【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 - 作:糾縄如氏
【あらすじ】
乙骨VS九十九、第二ラウンド。
どうする九十九由基!?
乙骨憂太、二度目の領域。
剣の丘は、再び現界する。
領域展開
(『リカ』との接続は残り2分半……なんとしても、この領域で決着を付ける)
こうなれば、九十九由基に残された手段は限られる。
「シン・陰流『簡易領域』――これしかない!
いくぞ『
何が必中効果なのか。
何にせよ、喰らえば必敗!
九十九は迷わず簡易領域を展開し、走る。
――こちらは焼き切れているが、ガルダの『
「――『
――否。
乙骨憂太は、その想像の先を行く!
「『
「マジんがぁあ!?」
その一振りは、嵐を呼んだ。
地盤ごと捲れ上がる乱気流に呑まれ、失われる上下左右。九十九は易々と吹き飛ばされていた。
領域内のオブジェクトである十字架も巻き込まれ、それらを足場に――角度を選ばず、乙骨の刃とリカの拳が襲う。
「――『
嵐を超威力で相殺し、迫る攻撃の悉くに式神が牙を剥く。
正確無比の攻勢防御、相変わらずの質量火力。下手をすれば撃ち負ける!
「リカちゃん、『アレ』を!」
「あぃ」
――が、構図は、思いの外早く変わった。
最初に変化に気づいたのは、主人である九十九だった――
「ちょ、
――術式『
リカは乙骨の領域の刀を拾い、その効果を発動したうえでガルダを殴ったのだ。
これにより、
「――『
「ぬ、ぉ――!?」
空間が歪み、暴風は束ねられ、強引に九十九は地面に叩きつけられた。
間髪入れず、落下した乙骨が斬りかかり――だが。
(――硬、っ!?)
「危ないねぇ、まったく!」
その、
何を隠そう九十九由基は、羂索の宿った夏油傑の肉体と格闘戦を演じた術師。
その呪力コントロールとフィジカルは、平安基準でも遜色がない!
それ故に――山勘で腹に呪力を集中させれば、刀を弾き返す程度など容易い!!
それどころか!
「簡易領域を維持しながらここまで動けるなんて、日下部先生じゃあるまいわ……!」
「Hey hey! どうした! 君の
――驚愕。
跳ね起き、蹴り、殴り。
刀を持った乙骨相手に、九十九は格闘を演じ出す。
これだけの圧倒的優位がありながら――彼女は果敢に乙骨の首を付け狙い、襲いかかる。
乙骨も押し切るべく、手当たり次第に刀を拾うも――。
「あーもうっ、先生ッ
「ほわっつ?」
――ここにきて、ハズレを引いた。今はとにかく攻撃手段が欲しいというのに!
そう、そもそも乙骨が手に取る術式はランダムだ。このような事態もありうる。だからこそ乙骨は徹底して自分自身を鍛えてきた――なのに!
「――いよっ、とぉ!」
(嘘でしょ、この人――!?)
振るった刀から、慌てて手を離す。
そうでなくば、超質量攻撃に触れるところだった。
刀は、一瞬にして砕け散る――真剣白刃取り。『星の怒り』は防御に機能しない、その前提を突く『攻勢防御』によって!
「剣術も相当鍛えたようじゃないか。狙いが正確で助かったよ!」
「――っ!」
思わず、かつての虎杖が脳を掠める。
だが、あの場面とは条件が違いすぎる。
乙骨は技術を総動員させて彼女を殺しにかかっている。同じ特級なのに、よもやこれほどの実力差が。
(決めきれないのか、僕にとって最高のシチュエーション――リカ接続中の領域があっても!?)
だから、一瞬だけ。思い出さずにはいられなかった――過去の、言葉を。
―
――
―――
『――何を悩んでるかは勝手だけどさぁ。それ、余計なお世話だからね』
――あの日。
最近悩んでそうじゃない、と呼ばれ。
折角ならと組み手を申し出て、ボコられた日。
『憂太が目指せるほど僕は弱くないし。逆立ちしたって僕にはなれないでしょ。悠仁にも、恵にだってね』
遠慮のない物言いだった。
極めて冷静な本音でもあった。
あまりに、遠すぎる背中だった。
けども、決して――先生は、
『ま、頑張るだけじゃなくさ。もっと宿儺みたく柔軟に、
形だけでも笑って、ハイと言えた言葉が――今は、胸に刺さる。
――じゃあ、どうすればいいんだよ。
術式は術者の解釈次第。
でも、この術式の強さは僕が強いだけじゃない。
どんなに刀を束ねようと、僕自身が五条先生を超えるイメージなんて――僕に思いつく方法は、もう、
――いや。
――――まだ、今じゃない!
