい!!

 

 

 

「出力無制限――邪去侮(ヤコブ)梯子(はしご)』ッ!!」

 

 

 

 ――九十九が勘付いた次の刹那、二つの小宇宙を輝きは貫いた。

 ――縦一直線に領域を突き破る光の柱、縦一直線の衝撃が空想を切り開き――なんら飾らぬ、夜空の下。

 

 乙骨憂太は――現実世界に、着地した。

 

 

 

「んじゃ――今度こそ、殴り合いしてくれるかい?」

 

 

 

 二人揃って、術式は焼き切れている。

 だが九十九には凰輪(ガルダ)が。そして乙骨にはリカと、リカの携帯する外付け術式がある。

 

 高揚を隠さずにいる九十九に反し、乙骨は冷静に、カウントした。

 

 

 

 ――接続限界まで、残り二分半。

 許容範囲だ――ここまでは、なんとか想定通り!

 

 

 

「いいですよ。ただ、もう一度だけ言っておきます――こっちは、『全力』です」

 

「憂太ぁ」

 

「――うっわ。えげつないねぇ、君ら!」

 

 

 

 乙骨の元に帰還したリカは――彼に、膨大な正の呪力を注ぎ込む。

 その魂胆に気付き動く九十九、だが遅い。

 

 

 

「――これでわかりました。貴女に対する、最高最善の必中効果(じゅつしき)が」

 

 

 

 ――本来、その手段には、脳細胞を自ら破壊するという手順が必要だ。

 だが――膨大な彼の呪力量と、リカとの共同による正の呪力、そして何よりも――7年の研鑓をもってすれば!

 

 

 

「――領域展開」

 

 

 

 ――乙骨憂太、二度目の領域。

 ――そう、2025年現在、式神『リカ』接続中の彼であれば。

 

 術式の焼き切れは、ノーリスクで踏み倒せる!!

 




Q なんで指輪壊れないの?
A 愛の力です。

次回は9日(火)になります。



領域の名前どーん!って表現いいですよね。
扇のRTA二次創作を読んで「かっけえ!」ってなったんで拝借させていただきました。



【乙骨のコピー要件について】

原作同様、リカに食わせないと模倣できません。

とはいえ、現在持つ13個のストックは、全員から指だの骨だの奪ったわけではありません。

魂の情報をベースに、『呪術的疑似神経』を作成し、それをリカに喰わせています。

これは尻尾といった、人体にありもしない部位を捏造させたモノであり、
魂を認識した術師(主に1年ズと五条先生)が長い儀式を行うことで作成されます。

そのため、この死滅回游中に即興で作ったりはできません。

なのでシャルルの骨や、虎杖の指は無事返されました。よかったね。



【九十九の領域名 元ネタ解説】

『イベントホライゾン』『事象の地平線』です。
ブラックホールが起こる前段階だそうです。

当て字はリア友が提案してくれました。

こちらの洋楽が元ネタです。
プロレスの入場曲にも採用されており、

悪行の限りを尽くしたヒール選手が(ストーリー展開上)解雇されたり、ヒールマネージャーが試合から退場処分を受けた時などに、会場の観客が一丸となってサヨナラの想いを込めて歌うチャントとなっています。

悪いやつを容赦なく退場させる感じも相まって、ベストに感じています。

これを提案してくれたリア友のセンスに惜しみない感謝を。



【九十九の領域 効果概要】

・必中のみの領域

・必中効果は『星の怒り』の対象拡張。
 本来は九十九由基とガルダにしか対象に取れないが、他も対象にできるようになる。

・生得領域は、真っ暗な虚空から巨大なリンゴが幾つも落ちて爆散する世界。このリンゴが質量攻撃として機能する。

・なお、『星の怒り』の対象者は、付与された重みを感じないため、九十九とガルダはリンゴによる被害を受けない。



【九十九の領域 なんでそんな構成になった?】

・どうせ領域同士になれば必中効果は死ぬ
・相手に領域がなければ展開した時点で勝つ
・概念的に突破できない相手でも『星の怒り』は突破できる

 ……領域とは元来『当たらない相手でも当てる』ものですが、『星の怒り』は元からそうなんですよね(五条悟を除く)

 生得領域の都合で範囲攻撃できるので、わざわざターゲット捕捉するまでもないですし。

 なので領域を用意するなら、こういう対領域仕様になるかと、親友が提案してくれました。

 てか、今回も第一部に引き続き、親友(ブラザー)との二人体制で書いてます。
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