【第二部開始】もしも新宿決戦で五条悟が北を向いて両面宿儺に勝っていたら? - 呪術廻戦『受愚戴転』 -   作:糾縄如氏

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【あらすじ】
やせい の デュエリスト が あらわれた!




第二幕 ???ブロック -アーサー編-
第2部 41話『羂⭐︎索! オレと決闘しろ!!』


 

 ――その男は。太陽を背に、ハーモニカを鳴らしてやってきた。

 

 西部劇のガンマンでも気取るかのように音色を響かせ。

 世紀末日本の更地を踏み締めて。

 

 その腕のゴテゴテした装備を見せつけ――そして、こう言った!

 

 

 

「――そこの少年ッ、決闘(デュエル)だぁっ! オレと勝負しろぉっ!」

 

「は? DUEL? 何の事ですかそれ」

 

 

 

 叫びは乾いた空気を震わせたが、返ってきたのはあまりにも温度差のある声だった。

 

 赤帽子の少年の登場を、アーサーの冷めた返答が出迎える。

 

 その瞬間。赤帽子を中心に広げようとしていた『ただならぬ気配』は音もなく引いていき――。

 

 

 

 赤帽子は改めて、

 アーサーの隣に立つ、女の方へと向き直る!

 

 

 

羂索(けんじゃく)! ついに見つけたZE⭐︎ このオレと決闘(デュエル)しろぉ!」

 

(バカな、師匠の名がバレている! いったい何故――!?)

 

 

 

 アーサーは戦慄し驚愕する。

 

 この赤帽子――言動は軽薄だが、呪力の制御は完成されている。

 雑魚ではない。むしろ、即座に排除すべき対象だ。

 

 視線を細め、踏み込もうとした、刹那。

 

 

 

「――いいだろう。その勝負、受けて立つよ」

 

「はい!?」

 

 

 

 あっさりと。あまりにも軽く。

 女は弟子を制した。

 

 海軍制服(セーラー)の彼女は迷いなく応じる。まるで、日常の延長にでもある出来事のように。

 

 しかも――いつの間にか。

 アメリカ国旗のバンダナに、サングラスまで装着していた!

 

 

 

「アーサーくん、下がってなさい。ただ裾を握るなりして、私から離れないようにね。いい勉強になるよ」

 

「イミがわかりません。日本語(Japanese)を喋ってください」

 

「ふッ、ついにこの時が来たようだね……」

 

(無視しやがりましたよコイツ……)

 

 

 

 一応、経験豊かな師匠の言葉なので、アーサーは困惑しつつも身を引く。

 

 そう。向き合う彼らの間に、脈略など無意味――既にそこには、戦いの風(モーメント)が渦巻いていた!

 

 

 

「Dゲイザー・セット! さぁお客人、刮目せよ! これが俺たちの見果てぬ先まで続く戦いのロード――領域展開(デュエルスタンバイ)⭐︎」

 

(――さっきの気配が拡大し、ドーム状に形成されていく――これが、『領域』!)

 

 

 

 ディスクから扇子のように引き抜かれた5枚のカード。その掌印の元、新世界が切り開かれる。

 

 構築された結界、そこに付与された術式(ソリッドビジョン)が全力稼働し――!

 

 

 

「「―― 決闘(デュエル)ッ!」」

 

(……こういうものなんでしょうか? 『領域』って……)

 

 

 

 ――元ネタ知識皆無で置いてきぼりのアーサーを他所に。

 

 両者の目前に浮かぶ『LP 8000』の表示で。

 決闘開始の合図がなされた――。

 

 

 

――

―――

 

 

 

 ――ゲームの歴史。

 それは遥か五千年の昔、

 古代エジプトにまでさかのぼるという。

 

 古代におけるゲームは、

 人間や王の未来を予言し、

 運命を決める 魔術的な儀式であった。

 

 それらは、「闇のゲーム」と呼ばれた。

 

 ――今、その術式によって、闇のゲームを受け継いだ少年がいた。

 

 第二次・死滅回游。呪いひしめくデスゲームの渦中でも、カードのみを武器に戦う、誇り高き泳者(プレイヤー)

 

 人は彼を――「遊戯王」と呼ぶ――!