―――
――
―
「――『
「いっだぁ!?」
――『鄒霊呪法』。
九十九由基の足に舞う、粉々になった刀の全てが――呪力の棘を伸ばし、彼女の足を切り裂く。
その隙に、辛うじて残った取手を掴み――折れた刀身は、突き出された呪力の
確信。迷わず、その間隙を縫って、乙骨は――。
全力で、
「危な――っ!?」
「ちぇーっ、バレちゃったか⭐︎」
「バレちゃったじゃないでしょっ!!」
紙一重、果たした生還。
乙骨は己の鈍さに恥じ入ざるを得ない。いまだに彼女を甘く見ていた。
――焼き切れた『
――よって彼女は、至近距離になった瞬間、これ幸いと拳を振るっていたのである!
(シャルルさんありがとうッ、軽く3回は貴方に救われてます……!)
2秒先の未来余地がなければ、反応もできずに死んでいただろう。
しかし、どうやって。
まだ領域を壊してから、それほどの時間は経っていない。必中のみの領域にしたって早すぎる!
――その答えは、いたずらげに笑う彼女の流した、鼻血から分かった。
「それって――五条先生がやった、術式のリセット!?」
「
一気に、乙骨の顔から余裕は消え失せる。
……とはいえ九十九は内心、己のビックマウスぶりに苦笑を禁じ得ない。
(無論、私には過ぎた大技さ――領域を使えなくなる『縛り』なしには成立しなかったんだから)
到底、自分では五条悟や両面宿儺のような域には届かない。
現に、今でも性懲りもなく『簡易領域』を維持している。
これは見掛け倒しの曲芸だ――だからこそ、思考の暇を与えない!
(――まずい、リカちゃんとの接続時間はあと僅かなのに!)
「どうした! 美女を前にダンマリとはいただけないぞ、乙骨君ッ!!」
猛攻。拳で、蹴りで。『
一度の攻撃で地面が捲れ上がり、剣の丘は軋む。
カスっただけでもブッ飛ばされる超威力。
天変地異の猛威を相手に、乙骨は命を懸けてダンスを演じ、
「――憂太ぁ!」
「ありがとう――ふんっ!」
「おわ! 急にパンチデカっ――WOWっ♡」
リカが投げ渡してきた刀を手に、発動。
――術式『
アフリカの師匠とのコネで命を繋いだ。
呪力で作られた大きな拳によってラッシュは中断、一瞬でも離れた――しかし、どうする。
お目目ハート状態の九十九は、もう乙骨しか見ていな――。
――この術式は!
――ついに来た、大当たりが!
「――『
「……って、なんだって――!?」
その剣は、煌めく炎へと姿を変えた。
乙骨は両の手をかざし、重ね、さながら陶芸のように――沸き立つ赤熱を束ね、矢に変えて、引き絞る。
――術式『御廚子』。
この業は、呪いの王が用いた最終奥義。
だがそれは威力こそ絶大ながらも出の遅さという短所がある。
九十九由基が、その隙を見過ごす理由などなかった。
彼女は迷いなく突撃し、その懐へと一歩早く踏み込む。ゼロ距離、今度こそ『星の怒り』を――!
「――『動クナ』」
(なあああんだってエエエええッ!?)
視界外――式神『リカ』による、『呪言』。
完全に乙骨への攻撃に集中した九十九を襲う、容赦なき連携。
否、こればかりは想定しようがあるまい。
異なる術式の同時併用――それは、あの宿儺にさえできなかった、呪術の原則上実現不能の行為!
その刹那、彼女は思い知る――乙骨憂太を敵に回すとは、二人の特級術師を同時に相手取るに等しいと!
「――――『
紅蓮は、噴き荒ぶ。
羽根の如く拡がる熱砂。
荒野を割る熱渦が、爆裂豪轟でもって九十九を飲み込み――簡易領域が、砕け散る。
(必中する、僕の選んだ術式が――!)
勝利の確信。それが確かであるほどに。
「――あっぶねぇ~。いやぁ、間に合わないかと思ったよ」
――驚愕が、心底から震え立つ。
「これは――戻れッ、リカっ!」
「あぃい!?」
炎の奧からの、声。
確かな『起こり』を前に、乙骨は叫んだ。
ずっと前から――おそらく、二度目の領域展開直後から。
この瞬間まで、水面下でソレは進行していたのだ。
そもそも、『
にも関わらずリカの対応に終始させたのは、乙骨からの注意を逸らすため。
爆炎の向こう、煌々と渦巻く……。
『
「いっくよぉ即興必殺! ――『稲妻・重力落とし』ぃッ!!」
刹那。
星の終焉を模した、
乙骨とリカ、そして――領域を。内側から、灼き尽くした。
乙骨「そのネーミングぜんぜん質量関係なくないですか!?」
九十九「うるさいなぁ咄嗟にそれしか思い浮かばなかったんだよ! てか重力も質量も時間も突き詰めれば(以下略)」
次回は12(金)になります。
【解説①・現時点での乙骨スペック】
・『リカ』接続中のみ術式焼き切れ踏み倒せます
・領域内でのみ『リカ』を仲介して、異なる術式を同時使用できます
・九十九の領域内でも反転術式をガンガン回しながら戦闘できます
・実質特級術師二人で、完璧なコンビネーションで戦えます
なんなら両方が反転アウトプットできます
・術式ストックは13個もあります
……冷静に考えてください。十分に強いです。
呪術の原則的ルールに反してまくってて、かなりおかしな強さしてやがります。
ただハイ、順当に強くなっただけで、1年ズほどのブレイクスルーには至れてないのは事実です。
虎杖と伏黒は宿儺が、釘崎は死に瀕した時間が長かった。
みたいな劇的な進化要因がなく、なおかつ本人は五条悟に固執しているせいで、術式解釈がかなり狭まっているんです。
五条の強さってかなり独自的すぎて真似るほうが無理ですからね。
むしろ五条先生のいうように、どんな呪術も本人以上に使えるスキルと知識を蓄えた、宿儺的な強さこそ乙骨は目指すべきなんですが……。
死滅回游なんて非常時で視野狭窄になってる以上、そうはならないでしょうね。伏黒のフルべユラユラ的な最終手段があるだけに……。
【解説②・異なる術式は同時使用できない、という事にさせてください】
複数の術式があっても、ひとつの体で使える術式はひとつだけ。
なぜ同時併用ができないと考えたか?
→五条戦の宿儺は、御廚子の使用を領域に限定していたから。
まず暫定として、領域展開をすると術式のスロットがふたつになります。
①必中効果 ← スロット追加!
②通常の術式運用
〈例〉無下限呪術の領域展開
術式使用スロット①:必中効果
→『無量空処』
術式使用スロット②:
→『蒼』『赫』『茈』『不可侵(オート)』
五条悟戦で宿儺は御廚子の使用を領域に限定した。
→宿儺は御廚子を必中効果としたうえで、
十種影法術を使用。『適応』を進めた。
〈摩虚羅使用中の 宿儺の領域〉
術式使用スロット①:必中効果
→御廚子(『解』『捌』)
術式使用スロット②
→十種影法術(による『適応』)
羂索の領域もまた同様で、
術式使用スロット①:必中効果
→『反重力』の術式反転
術式使用スロット②
→脳の乗っ取り術式
という形で、術式を併用していたわけである。
逆にそうでもないと、宿儺が摩虚羅使ってる後ろで御廚子使わず水鉄砲撃ってたり消火栓投げてる事に説明がつかない。
【解説③・じゃあ羂索はなんで『呪霊操術』使えたの?】
※まだ構想中の設定のため後々変更がありえます、ご注意ください。
→羂索の『脳』には口があった。あれで乗っ取った相手の術式を、相手の脳みそごと食ったと思われる。
(術式は脳に宿るらしいので)
だから『脳を乗っ取る術式』の拡張術式として、
これまで食ってきた術式を使用することができる。
……えっ? じゃあなんで領域直後に『脳を乗っ取る術式』が焼き切れてねぇんだって?
おそらく結界術の応用だろう(投げやり)
んなもん、こっちが知りたいですよ原作者に聞いてくださいよ。
なんだよ体内で領域展開って、なんだよ術式反転による領域展開って。
じゃあなんで投射呪法でタイムアルターやらねぇんだよ!
おかげで羂索だけバトル構想の難度高すぎて、設定構想してくれてる
ファンブック二冊目かモジュロ虎杖でそのへん描いてくれ、必要だろ!
【オマケ・術式併用、虎杖やってなかった?】
面白きゃいいか!のライブ感で過去にやっちゃってましたスイマセンでしたぁっ!!(土下座)
ハイ。真人VS虎杖回で『赤血操術×御廚子』の技やってましたねえ。
当時は『二部とかやらねえんだしいっか!』とか思ってたからやっちゃったんだよねーあーもうチクショウ!
虎杖の赤血と御廚子の同時併用は『黒閃』発動後のみ可能。
っていう言い訳でしかない後付け設定追加させてくださいお願いします。
原作沿ってやる以上、原作で宿儺・羂索・五条がやれてないなら無理なんです。
以上、作者の言い訳コーナーでした。
こんな原作リスペクトしたくなかったなぁ……()