 

 

 

―――

――

 

 

 

 どこかチープで壮大なBGMが、大音量高音質で反響するスタジアム。

 

 その領域の主、赤帽子の少年は宣言する。

 

 

 

「これは禁止制限完全無視、なんでもありの『闇のゲーム』! カードは全て、この領域(ネオ・デュエルターミナル)が出力可能だ。ショットガンシャッフルしてくれたって構わないZE!」

 

「ふーんそうなんだぁ? じゃあ私、これ使わせてもらうよ」

 

「おお現物持ってるとは殊勝じゃあないか、感心するぜ!」

 

「いやぁ。最近はMASTER DUELばっかだったんだけど、やっぱ紙でないとだよね」

 

 

 

 羂索、と呼ばれた女は、「なんでもあり」と聞いて目を輝かせる。

 そして徐に海軍制服の懐から、60枚の束(デッキ)を取り出し、

 

 これ見よがしに凶悪なツラを見せつつも――!

 

 

 

「ふっふっふ。期待するといい、私の切り札がデッキボトムに沈むことを……!」

 

 

 

 まずは名刺交換とばかりに、公開シャッフルが手作業で行われる。それも互いに、しごく丁寧な手付きでッ!

 

 

 

「……あの、そのDISC(?)にshuffleさせればよくないですか?」

 

「いや、いちおう敵の領域内だから。作為(ズル)が挟まらないよう、こうした方が確実なの」

 

「ああ、そこは真面目な理由なんですね……」

 

「するわけないだろ。『ルールを守って楽しく決闘』、KONAMIの鉄則だぜ⭐︎」

 

 

 

 なんでもありと言っといてルールは絶対? 何言ってんのコイツ?

 

 ツッコミ不在空間に付き合わされるばかりのアーサーは、疑問が多すぎていっそ疑問を感じる方がおかしいのではと思い始める。

 

 

 

「ええと、これからカードを用いた儀式をするって認識でいいんですか……?」

 

「遊びじゃない、『闇のゲーム』だよ。決闘者として挑まれたからには逃げるわけにはいかないのさ!」

 

「ああうんもう勝手にしてください」

 

「「我が名はアテム! じゃんけんポン!!」」

 

 

 

 アーサーはとうとう口出ししなくなった。

 二人は息ピッタリの掛け声と共に、先攻後攻を運で決定させ。

 

 

 

「先攻はもらったぜ! オレのターン! ドロ――」

 

「タイム」

 

「なんだよ。まさか手札の引き直しなんてヤワな要求しないだろうな」

 

「いいや、すまない。これは私の確認不足だった。質問に答えて欲しい。君は今を西暦何年と思ってる?」

 

「決まってるだろう。2013年だぜ!」

 

「あぁ、やっぱかぁ……Dゲイザー使ってたり、EXゾーン無かったりでもしやとは思ってたけど……」

 

 

 

 得心いったように、女は肩を落とす。

 

 ――この第二次・死滅回游では、現代人と、蘇った過去の人間が混在している。2013年に死亡した呪術師なんて、そうそう判別がつかない。

 

 何より彼には残酷な事実を伝えねば。神妙な面持ちになって、女はこう切り出した。

 

 そう――『いいですか? 落ち着いて聞いてください』と。

 

 

 

「にっ、にににに2025年!? 嘘だろ! もうAKIRAの時代じゃないか。SAOリリース目前じゃあないか!」

 

「なんなら平成終わったよ。もっと言うならACとゲッターロボとひぐらしの新作が出て、エヴァ終わって月姫リメイク発売されたよ。あとダイの大冒険とSEED劇場版とBLEACH最終編も世に出た。ちなみにワンピとH×Hとジョジョは未だ連載している。2018年で漫画業が全ストップしたハズなのによくやるよ(まぁ今度こそ無理だろうけど)」

 

「はー待て待て待て脳が! 脳が耐えきれない! 一旦タンマだ休ませてくれ!」

 

 

 

 赤帽子の彼は横転し、女は笑いを堪えきれなくなって、隣立つアーサーの肩を叩く。彼は仏頂面のまま、事の成り行きを眺めるに徹していた。

 

 

 

「あっはは。ねぇ、アーサーくんアーサーくん。どう思うアレ?」

 

「ひっくり返された虫みたいでウケますね」

 

「言い得て妙だね。冬眠明けって方が正しいかも知れないけれど」

 

 

 

 ひー、ひー。と女はひとしきり笑い終え、息を整えた後。

 

 

 

「えー、どうする? これってレギュレーションが一致しないよね」

 

「問題ないぜ! そこも含めてなんでもありの『闇のゲーム』だ! さぁ、ゲームを続けようぜ――⭐︎」

 

 

 

 先ほどまでのグッダグダぶりなぞ忘れたかのように、二人はポーカーフェイスで向き直る。

 

 ようやく盤面が、動き出す――。

 

 

 

―――

――

 

 

 

「気を取り直して、オレのターン! モンスターを攻撃表示⭐︎ 召喚時の効果で――!」

 

 

 

 今も昔も、遊戯王は先攻展開が絶対有利だ。

 ただし、先攻では相手に攻撃できない。

 

 赤帽子の彼に求められたのは、相手ターンを耐え抜くための、強固な盤面構築と妨害用意。

 

 

 

 ――が。

 新時代の魔物が、容赦なく彼を襲う。

 

 

 

「チェーンで効果発動。相手フィールドでモンスター効果が発動したとき――『ティアラメンツ・ハゥフニス』を手札から特殊召喚し――」

 

「なにっ、相手ターンに特殊召喚!? ま、まぁそのぐらいはやってもらわないとな……」

 

「自分はデッキの上からカードを3枚墓地に送る」

 

「――、はぁっ!?!?」

 

 

 

 いとも容易く行われるえげつない効果。

 二度見三度見する赤帽子を他所に、

 

「ほー、ちゃんとしてんじゃん。つくづくイラストアドってのは正義だね」

 

 などと、女は自身のモンスターをひとしきり鑑賞しながら。

 

 

 

 ――以降、専門用語まみれの、後攻0ターン展開を続けていく。

 

 

 

「おっラッキー。墓地に落ちた『古衛兵アギト』の効果発動。お互いのデッキの上からカード5枚を墓地に送る」

 

「はぁぁさっきから何なんだそのリソース量ヤバいって!? てかオレのターンなんだけど!?」

 

「んじゃ墓地に落ちたカード処理入りまーす。チェーン①、ティアクシャの効果で更に2枚墓地送り。チェーン②、レイノハートの効果で自身を特殊召喚。チェーン③、ケルベクの効果で更に互いのデッキトップ5枚を墓地送り。チェーン④、ハゥフニスの効果で素材をデッキボトムに戻して融合召喚」

 

「なにっ相手ターンに融合召喚するだと!? さっきからコストがコストになってなくないか!? てかオレのターンなんだけど!!」

 

「へぇ~ZEXAL基準で融合召喚を描写すると、こういう演出になるんだ。なりそうだな……中々ロマンのある領域じゃないか」

 

 

 

 さながら地獄の釜が開かれたようだった。

 女のデッキは、『イシズ・ティアラメンツ』だったのだ!

 

 

 

 ドバドバと60枚のデッキが墓地に落ち、その度に効果が起こされ、展開が絶え間なく連続し広がっていく。

 

 かと思えば墓地から任意のカードがデッキに戻され、デッキ残数も都合よく調整されていく。

 

 パチンコを思わせる暴力的なまでに吐き出されるリソースの数々。容易く引き出されていくデッキのフルパワー。

 

 

 

 気が狂いそうなほど広がる大宇宙に、赤帽子の少年は無理解を叫んだ。

 

 

 

「なぁそれ絶対なにかしら禁止制限されてるだろ! なんでいまだに全部3枚ずつ持ってんだよ!?」

 

「あーうんお察し通り大半もう使えないカードだよ。けどこのへん使い込んで愛着湧いちゃってね。崩すのもったいなくてさぁ」

 

「てか羂索のクセに環境デッキ使ってんじゃねえよ羂索のクセに!」

 

「はぁ〜? 遊戯王に関しちゃ勝てなきゃ楽しくないでしょ。それに面白くない? 墓地送りの結果次第で展開変わるの。私この時期が一番楽しかったし。これぞ正しく私の手から離れた混沌って感じしてさ」

 

「本人のくせに雑エミュしたようなセリフを言うな! てかオレのターンなんだけど(n回目)!」

 

「ちなみに『ブラックホール』の発動はあまりオススメしマセーン。また別の動きが始まるだけだから♪」

 

「なんでオレの手持ちカードばれてんの!?」

 

 

 

 ターンプレイヤーを無視して連続する彼女のソリティア。

 上位のモンスターがフィールドに並び立ち始める。

 

 

 

「あー結局のところミドラーシュでフタするのが関の山か。あんまり上振れしなかったなぁ……展開終了だよ。もうそっちターン終わり?」

 

「終わりだぜ。というか、盤面がどうしようもなさすぎるぜ。これどうしろってんだ?」

 

「なにってどうもできないけど」

 

「あっはい、サレンダーします……」

 

 

 

 ――WINNER・◾️◾️◾️◾️(けんじゃく)

 

 比べるべくもない戦力差。

 覆しようのないデッキパワーを前に。

 

 たやすく、赤帽子の少年は膝をついた――。

 

 

 

「ってなわけで、闇の罰ゲーム⭐︎ ……でもま、一人ぐらいこういうの居てもいいか。葉っぱが紙幣に見えるヤツでいいや」

 

「やめろ――っ! せめて、せめてマインドクラッシュとかの、かっこいいやつにしてくれ〜ッ!」

 

 

 

 無慈悲なり闇のゲーム。

 生殺与奪は勝者にあり。

 

 敗者はただ敗者として、罰則という必中効果を受け――敗退。トボトボと立ち去っていく。

 

 

 

「ガッチャ⭐︎ ま、そこそこは楽しかったよ。懲りずにまたおいで〜」

 

 

 

 ――かつて彼は、このように2013年に自らの必中効果を受け、心臓麻痺で死亡した。

 

 名もなき決闘者(デュエリスト)にして、0点の泳者(プレイヤー)である――。

 

 

 

―――

――

 

 

 

 辛く厳しく、一方的な戦いだった――。

 いやもはや、戦いとして成立していたのだろうか。

 

 アーサーにわかったのは、この女の大人気なさだけだった。

 

 

 

「……師匠(マスター)。よかったんですか殺さなくて。なぜだか名前バレてましたよ」

 

「心配ないさ。この体が誰か分かる人間はいないから。少なくとも高専に発見されるのはあり得ないよ」

 

「あなたの潜伏能力については疑ってません……で、結局なんだったんですか、アレ」

 

「そういう怪異だよ。何かしらの競技で挑みかかってくる呪術師なんて、どの時代にもいるものさ」

 

 

 

 が、女は至極真面目に語り出す。

 

 

 

「ルールを強制させ、競技の勝敗次第によって効果を決定させる必中領域使い――今回は暴力禁止だった辺り、日車寛美と同ケースの領域なようだね」

 

「この手のヤツで一番やばかったのは百人一首の領域展開かな。ありゃ二度と御免だよ。私の人生ベストバウト10選に入るね」

 

「ああ、あと必中領域とは別に『簡易領域』の場合もある。ルールを極限まで排除し相互同意ありきで機能するものだ。これに関しては単に応じなきゃいいだけだよ」

 

 

 

 はぁ……。と日本の文化に疎いアーサーは空返事。

 とはいえ他人事で済まないらしい。

 

 

 

「君もこのぐらい対応できなきゃだからね?」

 

「えっ。あんなのどうすれば……」

 

「教えたじゃん。『彌虚葛籠(いやこつづら)』」

 

「あっ勝負に乗らないの推奨なんですね……」

 

 

 

 なぜ必中領域が廃れたのか。アーサーには何となく分かった気がした――。

 





あっやばっ予約日を一日間違えて投稿しちまった。
まぁいいかぁ! よろしくなぁ!(後の祭り)

えっ、本シリーズで羂索は登場させない予定って言ってたろ?
第一部まではそのつもりでした。
第二部からは出す事にしました。死滅回游だからね。



あとアンケートのご協力ありがとうございました。
ぶっちゃけ票を入れてくれる人間が残っていた事に驚いてます。いやマジで。

今後は余裕のあるとき週2投稿、なければ週一で投稿します。
話数は、すみません長い章はどうしても長くなります。
なるべく短く済む様には努力します。



【補足】『ネオ・デュエルターミナル』効果

・秤や日車と同様、領域展開が前提の術式で、『必中のみの領域』

・日車のガベル、秤の電車扉と同様、領域展開せずとも領域内のオブジェクトを一部取り出すことができる(カード、デュエルディスクなど)

・本来なら『闇の罰ゲーム』を通すためだけの領域。
 どんな内容でも、勝者の絶対命令は『例外なく』実現する。
 相手を心臓麻痺させるだけでなく、しもべとして従えたり、別生物に変えたり、新しい術式を与えたり、相手にメリットのない『縛り』を強制させる事さえ可能。

・そもそも領域展開し、相手がデッキを持っていない時点で、不戦勝扱いで『闇の罰ゲーム』を必中発動できる。本人はやらない

・本来『遊戯王ゼアル』の設定的に『Dゲイザー』を装着せねばデュエルの様子を見ることはできないのだが、赤帽子くんの配慮により無くても見えるよう領域が設計されている

・雰囲気に応じて超高音質でアニメのサントラが流れ、
 あらゆるモンスターが質量を持った立体映像で表示され、軽いやりとりすら可能。

 なんなら場所さえ任意で変更でき、
 ライディングデュエルすら対応できる。

 ライフポイント表示ウィンドウも、初代・GX・5DS・ゼアルで任意選択可能。

 なんならアニメキャラを呼び出し、完全再現されたデッキで戦うことすらできる(当然ながら声優も挙動もすべてが放送当時のまま完全再現される)

 モウヤンのカレーやブルーアイズマウンテンやデュエル飯だって味わえる。

 デュエリストにとって想像しうる最高の空間である。
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